日々草子 あの人に憧れて
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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あの人に憧れて






「入江くん、この家を出て二人で暮らさない?」
唐突に琴子がそんなことを言い出した。
俺たちも一緒に暮らし始めてどれだけの年月が経っただろうか。結婚前からずっとお互いの家族と暮らしているから、琴子が夫婦水入らずの暮らしを望んでも不思議ではない。
「お前がそうしたいっていうなら、考えるか。」
おふくろはワンワン泣くだろうが、一度二人で暮らしてみるのもいい経験だろう。琴子も大人になったってことか。
「ちょうどいい物件が出ているのよ。」
「物件?もうそこまで探しているのか?」
随分手回しがいいな。ハハーン、ってことは、どこぞでいい家を見つけて俺と二人で暮らすことを想像して、家を出るって考えたってことか。ったく、形から入る奴め。
「どの辺だよ。マンション?」
「ううん、戸建。」
「戸建?家を買うってことか?」
てっきり大学近くのマンションでも借りるのかと思いきや。まあ、共働き、ローンを組めないこともないか…。でも都内で戸建はなかなかきついものがあるな。
「通勤に時間がかかることにならないか?」
「通勤?ううん、今の病院は辞めることになると思うんだけど。」
琴子があっけらかんと言う。
「辞めるってお前…。」
これからローンを組んで家を買おうって時に辞めるだと!?さすがにそれは無謀な計画じゃないか?
「どこに家を買うつもりなんだ?」
「あ、ここなんだけど。」
琴子が不動産のチラシを取りだし、俺の前に掲げた。
「…これ、どこ?」
そのチラシの写真は戸建だった。が、それは周りを海に囲まれた崖の上…。
「いいでしょ?ぴったりの家がちょうど売りに出された所なの!」
何にぴったりなわけ?自信満々にチラシを掲げる琴子の背後に俺はふと目をやる。
「あ、あれは!!」
琴子の後の机の上に本が積まれていた。それは、あのマンガの神様と呼ばれた人が描いた、日本一有名な無免許医者が主人公のマンガだった!
「お前…なんちゅうもんに影響されて…。」
誰だよ、あんな所に家を建てて売り出した奴は!!

「そういうことで、二人で病院辞めてここで開業するのがいいと思うのよね。」
マンガを開いて、家の写真と見比べうっとりとしている琴子。確かにこのマンガの主人公に憧れて医者になった奴は存在すると聞くが、主人公に生活環境を近づける奴はいないだろ!
「…患者、来ないんじゃない?そんな辺鄙な所じゃ。」
「別に数は必要ないわよ。たまーに大金持って来てくれれば。」
しれっと恐ろしいことを口にする琴子。
「いや…俺はそこまでの腕は…。」
「入江くんなら大丈夫よ!!」
バンバンと俺の背中を琴子は叩いた。そして「そうそう」とまたゴソゴソと袋の中を探し出した。
「あと、これ!これは絶対必要よね!」
琴子が広げたのは黒いマント。そんなもん、どっから…。
「ドンキで売ってた!」
何でも売ってるな、あそこ!
「これは絶対必要。この家で、これを身につけて…あ、そうだ!今から慣れておいた方がいいわよね。明日からこのマントつけて歩いてみる?」
「こんなもん翻す医者に診察してほしい患者がいるか!!」
こんなマントつけて病棟歩いてみろ。たちまち噂の的になるわ、呼び出されるわ、どうなることか!
俺はマントを奪って、床にたたきつけた。「何てことを!」と琴子が慌てて拾い上げる。

「んもう!まあ、いいわ。とにかく今度の休みに家を見に行きましょ。」
「やだよ!」
琴子はすぐにも不動産屋に電話をしそうな勢いだ。冗談じゃない!
「いいか、琴子。俺とこの主人公は違う。」
俺はマンガをバンバンと叩きながら、琴子を見た。
「この主人公は医師免許がない!俺は医師免許を持っている!」
「そんなの、大したことじゃないわ。」
琴子は頬を膨らませて反論する。
「入江くんも免許返納すればいいのよ!」
おいおい、高齢者の運転免許返納と訳が違うんだぞ!
「それをしたら、診察できねえだろうが!」
「はあ?」
琴子が何を馬鹿なことをという顔をする。
「法律違反になるんだよ!」
「法律を怖がってどうするの、入江くん!」
「法律は大事だ!」
「法律より人の命が大事でしょうが!!」
「ていうか、俺は免許持ってるんだってば!!」
まるで俺が無免許のような言われようじゃないか。

どうすれば…どうすれば琴子にあきらめさせることができるんだろうか。俺は琴子からマンガを奪ってページを何となしにめくった…ん?こいつは…。

「分かった、琴子。」
俺は冷静に口を開いた。
「分かってくれたの?それじゃ早速内見に…。」
「俺が医師免許返納して、ここに引っ越したら…お前とはサヨナラだな。」
「へ?どういうこと?入江くん、一人じゃ手が足りないでしょ?看護師が必要でしょ?」
「ああ、だがお前にその役目はできない。」
「どうして?」
「お前は…体がでかいからだ!」
「…はい?」
キョトンと琴子の目が点になった。ま、そうなるだろう。
「いや、私はそんな…小柄な方ではないでしょうか?」
「いいや、これを見ろ!」
俺はマンガのページを広げ、琴子へ突き出した。
「お前が望むように、医師免許返納してこの崖の家に引っ越したら俺の助手はこいつじゃないとだめだろうが!!」
「ぴ、ピノコ…。」
絞り出すようにその名を口にすると、琴子はじっとページを見つめた。しばらく、動かなくなる琴子。俺はじっと次の行動を待つ。

「…。」
琴子は俺からマンガを取り上げるとパタンと閉じた。そして他の巻にそれを重ね、テキパキと片付け始めた。不動産のチラシもポイッとごみ箱へ放りこみ、マントはクローゼットへ押し込んだ(捨てないのか、それ)。
「入江くん、やっぱり入江くんは大学病院のお医者さんが似合うと思うの。」
「そりゃどうも。」
あっさりと琴子は目を覚ました。こんな単純なことで現実に戻るとは半信半疑であったが、恐ろしいほど単純な奴だった、こいつは。
「ねえ、入江くん。」
ぴとっと琴子が俺に体を摺り寄せる。
「入江くんが将来開業したとして、助手は私しかいないよね…?」
「どうだろうな?」
俺は琴子の頭を抱き寄せ、その髪にチュッと音を立ててキスをした。
「とりあえず、俺の考えていることを一番分かるのはお前だと思うけど。」
「よかった。」
そう、俺のことを一番理解しているのはお前だと思う。
だけど…助手としての腕は残念ながら今のところはピノコの方が上だと思う。せいぜい、俺が開業するまでには腕を磨いてピノコを超えてくれよな。




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