日々草子 続・ハイエナ
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

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続・ハイエナ






「入江くん、私の作った煮物、おいしい?」
「ふつう。」
直樹くんの口からはどう考えても、尋常ではない異音が発せられている。これを普通と言えるのは愛の力からなのか。
直樹くんと娘の琴子は最近、結婚を誓い合った。女衒に娘を売り渡すかのような…あ、いやいや。それは俺の考えすぎというやつだ。

「そうだ、おじさん。」
「ん?」
「この後少し、お店をお借りしてもいいでしょうか。」
「別に構わんよ。もう昼時は過ぎたし。」
そろそろ2時でランチタイムは終了ってやつだ。直樹くんしか客はいない。これから夕方まで店は閉まるので問題はない。
「親父が来るんです。ちょっと話があって。」
「へえ、イリちゃんが。」
「仕事の話で申し訳ないんですけどね。」
「サインドイッチマンのマネージャーでしょ、入江くんのお仕事。」
「いや、ファンドマネージャー。」
「あ、そうだっけ?」
おいおい、琴子よ。芸人さんのマネージャーだったら今ごろこんな所で暢気に飯を食っている暇はなかろうよ。お前、旦那になる人の職業をちゃんと把握していないで大丈夫なのか?

「イリちゃんの会社、ちょっと大変みたいだねえ。」
俺はカウンターに置かれていた新聞を手にした。一面にイリちゃんの会社、パンダイの問題が掲載されている。
「イリちゃんが悪いことをしたわけじゃないのになあ。」
「え?そうなの?おじさんが横領して多額のお金を使い込んでトンズラしてるんじゃなかった?」
「お前、なんちゅうことを言うんだ。」
俺は琴子の頭をお盆でパコンと叩いた。
「仮にも舅となる人をそんな風に。第一、そういうことをする人だって思えないだろ?」
「ま、親父がやったわけじゃないけど、横領、トンズラは事実だからな。」
イリちゃんの会社の重役の一人がそれをやったことは事実らしい。
「だってほら。おじさんが頭を下げてるじゃないの。テレビでも見たわ。みんなそう思うって。」
「社長だからだろ。社長ってのは自分が悪くなくても頭を下げねばならない立場で大変なんだよ。」
「まあ、その分多額の報酬もらってますけどね。」
お茶をズズとすすりながら言う直樹くん。ドライな性格だなあ。


「やあ、久しぶりだね。アイちゃんと琴子ちゃん。」
10分後、イリちゃんが仏のような笑顔で店に入って来た。
「イリちゃん、大丈夫かい?」
「ん?ああ、悪いねえ心配かけちゃって。」
イリちゃんは昼もまだだということで、俺はここぞとばかりに腕をふるうことにした。
「はいよ、イリちゃん。たくさん食べて栄養つけて戦わねえと。」
「ありがと、アイちゃん。」
そういや、直樹くんと話があるんだったな。
「おい、琴子。俺たちは二階に上がってよう。」
暖簾を中へしまった琴子に俺は声をかけた。
「そうだね。それじゃおじさん、ごゆっくり。」
「あ、いやいや。二人ともいてくれていいんだ。」
イリちゃんが箸を持つ手を止めて、俺らを引き留めた。
「でも仕事の話だろ?部外者がいたらまずいし。」
「そんなこと言わないでよ。もうすぐ親戚になるんだしさ。」
直樹くんも同意する。
「店を占領しちゃって悪いことしてるんだし。それに二人きりだと息がつまりそうだから。」
「そうかい?」
そこまで言うならと、俺と琴子はちょっと離れた席についた。


「直樹も仕事はどうだ?」
「ええ、まあ何とか。」
「噂には聞いてるよ。お前の手腕はすごいなあ。」
「そんなことより、早く本題に入りましょう。」
「ああ、そうだな。」
イリちゃんは食事を終え、お茶をすすった。

「直樹の力を借りたいんだ。」
「パンダイの再建にですか?」
「ああ。」
うーむ、やはりその話か。まあ直樹くんはとにかく優秀だからな。
「お前にうちの株を買い取ってほしいんだ。」
また株か。まあそれが直樹くんの仕事ではあるんだが、どうも「株」という言葉を聞くと不安になる。直樹くん、大丈夫かなあ?今度は株式会社かどうか調べるまでもないな。何せ「パンダイ株式会社」って名前がついているんだから。
「どれほどの株を買えと?」
「…30%。」
イリちゃんは指を三本たてた。まるで三百円といっているかのような。
「つまり経営権は渡さないってことですか。」
よく分からんが、30%ということはそういうことらしい。
「それは都合良すぎませんかね?」
おお、親子とはいえビジネスの世界は非情なものだ。
「しかし、もうお前の力を借りるしかないんだ。頼む。」
イリちゃんが頭を下げた。

「これが再建計画書だ。」
頭を上げるとイリちゃんは書類を直樹くんへ渡した。直樹くんはそれをパラパラとめくった。
「…あれでちゃんと頭に入っちゃうんだから入江くんすごいわよね。」
たくあんをポリポリと食べながら琴子が呟いた。うん、そうだな。
「…話になりませんね。」
直樹くんは書類をバサッとカウンターへ放り投げた。
「これじゃ全然なってない。」
「そんな!これでも練りに練って…。」
「人に頼り切って、何が再建だ。その被害者根性を叩き直せ!」
バーンッとカウンターを叩く直樹くん。ああ、俺がせっせと毎日磨いているのに…。
「そんな、だって…。」
「夢とか語っている場合じゃないだろ!本気の奴は夢なんて言葉を口にしない!」
「そうよね、現実を見ないと。」
と、知ったようにしば漬けを食べる琴子。お前、絶対分かってないだろ。

「じゃあ、じゃあどうすれば…。」
ああ、可哀想に。イリちゃんはオロオロして今にも泣きそうだ。
「俺がパンダイを建て直します。」
「え?」
「俺がパンダイの社長になります。」
「ええ!?」
思わず俺と琴子もイリちゃんと一緒に声を上げちまった。何だってえ?
「入江くんが…パンダイの社長に…。」
と驚きつつも、奈良漬けをポリポリと食べる琴子。おい、お前は塩分取り過ぎじゃないのか?

「お前が…お前があれほど嫌がった後を継いでくれるってことか!?」
「勘違いしないでいただきたい。一時です。」
「いやいや。一時でも構わん。お前がやってくれるならわしは喜んで社長の座を譲ろう。」
「腐りきった会社をつぶして建て直すしかありませんからね。この腐りきった会社を!」
直樹くん、実の父が作った会社をそこまで言わんでも…。


「でもそのためには、相原のおじさんの力を借りねばなりません。」
直樹くんは突然、俺を見た。
「え?俺が?何ができるの?」
だって俺は一介の料理人だ。経営なんて全然分からないし。社員食堂の手伝いとか、弁当のデリバリーとか頼むってことか?
「おじさん。」
直樹くんは封筒を俺に差し出した。
「これは…!」
中身は婚姻届だった!
「琴子さんと今すぐ、結婚させて下さい。」
「入江くん!!」
興奮のあまり、千枚漬けを喉につまらせる琴子。
「何で今!?」
こんな非常時にどうして?ていうか、これが貸して欲しい俺の力?どういう意味?
「直樹くん…もうちょっとこれは落ち着いてからでも…。」
「いえ、今すぐじゃないとダメなんです!」
守るべき家族を作って戦いに臨むってこと?琴子が支えになるって意味か?
「でも…。」
「俺がパンダイの社長になるためには、結婚して名字を相原に変えねばならないんです。」
「へ?」
ちょっと待って。今、何て言ったよ?名字を相原に?
「君…婿養子になるってことかい?」
「はい。だって入江直樹のままでは、息子が社長になったってばれるでしょ。」
「いや、それ別にいいんじゃない?」
親父が引退して息子が継ぐって珍しいことじゃないでしょ。
「しかし、大勢の社員に示しがつきません。なんだ、息子かと。だからばれないようにしないと。」
「いやいや、ばれるって。すぐ分かるって。調べたらバレバレ。」
「大丈夫です。俺、幸い親父と似てないし。」
「そうね。入江くんとおじさんって全然外見似てないから良かったっておばさんが言ってたわ。頭の良さだけで本当に良かったって!」
「琴子!!」
ぬか漬けのキュウリをポリポリしながらの琴子の言葉に、イリちゃんが「ママがそんなことを!」と泣き崩れる。
琴子、こないだからお前はイリちゃんをハゲだの横領トンズラだの言ってるが、何か恨みがあるのか?まるで親をイリちゃんに殺されたかのような。いやいや、俺は生きてる。じゃあ、あれか?イリちゃんと前世でいがみ合っていたのか?
「直樹と重樹みたいに、樹がつく名前なんて珍しくありませんからね。だから今すぐ結婚して名前を変えて入社したいんです。」
直樹くんが強調する。

「あの、すみません。」
ひとしきり漬け物を食い尽くした琴子が、手を上げた。
「ええと、入江くんと結婚できるのは嬉しいんだけど…どうして婿養子で、今じゃないとダメなの?」
琴子…お前、全然分かってなかったか。でもいい。まあその方がこんな不埒な理由での結婚に至らずに済む。
「それはだな。」
直樹くんが丁寧に説明を開始する。最初は「うん、うん」と相づちを打っていた琴子であるが、そのうち「う…ん」「うううううん」と「うん」の間が伸び始めた。これ、絶対理解できてねえ。

「ごめん、入江くん。できれば一言で簡潔にお願いできるかな?」
できるか!
「一言…そうだな。」
直樹くんは考え込む。そりゃそうだ。直樹くんだって無理だ。はい、そういうことでこの話は延期、延期!

「日本経済の発展のために、俺とお前が結婚する必要があるんだ。今すぐ!」
「分かったわ、結婚しましょう!」

ええ!?そんなまとめ方あり!?ていうか、何だそれ!そこまで話を広げるか!

「じゃ、入江くんは結婚したら相原くん…なあんか変な感じね。」
いや、呼び方の問題じゃないだろ。下の名前で呼べよ。
「お父さん、そういうことで入江くんと結婚します!」
「お父さんは認めんぞ!!」
ああ、まさか俺がこんな台詞を口にする時が来るとは。でも本当に絶対、こんな理由で結婚させるわけにいかん!

「いいか、琴子。直樹くんは名字を変えたいがために今結婚するって言ってるんだ。そんな理由でいいのか?」
「だってそうしないと日本経済がダメになるんでしょう?」
「そんなわけあるか。目を覚ませ、琴子。この手口はあれだ、あれ。外国に入国を禁止されたジャーナリストが、パスポートの名前を変えるために結婚したり離婚したりする方法、それと一緒だ。」
「…ちょっと何言ってるか分からないんだけど。」
こんな時にサンドイッチマンの口真似せんでもいい!!

「とにかく、俺は認めない!絶対に認めない!!」
「おじさん、ビジネスにはありとあらゆる方法を使うことが必要なのです。」
「ビジネスと結婚を一緒にするな!」
「うわあん、お父さんが結婚を認めてくれない!!」
琴子は泣き出してしまった。ちょうどいい、漬け物の食い過ぎで摂った塩分を外へ出しちまえ!

「じゃ、融資した三億は来月まで返済をお願いします。」
「え?」
突然直樹くんが三億の話を持ち出して来た。
「ちょっと、どういうこと?」
「だって琴子と結婚できないなら、三億は返してもらわないと。」
来た-!!女衒直樹、来た-!!
「そんな馬鹿な!!」
「そういうものです。ビジネスですから。こちらは慈善事業じゃないんですよ。」
台詞まで高利貸し!!
「い、イリちゃん…。」
「そういう契約ならしょうがないね。」
女衒の親はやっぱり非情!!
「来月まで、三億と利子をよろしく。」
く、くそっ!!!


「ああ、これでアイちゃんと親戚、琴子ちゃんという可愛い娘もできた。」
サインしたての婚姻届を満足そうに見るイリちゃん。出しておくとスキップしながら店を出て行った。
くそ、くそ、くそ!!俺は別に三億で娘を売り渡したわけじゃないからな!!

「入江くん、見て!」
琴子は琴子で結婚情報誌を直樹くんの前に広げる。
「こんな式がいいなってずっと"夢”見てて。」
「いいんじゃない?」
「あとこのドレスも!!お姫様みたいだって小さい頃からの"夢”で!」
「似合うと思うよ。」
「そう?」
おいおい、お前ら。さっきまで直樹くんは父親になんて言ってたよ?本気の奴は夢なんて口にしないって言ってたよな?それなのに夢を連発して、夢の大安売りしてるみたいだけどいいのか?
「夢を見ることはいいことだ。でもお前の夢は現実になるんだぜ。」
「ステキ、入江くん!」
夢見る馬鹿二人につける薬はねえな。



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コメント

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こんにちは今回も楽しみにしてました。
直樹琴子のこと即決ですね
ところでリクエストしてもいいですか⁉️
二人が70才80才になった夫婦生活を覗いてみたいです。
もちろんアツアツの二人です。
よろしくお願いいたします‼️

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