日々草子 『盤上の向日葵』

『盤上の向日葵』

で、風邪で倒れる前に読み終えた本の感想をば…。




『盤上の向日葵』(裕月柚子)

盤上の向日葵

本屋大賞逃しちゃいましたね。って、ノミネートされていることを知ったのは読み終えた後だったんだけど。

埼玉県内で発見された白骨遺体。その手には名人の作といわれる将棋の駒が抱かれていた。
日本に数組しかないというその駒の持ち主を探せば、遺体の身元を明らかにできるのでは…。
それを調べるのは、奨励会出身、プロ棋士の夢をあきらめた若手刑事と、将棋のことは何も知らないベテラン刑事。
駒の持ち主を辿っていく二人が行き着いたのは、タイトル戦が行われているホテルだった…。

という、将棋をテーマにしたミステリーです。

作者が『砂の器』をモチーフにしたとのことなので、そちらのストーリーを知っているのであれば犯人はすぐに分かります。
『砂の器』だとこうなって、こうなるストーリーかなあと思っていたら、そこは捻りがあります。
「え!!」って感じの捻りでした。
子供は親を選べないという典型的な例です。でもそんな親でも捨てることができなかった子供が哀れすぎる。
犯人の社会的地位ならば、堂々と「自分はこういう過去を背負って生きてきましたあ!」って言っちゃえば世間の同情を得られただろうけれど、最終的に明らかになった事実は…手をかけたくなるのも無理はない。
そういう点では『砂の器』の犯人よりずっと同情できます。
『砂の器』は被害者も余計なことせずそっとしておけば殺されずにすんだのに~という感じが強いんですよね。

作者は藤井ブームが起きる前にこの話の連載を始めたことにびっくり。出版されたタイミングがこれまたよかったんだなと思います。

将棋について分からなくても全然ついていけます。
駒の動かし方しか知らない私でもOKでした。
藤井くんの昼食は興味あるのよねという方でも、羽生さん、国民栄誉賞取ったねという方でも,十分楽しめます。
なぜなら、将棋を知らない読者が抱く疑問をベテラン刑事が若手刑事に質問してくれるから(笑)
「王と玉はどう違うんだ?」「駒なんてどれも一緒では?」
これくらいの質問はまだしも、タイトル戦が放送されているテレビを見て、
「あの部屋に俺たちが入ったらだめなのか?」
いやいや、それはダメに決まっているでしょう。というか、駒の動かし方しかしらない私でもそれはダメだって分かる(笑)

ただ、対局のラストについては、将棋のルールを知っておいた方が知らないよりはずっと衝撃を受けることができます。
「え!それで!?」って私も結構な衝撃でした。

プロ棋士をあきらめた若手刑事は辛い思いを抱きながら駒の持ち主を辿っていくけれど、結果としてそれを乗り越えることはないんですよね。まあそこが消化不良といえば消化不良なのだけれど読者への将棋の説明担当だと思えばそこは深く追求するところではないのか。

そのうち実写化されそうだな~と思いました。
小栗くんとか藤原くんあたりならギラギラした感じが出せるかも。

『陸王』以来、続きが気になってしょうがないという小説でした。

…しかし、プライベートなことを二つ記事にして思ったが、私はこういう文章が本当に下手すぎて涙が出てくる。

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