日々草子 猫神家の一族 2

猫神家の一族 2

コメントありがとうございます。
皆様のお気づかい、ありがとうございます。
多くの方が仰る通り、私、ただいま花粉症友の会会長ちょしての任務真っ最中でございます…。
お返事できずにすみません。なので新聞に投書するような気持でコメントしていただけたら嬉しいです。
…今年も辛い。
花粉症友の会の会員の皆様、お互い頑張りましょう。
そして今年も入会希望お待ちしております。さあ、あなたもカミングアウト!!

☆☆☆☆☆






「あら、琴子さん。車で出かけたのでは?」
散々な目に遭いながらも、何とか無傷で猫神家の屋敷まで戻って来た琴子と直樹だった。そこへ現れたのは、三人人の女性だった。この二人の女性の特徴を記すと、一人は神経質そうな顔つき、もう一人は人の噂話がいかにも好きそうな、やや太めの女性、そして最後は二人の中間である標準体型といった、地味で一番目立たない様子の女性であった。
「あ、雉子おばさま。ただいま戻りました。」
「私は犬子ですよ。」
「すみません。」
琴子に声をかけたのは、細めの神経質の方だった。
「ええと…入江さん、こちらは犬子おばさま。息子さんは啓太さんと仰って…。」
「違います、啓太さんはあちらの息子でしょう。」
「あ、そうでした。ええと犬子おばさまの息子さんは東馬さんでした。それで啓太さんのお母様は…。」
「雉子ですよ。あなたったらもうここへきて何カ月になるのかしら?」
標準体型の雉子は地味で目立たない女性ながら、物の言い方はきついようである。
「ごめんなさい。犬子おばさまの息子さんが東馬さん、雉子おばさまの息子さんが啓太さん。いつも犬子おばさまと雉子おばさまを間違えてしまうんです。」
そして琴子は最後の太った一人を見て、
「こちらが猿子おばさま。息子さんは金之助さん!」
「どうしてあなたは私だけは間違えないんでしょうね!」
それは間違えないだろうと直樹は思った。太めの猿子はその名が表す通り、顔は猿そっくりなのである。
「間違えても怒られて、間違えなくても怒られて…どうすればいいんだか。」
自分の過ちを棚に上げ、琴子はブツブツと文句を言っている。
「それで?どうして歩いて戻ってきたの?」
雉子が本題に戻した。
「あのそれが…車の調子が悪くなってしまって。」
「まあ、それは災難でしたこと。」
言葉とは裏腹に、雉子は全然気の毒に思っていないことは明らかだった。もしかしたら、三人の中で一番底意地の悪い性格なのかもしれないと直樹は観察していた。

「琴子さん、こちらが仰っていた方かしら?」
猿子が直樹をさすと、三人の視線が一斉にそこに注がれた。
「はい、そうです。こちらが入江直樹さん。」
「琴子さんのお父様のお友達の…。」
「息子さんです。」
「そう…。」
三人は直樹の頭のてっぺんから、つま先までじろじろと見た。
「こんな若い方、信頼できるのかしらね?」
「まあ、琴子さんがどうしてもお連れしたいと言うのだから。」
やれやれと三人が言う。

「それで?どちらの宿にお泊まり?」
猿子の言葉に、琴子は「え?」と顔色を変えた。
「どうしたのです、琴子さん?」
「いえ、その…入江さんはこちらのお屋敷にお泊まりいただこうかと…。」
「そんなことできるわけないでしょう!!」
怒鳴ったのは犬子であった。
「どこの方かも分からない方を、どうしてこの屋敷に泊められましょう?」
「そうですよ、琴子さん。あなた、嫁入り前の女性が何て不埒なことを!」
「男性を泊める?まあ!どんな考えで!あなたに何かあって、あなたのお父様に責められるのはこちらなんですよ?」
犬子、猿子、雉子の順番で琴子を責め立てる。
「そんな…こちらでお願いして来ていただいたのだし、お部屋はいっぱいあるし…。」
「大丈夫です。僕は僕で宿を取りますから。」
黙っていた直樹が口を開いた。
「入江さん、でも。」
「元々そのつもりだったのです。」
「物分かりのいい方で助かったわ。」
直樹の言葉に納得した三人は屋敷へ入って行った。

気分を変えるためにも、とりあえず広大な屋敷の庭を案内しようと琴子が先に進み始めた時だった。

「琴子さん、君があやしい男を連れて来たとか?」
次に登場したのは、もみあげが印象的な、どことなく胡散臭そうな男であった。
「大蛇森先生!」
「どれどれ、もじゃもじゃのボロを着た知り合いとやらは…ん!?」
一人勝手に決め付けていた大蛇森の視線が、直樹の端正な顔立ちにぶつかった。
「こ、これは…。」
そう呟くと、大蛇森は琴子をドン!と突き飛ばし、蝶ネクタイを整えながら直樹の前に進み出た。
「何するのよ!」
「蛾が飛んでいたような気がしてね。」
そして大蛇森は名刺を直樹へ差し出す。
「失礼いたしました。私、こちらの猫神家の顧問弁護士をしております大蛇森と申します。」
「どこから出しているの、その声。」
転がった琴子は口を尖らせているが、大蛇森は全く目に入っていない。
「どうも…入江です。」
「入江さん…下のお名前は?」
「入江直樹です。」
「素敵な名前だ…。」
うっとりと見つめる大蛇森。その大蛇森を今度は琴子がドン!と突き飛ばす。
「何をするんだ!」
「ああら、失礼しました。何だかウジが湧いていたようで、オホホ。」
琴子と大蛇森の視線がぶつかり、火花を散らした。
「こちらにお泊りで?」
「いいえ、旅館に。」
「それはいけない。この辺りはろくな旅館がなくあなたのような美しい方をもてなすことは不可能。よければ私の家にでも。」
直樹の旅行鞄をすかさず手に取ろうとする大蛇森。それを琴子が横取りする。
「これから私がご案内するところですので、ご心配なく。」
「君が案内するような旅館は蛾がいっぱい飛んでいるところだろう。」
「ウジが湧いているどこぞのお宅よりましです。」
ギャーギャーわめく二人を、直樹は「騒々しい」と眉間にしわを寄せて眺めていたのだった。



「ごめんなさい、入江さん。先に私がおばさまたちに話しておけば…。」
「元からそのつもりだったと言いましたよ。」
琴子が案内したのは、猫神家から歩いて10分ほどのさびれた旅館だった。
「それに三婆は騒々しい。」
「三婆って…ぷっ。」
琴子は思わず噴き出してしまった。
「それで、遺言書の公開はまだなんですよね?」
「はい。啓太さんの帰還を待ってからといことなんです。」
雉子の息子、啓太は外地へ出征して、ずっとその安否が心配されていたのだがこの度葉書が届き、戻ってくるのだという。
「あと数日だそうです。その時は犬子…。」
「雉子。」
「そう、雉子おばさまが迎えにいらっしゃるとか。」
「どうして間違えるんだか。」
琴子の記憶力の悪さに、直樹は呆れ果てる。が、琴子は大して気にする素振りも見せずにお茶を淹れている。

「あの三婆の夫はどこに?」
「え?ああ、それは…。」
安物の湯飲みに入れたお茶を出しながら、琴子が言い淀んだ。
「先の戦争で亡くなられたとか?」
「いえ…その…お三方とも離縁なさって…。」
「なるほど。」
「お嫁に行かれたんですけれど。離縁で名字は猫神に。あ、でも息子さんたちはそれぞれお相手の名字を名乗っています。東馬さんは西垣、金之助さんは池沢、啓太さんは鴨狩。」
「それ合ってます?」
三婆の名前と顔が未だ一致していない琴子である。
「大丈夫です。そこはちゃんと覚えているので。」
胸を張る琴子であったが、あとできちんと確認しておこうと思った直樹であった。

「相原家と猫神家の関係は?」
「ええと…曾祖母が桃太郎のおじさまと知り合いだったということはお話しましたよね?」
「はい。どういう知り合いで?」
「よくは分からないんですけれど、古い知り合いだそうです。あ、曾祖母は母方の曾祖母なんですけれど。」
「どちらのご出身なのですか?」
「曾祖母から母まで秋田です
。母が父と結婚して東京に出て来たのです。」
父が海に自ら出ることになり、一人残された琴子はどうしようかと困っていたら、桃太郎氏がその話を何処からか聞きつけ、その間琴子に自分の邸宅で暮らすよう申し出てきたのだという。
「私一人でも大丈夫と思ったのですが、戦後の混乱がまだ続いておりますし。何かあったら大変だからと桃太郎のおじさまが仰って下さって。それでこちらにご厄介になっているんです。」


琴子が帰った後、直樹は自分なりに情報を集めることにした。大体あの三婆の性根は分かったつもりだが、情報は多いにこしたことがない。

「え?猫神様の所の?ああ、あの三姉妹…。ええ、知っていますとも。」
夕食の片付けに来た若い女中に訊ねると、直樹の容姿にすっかりまいっているためペラペラと教えてくれた。

「いやいや、あの気の強い三姉妹は結婚に向いていないんですって!猫神のご当主の意向で皆さん婿を取らずに嫁いだんですけどね?あの性格でしょう?耐えられなくなって離縁ですよ。」
「耐えられないって三姉妹が?」
「違いますよ!それぞれの旦那さんです。それぞれの嫁に耐えられなくなって。というかあの三姉妹がそれぞれ旦那を追い出したというのが本当のところですよ。つまり三姉妹は出戻り三姉妹なんです。」
「なるほど…。」
それで琴子が言い淀んだわけかと直樹は合点した。その辺りの事情をペラペラと喋るような娘ではないらしい。

その晩、直樹は手帳に猫神家の家系図を作った。
「ついでに相原家も作っておくか…。」
全て頭に入っているが、とりあえず文字にしておくことにした直樹だった。


猫神・相原両家家系図

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No title

犬神家ではなく、猫が見家ですね?面白い楽しみにしています。

のののさん、ありがとうございます。

こちらこそ、ご無沙汰してしまい申し訳ありません。
パロディですので明るく楽しくいこうかと(笑)
そして、あら、やだ。私の話題が出ていたなんて。更新滞っていたこと気にして下さってありがとうございます。
もう今はすっかりピークで、辛くて。ここまで来ると天気が悪くても全然変わりませんね。
あら、準会員から脱退ですか?それはそれでめでたいです。いや、辛い目に遭わない方がいいですよ。
スケキヨもお楽しみに♪
プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

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