日々草子 マンガ狂騒曲
FC2ブログ

プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

現在の御訪問者

現在の閲覧者数:

御訪問ありがとうございます

このブログについてのお願い

当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

カテゴリー+月別アーカイブ

 

最新記事

マンガ狂騒曲






「…だから、息抜きも必要なわけよ。いつも看護学の本ばかり読んでいても頭が働かないというか。」
「元々働いていない頭のくせによく言うよ。」
「…そんなことないもん。」
受話器の向こうからは、一生懸命自己弁護する声が聞こえてくる。もっとも、この声を聞くのが俺の息抜きになっているわけだが。
「入江くんも、医学書以外の本もたまには読むのはどう?」
「マンガ9割、勉強本1割…いやそんなにいかないか。そんな奴に言われたくないね。」
「ひどーい。」
そんなたわいのないおしゃべりを終えた後は、寂しさがことのほかしみる。20代も半ばになって今更一人暮らしが寂しいなんて言うと笑われそうだが、ある意味「大家族」で暮らして来た身としてはそれを認めるしかない。

翌日、勤務を終えた俺は書店にいた。大学の書籍部は閉まっている時間だが街の店舗は十分、開いていた。
「あった。」
探していた医学書を俺は手に取った。できればすぐに読みたかったので病院の事務を通しての注文も待てなかった。
それを手にレジへ向かおうとした俺の足が止まった。
「マンガ…か。」
レジへ向かう途中には、新刊本コーナーがあった。その中にマンガーコーナーもあった。
「あった!よかった!」
女子高生だろうか。少女マンガと思しき本を嬉しそうに胸に抱えてレジへ行く。まったく、琴子も同じようなことをしているんだろうな。
「どんなのがあるんだ?」
そもそも俺はマンガというものを読んだことがない。裕樹は時折、読んでいたようだが俺は興味を示さなかった。というか、マンガ以外にもさして興味を持つものがない、はっきり言ってつまらない人間だったと思う。
「何か色々あるんだな。」
男と女がありえないポーズを取っているもの(こんなポーズは関節の構造上ありえない)、やたら手足が長いもの(おいおい、少しデッサンの練習して来い)、歴史をテーマにしたもの(この時代、こんな恰好ありか?)…と、表紙にいちいち突っ込みを入れている自分に気付きつい笑った。まいった、俺はだからマンガには向いていないんだ。
と、俺の目に一冊のマンガが飛び込んできた。
「何だ、この長いタイトルは?」
声に出さずにそれを読みあげてみた。すげえな、よくこんな長いタイトルにしたもんだ。更に俺は驚いて目を丸くした。
「…100!?」
そのマンガは何と100巻を超えていた。100巻!?おいおい、三桁の巻数なんてありか?
「…どんな内容なんだ?」
表紙からは俺の興味をそそるものは何一つなかったが、100巻を超えるマンガの内容が気になった俺は、医学書と共にそれをレジへと持って行った――。



気づけば俺の部屋に、そのマンガタイトルが10冊近く並ぶことになった。一話完結の短編、どの巻から読んでも分かるということで、つい手に取ってしまった。新刊も2カ月に1度出る。
中身はくだらない話だし、ありえないことばかりなのだが、この世界が癒しになる。難しい手術を長時間して疲れた後に読むと最高だ。そんな時は書店へ行ってつい過去のものも買ってしまった。
さらにこれ、意外と勉強になることも多い。おもちゃがこんな価値が出るのか?つい親父の会社へ忍び込んで大昔のおもちゃをもらってこようかなんて邪な考えが浮かんだこともあったくらいだ。
「マンガはね、結構勉強になるのよ!」と言っていた琴子に「それはマンガしか読まない奴の言い訳だ」と言い返した俺が悪かったと、今は思う。が、そう言った手前、絶対琴子にはこの新しい楽しみを打ち明けられない。いつか琴子が神戸へ来る時が来たら、その時は悲しいが処分せねば…。



「入江くん、洋服は片付けたよ!」
「ああ、サンキュ。」
ところがどっこい。俺が東京に戻ることになった。神戸から戻った俺の荷物を琴子がいそいそと片付けている。
「本を並べるの、手伝うね!」
「少し休んでいていいぞ?」
「ううん、平気。こういうのも妻の役目だもの。」
俺が戻ったことが本当に嬉しい琴子は終始ニコニコとしている。可愛い奴め。
「お前だって仕事で疲れているだろ。」
「平気、平気。それは入江くんも一緒でしょ?」
ああ、お前は本当にいい女房だ。つい俺は琴子のおでこにチュッとキスをした。
「んふっ」と照れたように笑うと、琴子は段ボールから本を取り出して俺に渡してくれる。

「本の段ボールはあとこれだけかな?」
琴子の視線の先の段ボールを見て俺はギョッとなった。
「これ、他と違うの?『重要』ってここに書いてあるけど?」
その段ボールにしまわれているのは…合計20冊になったあのマンガだ。そうだ、俺は結局処分できずに東京へ運んで来てしまった。他の本の段ボール特別するため『重要』と書いておいたんだ。
「開けてもいい?」
琴子がキリキリとカッターナイフの刃を出し始める。
「あ、いや!それは…それは俺がやるから!」
「え?」
思わず刃先を俺に向ける琴子。俺はそれを両手で制しながら言った。
「あ、それは…向こうで診察した患者さんのデータが入っているんだ。」
「患者さんのデータ?」
「そう。治験とか色々なデータ。今後の論文作成や勉強に役立てるために許可を取って持ってきたから、俺以外の目に触れるのはちょっと、な。」
「ああ、それはそうね。」
あっさりと琴子は頷いた。そしてまたキリキリと音を立ててカッターの刃をしまう。
「あれでしょ?個人情報ってやつ。」
「そう、そうなんだ。」
「それは確かに私が見るわけにいかないわね。分かった、これは入江くんにお任せするね。」
ああ、何て素直なんだろう。そこがお前のいいところだぜ、琴子。俺の言葉を何一つ疑わないんだから。
「じゃ、下でコーヒーでも淹れようかな?」
「ああ、頼む。」
「入江くんも適当に休憩に来てね。」
「サンキュ。」
トントンと琴子が階段を下りていく音を聞いた後、俺は段ボールをそっと開けた。ファイル類の下にはあのマンガが並んでいた。

その日の夜、俺は琴子が寝静まったのを確認すると寝室を抜け出した。そして書斎のパソコンでそれらしいタイトルを考え、医学書めいた表紙を20枚作り上げた。それらをマンガの表紙と取り換え、本棚の奥に並べた。よし、これで一見マンガとは分からないだろう。
…何で俺、こんな隠れキリシタンみたいなことをやっているんだろうか?



「入江くん、どこへ行くの?」
外に出る仕度をしている俺を見つけ、琴子が声をかけて来た。
「本屋。」
と正直に答えた俺は、「しまった」と思った。
今日はあのマンガの新刊の発売日。珍しく当日に俺は休みで、久しぶりに発売当日に読めると胸を躍らせていた。
「あたしも行く!」
琴子がいそいそと身支度を始める。
「お前、本屋に用があるの?」
「うん、今日は別ぺの発売日だから。」
「別ぺ?」
「別冊ペンペン草!あ、言われる前に言っておくけど、入江くんが馬鹿にしているマンガだよーだ。」
「入江くんが馬鹿にしている」、そのセリフが俺の胸をグサッと突いた。自分が口にしたとはいえ…悔やまれる!
「それって高校生が対象じゃねえの?」
俺たちの会話に、通りかかった裕樹が加わった。
「いいじゃない。面白いものは年齢不問なの!あれ?でも裕樹くん、何で別ぺが高校生対象って…ははあん!」
琴子がからかう目を裕樹に向けた。
「さては好美ちゃんが読んでいるんでしょ?それを裕樹くんは可愛いなあって思って眺めていると!」
「ば、ばか!そんなこと思わないよ!」
図星らしい、裕樹の顔が真っ赤だ。
「マンガばっかり読んで更に頭が悪くなるぞって思ってるだけさ。お前みたいになるぞって今度言ってやる!」
そう言い残してバタバタと自分の部屋へ走って行った裕樹に、俺は心の中で声をかけた。
―― そんなこと絶対言わない方がいいぞ。いつか自分の首を絞めることになるぞ。


「あったあ!」
書店へ到着すると琴子が真っ先に少女マンガコーナーへ駆け寄った。平積みになっているその雑誌を琴子が嬉しそうに取り上げた。
「嬉しい!ナオキンが巻頭カラーだ。あ、全員プレゼントもナオキンのポーチだって!応募しようっと!」
「年齢ごまかしてか?」
「…ちょっとだけ、サバを読むだけよ。」
頬を膨らませ俺を見上げる琴子。
「もう、こっちはいいから入江くんは自分の本を探してくればいいじゃない!」
琴子は俺を売り場から追い出した。よし、チャンスだ!琴子がいない隙に俺はあのマンガをレジへ持って行けば…。

「入江くん、医学書コーナーじゃないの?」
思ったより早く、琴子が俺の居場所を見つけてしまった。
「え?あ、ここは医学書は扱っていないから。」
この書店は規模がそんなに大きくないから医学書は注文するしかない。
「じゃあ、何の本?まさか…マンガとか?」
俺も自分の仲間になるのかと、怪しい笑みを浮かべて俺を見つめる琴子。
「まさか!」
ああ、また否定してしまった。が、ここでマンガだと打ち明けたら何を言われるか分からないから仕方がない。
「お前と一緒にするなよ。」
ああ、口が。口が勝手に動く。
「なあんだ。」
つまらなさそうにする琴子。

「…変わった趣味なんだね、入江くん。」
俺が下げている袋を見ながら琴子が首を傾げている。
「『地蔵コレクション』なんて本、売っているんだ。」
「世の中には様々な本があるんだよ。」
俺は何でこんな本を買ってしまったのだろうか。探していた本がなかったと言えばいいだけなのに。が、そうすると何の本を探していたのと琴子が訊いて来るだろう。結局、こうするしかなかったと自分に言い聞かせる。
「季刊…だっけ?」
「…ああ。」
こんな雑誌、世の中にあるんだなと正直琴子と同じ気持ちだ。が、適当に手に取ったらこれだったのだから仕方がない。
「何でお地蔵さまの本を?」
「疲れた時、心が癒されるんだよ。」
「そういうものか。うん、そうかもね。入江くんは頭も体力もいっぱい使うものね。」
ああ、また俺の言葉を疑わない琴子。本当にいい妻を持って俺は幸せだ。
結局、俺はまた発売当日に新刊を買えなかった。

いつか、いつか琴子に打ち明けよう。俺はそう思って過ごしていた。
そんな時、琴子の口から衝撃的な言葉が飛び出したのだ。
「さ、ナオキンを読みましょ。」
雑誌でも読んでいるというのに、琴子はコミックスでも買って来た。ったく、俺なんて雑誌で読まずにいるのに。
「ん?」
コミックスに挟まれていたのはどうやら新刊案内らしい。しばらくそれを見ていた琴子が声を上げた。
「『こち亀』って…まだ続いていたんだ!!」
その名前に、俺の心臓が今にも破裂するかとばかりに動いた。
「ええ!100巻超えているの!へえ、すごい!」
琴子…やっぱりお前は俺にとって最高の妻だ。そう、今お前が口にしたそのタイトルのマンガ、それが俺が集めているものなんだ。
今なら、今なら琴子に分かってもらえる。そうだな、さりげなく「俺も少し持ってるぜ」って言ってみよう。「え?入江くんが?」「ああ、頭使わなくて気分転換になるんだ」「でしょう?あたしが言った通り、マンガは気分転換に持ってこいなのよ!」…うん、うん。いい感じだ。

「俺も…。」
俺はさりげなく琴子に近づいて口を開いた。
「ていうか、こち亀ってありえない設定よね!!」
「…へ?」
俺の口が開かれたまま、固まった。琴子は背後にいる俺に気づかず続ける。
「主人公警察官でしょ?それなのに色々しでかしてもクビにならないし。あ、確か後輩に大金持ちくんがいるのよ。その子も兼業しているのにクビにならないし。絶対おかしいって!」

琴子、それを言ってはおしまいだ。『こち亀』の読者は誰もがそれに気づかず、いや気づいてもそれを楽しんでいるんだ。それを否定したら全て成り立たなくなる!!

俺は琴子との間に、深い、深い溝を感じた。いや違う。俺と琴子の問題じゃない。これは男と女の問題なんだ。
そうだ、女ってやつはこういうところが妙に現実的なんだ。だから面倒なんだ。
それ言ったら少女マンガなんてどうなんだ。お前が読んでいる、そのナオキン?おかしいだろ、少女マンガとは思えないだろ!

そういえば琴子って自分が興味を持たないものに対しては妙に冷静だ。この間、サスペンスを見ていた時だって「何で主人公、電気つけないのかしらね?」「呼び出されて一人のこのこ行く?馬鹿じゃないの?」とブーブー文句を言っていた。
が、自分が気に入っている俳優が出ている時に俺がそれを言うと「それでいいの!サスペンスってそうなの!」と認めないくせに。

「あれ?入江くん、どうしたの?」
ようやく俺の存在に気付いたのか、琴子が俺を見つめた。ああ、その目は今、お前が批判したそのマンガを俺が買っていると微塵も思っていない目だ。
「…いや、別に。」
俺は隠れキリシタン生活を続けることを覚悟して、その場を離れた。


それからどれくらい経っただろうか。
「お兄ちゃん、ちょっといい?」
珍しく裕樹が書斎にやって来た。何処となく落ち着かない様子だ。
なるほど、これは好美ちゃんのことを相談に来たのか。最近、喧嘩したばかりだもんな。
ったく、しょうがないな。が、俺は相談に乗るつもりはなかった。こういうことは自分でとことん考え行動に起こさないと仕方がない。俺だってそうだった。自分で考え、琴子と結婚したものだ。
「あ、こち亀だ。」
その一言に、またもや俺の心臓が跳ね上がった。な、何でそれを?俺は裕樹に気づかれぬよう、本棚に目をやった。
…しまった!!さっき医学書を取った時に奥のマンガが丸見えになっている。あれから冊数は増え、買う度に俺は表紙をせっせとパソコンで作って隠していた。が、最近買ったものはまだ表紙をつけかえていなかった!

まずい、非常にまずい!このままだと裕樹は「お兄ちゃん、こち亀読むんだね」と明日の朝食の席で言いそうだ。すると琴子が「え?こち亀?入江くんがあんな非現実的な本を?」と呆れる。お袋までも「まあ、お兄ちゃんたら」と笑う。親父にいたっては「直樹がマンガねえ。変わったもんだなあ」とニヤニヤ笑うだろう。
…そんな状況に俺が耐えられるわけがない!!

「好美ちゃんのことか?」
俺はクルリと裕樹に椅子を向けた。そう、俺はお前の兄だ。兄としてここは恋愛アドバイスをしてやらねば。
…とにかく色々まくしたてれば、裕樹の頭からこち亀の存在は消えるだろう。



…結局、俺は未だに隠れキリシタンな生活を送っている。今日もこっそりと新刊を買って来た。琴子が寝静まったら表紙を作ろう。それにしても今日は朝から忙しかった。違う科からコンサルも受けて。
「入江くん、お風呂気持ちよかったねえ!」
俺に続いて風呂から上がった琴子が寝室にやって来た。ホカホカと湯気が出ているその体…。
「入江くん…。」
俺はベッドに琴子を押し倒した。まあ今日はこちらに癒してもらおう。とりあえず…表紙を作るまで読むのはお預けだな。




☆☆☆☆☆
どうして入江くんがあのマンガを持っていたのか、それを考えていたらこういうお話になりました(笑)
いやあ、二か月ぶりなので書けるかどうか、しかも久々のスキマだしと心配でしたが、何とか書けてよかった!
ちょっと自分の作品もコラボさせてしまいました。

関連記事

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP