日々草子 運命の女
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

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運命の女

高校時代、俺につけられたあだ名は“世話焼き女房”だった。男としては全く嬉しくないあだ名だったが、確かに人の世話を焼くことは嫌いじゃない。困っている人間を見ると放っておけない。そして、俺はそんな自分の性格が嫌いではない。
高校のボランティア活動で病院に行ったとき、俺は自分の将来を決めた。俺は看護師になろうと。

そして、念願叶い、俺は大学の看護科へ入学を果たした。あまり周囲の目を気にしない俺でも、さすがに女の園に足を踏み入れるには、少しの勇気がいったが。
高校時代の仲間はそんな俺によく言ったものだ。
「いいなあ。鴨狩は。毎日毎日、白衣の天使の卵に囲まれて。」

…“白衣の天使”。そんな言葉がもはや死語だということを、俺は入学後1週間で悟った。
ここには俺の仲間が思い描く白衣の天使などいない。白衣の天使の卵は、俺のことなど異性として意識は全くしていない。そして、未来の白衣の天使共は、日々男漁りに夢中なのだ。どうやって医学科の男とお近づきになるか、いやいや大学病院の医者の方が将来性は保証されているとか、そんな話ばかり毎日している。そんな不純なやつらに“白衣の天使”などという高尚な呼び方は使いたくない。ナイチンゲールにも失礼だろう。

「啓太、見て見て。」
俺のクラスで唯一の同性(本人曰く間違えて男に生まれてしまった女)の桔梗幹が俺に今日も声をかけた。
「ほら、あそこに立っているでしょ?」
幹の示す先には、一人の男性が立っていた。
「かっこいいわよねえ。医学科の入江さん。」
またその名前か。幹を中心としてクラスの女共が毎日毎日呼ぶその名前に俺は聞き飽きていた。
男漁りに夢中な奴等が、一番夢中になっている男。それが医学科4年の入江直樹だ。俺も幹に教えられて、初めて入江直樹の顔を見た時は確かに驚いたものだ。世の中、こんなに完璧な人間が存在することに。
顔、ルックス、頭脳、幹が仕入れてきた情報によるとテニスも何度も優勝経験がるとか。そんな人間なんて小説や漫画の、虚構の世界にしか存在しないものだと思っていた。
だけど、現実に存在していることを知ってみると、神様というのはやはり気まぐれなんだなと思ったりする。入江のような完璧な人間を創りつつ、俺のような平凡な男を創り、そして幹のような中途半端な男を創る…。

「あんた、入江さん見て何とも思わないわけ?」
俺の関心の低さが幹は御不満らしい。
「男が男を見て何を思うんだ?」
俺は思ったままのことを幹に返してやった。俺はお前と違ってまともな人生を送っているんだ。一緒にするなと言いたい。
それに学年も違う入江と俺は、絶対に接点など今も、この先もできることはない。だから俺には全く関係のないことなんだ。

「ちょっと~!啓太!聞いてよ!」
それから間もなく、幹が俺に泣きついてきた。何か勉強でまずいことでも起きたのか、俺は心配になった。だが、幹の口から出た言葉はあまりにもくだらないことだった。
「入江さんって結婚しているんだって!」
…アホらしい。心配した俺が馬鹿だった。
でもその言葉を聞いて、俺は思った。あいつは既に運命の女を見つけたってことか…。

俺は人知れず胸に抱いた望みがある。俺はいつか俺一人の運命の女を見つけて、そいつを大切にし守って生きていくことだ。人に話すとロマンチストと笑われそうなので絶対に話せないけれど。俺はそいつだけを一生想って、お互い支え合って生きていきたい。

「同じ大学の文学部の女性なんだって!」
幹は俺の前で机に突っ伏して泣いていた。
「絶対、美人なのよね!あの入江さんが選んだ女性なんだもの。もう逆立ちしたって敵いっこない才色兼備の女性なのよ!」
それは幹の言うとおりだと思う。あの男が選んだ女だ。そんじょそこらの平凡な女なんて選ばないだろう。
「もし、本当に美人だとしたら、俺は奥さんの顔を拝んでみたいな。」
俺だって男だ。美人の顔を拝むことは嫌いではない。入江には何の興味もないが、美人妻には興味がある。
「なら、今から文学部へ探しに行かない?」
幹の提案を俺はすぐさま却下した。
「そんなことを入江が喜ぶと思う?」
俺の言葉に幹はあっさりと引き下がった。妻帯者であることが判明しても、やはり入江直樹に嫌われたくないらしい。

それにしても、入江の運命の女ってどんな人なのだろう?幹の言うとおり、美人であることは間違いないだろう。何か二人でシャンパングラスを手に、毎夜毎夜バッハだのモーツァルトだのを聴いているイメージが浮かぶ。俺自身はシャンパン・クラシック女より、俺の行きつけの牛丼屋で二人で「つゆだく、大盛り!」と叫べる牛丼・大盛り女の方が好きだけど。
でも入江のような別世界の人間は、きっと牛丼屋というものがこの世に存在することなど知らないに違いない。
やっぱり俺とあいつは住む世界が違うんだろう。

俺も幹も、無事2年生に進級した。
相変わらず幹は入江の追っかけを続けている。もはや幹にとって入江直樹はアイドル同然なのだろう。結婚していようがどうだろうが関係ないようだ。
そして、新しい仲間が看護科に加わり、その仲間は俺と同じ実習グループを組むことになった。

入江琴子。それが新メンバーの名前だ。何と言う偶然か、あの入江直樹と同じ名字だ。当然、幹たちは入江直樹との関係を問い正したが、全然関係ないらしい。入江という名字も結構ありふれたものなんだな。俺の名字と違って。

その入江琴子は、本人曰く、とてつもなく大きな夢を叶えるために文学部から編入してきたと、最初の自己紹介で語った。
“とてつもなく、大きな夢”って一体何だろう?同じグループの真里奈のように医者と結婚して玉の輿に乗るということではないらしい。
…大学病院の総師長になって看護師の上に君臨する?それとも、ナイチンゲール記章を将来取る?…まさか、マザー・テレサのようにノーベル平和賞を受賞することか?

入江琴子という人間が総師長どころか、看護師に無事なれるかどうかも怪しい人間だということを、俺は間もなく知った。世の中、こんな不器用で鈍くさい人間が存在するのかと俺は驚いた。
もし、神様が世の中の役に立つように入江直樹という天才を創造したのなら、きっと入江琴子は世の中の人間が自信を持てるように創造されたに違いない。
看護師どころか、彼女は来年俺達と一緒に3年へ進級できるのかどうかも怪しい。

だが、俺はなぜか入江琴子の面倒を見るはめになる。彼女を見ていると俺の“世話焼き魂”が燃え上がるのだ。とにかく放っておけない。
こいつが、全くやる気がなくてサボっていたりしているのなら俺だって相手にしない。一生懸命努力して、その結果失敗するのだからついつい世話を焼いてしまう。俺は努力をする人間が好きだからだろう。

ある日、クラスメートが俺が牛丼好きだからということで、割引券をくれた。
その券を見て、琴子が話しかけてきた。
「ああ、ここおいしいよね。」
「こういう店、行ったりするの?」
俺は琴子へ尋ねた。
「行くっていうか、昔バイトしてたから。まかないでよく食べてたよ。」
「…もしかして、つゆだく、大盛り?」
「もちろん!」
入江琴子が“牛丼・大盛り女”だと知り、俺はちょっと親近感を覚えた。だからといって、こいつが俺の運命の女になることはないだろうけれど。

やがて、俺達クラスメートは驚愕の事実を知る。
噂されていた入江直樹の才色兼備の妻は、入江琴子だという事実を。
つまり、入江直樹の運命の女は才色兼備などではない、鈍くさい不器用な、“牛丼・大盛り女”だったということだ。
その事実を知ったとき、俺は入江直樹という男を初めて好意的にみることができた。あんな完璧な男でもこんな普通の女を選ぶんだなと感心したのだ。きっと外見から分からない魅力が入江琴子にはあるのだろう。

しかしその魅力は入江直樹だけでなく、あろうことか俺自身にも想像を全くしなかった影響を及ぼしてしまった。
俺が琴子の世話を焼くのは、ただの“世話焼き魂”からなどではなく、彼女に対する恋心からだということに気づいてしまったのだ。何が楽しくて人妻に恋してしまったのか、自分で自分が情けない。

最初は黙って想っているつもりだった。しかし、入江直樹の琴子へ対する態度を日々目にする度、俺は黙っていられなくなった。
夫婦とは支え合って生きるものだろう?それなのにこの夫婦ときたら、支え合うどころか、完全に夫は妻を放置している。妻はいつも夫を追いかけている。
…何なんだ、この夫婦は?

琴子がいつも入江を追いかけている姿はもはや悲しすぎた。冷たい言葉しかもらえなくても、いつも必死なのだ。そして琴子が悲しい顔をしていようが、寂しい顔をしていようが、入江には関係ないらしい。
俺だったら、愛する女のそんな顔なんて見たくない。そもそもそんな顔をさせない、絶対に。だから俺は決意した。入江直樹から入江琴子を奪うことを。

結果、俺は見事に玉砕した。
笑ってしまうことに、俺は入江直樹に“嫉妬”というものを教えた人間になってしまったらしい。そもそもそんな中学生でも知っていることをなぜ、成人した今知るのか?馬鹿じゃなかろうか。
いや、一番の馬鹿は俺だ。結局、俺はあの2人の絆を更に深めてしまったピエロになってしまったのだ。これ以上の馬鹿はいないだろう。

落ち込む俺に幹は言った。
「あんたは、不幸だと思っていた琴子を救いたいと思っていただけ。」
その言葉に俺は同意した。その時はその通りだと思ったから。

そして、俺は琴子の“とてつもなく大きな夢”が何であるかを知った。
彼女の夢、それは看護師となって入江直樹の手伝いをすることだったのだ。確かに、琴子からしてみれば、“とてつもなく大きな夢”であることに間違いはない。
何だかそれを知ったとき、俺はおかしくなってしまった。そんな小さな幸せが大きな夢だったとは…。

だけど、あれから時が流れた今、幹の言葉は真実じゃなかったことに俺は気づいている。
なぜなら、俺の心はまだ、あの時から止まったままだからだ。
そして、最近俺は考える。
運命の女と支え合って、一緒に生きていくことも素晴らしい。
だけど、例え一緒に生きていくことはできなくても、運命の女と信じた奴を一生、一人想い続けて生きて行くことも悪い事ではないんじゃないかということを。

あとがき
投稿サイト様に投稿させて頂いたものです。
本当は「ファムーファタル」というタイトルにするつもりでした。
でも、辞書で調べると「男性を破滅に導く女性。妖婦(大辞林より)」とあったので、琴子のイメージではなかったので、やめました。
いろいろ考えたのですが、思い浮かばず、結局このタイトルに…。
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コメント

うぅ

こちらでも読めて、再度読み直す事が出来て嬉しいわ♪啓太って世話好き女房かもしれないけど、母性本能くすぐるね^^
熱血君でも甘えたい時があるはず!そのタイミングに滑り込んでみたい思いだわ^^

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