日々草子 猫神家の一族 7

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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

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猫神家の一族 7

少しずつ拍手の数が増えているのを見ると、読んで下さる方が増えてきているんだなと思えて嬉しいです♪
ありがとうございます♪

☆☆☆☆☆








直樹が猫神家に滞在することを、あっさりと犬子は承諾した。おそらく大金持ちの息子を預かったと吹聴して回るつもりだろう。


犬子の支持にて、直樹は屋敷で一番上等な客間に通されることになった。
「お前が死んで喜ぶ奴なんて、鬼頭祥平くらいのもんだろう。お前、どんな奴か知ってるか?」
落ち着いた直樹が訊ねると「きとう?しょうへい?」と、これまた琴子がきょとんとした顔をする。
「いきなり何ですか?その名前、どこから出て来たんですか?」
「どこからって、お前。」
直樹はあんぐりと口を開けた。開いた口が塞がらないというのは、このことだろう。
「遺言書に出て来ただろうが!」
「出てきました?」
「聞いてなかったのか?」
「だって、私の名前が最初に出てきて、それだけで頭がいっぱいいっぱいになっちゃって。で、誰ですか、その鬼頭祥平って人。」
「それを俺が聞いてるんだよ!」
まったくこれじゃ話にならないと直樹は琴子を睨む。
「その様子だと、三種の宝のことも…。」
「三種の宝?」
やはりきょとんとする琴子。「ああ」と直樹は肩を落とした。
「遺言書を一度、しっかりと自分の目で確認しておけ!」
怒鳴ると、直樹は琴子を連れ客間を出た。

遺言書は大蛇森弁護士の事件の参考として警察が持って行った。が、ちょうど今、東馬がそれを返してもらって来た所に二人は遭遇した。
「遺言書?いいよ、どうぞ。」
もう一度見せてくれという頼みに、東馬は快く渡してくれた。
「読み終わったらさ、爺さんの部屋に戻しておいてくれる?琴子ちゃんならどこにしまえばいいか分かるだろ?」
「いいですけれど」と、琴子は東馬を見た。今戻ってきたばかりなのに、どうやらすぐ出かけるつもりらしい。
「お出かけですか?」
「うん。隣の市の造り酒屋の後家さんとね。あ、今夜は帰らないから。」
「後家さん…。」
「おや?琴子ちゃん、もしかして僕がいなくて寂しい?」
「いえ、別に。」
「琴子ちゃんが行かないでって可愛く言ってくれたら、家にいるけど?」
「いってらっしゃい、東馬さん。」
ヒラヒラと手を振る琴子に、「まったくもう」と笑いながら東馬は出かけて行った。

「金之助!何処へ行くの!」
東馬が出て行ったと思ったら、外から猿子の声が聞こえて来た。
「うまい料理を出す店を見つけたんや。今夜は帰らんからの!」
「毎晩毎晩ほっつき歩いて!」
と、こちらも出かけていくようである。

「…最近、東馬さんも金ちゃんもあまり家にいなくて。何だか避けられているみたい。」
直樹の部屋に戻った琴子が、ぽつりと呟いた。
直樹はあの二人から聞いた話から、財産目的で琴子と結婚をしたくないから母親から逃げ回っているのだと知っているのだが、それを琴子に言うことはしなかった。二人だって琴子に聞かせたくないだろう。
「まあ、母親たちがうるさいからだろ。」
「それはそうでしょうけれど。」
「それより、しかと自分の目で遺言書を確認しろ。」
直樹に言われ「ああ、そうだった」と琴子は遺言書に集中する。

あらためて遺言書の中身をまとめると、こうである。

1.猫神家の財産は、相原琴子が西垣東馬、池沢金之助、鴨狩啓太のいずれかと結婚することを条件として相続する。
2.結婚することで相原琴子が相続することが決まった場合、三種の宝を相原琴子に渡すものとする。
3.西垣東馬、池沢金之助、鴨狩啓太が死亡した際は、相原琴子は誰と結婚しても財産を相続するものとする。
4.西垣東馬、池沢金之助、鴨狩啓太が生存しているにも関わらず、相原琴子がそのいずれとも結婚しない場合、財産は鬼頭祥平が全て相続するとする。
5.相原琴子が死亡した際も、鬼頭祥平が全財産を相続するとする。

「…本当だ、鬼頭祥平って人が出てきますね。」
「とにかく、お前は知らないってことだな。」
「はい。三種の宝も聞いたことありません。」
琴子はまるで全てを暗記するかのように遺言書を穴が開くほど見つめている。どうせ覚えられないのにと直樹は知りつつ、しばらく好きなようにさせていた。

「ねえ、入江さん。」
「うん?」
「あのですね、私が遺産を受け取ることを放棄したらどうでしょうね?」
「お前、やっぱり内容を理解できてないな。」
直樹はトントンと遺言書を叩いた。
「お前が受け取らない、つまりあの三人の誰とも結婚しないということになったらこの鬼頭祥平とやらに全部遺産はいくんだぞ。そんな道を選んでみろ。お前、三婆に何をされるか。」
「あ、そっか。」
どうなるか琴子は目を閉じて想像してみた。なぜか鉢巻にろうそくを突っ立てた犬子たち三姉妹が「おのれ、琴子~」と山中を逃げ回る自分を追いかけてくる…。

「…今度こそ、本当に殺されるかもしれない!」
「ああ、そうなるかもな。」
「うーん…どうすればいいのか。」
「まあ、それは置いておいて。」
「こんな重要な問題を置いておくんですか?」
「命を狙われていることの方が重要だろ。」
「ああ、そうだった。」
「ったく、他人事だな。」
呑気すぎて困った奴だと直樹は琴子を見た。が、この明るさに救われている部分もあるかもしれない。

「お前が死んで喜ぶのは、この鬼頭祥平って奴だな。」
遺言書の「鬼頭祥平」の文字を直樹は指した。
「だから、こいつが何者なのか知りたいんだ。」
大蛇森弁護士ならば知っていた可能性があるが、今は訊く術がない。
「犬子おばさまたちは…。」
「多分知っている。が、教えてくれるとは思えない。」
この名前が読み上げられた時、明らかに犬子たち三姉妹の顔色が変わったのを直樹は見逃さなかった。あれはどう見ても知っている顔だ。
「が、聞いたら今度は俺が殺されかねない気がする。」
「何を言っても殺す人たちなんですか、犬子おばさまたちは。」
やはり鉢巻にろうそくを立てた三姉妹が、直樹を追いかけているところを琴子は想像する。
「あ、東馬さんは?」
犬子が知っているなら、その息子も知っている可能性があるならばと琴子は思った。
「どうだろうな。俺が見ている限り、彼らの顔は特に変化はなかったから。」
知っていたら何か伝えてくれるのではと思う直樹であった。
「東馬さんが知らないなら金ちゃんが知っているわけないし。啓太さんは…何だか聞いたら悪い感じだし。」
唇に人差し指を当て、琴子は「うーん」と唸る。

遺言書の確認も終わったので、二人は桃太郎の書斎へと向かった。
「あ、啓太さん。」
廊下を歩いていると、離れの方から庭を歩いて来る啓太を琴子が見つけた。もちろん、今日もマスクをかぶっている。
「啓太さーん。」
琴子は屈託なく手を大きく降った。が、啓太は何も返すことなく、しばらく琴子、そして傍らの直樹をじっと見て離れへと戻って行った。
「何だか、変わっちゃったなあ、啓太さん。」
琴子が呟いた。
「前の性格だったら“子供じゃあるまいし”って笑ってくれるのに。やっぱり戦争って色々変えてしまったのね…。」
「お前、あの姿が怖くないんだ。」
率直に直樹が訊ねると、
「最初はびっくりしたけれど、でも一番辛いのは啓太さんでしょう。それに中身は啓太さんだし。」
と、琴子があっけらかんと答えた。
その話を聞きながら、直樹は自分を見つめる啓太の目を思い出していた。
―― あれは嫉妬しているかのような視線だった。



桃太郎の書斎は、生前のままであった。
どっしりとした机はきちんと整理整頓されている。この前に座ったらいつでも仕事を始めることができそうだった。
「桃太郎のおじいさまがいらっしゃらないなんて、まだ信じられない…。」
思い出した琴子が目に涙を浮かべる。この屋敷で彼を思って涙をこぼすのはきっと琴子だけだろうと直樹は思った。
「これ、どこにしまっておけばいいんだろう。」
「おじいさまは大事なものは、この机の引き出しに。」
二段目の引き出しを直樹は手をかけた。が、動かない。
「鍵がかかってるぞ。」
「鍵?ああ、ちょっと待っていて下さい。」
「ええと、確かこの辺り」と琴子は絨毯の一部に手をやった。驚くことに、その部分だけ絨毯が切り抜かれておりめくることができた。
「これです。」
その裏に貼り付けられていた鍵を琴子は引き出しに差し込んだ。
「あんなに記憶力がないのに、よく覚えていたな。」
「桃太郎のおじいさまが、私がこの部屋に入るたびに教えてくれたんです。宝探しみたいで面白かったので覚えられました。」
きっと琴子は頭を使うより体を動かして覚えることの方が得意なのだろう、動物みたいな奴だと、本人が聞いたら怒ることを直樹は思っていた。

カチャリという音がすると、引き出しが動いた。中身は空だった。そこに直樹はそっと遺言状を入れた。

「ん?」
引き出しを元に戻そうとした直樹の手が止まった。
「どうしましたか?」
「いや、引き出しが重いなと。」
遺言状しか入っていないのに、なんだか重い。少し考えた後、直樹は戻そうとした引き出しを机の上に出した。そして遺言書を外へ出し、引き出しをひっくり返す。
直樹が何をするのか、琴子は緊張しながら見守っていた。
「この辺りを押してみると…」と言いながら直樹が引き出しの底を押してみた。すると底板が外れるではないか。
「二重底だったか。」
二重底には古い日記帳があった。そしてそこには写真が挟まっていた。
「これは…。」
「え?私?」
写真は女性で、十代の琴子そっくりだった。そして隣には同じ年頃の男性が緊張して立っている。
「これ、桃太郎のおじいさまじゃ…。」
呟いた琴子はハッとして直樹を見た。
「いや、私はそんな!おばさまたちが言っていたようにおじいさまの愛人とかじゃありませんよ!」
「ばあか。」
と直樹は焦る琴子を小突いた。
「桃太郎氏は若いだろ。この女性がお前なら、今のお前はいくつなんだ。化け物か。」
「あ、そっか。」
「恐らく、これがお前のひいおばあさんじゃないだろうか。」
「ひいおばあさま?」
そう言われても、琴子は曾祖母と会ったことがない。琴子が生まれる前に亡くなっている。母も幼い頃に亡くなっているので話をよく聞いたことがない。

「うん、そうみたいだな。」
古い日記帳を少し読んだ直樹が頷いた。
「ほら。」
それは秋田に桃太郎がいた頃の日記のようである。琴子の曾祖母にとても世話になり、仄かな恋心を抱いていたことが記されていた。が、その恋はかなうことなく、幸子は嫁いでいった…。
「あまり家庭に恵まれていなかった桃太郎氏は、よほどお前のひいおばあさんやその家に優しくしてもらったことが嬉しかったんだろうな。ひいおばあさんが嫁いだ後、家出して秋田を出たってところらしい。」
だからその曾孫である琴子に遺産を残したのだろうと、直樹は推測した。
「きっとお前の看病に、ひいおばあさんの優しさを重ねていたんだろう。」
この家で桃太郎に優しくしていたのは琴子だけだったと東馬が話していた。病で伏せっていた桃太郎の目には、琴子が曾祖母に見えたに違いない。
「桃太郎のおじいさま…。」
琴子はまた桃太郎を思い出し、涙を浮かべる。直樹は日記と写真をしまい、静かに引き出しを戻したのだった。




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No title

サスペンス?相変わらず、天然な琴子ちゃんだね。下線の文下線の文

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紀子ママさん、ありがとうございます。

え?気付かなかった!!
ただ、桃太郎に出てくる人?をもじって名付けただけなのに!そっか、そうとも見えますよね(笑)
全然、勘違い最高!
そうなんです、この話はコメディを狙っているので、琴子ちゃんはのんきなんです。自分が狙われているとは全く思っていない。
怯えていないところがすごいですよね。
ゴムマスクの彼、今のところセリフなくて気の毒です。

tatさん、ありがとうございます。

4、5、7と続けてのコメントありがとうございます。
永遠に愛すって、自分で書いておいて何ですが、よくあんなに琴子ちゃんを辛い目に遭わせることができたな~と(笑)
書いている時は夢中になっていて気付かないんですよね。すみません、辛い思いをさせてしまって。
そして励ましのお言葉ありがとうございます。悲恋…ああ、確かにたま~にそんな結末だったらと思うことはあります。
でも自分で書くと後味がよろしくなくて。
あの頃は色々あって悩んでましたけれど、今の猫神の話を書いていたら気持ちが上がってきました。
これはまあ、恋愛がメインじゃないから同じ話~とあんまり考えずに済むからかもしれませんね。
いえいえ、心のこもったコメントとても嬉しいです。
こちらこそ、まとめてのお返事で申し訳ありません。

virgoさん、ありがとうございます。

はじめまして。こちらこそコメントありがとうございます。
一気に読むのが勿体ないなんて、嬉しいです!
うちは結構入江くんに腹を立てる方が多いので(笑)気になさらずに。
あんまりラブラブ度が高くないのが難点なんですけれどね~。
大蛇森先生退場しちゃいました。映画のまんまだとちょっと面白くないかなと思って色々アレンジを加えている最中です。
いえいえ、楽しいコメントをありがとうございます。
こちらこそ、ぜひまたお気軽に感想を寄せて下さると嬉しいです。

ちっちぽっぽさん、ありがとうございます。

2話からずっとコメントありがとうございます。
いえいえ、遺言状の説明は私自身が理解できるようにとまとめてみたんです(笑)
そりゃあ嫉妬しますよね。ずっと一緒に行動していれば。
琴子ちゃんはすっかり入江くんを信頼していますし。
原作があるとはいえ、書いてみるとなかなか難しいことが最近分かって来ました。
まどろっこしいと思われるかもしれませんが、とりあえず書きたいことを全部書けたらいいなと思っています。

なおちゃんさん、ありがとうございます。

2話からコメントありがとうございます。
そうなんです、サスペンスなのに琴子ちゃん天然(笑)

たまちさん、ありがとうございます。

2話からコメントありがとうございます。
お金が人生の全てと思っている三姉妹です。お金持っていればみんな善人(笑)
命を狙われていること、すっかり忘れていますよね。
それとも入江くんが傍にいれば大丈夫とすっかり安心しきっているのか。
そうなんです、八つ墓村の必須アイテム。懐中電灯をろうそくに変えてみました。
確かに入江くんでもこの三姉妹は殺しにかかりそうです。
自分の孫(曾孫?)が琴子ちゃんだったらな~と思っていたんでしょうね。
この家で琴子ちゃんのような清らかな子は、まぶしく映ったことでしょう。

りょうママさん、ありがとうございます。

2話からずっとコメントありがとうございます。
遺言書を暗記できたら、三姉妹の名前を間違えることはないでしょう。
読み返しても何で自分が指名されたか分からなかったけれど、桃太郎のお部屋に行ってようやく理解したところでしょうか。
さすがに入江くんでも、あの三姉妹に狙われたら終わりでしょう。
啓太さんが一番、何を考えているか分からないから難しいですね。

マロンさん、ありがとうございます。

2話からコメントありがとうございます。
そうなんです、私は楽しんでいるのですが(笑)マロンさんも楽しんでいただけていると分かって嬉しいです。
ただ丁寧に書きすぎている感じはあるのですが。まどろっこしかったらごめんなさい。
琴子ちゃん、本当に殺人事件の渦中にいるというのに、のほほんとしちゃって。
でもそこが琴子ちゃんのいい所なんでしょうね。
いつまでのほほんといられるのか、できればずっとそうであってほしいけれど。

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