日々草子 ドラマ狂騒曲
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

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ドラマ狂騒曲




入江くんがマンガに目覚めた。めでたい!
最近は二人並んで寝る前にマンガを読むことが増えた。ああ、こんな日が来るなんて。
おかげで私も堂々とマンガを買えるようになったわ。日々の仕事の疲れを癒すためにはマンガは欠かせないアイテムだもの。

でも、入江くんが全てのマンガを受け入れてくれたかというとそうではないのよね。
入江くんが読むのは『こち亀』オンリー。私はというと、少女マンガが多いのよね。
大抵のマンガは入江くんの前で読んでも平気になったんだけれど、あるジャンルだけは別。
それは…医療系のマンガ。
最近私が買っているのは、病院を舞台にした、医者と看護師のラブストーリー。え?自分たちのことじゃないかって?いやん、そんなことないって!
これが結構面白くてね…まあ医者がイケメンで口が悪くて…あ、ストーリーを語っている場合じゃなかったわね。
なぜこのマンガを入江くんの前で読めないかって?それはね、遡ること一カ月前よ。

あの夜、私はお義母さんと一緒にドラマを見ていたの。病院もののドラマね。恋愛ドラマじゃないけれど人気のある井家メンサ主演で視聴率が高いのよね。
「琴子ちゃん、最近メンサくんは演技が上手になってきたと思わない?」
「そうですね!前はひどかったですもんねえ!」
「セリフを言わなければいい男って言われていたくらいだもの。ああ、今回も白衣が似合っているわあ!」
なあんて会話を交わしていたところに、入江くんが珍しく早く帰ってきたのよ。

「ったく、くだらねえもんを二人して。」
開口一番、入江くんは辛辣だったわ。うん、これはいいの。慣れっこだから。
でもね、舞台が病院、そして入江くんも今は医者として働いている。もう見る目がシビアでねえ。
入江くんが何を言ったかというと、ここでは言えないようなことだったわ。ツッコミなんて簡単なものじゃなかった。
どれくらいのことを言ったかというと…そうねえ、井家メンサのファンに入江くんが闇討ちされても、誰も入江くんに同情しないっていうレベルだったわ。
「お兄ちゃん、自分の部屋へ行ってなさい!!」
我慢できなくて、とうとうお義母さんに追い出されたくらいだもの。悪いけど、これにはお義母さんが正しいと思うの。


…というわけで、医療がテーマのマンガなんて隣で読んだら、もうどれだけ邪魔…じゃない、突っ込まれるか。想像しただけで…ブルルッ…震えちゃう!
まったくフィクションなんだからそれを楽しんだ方が得だっていうのに。そりゃあ、私だって看護師ですから、ドラマやマンガが現実と違うところが多いことは気づくわよ。でもそれはそれと割り切らないと楽しめないじゃないの。

あ、突っ込むのが悪いと言っているわけじゃないのよ?私だって突っ込むときは突っ込むわ。
この間、2時間ドラマの再放送をたまたま見ていた時よ。随分長い年月続いている葬儀社のシリーズのパート1だったわ。ヒロインがそこで言ってたのよ。
『あたしたち、結婚できるのかしら?』
それ聞いて、私テレビに向かって言ったもの。「あんたたち、20年後の今も結婚できなくて、そのセリフ言ってるからね」ってね。
「だって運動会だもの~スタミナハンディカム~♪」って踊っていた内藤さんもさ、自分が今見ているドラマが十津川なのか科捜研なのか捜査一課長なのか分からなくなってくるくらい出ているし…って、またドラマの評論を始めるところだったわ。

話を元に戻して…ええと、ああ、入江くんがドラマに容赦ないって話だったわね。そうなのよね。マンガを読み始めてもそこは変わらなかったのかしらねえ。

いや、入江くんはまだビギナーなんだわ!
そう、マンガを読んでいる人なら誰でも一度は通る道。現実とフィクションが区別できてないってやつ。
ほら、私なんて子供のころからマンガ読んでいるじゃない?読み始めた頃はこの作品に出てくるこのキャラがカッコいいとか騒いでいたわけよ。でもね、年齢を重ねるにつれて、マンガはマンガだってことを理解するのよね。
人はマンガに出てくるようなイケメンと結ばれないって。あ、私は結ばれたけど。
でも入江くんは大人になった今、社会人になった今、マンガデビューを果たした。だから今ちょっと混乱しているのかもしれない。

入江くん、この前こち亀を読みながら呟いたのよね。
「…親父の会社にあるおもちゃも売れるのかな?」
って!!私、耳を疑ったわ!だって冗談な感じじゃなかったもの、あの言い方、本気だった!
ええとね、確かこの辺りの巻…私はこち亀の並ぶ本棚を探す。しかし短期間でどんどん増えてるなあ、こち亀。どれだったかな、ええと…。
…。
…。
…。

はっ!探しているうちに、また1冊読み終えてしまったわ!
どこだっけ、ええと…あ、これこれ。
両さんが昔のおもちゃを鑑定する場面が出てくるのよ。ここを読んだんだわ、入江くん。
しかし、あの時は本気モード…ちょっと待ったあ!!

私はドドドと寝室へ向かって、クローゼットを開けた。ええと、確かこの辺りに隠しておいたはずなんだけど、まさか入江くんが持って行っちゃったとか…あったあ!!
何を探していたかって?これよ、これ、ジャーン!黒の全身タイツ!
懐かしいなあ、教育実習の時に学校に忍びこむときに着たのよね。それで通報されて交番に入江くんが迎えに来てくれて…ああ、夫婦だなあって感動したんだった。
…いやいや入江くんとの思い出に耽るためにこの全身タイツを探し出したんじゃないっていうの!
何でこれを探したかというと、入江くんが着た形跡があるんじゃないかって。これを着てもしかしたらパンダイへ忍び込んだのではと思ったのよね。
でも、クローゼットの奥、おせんべいの空き箱に詰めた状態のままだったわ。よかった、私以外誰も触っていない証拠ね。
ちょっと待って。よく考えたらこれって私のサイズに合わせて買ったのよね。だから入江くんが入るわけないわ。
いやいや、これ、動きやすいのが特徴でポリウレタン多めのストレッチ素材でできているから入江くんでも着られないことはないか。でも丈がつんつるてんになっちゃうわよね。
手首と足首まですっぽり覆われないと闇にまぎれることはできないから、やっぱり入江くんは着てないってことで、うん。
また何かに役立つときが来るかもしれないから、ちゃんとしまっておきましょうね。これでよし、と。


さて、入江くんがパンダイへ忍び込む可能性がこれで消えたわけではない。今まさに画策中かもしれない。
うーむ、お義父さんの耳に入れておいた方がいいかしら?「お義父さん、入江くんがパンダイへ忍び込んで昔のおもちゃを売り払う気満々なんですよ」って?
やだあ!そんなこと口が裂けても言えないわ!

でもなあ、入江くんが本当にそれやっちゃったら…いや、実話があるのよ。

あれは私がまだいたいけな小学生だった頃。当時人気があった少女マンガがあったのよね。そこに出てくる男の子がまたかっこよくて。みんな夢中になって読んでたわ。
その男の子と似た子がうちのクラスにいたのよ。名前は確か…そうそう、広瀬くん。
その広瀬くんが男の子たちと喋っていた休み時間、私たち女子も近くでマンガの話題で盛り上がっていたの。
そしたら広瀬くんがトイレに行って来るって教室を出ようとしたのよね。その時、私たちの仲間の一人、ミキちゃんが「待ったあ!!」って叫んだわけよ。
どうしたんだろうとクラス中がミキちゃんに注目したら、ミキちゃん言ったわけ。
「広瀬くんはトイレに行っちゃだめ!!」
って。
「はあ!?お前、何を言ってるの?」
広瀬くんはアホなことをという顔で教室を出ようとしたわ。でもミキちゃんが通せんぼしちゃったわけ。
「沢井くんはトイレになんて行かないの!だから広瀬くんも行かないの!」
沢井くんっていうのが、マンガに出てくるカッコいい男の子。ミキちゃんはマンガの沢井くんと現実の広瀬くんがごっちゃになっちゃったわけよ。
「ミキちゃん、沢井くんじゃないよ、広瀬くんだよ!」
「ミキちゃん、落ち着いて!」
私たちはミキちゃんをなだめたわ。でも全然だめ。ミキちゃん、仁王立ち。
「おい、広瀬をトイレに行かせてやってくれ。」
どんどん顔色が変わっていく広瀬くんの側で男子もミキちゃんに懇願。でもだめ。
「ミキちゃん、トイレに行かせてあげようよ。」
「頼むよ。」
「だめよ!!トイレになんて行ったら…ヒーローじゃないもの!!」
広瀬くんの顔色が真っ青になってきたわ。というかもう立っているのもやっと。
私たちは男子と手を組んで、ミキちゃんを押さえにかかった。
「広瀬!今のうちにトイレに行くんだ!」
「ここは私たちに任せて!」
「俺たちの屍を越えてトイレへ飛び込め、広瀬!!」
広瀬くんがギリギリでトイレに飛び込んでいった姿は今も目に浮かぶわね…。


と、話が長くなったけど、この時のミキちゃんと入江くんが同じだと思うのよね。
現実と虚構が混ぜ合った状態の人は何をするか分からないわ、うん。
今はドラマに突っ込む程度で済んでいるけれど、父親の会社に忍びこんでお縄になって…ああ、想像もしたくない!!

あれ?何でこんな心配をする羽目になったんだっけ?何の話をしてたんだっけ、私?
ああ、そうそう。入江くんが医療ドラマに突っ込むって話だったわね。
だからドラマにも突っ込みを入れずにいられないのだから、となりで医療マンガを読んでいる私にも突っ込み入れまくるだろうって。今すごくいいストーリーなのよね。そこに入江くんがああだ、こうだって突っ込み入れたら興ざめだわ!

入江くん、私とお義母さんだけじゃないもの。この間なんて入院患者さんにもそれをしようとしたからね。
その患者さん、井家メンサの大ファンでドラマもベッドで見ていて。その話題をすると生き生きするから私も一緒に盛り上がろうとしたら、また何か言いそうになったの。
私、慌てて話題を変えたわよ。メンサくん、弁護士ドラマのシリーズ第2弾に出るそうですよって!
医者なんだからその辺の空気は読んでいただきたいわ。

「おい。」
「ひぇっ!!」
「何をやってるんだ、そんなところで。」
気づくと入江くんがまたもや背後にいたわけで…。


************
珍しく早めに上がれたら、途中で渡辺に会った。ちょうどいい、琴子も会いたいんじゃないかと家に誘った。
家に着くと誰もいなかった。琴子は先に帰っているはずなんだが。
「誰もいないんじゃ悪いからまた今度にするよ?」
「いや、琴子はいるはずなんだ。」
とりあえずリビングへ渡辺を通して、俺は二階へ上がった。すると寝室の部屋に明かりがついているのを見つけた。やっぱりいるんじゃん。
「おい。」
「ひぇっ!!」
声をかけたら、琴子は飛び上がらんばかりに驚いた。
「ど、どうしたの?」
「それはこっちのセリフだ。お前しかいないの?」
「え?ああ、ええとお義母さんはお義父さんと仕事の食事会で…裕樹くんは遅くなるって。お父さんはいつも通りだし。」
なるほど、そういうことか。
俺は渡辺を連れてきていることを話した。琴子はやはり「久しぶり!」と喜んでくれた。
ということで夕食を取りに三人で外に出ることにした。


「あ、井家メンサだ。」
店に行く途中で、渡辺がポスターを見つけて声を上げた。
「最近、人気すごいよね。」
「患者さんたちにもファンが多いのよ。」
琴子のセリフに俺はまた思い出したくないことを思い出した。
あれはいつだったか。患者と琴子がこの棒読み大根俳優で盛り上がっていた時だ。俺もちょっと参加してやろうと思ったら、いきなり琴子がこいつの次回作の話題にしやがった。琴子がこいつのスケジュールを把握するくらいのファンだってことに軽いショックを受けた。
「お前、随分御執心だもんな。」
食事の席について俺はついそんなことを口にしてしまった。
「え?琴子ちゃん、井家メンサファン?」
「ううん、ファンっていうほどじゃないけど?」
琴子があっさりと否定した。あれ?本心がばれて慌てているわけでもなさそうだ。おかしいな。
「違うの?」
俺は平静を装って琴子の本心を探る。
「ま、カッコいいなあと思うけれどそれくらい。彼の全てを追いかけるってほどじゃないよ?」
「だってこの間、あいつのスケジュールを把握してたじゃないか。」
「スケジュールを?私が?」
「次のドラマが弁護士だどうとって。」
「…ああ、あれ!」
琴子の表情が変わった。視線を俺から逸らす。明らかに挙動不審だ。やっぱりそうじゃねえか。
「いや、別にファンでも構わないけれど…。」
俺は本心に嘘をつく。俺以外の男を追いかけるのは正直面白くないが、それがばれるのはもっと嫌だ。
「それは入江くんのせいだから!」
琴子が突然そんなことを口にした。はあ?俺のせい?
「どういうことだよ?」
「あの時は入江くんが…。」
琴子は口を尖らせながら話し始めた。俺がドラマに突っ込んだこと。それを患者の前でもやろうとしたのではと思って、話題を変えたこと。

「…それはお前が悪いな、うん。」
静かにパスタを食っていた渡辺が琴子に味方した。
「琴子ちゃんが正しいよ。患者さんの前でトラブルになるのを避けたってわけだ。お前の立場と患者さんの気持ちを両方素早く尊重した琴子ちゃんの行動は間違っていない。」
「渡辺さーん!」
手を組んで目を輝かせて渡辺を見つめる琴子。ますます面白くない。
「こいつ、どんな突っ込みしたわけ?」
渡辺が琴子に聞く。
「ええと…。」
言いよどむ琴子。
「…ええと、それを聞いたら世界中から医者、いや医療関係の仕事に就こうって人が全滅するくらいの、下手したら廃人になるんじゃないかっていうくらいのことを言ってた。」
「うわあ!!なんだ、それ!!」
渡辺が冷たい目を俺に向ける。
「別にそこまで酷いことを言ったわけじゃ…俺はあのドラマは…。」
「いやあ、聞きたくない!!聞かせないでくれ!俺はまだ廃人になりたくない!!」
耳をふさぎ喚く渡辺。おい、俺を何だと。

「そもそも、お前だって弁護士とかが出てくるドラマを見ていたら事実と違うことが気にならないか?」
お前だって弁護士だ。絶対おかしい点に気付くだろう。
「そりゃ、あ、そこが違うなとかここはオーバーにやってるなって思うよ?」
耳から手を離した渡辺が言う。
「でも、ドラマだしフィクションだし。演出上過剰になっているんだなって分かるから。」
「そうでしょ、そうでしょ。」
琴子が頷く。
「リアルなものが見たければ、それこそ病院密着24時間みたいなドキュメントを選べばいいわけでしょう?」
「琴子ちゃんの言うとおりだね。」
この二人の前では俺は完全に悪者らしい。ったく、ドラマごときで何でこんな扱いを受けなければいけないんだ。

「で、お前は寝室で何を漁っていたんだ?」
立場の悪くなった俺は話題を変えた。
「え?」
琴子がまた挙動不審に陥る。
「何だよ、何か探していた感じだけど。」
「そ、それは…。」
俺の追及に観念したのか、琴子がポツリポツリと話を始めた。

「ぶっ!!!」
渡辺が噴き出す。俺はポカンと口が開いた。
「お、俺がお前の全身タイツを借りて親父の会社に?」
「だから…入江くんは…マンガデビューしたばかりだし…その…。」
両手の人差し指をツンツンさせながら、琴子は話を続ける。小学生の頃の思い出話までしやがった。
「ミキちゃんと入江が一緒になったわけだ。琴子ちゃんも心配症だね。」
いや渡辺、そういう問題じゃないだろ。そもそもミキというこいつの同級生も変だし、琴子の行動も変だろ。
「琴子が全身タイツを持っていたことには何も思わないのかよ?」
「あ、琴子ちゃんはそういうの持っているなって納得できるんだよね。でもさ、琴子ちゃん。やっぱり入江にはサイズが小さいと思うよ?」
「そうなのよね。でも切羽詰まった時は着ちゃうかなって…。」
「うーん、かもしれないね。」
「その時は渡辺さん、入江くんの弁護士になってもらえる?」
「全身タイツで父親の会社に侵入した男の弁護…クククッ。」
全身タイツの俺を想像したのだろう、渡辺が笑い出す。
「いいよ。ほかならぬ琴子ちゃんの依頼だから、無料で!」
「うわあ!よかったね、入江くん!これで安心してパンダイに全身タイツで…。」
「行くかよ!妄想と現実をごっちゃ、いや妄想で生きているのはお前だ!!」
俺が拳を琴子の頭に振り落としたのは言うまでもない。


「しかし、琴子ちゃんも変わってないねえ。社会人になっても面白いや。」
琴子がトイレに立った間、渡辺が笑った。
「あいつは成長しねえよ。」
「お前はこち亀を読むところまで変わったのにな。」
ニヤニヤしながら渡辺が俺を見てくる。
「よかったじゃん、琴子ちゃんが井家メンサファンじゃなくて。」
「…は?」
俺は渡辺を見返した。
「気になってたんだろ?琴子ちゃんが自分じゃない男を追いかけるんじゃないかって。」
「…んな馬鹿なこと気にしてるか。」
ったく、この男は。フワフワと笑顔を向けてくるくせにその心は俺を見透かしてやがる。
「テレビの中の人間に琴子が本気になるわけないじゃん。」
「でも自分以外の男にキャーキャー悲鳴上げるの、嫌なくせに。」
「…お前、弁護士に向いている性格だな。」
「お褒めにあずかり光栄です。」
ペコリと渡辺がわざとらしく頭を下げた時、琴子が戻って来た。

「なあに?今悲鳴とか、弁護士とか話してなかった?」
「え?それは…。」
「あ、琴子ちゃん。井家メンサの弁護士役の指導って本物の弁護士なんだって。」
ったく、渡辺の奴は本当に気がきくんだかきかないんだか。
「ええ!そうなの?」
「うん、噂では結構やり手のイケメン弁護士らしいよ。」
「へえ、誰なのかなあ?」
「だったら」と琴子が続ける。
「医者役は入江くんにいつか指導役が来ないかなあ?」
「やだよ、俺。」
「そう?入江くんが指導役になったら…スタッフもあのお医者さん、素敵って騒いで…それでメンサくんのマネージャーが入江くんをスカウトして、入江くんはデビューして大人気になって、そしたら私と結婚していることは伏せましょうってことになって…。」
妄想を語るうちに、琴子の目に涙が浮かぶ。
「…そんなの、やだ。」
「だから!お前は妄想と現実を一緒にするなって言ってるだろうが!!」
「…うん。」
ごしごしと目をこする琴子。ったく、お前の方がおかしいよ。
「琴子ちゃんは、入江が大好きなんだねえ。」
コクリと琴子が頷くと、渡辺が俺に口パクで「よかったね」って言って来た。
「…そんなの知ってるし。」
俺が琴子にデザートのケーキをやると、琴子はとたんに涙を引っ込めた。
ったく、現金な奴め!


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