日々草子 水面に映る蓮の花 10
FC2ブログ

プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

現在の御訪問者

現在の閲覧者数:

御訪問ありがとうございます

このブログについてのお願い

当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

カテゴリー+月別アーカイブ

 

最新記事

更新が遅くなり申し訳ありません。
猛暑で体がかなりまいっておりました。何もやる気がでない、ひたすら体力温存という感じでした。情けない。
最近『蒼穹の昴』の再放送が始まって、原作と比較しながら見ているうちにテンションが上がってきました。
やっぱり王朝ものは色々想像力をかきたてられます。
といいつつも、あらすじがぶっ飛んでいてつじつまが合わなかったり、強引に進めたりしているため「こいつは何を書こうとしているのだ?」と困惑されることも多いかと思います。同じようなことをグダグダ書いてしまうかもしれませんが、その辺は生温かい目で結構ですので(笑)、見守っていただけると幸いです。
また少しずつ更新をしていきたいと思っておりますので、お付き合いしていただけると嬉しいです。


☆☆☆☆☆




「なるほど、筆がきれいになるまではこんなに大変なんだな。」
洗い終えた筆を空へかざし、裕樹は満足げに頷いた。
「今は夏だから水が冷たくないが、冬は大変だろうな。」
「はい。手がすぐにかじかんでしまいます。」
裕樹の呟きに答えたのは、一人の少女だった。
「好美殿もそうなのですか?」
「はい。冬は水も冷たく、なかなか汚れが落ちません。父と一緒に時をかけて洗っております。」
「師の君もされていることならば、僕もせねば。」
と、ここで裕樹は気づいた。
「そうなると、今まで下働きの者たちは苦労をしていたのだろうな。僕は何も知らずに汚すだけ汚して片付けさせていたから。」
裕樹の絵の師となった佐川が最初に約束させたことは、絵の準備、片付けは全て自分ですることだった。
「道具を大切にしなければ、よき絵は描けません。それをお約束できるならばお教えいたしましょう。」
この言葉に最初は驚いた裕樹であったが、すぐに約束した。といっても、準備はともかく、片付けの方法は知らない。それを教えたのがここにいる少女だった。

「宮様、絵の講義は終わられましたか?」
「おう、春也か。」
筆を洗い終えた裕樹は、濡れた手をどうしようかと困った。と、少女が「こちらを」と手ぬぐいを差し出した。
「かたじけない。」
手ぬぐいを受け取ろうとした裕樹の手と、差し出した少女の手がぶつかった。
「あっ。」
少女がさっと手を引っこめてしまったため、手ぬぐいが落ちてしまった。
「申し訳ございません。」
少女がすぐに身をかがめそれを拾い、裕樹へ渡す。裕樹は何もなかったかのように受け取り手を拭った。
「…。」
春也の目は頬を赤く染め俯く少女に向けられていた。
「春也?」
「え?ああ、失礼いたしました。」
春也はすぐに裕樹へ視線を戻した。
「宮様、こちらは?」
「ん?おお、そうだ、紹介がまだだったな。こちらは師の君のご令嬢の好美殿だ。師の君の助手としておいでになっている。」
「好美でございます。」
好美が挨拶をした。
「好美殿、これは春也といって僕の学友です。」
「ご学友でいらっしゃいましたか。」
そうなると、身分の高い貴族の御曹司ということになる。好美はますます小さくなってしまった。
「春也です。」
春也はそんなこと気にすることもなく、挨拶をする。
「道具の手入れにも慣れましたか、宮様?」
乾かすために並べられた筆を見て、春也が訊ねた。
「まだまだだ。好美殿は僕の半分の時間で洗い終えるという。洗うだけじゃなく手入れも教えていただくことになっている。覚えることは山ほどあり大変だ。」
「でもとても楽しくされておいでですね。」
口とは裏腹に裕樹の心が弾んでいる様子が、周囲に伝わってくる。
「うん、そうだな。この間は紙すきを見学に師の君がお連れ下さった。あれを見ると紙は無駄にできないと思ったぞ。だから、ほら。」
裕樹は描き終わった紙を重ねているものを春也に見せた。
「こうして裏にも描くことにしたのだ。」
「それはよろしゅうございますね。」
裕樹と春也の会話を聞く好美にも笑顔が浮かんでいる。
「そういえば、好美殿は絵を描かれるのですか?」
裕樹が好美に話を向けた。
「とんでもございませぬ。私は父のように描けませぬゆえ、主に見る方を。」
「画集などを?」
「左様でございます。あの、宮様。」
「はい。」
好美は今まで言おうと思っていたことを口にした。
「恐れながら宮様、私のことはどうぞ好美とお呼び下さいませ。」
「そのようなことはできません。好美殿は師の君のご令嬢でいらっしゃいます。師の君は私が敬うべき方。その方のお身内をどうして呼び捨てにできましょうか。」
「恐れながら宮様。宮様の師は父でございます。私ではございませぬ。私は娘にすぎませぬゆえ、どうぞ呼び捨てに。」
「しかし…。」
「父は父、私は私でございます。私は一介の助手にすぎませぬ。」
「でも…。」
それでも呼びあぐねる裕樹に春也が言った。
「好美殿のおっしゃるとおりにされたらいかがでしょうか。」
「ふうむ。」
「好美殿の心がけ、宮様も認めてくださいませ。」
「お前に言われたらしょうがないな。」
裕樹は好美の願いを聞き届けることにした。


「では失礼いたします。」
「師の君は所用で先に戻られたのです…戻られたのだったな。宮中にはまだ慣れていないだろう。」
裕樹が優しさを見せ、好美を門まで送るよう女官に命じた。
「ごきげんよう、宮様。」
「ごきげん…じゃないのか。うん、またな、好美。」
呼び捨てにされ、好美はまたもは頬を染めながら女官に伴われ御殿を出て行った。

「…ご立派な方でございますね。」
「好美のことか?」
「はい。親が王族の師の君に選ばれたのですから、その権威を笠に着ることもできるでしょうに。あのように父は父、自分は自分と。」
「うん、そうだな。なかなかの者だな。」
「…お似合いかもしれませんね。」
「ん?」
「いえ、別に。」
同じ年頃ながら、春也の方が男女の間に機敏なところがあるようだった。

「腹が減ったな。これ、何か菓子を。」
裕樹が女官に命じた。
「桔梗の餅菓子が恋しいなあ。」
「最近、ご無沙汰ですよね。」
「…あまり長居をできる雰囲気じゃないのだ。」
兄夫婦の不仲は裕樹にも伝わっていた。というより、雰囲気で感じていた。
「前のように色々言える状況じゃないことは僕にも分かる。」
「あんなに仲睦まじいお二人だったのに、何があったのでしょう?」
裕樹から話を聞いている春也だった。といっても、琴子の後見人である叔母夫婦の様子を見ても分かることだった。
「香の調合の行き違いがあったらしいが、詳しいことは僕も教えてもらえない。母上は兄上にカンカンだけれど。」
そういっても、王妃があれこれ言ってよくなるものでもなかった。
「僕が早く絵を仕上げて琴子に見せれば、少しは気分が良くなるだろうか。」
「きっとそうなります。」
「そうかあ。」
女官が菓子を運んで来て、この話はそれまでとなった。




「桔梗様、私たちには身に覚えのないことでございます。」
その頃、琴子の御殿の一角では桔梗が主な女官を集めて高価な香を直樹の元へ勝手に運んだ者を探そうとしていた。
「恐れながら、東宮妃様が東宮様のために香を調合することなど、存じませぬ。」
「そうね…。」
桔梗は誰にも言っていなかった。が、それでもあそこまで琴子が苦しんでいると知って何もしないわけにいかない。
「私もそなたたちがそのようなことをするとは信じられませぬ。だが他に…。」
「桔梗様、信じてくださいませ。」
女官たちが悲痛な面持ちで桔梗に懇願する。

「何をしているのです。」
そこへ琴子が突然やって来た。
「東宮妃様。」
慌てて桔梗を含めた女官達が居住まいをただし、頭を下げる。
「桔梗、何をしているのです?」
「そ、それは…誰が香を東宮様に差し上げたかを…。」
桔梗の言葉を聞き、やつれた顔の琴子が溜息をついた。
「そのような真似をしてはいけないわ。」
「しかし、東宮妃様。」
「皆の者、下がるように。桔梗は私と共に。」
女官たちはそれぞれ持ち場へと戻って行った。

琴子は桔梗を連れ居間に戻った。
「桔梗、犯人捜しなどしてはいけないわ。」
二人きりになって、琴子が桔梗を咎めた。
「ですが、姫様。このままでは姫様は直樹様に誤解されたままです。」
「それは私が招いたこと。女官達に関係のないことでしょう。」
「ですけれど、誰かがやったことは間違いありませぬ。」
「桔梗。」
懸命な桔梗を、琴子は悲しそうな顔で見つめた。
「お前まで、宮中の悪い部分に染まってしまったの?」
「悪い部分と仰いますと?」
「…宮中は様々な思惑が渦巻くところ。それはよい思惑も悪い思惑も。お前は悪い思惑へ染まりかけているわ。」
琴子も宮中の恐ろしさは薄々気づいている。人を隙あらば陥れようとするところなどが最たるものである。それを桔梗がしようとしているのではと思うといても立ってもいられなかった。
「お願いよ、桔梗。お前までそのようなものに染まらないで。」
「姫様…。」
そこまで言われると、桔梗も黙るしかなかった。



その頃、直樹はぼんやりと池を眺めていた。隣では鴨狩が弁明を続けている。
「東宮妃様、いえ、琴子様がそのようなことをされると本気でお思いなのですか。」
「…。」
直樹は池に目をむけたまま、話を聞いているか分からないが、鴨狩は続ける。
「直樹様、琴子様がそのようなことをされる方ではないと一番ご存知でしょう。」
「ならば、すぐに否定すればいいこと。」
池に浮かぶ蓮の葉を見つめたまま、直樹が言った。
「否定する間も与えなかったのは…。」
「以前の琴子ならば、あのような言い方はしなかった。」
「それは最近、その…欅宮様の言動によって。」
「そのようなものは右から左へと聞き流せばいいだけのことだろう。」
行儀悪く直樹が、足元に落ちていた石を池へ放り投げた。蓮に乗っていたカエルがそれに驚き水の中へ飛び込んだ。
「それくらい身につけてもらわねば困る。」
「それは難しいことですよ、直樹様。」
鴨狩が無理だとばかりに頭を振った。
「琴子様は最近宮中に入られたばかりです。それに元のご性格が。」
「そうしないと、いつまで経っても元の東宮妃との距離は広がるばかりだぞ。」
まさか直樹の口から前の東宮妃のことが出ると思っていなかった鴨狩は驚いた。
「前の東宮妃様とご自分を比較されているのはそれこそ、欅宮様の影響です。」
「そもそも、前の東宮妃は最初から宮中に入るための育てられ方をしたんだ。ここで生き残る術だって身に付いている。母上もそうだ。だが琴子は違う。あいつは暮らしに苦労していたし宮中に入る予定もなかった。生まれついての妃になるべき者とは全然違うのだから…。」
「直樹様!」
鴨狩に話を途中で遮られ、直樹はあからさまに機嫌の悪い顔を動かした。が、そこに鴨狩の姿はなかった。
「琴子…。」
琴子が桔梗一人を連れ、池に散歩に出て来ていた。直樹の話を聞いていたことは明白であった。
「と、東宮妃様…今のは…。」
横へどいていた鴨狩が、あたふたと話そうとする。が言葉がうまく出てこず、直樹を見た。
「…戻りましょう、桔梗。」
琴子は直樹に一言も発さず、来た道を戻り始めた。桔梗が「は、はい」と後ろを付いていった。

「直樹様、急いで後を追いかけましょう!」
鴨狩が直樹の背中を押そうとするかのように身を乗り出した。
「何のために?」
「何のためって、今のお話を最後まで琴子様になさらないと!」
長年仕えてきた鴨狩には、直樹が何を話そうとしていたか分かっていた。それは決して琴子を落胆させないことであることを。
「さあ、早く!」
「…別に必要ないだろう。」
直樹はぷいとまた池を向いてしまった。
「必要ないなんてことは!」
「何を話したとしても、今の琴子は聞く耳を持つまい。」
「そんなことはありませんよ。」
「無理。時間の無駄。」
そして直樹は「しばし一人にしろ」と鴨狩に命じた。鴨狩は直樹の真意を琴子に伝えようかと思ったが、きっと直樹本人が言わねば琴子は信じないと思い、言われるがまま下がった。



自分の御殿へまっすぐ戻らず、琴子は庭園の東屋へ向かった。
「今の直樹様のお話、聞いたでしょう?」
琴子はうつろな顔で言った。
「…結局、育ちの問題ということよね。」
「そのようなことは…。」
と話を続けようとした桔梗であったが、残念ながらこちらは直樹と知り合ってまだ短い。鴨狩のように直樹の真意を知ることは難しく、琴子を元気づける言葉が見つからなかった。ただ、直樹が琴子の育ちを馬鹿にしているとは信じたくはなかった。
「…そのようなことを考えられる直樹様ではありませんよ。」
「いいえ。だから前の東宮妃様のようにはなれないと仰ったのよ。あんなにはっきりと。」
琴子は唇をかみしめた。
「だから私には学問など無用と…私は東宮妃の地位になどいてはいけないのよ。」
「それならばどうして姫様をお迎えになったのですか。」
「…分からない。」
愛情があるからこそ迎えただろうに、どうしてこのように辛い目に遭わねばならないのかと桔梗は琴子がただただ、哀れであった。





関連記事

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

はじめまして

イタキスはリアルタイム世代ですが、二次小説にはまるのは初めてです!最近こちらのサイトを知り、すっかり二次小説の面白さに目覚めてしまいました♪特に神戸シリーズは原作とは異なる設定がとても魅力的で大好きです。二人暮らしの様子や、モテる琴子にモヤモヤしっぱなしの入江くん、ちょっと出来る看護師に成長した琴子の姿に読んでいてワクワクが止まりません!また新作を書いて頂けたら嬉しいなあと思っています。他にもたくさんお話があるので、ゆっくり楽しみたいと思います。暑い夏、ご自愛ください。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP