日々草子 舅vs娘婿

舅vs娘婿

というわけで、今年のクリスマス話でございます…。
一応、前に書いたものを読み返して話がかぶっていないかとは思うのですが…。
盛り上がりがなくて申し訳ありませんが、読んでいただけると嬉しいです。
メリークリスマス!

☆☆☆☆☆







真樹はチビと揃って窓ガラスに顔を押しつけていた。
「サンタさん、来るかなあ?」
「来るたい。」
今年も入江家にやって来た九州に住む曾祖父が大きく頷いた。
「サンタさんはいい子のおうちに来るんだよ、ひいおじいちゃん。」
「真樹はいい子やろ?」
この子がいい子じゃなかったらどこの子がいい子なのかと思いながら曾祖父は笑った。
「うん…でも、まーくん、トマト食べなかった。」
「ひいじいちゃんの作ったトマトば、食べたやろ?」
「うん。」」
「なら、それでよかよか。」
「あとね…ママにお布団に入りなさいって言われたのに、やだって逃げた。」
「それくらいよかよか。」
「お洋服着ないと風邪引くよってママに言われたけど、まーくんね、タンクトップで走ったの。」
「…よかよか。」
「あとね、おもちゃのお片付け忘れてパパのお部屋に隠れてた。パパと一緒にママに怒られた。」
「…琴子さん、結構大変だったとね。」
曾祖父は離れた所で曾祖母と話す琴子に同情の視線を向けた。
「それでもまーくん、いい子?」
「いい子たい。これからいい子にすれば大丈夫!」
「よかった。」
安心した真樹はチビと顔を見合わせ「よかったね」と笑う。

「今日のクリスマスのごちそうは、おばあちゃんとママがプリンのケーキ作ってくれるんだよ。」
「そうね、そうね。」
「ひいおばあちゃんがおかずのプリン作ってくれるの。」
「そうね、そうね。」
「ふぐのおじいちゃんが、ちらし寿司を作ってくれるって。」
「ほう、それはおいしそうやね。」
プロの作るちらし寿司なんて豪華だと、曾祖父は楽しみである。
「あと、パパがお仕事が終わったらチキン買ってきてくれる。」
「それはよかねえ。」
すると真樹が曾祖父の耳に口を近づけた。
「あのね、ひいおじいちゃん…内緒のお話。」
「ほう、何ね?」
「チキンはね、パパとママの思い出なんだって。これ、おばあちゃんも知らない内緒のお話なんだよ。」
「ほう!」
そんな大切な話を自分にしてくれた曾孫が可愛い曾祖父である。
「あの直樹がどんな思い出ば、琴子さんと作ったんやろうね?」
二人が結ばれるまでは色々あっただろうが、どの辺りの話になるのか。詳しく聞きたいようなそんな気がする。

そんなリビングのドアが、まるで誰にも知られたくないかのようにそっと開いた。そこから顔をのぞかせているのは重樹だった。
「あ、おもちゃのおじいちゃん!」
大声で真樹が名前を呼んだため、リビングにいた全員がドアの方向を見ることになりばつの悪そうな重樹が「お、おはよう…」と小声で呼びかけた。

「随分とごゆっくりなお目覚めやね。」
呆れた声を出すのは曾祖父である。
「何ね、休日も重役出勤ならぬ重役起床たいね?」
「す、すみません。」
「これ、じいさん!」
また婿をいびろうとする曾祖父を曾祖母がすかさず止めに入る。
「重樹さんは忙しいんよ。社長さんは年末は大忙したい。あたしたちには分からんことたいよ。」
「お義母さん!」
潤んだ目で救いの神を見つめる重樹である。それを見て「ふん」と鼻を曾祖父は鳴らした。
「でも本当にお忙しいですよね。毎日遅いお帰りだし。」
琴子も救いの手を差し伸べた。
「そうなんだよ、琴子ちゃん!もうさ、会食とか会食とか…おいしくもないし。」
「食ってばかりが仕事とはご大層なこったね。」
「じいさん!」
曾祖父はプイと重樹から目をそらすと真樹を見た。
「さ、真樹。ひいじいちゃんと遊ぶかね?」
「あ、真樹。今日はおじいちゃんとも遊ぼうか。」
このところ孫との触れあいもとんとご無沙汰だった重樹が真樹の前に座った。
「今更孫の機嫌ば取ろうたって。」
「そんなことありませんよ。ええと…この子は確かあきらくん。」
真樹のにわとりのぬいぐるみを手にして重樹が真樹にほほえみかけた。
「それ、こっこちゃん…。」
「え?あ、そうだっけ?じゃ、あきらくんはこっちか?」
パンダを手に取る重樹に今度は曾祖父が、
「それはパン子ちゃんたい。性別も違う。」
と「はあ」と大きなため息をつく。
「あれ?あきらくんは今日はお休みかな?」
「あきらくんはおうち。」
「そっか、そっか。おうちか。」
「あきらくんは人間だから。」
「へ?」
「あきらくんはまーくんの、幼稚園のお友達だよ?おじいちゃん?」
真樹がじとっという眼差しを祖父へ向ける。
「え?あ、そうか。あきらくんは幼稚園のお友達か。そっかそっか、真樹のたい組さんのお友達か。」
「たい組は幼稚園にないよ、おじいちゃん?」
「え?」
またもや重樹の背中に冷たい汗が流れる。
「まーくんはほたて組。年中さんはまーくんのほたて組と、えび組。年長さんがいくら組とうに組。年少さんが、さけ組。」
「可愛い孫の幼稚園のクラスも覚えていないんかねえ。」
心底呆れ果てたとばかりに曾祖父が重樹を見据えた。重樹は何も言えずに俯くしかない。
「じいさん、重樹さんが可哀想やろ!」
「お義父さんが間違えるのも無理はないんですよ。」
曾祖母と琴子が重樹を庇い始めた。
「まーくんの通う海の幸幼稚園は、結構似た名前のクラスなので。」
「お義母さんと琴子ちゃんはこの家の良心だよ!」
二人の手を取り「ありがとう、ありがとう」と繰り返す重樹。
「お母さんも琴子ちゃんも、甘やかしちゃだめよ。」
そこにとうとう出て来たのは、父親の性格を濃く受けついだ娘、紀子であった。
「まったく、何が会食は大変よ。おいしいものを食べて食べて。食べ過ぎには注意するようにって、お兄ちゃんから言われたでしょう?」
「だ、だって年末だもん…。」
「年末だろうが年始だろうがほどほどにしなさい!」
「…はい。」
妻には逆らえず、重樹はしょんぼりと項垂れてしまった。

「おじいちゃん、元気出して。」
真樹が重樹に寄り添った。
「今日はクリスマスだから、楽しいよ?」
「真樹…。真樹はママに似て優しいなあ。」
「んふっ」と一番嬉しいことを言われたので、真樹が満面の笑みを見せる。
「サンタさんはきっと真樹の所に来るからな。」
「うん!まーくんね、サンタさんが疲れていると思うから飲み物用意するんだよ。」
「そうか、そうか。何の飲み物にするんだい?」
「紅茶!」
「紅茶かあ…。」
重樹が考える。
「サンタさん、お酒の方がいいかも。」
「お酒を飲んで、そりの運転できるの?」
真樹が怪訝な顔で祖父を見つめた。
「できんね。」
曾祖父がぴしゃりと否定した。
「サンタさん、飲酒運転になるたい。」
「いんしゅ…。」
「お酒を飲んで運転することたい。これは禁止たい。」
「サンタさんも?」
「そうよ。」
真樹に返事をしながら、曾祖父が重樹を睨む。紀子も睨む。さすがにこればかりは曾祖母と琴子も庇えなかった。

「あんまり重樹さんば、いじめんと。」
少し運動してくるようにと紀子に命じられ、重樹と真樹がチビの散歩に出かけた後、曾祖母は曾祖父を注意した。
「まーくんの前でそんなことしたら、あかんやろ。」
「だって重樹さんがダメだからやろ。」
そこへ琴子がお茶を運んで来た。
「まーくんの相手をして下さって、ありがとうございます。お疲れじゃありませんか?」
「いやいや、そげんことなかよ。」
とんでもないと曾祖父が否定する。
「琴子さんにも、このじいさんの見苦しいところば見せて,悪いねえ。」
曾祖母が謝ると「とんでもない」と琴子が否定した。
「あんまり酷いと、まーくんに会わせんようにするたいよ。」
「それは困る!」
「本当におじいちゃんとおばあちゃんには、真樹を可愛がっていただいて。」
クスクスと琴子が笑うと、「いやあ」と曾祖父が頭に手をやった。
「ありがたいと思っています。」
「こちらこそ、わしらを受け入れてくれて感謝しかなか。」
「そうですよ、琴子さん。」
「それはこちらの台詞です。」
琴子が頭を下げると、「いやいや」と二人でそれを止めさせる曾祖父と曾祖母であった。



クリスマスの夜は、直樹が買ってきたチキン、紀子と琴子のケーキ、重雄のちらし寿司に曾祖母の茶碗蒸しが並び真樹はごきげんだった。
「まーくん、そろそろ寝る時間ですよ。」
チビと遊んでいた、曾祖母お手製の半纏姿の真樹は母の声に「えー」と不機嫌な声を上げた。
「もうちょっと起きてる!」
「ほら、真樹。いい子になるじゃなかったと?」
曾祖父が言うと「そっか」と真樹は渋々、おもちゃを片付けた。チビも一緒になって手伝った。
「まーくん、今日はパパとママと一緒に寝るよ。だっていつもの所に寝ていないとサンタさんが見つけられなくてプレゼント置いていってくれないもん。」
「そっか…。」
これには曾祖父と祖父達ががっかりした声を出した。一人嬉しそうなのは直樹であった。
「ママ、紅茶。紅茶。」
「はい、はい。」
琴子がマグカップに紅茶を注いだ。

「そろそろいいんじゃないか?」
真樹を寝かしつけた琴子が戻って1時間、直樹が合図をした。
「で?今夜は誰がサンタになるの?」
「…重樹さん、譲ってやるけん。」
曾祖父が渋々といった感じで重樹を見た。
「重雄さんと一緒に行っておいで。」
「…いいんですか?」
「よかよ。今日はいいところが一つもなかったけんね、最後くらい見せてみんしゃい。」
「あ、ありがとうございます、お義父さん!!」
ガシッと曾祖父の手を握る重樹。
「クリスマスの奇跡だ!!」
「これ、真樹が目を覚ますと!」
「あ、すみません。」
それでも嬉しそうに重樹はプレゼントを抱え、重雄と一緒に二階へ上がって行った。

「よく眠ってるね。」
「そうだね。」
ささやきあいながら、紅茶を二人で飲んで祖父二人は孫の枕元にプレゼントをそっと置いたのだった。



☆☆☆☆☆
とりとめのない話ですみません。
これはまーくんが通っている幼稚園の名前、クラスの名前を出したくて書いた話です笑
そこにクリスマスを無理矢理こじつけちゃいました。

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うふふ!お爺ちゃん達も大変ですねv-82

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はじめまして!

はじめまして!

前から日々草子さんのこのブログ読ませていただてますが、コメントは初めてです😅

フトン出張の話すきなんですが、出張ってことは、どこかにこのブログじゃないところからの続きですか??
この話すきなのでもしこの話が続きならフトン出張の話を最初から読みたいです!🙏
プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

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