日々草子 アタリ?それとも…? 10(最終話)
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

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二か月近く続きを書けずに申し訳ありませんでした。
続きを待っていて下さった方、申し訳ございませんでした。
というか、覚えていて下さっている方がいらっしゃらなくても…当たり前だと思います。
ごめんなさい!ようやく最終話をお届けいたします。
少し長いのですが、お付き合いいただけると嬉しいです。

☆☆☆☆☆






「仕事に慣れた?」
朝の検温時に患者から声をかけられた天美は、その顔を見つめた。
「何だか最近、表情が穏やかになった感じだから。」
患者がフフフと笑った。
「ついこの間までは緊張していたのか、こんな顔をしていたわ。」
両手で目を吊り上げて見せる患者に「すみません」と天美は謝る。
「いいの、いいの。新人はどの世界も大変ですものね。」
慣れてよかったわねと声をかけられ「ありがとうございます」と天美は頭を下げた。

確かに最近、自分でも肩の力が抜けたとは思っていた。きっと琴子に素性がばれたからだろう。だが、そのおかげでもう肩肘張る必要はなくなった。
元子分(?)の中村に固く口止めをしていたため、琴子と直樹以外にその事実は明らかになっていない。
しかし。

「なんかさ、最近変わったよね。」
同僚の菅井も天美の変化に目ざとく気づいていた。
「何かあったの?彼氏?」
「そんなのじゃない。」
「じゃあ、何?」
「別に何も。」
「いやいや、何かあったでしょ。話してみなよ。」
そう迫る菅井も変わったと天美は思っていた。最初につるんでいた仲間と別行動を取って一人かまたは自分と一緒にいることが多い。
「ああ。何かね、無理して一緒にいてもなあと思って。」
そこを天美が訊ねたら、菅井からの答えが返ってきた。
「実のところね、私は女子同士のグループっていうの?あれがあんまり得意じゃなくてね。」
マイペースで行動する方が向いているのだが、何となく一緒になっていたという。
「あの子たちが悪いってわけじゃないんだけど。」
一人で堂々としている天美を見て、自分らしくいるのもいいのだと思ったらしい。
「ふうん…。」
天美は菅井にならば秘密を打ち明けてもいいかと思った。が、いくらマイペースなところが似ているとはいえ受け入れられるものだろうか。
「あのさ…ちょっと、時間ある?」
二人は近くのカフェへ向かった。


「ほお!!渡辺にこんな過去が!」
どんな反応を見せるか、もしこれで距離を置かれたらそれまでだと覚悟を決めて天美は写真を例の写真を見せた。
「え?文化祭の仮装じゃないよね?」
「…違う。」
「いや、こんな恰好してバイク走っていたと?」
「…うん。」
「へえ。そうなんだあ。」
興味深そうに写真を見る菅井に、軽蔑した表情は見られなかった。心底興味深そうに見ている。
「で、足を洗って看護師になったと。」
「足を洗う…。」
確か直樹もそんな風な言い方をしようとしていたなと天美は思い出した。まあ、その通りなので頷くしかない。
「…よく頑張ったじゃん。」
ニヤリと菅井は笑ってみせた。
「ここから成績一番によくのぼりつめたじゃん。偉い、偉い。」
菅井は天美の頭を撫でて来た。が、それを振り払うことはしない天美だった。

「あのさ、今度の休みっていつ?」
「は?」
天美はバッグからチラシを一枚テーブルの上に出した。
「研修?」
それは看護研修のチラシだった。
「いや…まあ、よかったら…。」
「元ヤンのくせに休みまで勉強?」
「別にいいでしょ。」
チラシを引っ込めようとした天美の手を菅井がつかまえる。
「いいよ。行こう。」
「え?」
「言ったでしょ。私、この仕事が嫌いじゃないって。早くスキル上げたいし。」
ニッと笑う菅井に、天美も笑い返した。



「渡辺さん。」
ステーションでパソコンに向かっていた天美に琴子が声をかけてきた。
「今、大丈夫?」
「はい。」
ちょうどカルテの確認を終えた所であった。
「あのね、検査室への送迎をお願いしていいかしら?」
「はい。」
少し前は、送迎などは看護師がやらずともと琴子に主張した天美だったが今は考えを改めていた。送迎で患者の本心を聞くこともできるかもしれないと思うと大切な仕事だと思えるようになっていた。
「どなたでしょうか。」
「中村さん。」
「…はい?」
思わず聞き返す天美だった。
「中村さんといいますと…。」
「そう、あの中村さん。」
以前天美が怒らせた患者だった。師長から担当を外されたはずだが。
「中村さんご本人から渡辺さんにお願いしたいって私が言われたの。」
本人がそう望むならばということで師長には許可は得たと話す琴子は笑顔だった。
「大丈夫でしょうか。」
琴子とは正反対に、天美は不安でいっぱいだった。
「大丈夫よ。」
ポンポンと琴子が天美の背中を叩いた。
「もうあの時の渡辺さんとは違うでしょ?」
「でも…。」
そのつもりだったが、やはり不安である。自分だけの思い込みではないだろうか。
「自信を持って。患者さんの気持ちを大切にね。」
「はい。」
両手でガッツポーズをして琴子は励ました。



「膝かけこちらですね。」
「ありがとう。」
自然にしているつもりだが、どこかぎこちなさのある天美の動きを中村は見つめていた。
そして尿バッグを隠す袋もきちんと天美はセットした。
「では行きましょうか。」
ゆっくりと天美は中村の車椅子を押し始めた。


行きは特に会話をすることはなかった。帰りも天美が迎えに行った。
「検査、お疲れ様でした。」
「検査って慣れないものだわね。」
ようやく中村が口を開いてくれて、天美はホッとした。
「大変ですよね。」
「まあね。でも詳しく見てもらえば安心ともいえるし。」
それ以上会話は続かなかった。疲れているだろうから天美も話すことはしなかった。が、こんな時琴子だったら相手を楽しませる術を知っているのだろうとも思わずにいられない。

「渡辺さん、変わったわね。」
病室が近づいてきた時、中村が再度口を開いた。
「今回はちゃんと隠してくれたのね。」
チラリと車椅子の影のものに目をやる中村。
「あの時は本当に申し訳ありませんでした。」
車椅子を止め、天美は中村の前で身を屈め謝った。
「…入江さんに叱られた?」
中村は天美の目を見つめ聞いて来た。天美は何と答えた方がいいのかと迷った。
「いいえ。」
「え?」
「ですが、叱られるよりも応えました。」
正直に天美は言った。琴子は叱らなかった。が、あの表情は今思い出しても胸が痛む。
「ガミガミ叱ることが必要な時もあれば、それが逆効果な時もあるのよね。」
中村は静かに頷いた。
「何となく、入江さんがどんな顔をしたか想像がつくわ。」
「はい。」
「それを見て考えを変えてくれたのね。」
「はい。」
「今のうちに気づいてくれてよかったわ。」
中村が少し微笑んだ。
「覚えていてくれるかしら?私たちはたとえ動けなくなっても、意識がなくなっても人間であることに変わりはないということを。ベッドの上で物言わぬ身となっても誇りがあることを覚えていてもらえる?」
「…はい。」
静かな中村の話に天美の両眼から涙がこぼれおちる。それは拭いても拭いても止まることがなかった。
「必ず…必ず覚えておきます…ありがとうございます…。」
こらえきれずしゃくり上げる。

「渡辺さん!」
これを見て驚きの声を上げやって来たのは琴子だった。
「どうしたの?」
「ごめんなさいね。私が泣かせてしまったみたいで。」
そう言いつつ、中村は笑っていた。それを見て琴子は安堵の表情を一瞬浮かべたが「ほら、立って」と天美を促した。

「…なるほどね、中村さんがそう言ってくれたんだ。」
「はい。」
中村を病室へ送り届けた後、琴子は天美から一部始終を聞いた。
「よかったね、患者さんから教わることができて。」
「はい。」
「でも、看護師が泣いちゃだめ。あんな所で泣いたら他の患者さんが何事かと驚いちゃうでしょ?」
「すみません。」
「…病室で患者の首にしがみついて“よかったねえ”と大泣きしていた看護師もいたっけな。」
二人の後からボソッと直樹が呟いた。
「誰だっけ?」
せっかく先輩らしいことを言っていたのにと、琴子が口を開けて怒ろうとすると直樹は「アハハ」と笑って逃げて行ってしまった。



「あの二人似ていたようですね。」
直樹が逃げた先にいたのは、細井師長だった。
「頭の出来は全然違うみたいですけれど。」
遠慮のない直樹の物言いに師長がクスッと笑った。
「頭の出来なんていいんですよ。問題はここです、ここ。」
師長が胸を指した。
「やっぱり入江さんで正解だったわ。」
「正直、俺も時期尚早だと思ってました。あいつにプリセプターやらせるのは。」
「あら、入江先生だけはそんなことないと思ってましたけれど。」
「人の命を扱うことですからね。感情論では決められません。」
「ええ、そうですね。でも入江さんは今ここでプリセプターをしてもらいたかったんです。」
なぜという顔を直樹は師長へ向けた。
「入江さんは自分で思っているよりずっと、立派な看護師ですよ。」
「入江先生が思っている以上にも」と師長は付け加えた。
「不器用なところは変わらないけれど、慣れもあって上達してきましたしね。」
「そうですか。」
「ええ。でも一番は彼女の心構えです。」
師長が微笑んだ。
「入江さんは患者さんの側に立つことを未だに忘れていません。慣れてくるとビジネスライクとでもいうのかしら?いつものことみたいな感じで接してしまう場合もあるし。私たち医療知識がある立場で物事を考えてしまって、患者さんの不安を些細なことだと聞き流して傷つけてしまうこともあります。それが入江さんには全くないんです。」
「確かに、そうですね。」
そこは直樹も認める。
「俺も医者になってちょっと考えがずれてきているなと思う時が出てきました。でもあいつを見てこれではだめだと思い直すことができるんですよね。」
師長が頷いた。
「そうですね。私も入江さんを見て気づくことがあります。彼女は自分が思っている以上に立派な看護師なんです。だから、あとは自信をつけてほしかったのです。」
「自信ですか。」
「ええ。入江さんの失敗は自信のなさから来ているものもありますから。後輩を指導することでそれをつけてほしかった。」
「自信つきましたかね?」
「大丈夫だと思いますよ。」
師長が笑った。
「入江さんのいい所を、渡辺さんはちゃんと学んでくれました。それは彼女にとって一番必要なことで、本では学べないことです。そして当たった患者さんも良かった。中村さんにはっきりと拒まれ、再度受け入れられてもう二度と、同じ失敗はしないでしょう。」
「一人の後輩を育て上げたことが自信になる…あいつ、自分で気づきますかね?」
直樹の率直な疑問に師長が声を上げて笑った。
「気づかないところも入江さんのいい所ですね、きっと。」

琴子に連れられ次の仕事に向かう天美を見ながら、師長は感慨深く言った。
「それにしても、随分と変わったこと。中身だけじゃなく、外見も。」
「外見?」
その言葉に直樹は「もしや」と気づいた。
「師長、4年くらい前ってどちらに…。」
「あの頃は救命にいたかしら?」
「やはり」という顔を直樹がすると、師長はまた笑った。
「…覚えていたんですか?」
「髪の色が180度変わってましたけど、面接で気づきましたよ。」
あの時、天美を怒鳴りつけた救命の看護師は目の前にいる細井師長だったのだ。
「ただ人の役に立ちたいという気持ちだけで務まる仕事ではありませんから。だけど看護師に向いていることは分かった。だから続けてもらうために…。」
「琴子を担当にした。」
「ええ。育てればいい看護師になる。そういう子は多いです。だけど悲しいことに職場環境で心を痛めて成長する前に辞めてしまう子も多い。もっともそれは環境を整えるべき上にたつ私のような者が考えねばならない問題点でもありますね。せめていい先輩に育ててもらえたら続けてくれるかなと期待しました。」
「琴子は期待にこたえてくれましたか?」
「ええ、立派に。」
大きく頷く師長の姿に、直樹は誇らしくなった。
それが表情に出たのだろう、師長が言った。
「それにしても、入江先生?」
「はい?」
「先生、何気に奥様に対する愛情を溢れさせていらっしゃるの、お気づきかしら?」
「え?」
ギクリとした直樹に師長がフフフとまた笑った。
「何気に惚気ますよね?」
「…さあ?」
「なんだかんだ、奥様を大事にしていらっしゃるのね。」
「…そういうことにしておきましょう。」
「素直じゃないこと。」
直樹と師長は顔を見合わせ、同時にニヤッと笑ったのだった。



キョロキョロと病棟を見回しながら歩いている男性に、天美は気づいた。高校生くらいだろうか。
「あの、何か?」
見舞いだろうかと天美は声をかけた。
「え?」
男性は天美に気付き「しまった」というような顔をした。が、天美の胸から下げている身分証を見て「あっ」と顔をしかめた。
見覚えのない顔だし、なぜ自分が顔をしかめられるのだろうかと天美が不審に思っていると、
「裕樹くん!?」
という声が聞こえ、琴子が足早にやってきた。すると「げっ」という声を裕樹と呼ばれた男性が発した。
「裕樹くん、どうしたの?具合が悪いの?」
「どこも悪くないよ。」
ばつが悪そうな顔を裕樹は背けた。
「じゃあ、どうして?あ、渡辺さん。」
そこに天美もいたことに琴子が気付いた。
「あの、入江さん、こちらは?」
「ああ、ごめんなさい。えっと裕樹…入江先生の弟。」
「ああ、入江先生の!」
そう言われるとどこか似ている気がする。ただ身長は兄に似なかったのかと天美は残念に思った。
「ということは入江さんの義理の弟さんですね。」
「まあ、そういうことね。」
「どうも…琴子がいつもお世話になっています。」
裕樹は渋々といった感じで渡辺に挨拶をした。
「いえ、こちらこそ入江さんにはお世話になっております。」
「ねえ、どうしたの?何で病院?入江くんに会いに来たとか?」
「違うよ、ばあか。」
琴子という呼び捨てといい、ばかという呼び方といい、随分と口の利き方が悪いなと天美は呆れた。直樹も少しはたしなめればいいのにと思っていると、
「その、お前がこの間元気がなかったから。」
と顔を少し赤らめて裕樹が言った。
「この間?」
「ったく、お前ピーピー騒いでだろ?もう駄目だとか、プリセプターなんてどうとか…。」
「うわあ!裕樹くん、ストップ!ストップ!」
琴子は声を出して裕樹の口を両手で押さえた。その顔は耳まで真っ赤だった。
それを見て渡辺は合点した。なるほど、裕樹は義姉を心配してわざわざ病院まで足を運んだということなのだ。一体どのような目に義姉が遭っているのかを気にしているということか。そこで原因を作った自分を見つけあの顔をされたということだ。
「すみません、色々と私のせいで。」
家族にまで心配をかけていたことを知った天美は謝った。
「ううん、そうじゃないの。渡辺さんのせいじゃなくて。もう裕樹くん!」
「優しい義弟さんですね。お義姉さんのことを心配して。」
「いやいや!」
と、裕樹が天美の言葉を否定した。
「別に僕は心配していない。おふくろがお前を心配していて、毎日うるさくて。一度様子を見て報告すれば静かになってくれるかと。」
「じゃあ」と裕樹はダダダと足早に病棟を出て行ってしまった。「走らないの!」と琴子が注意すると「べえ」と舌を出していた。

「…生意気なんだから、もう。」
やれやれと琴子が溜息をついた。
「あれは私を心配してのことじゃないのよ。失敗してたら笑ってやろうって思って来たんだわ。まったく可愛くないったらありゃしない。」
琴子のぼやきを聞きながら天美はそんなことはないと思った。天美が原因を作っている渡辺だと知った時の裕樹のあの顔。あれは完全に大好きな義姉を窮地に陥らせている敵を憎む顔だったから。
「本当に入江さんにはお世話になって色々教えていただきましたから。」
「あら、もう終わりみたいなこと言わないで。」
一年はプリセプターとの関係は続くわけで、まだ始まったばかりである。
「うん、でもそう思ってもらえたら嬉しいな。」
素直に琴子は喜んだ。そうだ、ここであのセリフを言う時ではなかろうか。
「コホン」と琴子は咳払いをした。
「あのね、もしそう思ってくれているのならば。」
「はい。」
「あなたが私にしてくれたように、後輩にしてくれればいいから。」
「…は…い?」
天美は頭を働かせ、琴子の言葉の意味を考えた。しかし、そんな天美に気付かず琴子は得意気に続ける。
「あなたがね、私にしたように、それを後輩にすればいいの。ね、簡単でしょ?」
「私が入江さんにしたことを後輩に…ですか?」
天美の戸惑いをよそに、琴子はかつて先輩から言われたことを繰り返している…つもりだった。
「そう。」
「私が入江さんにしたこと…それをしたら大変なことになるかと…。」
「へ?」
琴子はキョトンとした顔で天美を見た。
「渡辺さん、そんな遠慮せずとも。何も明日からやってくれというわけじゃないわけだし。」
これもかつて先輩から言われたことを琴子が胸を張って言った。
「いえ、遠慮ではなく。」
「どういうこと?」
天美の顔が決して遠慮しているわけではないということを示しているのを見て、琴子も顔つきを変えた。
「あなたが私にしたことをと入江さんは仰いましたよね?つまり、私が入江さんにしたことという意味で、そうなるとその…無駄なことをどうとか、尿バッグを隠さないでしたこととかを後輩に教えろという意味になるのではないでしょうか?」
遠慮がちに話す天美の前で、琴子は「あなたが私に、私があなた…ええと…」とブツブツと眉を寄せて繰り返した。
「…あなたが私にしたことをって、言ってた?」
「…はい。」
「やだ!」
ようやく自分の言い間違いに琴子は気づき、顔を真っ赤にした。
「違う!逆だわ!私があなたにしたことをあなたが後輩に…でいいんだっけ?」
「…そういう意味で仰っていたかと思います。」
「そう、そうなの。そういうこと!」
「分かりました。」
天美はニコッと笑った。その笑顔は入職した時にはない、心からのいい笑顔だった。
そして天美は思った。自分が指導する立場になろうが、琴子のように患者に親身になれる看護師でいられるよう頑張ろうと。この気持を看護師である限り忘れないようにしようと。
「これからもよろしくお願いします。」
「うん、よろしくね。」
二人は顔を見合わせて笑った。




☆☆☆☆☆
最終話までお付き合い下さり、本当に、本当にありがとうございました!
あとがきは後日UPする予定です。


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看護師さんて立場は相手にも気を遣う病気を治す人のサポートする立場でもあるし、相手のみになるて凄く大切ですよね、私の場合も普段は介護士として仕事をしています、相手の立場になって考える介護も、看護も人と向き合う仕事に変わりはないし、私の場合は琴子ちゃんの話を見ていると仕事は違えどに多様なとこはあるので、よく自分に置き換えて読んでることがあります、仕事上にヒントもらえて迷ってるときとか背中を押してもらえ辺りして、役に立ててることがあるので、渡辺さんも、琴子ちゃんから色々学べてるんじゃないかと思います、最初はいろんなしっぱはだれでもありますからね。

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