日々草子 『検察側の罪人』
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『検察側の罪人』

母と一緒に数年ぶりに映画に足を運びました。
ブロ友さんの映画レビューを見る度に私はこんなにうまく書けないと思っているのですが、感想を書いてみたいと思います。
あらすじで分かる以上のネタバレはしないように気を付けましたが、もしかしたらネタバレになってしまっているかもしれないので、
「私はこれから観に行く。絶対ネタバレは嫌だ、見ない!」という方はこれより先は読まないことをお勧めいたします。

☆☆☆☆☆





東京地検のエリート検事・最上(木村拓哉)と若手検事・沖野(二宮和也)。この二人がとある殺人事件を調べることになるが、浮上した容疑者の一人である松野になぜか執着しようとする最上。その最上のやり方に疑惑を深めていく沖野…というストーリーです。詳しくは映画のサイトをご覧くださいませ。

映画化が発表された時に原作を読んだのですが、もう一年くらい前なのでおおまかなあらすじしか覚えておらず。観ながら、ああそんな話だったなと思い出しつつ。
実は『容疑者Xの献身』の中弛みで睡魔と必死に闘ったことがトラウマになっていて映画を観に行くことに躊躇していたのですが、ストーリー展開が早くて、そんな不安を払拭してくれました。
ストーリーも原作に沿っていたので面白かったし。

ただ、何でそこまでインパール作戦にこだわるのかなと。
最初の方で、沖野が取り調べたブローカー(松重豊)の父親と最上の祖父がそれぞれ、第二次世界大戦のインパール作戦の生存者だという話が出てきて、これがちょいちょい、ストーリーに入り込んできます。
インパール=無謀な作戦の代名詞だ、みたいな沖野のセリフから、なるほど、これから最上が行うことはインパールのような無謀なものだということを暗示しているのかと思ったのですが、ちょっと入り込み過ぎ。
父親と祖父が生存者だからと、なぜブローカーはそこまで最上に肩入れするのかもよく分からない。
インパール作戦の回想に現代の最上とその親友が入っている場面も「うーん?」という感じでした。

その最上の親友は疑惑のかかった政治家でこれは原作にも出て来たのですが、このエピソードにも深入りしすぎていたような気がします。
この政治家が何かと「反戦」と口にするものだから、インパール作戦と合わせて監督は反戦のメッセージをこの作品で訴えたかったのかと勘繰ってしまうほど。いや反戦をアピールしたいのならば別の作品でお願いしたいです。

私が見たかったのは、自分なりの正義を追及しようと間違った方向へ進む検事と、それを追及する検事、二人の対決。
検事になった時から憧れてきた先輩検事の過ちを知った後輩検事の苦悩とか、間違ったことと知りつつも行動を起こしてしまう先輩検事の心境をもっと描いてほしかったなと思います。
せっかく話題性のある二人を主役に持ってきたのだから、その対立をもっと描いてほしかった。
「対立」という言葉がそこまで映画に響いていなかった気がします。

こんな感想を持ったのも、正直、「いらないよ!」という場面が多かったんですよ!
ええ、声を大にして言いたい。
何だ、あの葬式ダンスは?映画のストーリーに没頭していたのに突然あの葬式ダンス集団が出た時は「ああ?」って声を上げそうになりましたよ。それと共に政治家の妻が変な友人連れて登場するし。ストーリーに関係ないっちゅうねん。
テレビ放映の時は葬式ダンスシーン、丸々カットでお願いします。

他にも河原で踊る集団とか。どれだけダンス好きなんだ、監督。容疑者もタップダンスしてたし。
被害者が好きな歌を妙に詳しく描いたり。
中弛みはしなかったけど、なんか突然現実に戻された感じで微妙でした。

あと、最上の家族。原作では妻と実の娘がいて妻もラストではいい場面を作っているのですが。
あんな妻子にするならば、いっそ出番なしでよかったのに。そこ削って検事二人をもっと掘り下げて描いてほしかった。
最上の親友が「年上で子連れと再婚なんてどうかしてる」と笑っていたけど、その後出て来た時は「年上で子連れじゃなくてもどうかしてるよ」と思う妻だった。
最上だけじゃなく、この映画に出てくる人物の妻がみんなインパクトありすぎでした。政治家の妻も弁護士の妻も。
何であんな妻にしたんだろうか…。シリアスな映画だから笑いを狙ってきたのか。

沖野の検察事務官(吉高由里子)の原作にない設定も「なぜ?」って感じでした。
冤罪を憎む理由は理解できるけれど、彼女の秘密は必要なのだろうか。情報を秘密裏に沖野に提供するためだけにその秘密を抱えていることにしたのだろうか。

でも最大の謎は終わり方かな。
場面切り替わってエンドロールが流れた時は「はあ?」って本当に口がポカンと開きました。
私がどう描かれるのかなと思っていた、描かれるだろうと思っていたシーンはなかった…。
そのシーンの二人が見たかったのに…。
え?うちの役者にそんな姿を演じさせるわけにいかないという事務所忖度なの?とまで疑っちゃいましたよ。
まさかそんなことはないと信じたいけれど。

こう書くとつまらない映画なのかと思われそうですが、そういうわけじゃないんですよね。
最近ドラマでも映画でもありがちな「誰誰が出ているから見た」「誰誰が見たいためだけの作品」というわけでもなかったし。
出演者はどの人も熱演だったし。
役者さんのファンじゃない人でも楽しめると思います。
ストーリーも大人が観賞するにいいものでした。
予告で流れている二ノのセリフ回しはすごかった。あとあんなに怯える(という表現出会っているのか分からないが)キムタクも初めて見たかも。『HERO』で共演してたから松重さんとの息も合っていた。
ラストも「ああいうラストが好き」という方にはいいのだろうと思います。

あ、余談をひとつ。
二ノの大ファンにはちょっと「え?」って思うシーンが少しあります。特にファンじゃない私は「何だ、こりゃ」と笑えたけど(ファンの方ごめんなさい)。いや、ファンでも笑えるかも、あれは。
事務所はそこはNG出さなかったんだなと思いました。



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