日々草子 アタリ?それとも…? 4

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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

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読んで下さってありがとうございます。
ヘビーな内容(当社比において)なので大丈夫なのかなとか、やっぱり普通のイリコトは向いてないかとか、その他いろいろ悩んでいたのでコメントと拍手をいただけて、とても嬉しいです。

☆☆☆☆☆☆☆







カンファレンス室では、細井師長と清水主任が顔を揃えて待っていた。それだけで琴子はただごとじゃないことが起きたことを知った。
「二人ともお座りなさい。」
緊張したまま、琴子と天美は座った。
「…本日、患者さんより申し出がありました。」
細井師長が口を開いた。
「渡辺さんを自分の担当にしないでほしいとのことです。」
「えっ!」
琴子は隣に座っている天美の顔を見た。しかし動揺する琴子とは正反対に、天美は落ち着いた表情で、まるでそうなるかが分かっているかのようだった。
「師長、どなたがそう仰っているのですか?」
琴子が訊ねると、
「中川さんです。」
と、清水主任が答えた。
その名前を聞いて琴子はハッとなった。いつだったか中川が天美に不満がありそうな態度を取っていたことがあった。あれは検査の送迎を天美に頼んだ時だった…。
「それと、本田さん。」
「本田さんもですか?」
中川だけではなく、本田からも天美に苦情が来ているとは思っていなかった琴子だった。本田も中川と同年齢の女性患者であった。
「お二人から別々に、しかし同様の内容の申し出でした。」
清水主任の言葉に続き、細井師長が言った。
「入江さんは中川さんについては心当たりがありそうですが、本田さんはないようですね。」
「はい。」
「渡辺さんは…自分に原因があることを分かっているようだけれど。」
「はい。」
苦情を受けている側の人間とは思えない態度の天美であった。
「私たちの仕事は、患者さんが落ち着いて治療に向き合える環境を作ることです。よって患者さんの希望を受け入れることにします。渡辺さんは当分、中川さんと本田さんの担当から外れるように。」
師長の判断は有無を言わせないものだった。
「詳しいことは入江さん、あなたが渡辺さんと話をするように。」
「私が…。」
「あなたはプリセプターなのですから。」
確かにその通りだが、問題解決を自分に全て委ねられたことを知り琴子が困ったのも事実だった。

「入江さん。」
天美と清水主任を先に行かせた後、細井師長が琴子を呼び止めた。
「あなた、渡辺さんの行動を見ていなかったの?」
「すみません。」
「彼女が優秀だから、一人で大丈夫だと安心しきっていたのかしら?」
言われた通りだった。自分より遙かに優秀な天美はぴったりついていなくても大丈夫だと思い込んでいた。
「いくら学業の成績、技術の腕がよくとも、経験ではあなたの方が上なのよ。そこは自信を持ちなさい。」
「ですが…。」
経験といわれても、勤続年数がやや多い程度の問題ではないかと琴子が思っていると、
「しっかりしなさい。」
バンと師長が琴子の背中を叩いた。その顔は琴子を信頼している顔だった。



「ええと…。」
仕事に戻った後、少し余裕が出たころを見計らい琴子は先ほどのカンファレンス室に天美を連れて来た。
しかし、いざ向かい合ったものの、何をどう話せばいいのだろうか。
「中川さんと何かあったの?」
まずは起きたことを確認しようと決め、琴子は訊ねた。
「多分送迎の時のことだと思います。」
やっぱりそうかと琴子は思った。
「送迎で何か?」
「尿バッグを隠さなかったことが中川さんの気に障ったのではないでしょうか?」
「尿バッグを!?」
中川は入院中、尿バッグをつけていた。
「え?隠さなかった?それって、そのままぶら下げて?車椅子に?」
「はい。」
驚きのあまり琴子は口を手で覆った。中川は身だしなみをきちんとしている女性だ。いや、身だしなみに関係なく、それをそのまま、しかも人の多い院内を歩く…どれだけ辛いことだったか。
「…中川さん、何か言わなかった?」
「隠してくれと。でもそんな時間なかったし、そもそも病院ですし、患者さんですし。」
それを無視して行動したということだった。
「本田さんは?」
「メイクをされていたんです。」
「リップ?」
「いいえ、フルメイクです。それでやめてくれと言いました。」
「…どんな口調で?」
「ここは病院です。顔色を見られないからメイクをすぐ落としてほしいと。」
「結構きつい言い方だね。」
「だって毅然と言わなければ理解してもらえませんよね。そもそも、顔色が分からなければ治療に影響でるし。ここ病院でしょう?そんな必要ないじゃありませんか。」
正論ではある。まれにメイクをする患者が出て来て、琴子もやんわりと注意をしたことはある。が、そんな強い言い方はしたことがない。それではまるで、厳しい風紀担当の教師のようではないか。
「私、間違っていましたか?」
「間違っていない…けど…何というか…。」
確かに間違ってはいない。だが、もう少し、もう少し気遣いができなかったものか。
何と言えばいいのか琴子は困った。今までは注意される側でありする側になったことはなかった。
「入江さん?」
「うん…あのね、入院している患者さんは皆さん、とってもデリケートなわけよ。心が繊細になっているわけ。」
「はい。」
「そこを分かってあげないと…。」
「分かっているつもりでしたが。」
「いや分かっていないから患者から拒否されたのだろう」と言い返したかったが、そこまで言う度胸は琴子にはなかった。
「そもそも、入院して見た目を気にするってことが理解できないのですが。」
「ある程度は気にするでしょう?」
「程度を越えていますよね。」
「でもね、いくらパジャマであっても髪はボサボサ、顔は洗ってませんって状態でいたい人はいないでしょう?」
「だから入江さんのように時間をかけて患者さんに接しろというのですか?」
「私のように?」
突然、天美の攻撃が琴子に向けられた。
「入江さんのように患者さんに寄り添い、忙しい合間をぬって自ら検査の送迎をし、話を時間をかけて聞けと?」
「いや、私の真似をしろとは…。」
「入江さんのやり方では、仕事は永遠に終わらないのではないでしょうか。」
キッパリと新人に言われた琴子は言葉を失った。
「看護助手さんに送迎をお願いできるのに、それを自分で入江さんはやるし。それに加えて患者さんの所にいる時間が長くて、それでステーションに戻っての作業がどんどん遅くなって…。」
確かに天美の言うとおりであった。
「残業もあるし、自分で仕事を増やしていますよね。」
「…。」
「そりゃ患者さんの立場になって考えることは大事だと思います。でもどこかで割り切らないと、仕事を増やすだけで。」
と、ここで天美はさすがに言い過ぎたかと言葉を止めた。
「…そっかあ。」
少し時間を置いて、琴子が呟いた。
「…そうだね。」
後輩、しかも新人に言われたことは悔しさよりも悲しみが琴子の胸に広がっていた。
「うん…そっかあ。」
自嘲するかのように琴子が少し笑みを浮かべた。
すると、それを見た天美の両目から大粒の涙がこぼれ始めた。
「渡辺さん?」
琴子は驚いて立ち上がった。言葉をぶつけていた天美がなぜか泣いている。
「あ、あの…。」
天美は手で涙を拭いた。が、止まらない。
天美はそのまま蹴るように椅子を倒して立ち上がり、カンファレンス室を出て行ってしまった。



「入江先生!」
手術を終えてスタッフステーションに顔を出した直樹に、幹が駆け寄ってきた。
「何だ、どうした。」
「聞いて下さいよ!」
「何だよ。」
「琴子が、新人を泣かしたんですよ!」
「…嘘だろ?」
幹の言葉を直樹は全く信用しなかった。
「新人って、渡辺さんだろ?」
「そうです。あの女入江と陰で…あ、いえ、それはどうでもよくて。その渡辺さんを琴子が泣かせたって噂でもちきりだったんです。」
「逆じゃなくて?」
「違います。渡辺さんが泣きながらカンファレンス室から出て来たって。琴子の指導を受けていたんですよ?」
「信じられない。」
「私もです。でも、琴子だってちゃんと叱る時は叱るんですよ。よかったあ。あの子、優しすぎて新人からなめられているのではって心配していたから。」
それくらいやって丁度いいんだと幹は続けた。
「新人は誰しも一度は涙をこぼすんです。それでみんな成長していくものですから。」
「お前も?」
「え?まあ、そりゃあ。」
しかし、それでも直樹は幹の話を信用できなかった。



「ああ、お兄ちゃん!」
この夜戻った直樹を、紀子が心配そうな顔で出迎えた。
「琴子ちゃんが、帰ってくるなり部屋に籠もっているの!」
「あいつ、ワンワン泣いてるんだけど。」
裕樹も二階を心配そうに見ている。
「新人ちゃんにいじめられたの?ねえ、あなたたちの病院は面接でちゃんと性格を見て採用しないの?ああ、そんなことだったらお兄ちゃんなんて採用されないか。」
随分と酷い言われようだが、この様子だと紀子と裕樹は琴子が新人からいじめられたと思っている。

「やっぱり、それが事実じゃねえのか?」
直樹は部屋をノックした。が、応答はない。
「入るぞ。」
声をかけ、ドアを開けるとベッドに突っ伏して琴子がワンワン泣いていた。
「入江くん…。」
「ひでえ顔。過去最大級のひどさだぞ。」
そんな軽口を叩いてみたが、琴子は泣いているだけである。
「あたし、あたし…泣かせちゃった!」
「泣かせ…たんだ、やっぱり。」
本人がそう言うならば間違いなかろうと、直樹はようやく信じることにした。

「わたし…いい先輩になりたかったのに…優しい先輩に…。」
「まあ、落ち着け。」
よしよしと直樹が優しさを見せる。やがて琴子がベッドの上に座った。
「何があったんだ?順を追ってゆっくり話してみろ。」
「うん…あのね…。」
患者から苦情があり師長たちに呼び出されたこと、琴子がマンツーマンで天美に話をしたこと、その内容を琴子はゆっくりと、たどたどしく、そして詳しく直樹に話した。
「で、お前が泣く必要はどこに?」
まず話に誇張はないだろう。自分をよく見せるように話をする琴子ではないことを一番直樹は知っている。
それを踏まえた上で話を聞いても、琴子が泣く必要はどこにも見当たらなかった。
「お前、何も悪いことしてないじゃん。」
「でも渡辺さんは泣いちゃったもん…泣いて出て行っちゃった…私の言い方が悪かったのよ!」
「特に悪くも思えない。」
これで泣かれたら、自分の普段の物言いはどうなるのか。
「西垣先生なんて毎日泣いて病院辞めているだろうな。」
それはそれで問題だと直樹は気づいた。明日からは西垣をもう少し敬うことにしようと反省した。ほんの少しだけだが。
「私はやっぱり指導するなんてしちゃいけなかったんだ。だから渡辺さんは…患者さんにも…。」
「渡辺さんは違う理由で泣いたんじゃないか?」
直樹には天美が涙をこぼした理由が分かった気がした。
「女入江であるなら、違う理由で泣いたんだろうな。」
しかし、その言葉は再び泣き出した琴子の耳に届かなかった。

「明日…渡辺さんに謝る。」
「やめろ。」
1時間泣き続けた後、琴子が言ったことを直樹は止めた。
「どうして?」
「お前は何も悪いことをしてないんだろ?」
「でも…。」
「第三者の俺が聞いても、お前に悪い点は見つからない。謝る必要はない。」
「だけど…。」
「指導係なんだ、間違ったことをしてないならば何も言う必要はない。」
「そう…?」
「ああ。いつも通りの態度で接すればいい。」
「入江くんがそう言うなら…。」
話を聞いてもらえて、だいぶ落ち着いたらしい。琴子は「うん、わかった」と小さく頷いたのだった。




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やさしいっ

おはようございます



更新ありがとうございます




入江くん、やさしい。



琴子ちゃんは、やっぱり、かわいぃ。










私は…グータラで、しょうもなっ。
アレッ…






ゆにゆにでした

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No title

優しい琴子ちゃんならでは何だろうね?人を指導するて難しいよね誰のも出来るわけではないよね。入江君が聞いてくれてよかったね、琴子ちゃんも、入江君も成長したんだよね?e-68

克己さん、ありがとうございます。

普通イリコト、書いたの久しぶりなのでとても心配していました。
好きだといっていただけて嬉しいです。
ハズレのお話、意外と読んで下さった方が多かったので続編を書いてみました。
入江くん、琴子ちゃんが頑張っているのを見ているから協力しているんでしょうね。
続き、がんばりますね。

りょうママさん、ありがとうございます。

難しいですよね、育てるって本当に。
外科は風通しよさそうですけれど、それでもこんなに苦労していますし。
琴子ちゃんは要領悪いかもしれませんが、患者さんの立場になって考えることは病院一かもしれません。
それを知ってほしかったから指導係を任命されたのかも。
そりゃあ琴子ちゃんが泣かせたなんてことになったら大騒ぎでしょう。
絶対泣きそうもない新人だったし。
入江くんが謝らなくていいと言ってくれてよかったです。そこは毅然と胸を張って頑張ろう、琴子ちゃん!

ゆにゆにさん、ありがとうございます。

いえいえ、こちらこそ読んで下さりありがとうございます。
琴子ちゃんは一生懸命な姿がとても可愛いですよね。
私は書きながら琴子ちゃんはこんなに一生懸命なのに自分は何を…なんて思ってしまいましたよ!

とらさん、ありがとうございます。

そうそう、難しいです。
教えている自分が間違っていたらどうしようとか。
琴子ちゃんは教えられなくとも当然のようにやっていること、それをいちいち教えなければいけないというのは難しいでしょうね。
仕事じゃなくとも、もうちょっと気遣えと思いますけれど。
それがどう変わって行くのか、人に言われて直すようじゃだめなんですよね。どうしてそう言われるのか、必要なのかが分かってくれたらいいのですけれど。

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