日々草子 大蛇森の背徳

大蛇森の背徳

お久しぶりです。
更新止まっていてすみませんでした。
ちょっと繁忙期だったことと、秋の花粉デビューをしてしまって。
いやあれだけ春の花粉にやられる体なのに、やっぱりどうしても秋の花粉だと認めたくなくて(笑)
最初はかたくなに「風邪、これ風邪だから」と言い張ってたという…。
秋にまたアレグラ飲むなんて、そして飲んで廃人になっていたという。
少し落ち着いてきたのでまたぼちぼち更新していけたらなと思っております。
遊びに来て下さっていた方、どうもありがとうございました。

☆☆☆☆☆









―― 秋深し隣の馬鹿はミスする奴ぞ

秋だね、僕、大蛇森にふさわしき季節となった。
ん?どこがふさわしいんだって?
何を言ってるんだい、秋を愛する人は心深き人というじゃないか。僕のことだよ、僕。

冒頭の句は何だと?いや、別に。せっかく落ち着いた季節だというのにどこぞの馬鹿がくだらないミスをしているのを朝一で見てしまってね、ま、つい一句ってところかな。

…って、ああ!何で朝一で僕があいつ、あのチンチクリンを見なきゃならないんだか。
まったく心が汚れてしまうじゃないか。

まあ、いい。もう僕はチンチクリンに振り回されるのはやめにしたんだ。入江先生との関係も見つめ直すことにした。
え?ということは入江先生をあきらめるのかって?チッチッチッ、何くだらないことを言ってるんだ。

関係を見つめ直すということはそういう意味じゃない。
ほら、僕は入江先生の戸籍を間借り、いや侵奪しているチンチクリンをどうにかそこから追い出そうと懸命になっていただろ?離婚させようとしてたってことかって?
違うって!入江先生とチンチクリンは結婚じゃなく、書類上の関係だけなんだってば。だから離婚という言葉はふさわしくない、故に使わない。

まあとにかく、チンチクリンを入江先生の戸籍から追い出そうとしていたけどそれはやめることにしたんだ。
つまり、僕は先生の戸籍にこだわるのをやめるってことだ。

ん?意味が分からない。ああ、まったく君もチンチクリンレベルなのか?あそこまでいったらもう人間じゃないよ。

つまりだ、僕と先生の心と心が結びついていれば、入籍とか何だという手続きは関係ないってこと。
入江先生はチンチクリンに愛情があって戸籍を共にしているわけじゃない。同情、いやボランティアみたいなものだ。あの魔獣から他の男を守るため自分が犠牲になっている。だから愛はない!
そんな辛い役目を果たしているのに、今年もノーベル平和賞は先生に授与されなかった…。

それはともかく。
先生が本当に愛しているのは…この僕に違いない。だから戸籍だ何だという薄っぺらい、紙一枚の関係にこだわらず、愛を築いていけたらそれだけで幸せじゃないかという結論に達したんだ。

は?それを世間ではあの漢字2文字の『○○』(『ふ』で始まって『ん』で終わるもの)というのでは?何で?
え?書類上だろうが何だろうが入江先生の妻…No!!妻No!!そういう呼び方禁止!僕の前で永遠に禁止!

…配偶者にチンチクリンが名を入れている以上、それはやはり漢字二文字の『○○』(『ふ』で始まって『ん』で終わるもの)じゃないかって?
いや、だから!先生の愛はあのチンチクリンにこれっぽっちも、枯れ葉一つの重さの愛もないんだって。


いくら『○○』(『ふ』で始まって『ん』で終わるもの)の関係でも、僕と入江先生の真実の愛を知れば全米、いや世界中が涙する究極のラブストーリーになること間違いないだろう、うん。

まったく、こんな話をしている場合じゃないんだ。
僕は入江先生と秋を楽しむために色々と準備してきたんだった。さ、行かないと…。

「入江さん、点滴はまだなんですか?」
「すみません!」
…お前が風に吹かれてどっかに行っちまえ、チンチクリン!

「大蛇森先生、おはようございます。」
「おはよう、入江先生。」
入江先生は予想通り医局にいた。ああ、昨夜からずっと泊まり込んでいるから美しい顔に疲れが…お労しい。
「疲れているようだね。ちゃんと休みは取っているかい。」
「あまり。でも体力には自信がありますから。」
「過信しちゃいけないよ。何よりも自分の体を大事にしないとね。」
「ありがとうございます。」

ああ、きっとこんな気遣い、あのチンチクリンは言わないだろう。「あたしのために働くのよ、働け!」って入江先生にムチ打って馬車馬のごとく働かせているのだろう。あいつ、ブラック企業ならぬブラックナースだな。

「入江先生、朝食は?」
「これを。」
と入江先生が恥ずかしそうに栄養ドリンクの空き瓶を指した。ああ、よくやりがちなんだよ、若い医者は。
「だめだよ、ちゃんと食べないと。」
「分かってはいるのですが。」
「じゃあ、これならどうかな?」
と、僕は持参した重箱を散らかっている机のスペースに置いた。
「実家から栗が届いてね。」
「見事な栗ご飯ですね!」
そう、僕が差し入れにと作ってきたのは栗ご飯だ。実家から栗が届いたというのも理由の一つだが、やはり秋を感じてほしくて。
こういう建物の中に籠もっていると季節を感じる機会も減るからね。せめて食べ物から感じてもらえればと思って。
「あとデザートもよかったら。」
「栗ようかんですね。」
どうだ、見ろ、チンチクリン。貴様にはこんなもの作れまい!季節を感じる食材を利用し差し入れする僕。フフフ、跪くがいい!
「ありがとうございます、大蛇森先生。いつもすみません。」
「いやいや、僕も一人暮らしだから食材が余ってこまるからね。食べてくれると助かるんだ。」
そう、決して相手に気遣わせることない話をする僕。

「ところで先生。」
「はい?」
入江先生は僕の栗ご飯を食べながら(ああ、栗になりたい)、僕を見た。
「秋だね。」
「そうですね。」
「愛ってどう思う?」
「は?」
しまった、ちょっとストレートすぎたか!

「愛…ですか。」
しかしそんな僕の問いにも真剣に考えようとしてくれる先生。ああ、何て優しい。
「知人の話なんですが。」
「うん?」
「まあ、ずっと愛だの恋だの知らない男だったんです。」
「ほう。」
「まあそんな男にも気になる奴が出て来まして。」
「ほう、ほう。」
「ところが色々事情があって、その男は違う相手と結婚することになりまして。」
「ええ!」
「まあそのまま結婚するしかないかとあきらめていたら、気になっていた奴が自分じゃない男と付き合うようなことになって。」
「それで?」
「その時、知人は絶対にそいつを奪われたくないと思ってその時、それが愛だと分かったんです。」
「おお!!」
「僕の知る愛はそんなものですね。」
いやいや、十分だよ!
つまりだ、「知人」という時、人は99.9%それは自分を指すわけで。つまりこの話は入江先生自身の話。
入江先生が気になる奴、それは…僕!
あれ?入江先生と出会ったとき、すでに先生はあのチンチクリンに戸籍を侵奪されていたな?
あ、そっか。先生は頭がいいから自分のこととばれないよう、わざと話の順番を入れ替えたんだろう。
で、気になっていた奴、すなわち僕が入江先生じゃない男…ああ、そうだ!
少し前、西垣先生に飲みに誘われた所を見られていた!そうだ、先生は僕を西垣先生に攫われると思っているんだ!
それを見て、西垣先生になんて僕を奪われたくない、その時先生は初めて本当の愛を僕に見つけたってことか!

「入江先生!」
僕は先生の手をガシッと握りしめた。
「素晴らしい愛の話を聞かせてくれてありがとう。」
「…大したことじゃないですが。」
「いや、素晴らしいよ!うん、この話は僕の胸に秘めておく!」
「あ、いや…別に…。」
いやいや、いいんだ。今は言いふらす時じゃない。いずれその時が来たら…。



************

「入江くん、大蛇森先生どっか行った?」
「何だ、ここにいるって知ってたのか。」
次にやって来たのは琴子だった。
「お前、攻撃しかけてくるかと思ったのに。」
「夜勤明けでそんな体力残ってないんだもん…あら?おいしそう!」
俺の前に広げられている栗ご飯と栗ようかんをめざとく見つけた琴子は、いそいそと隣に座った。
「これ、大蛇森が?」
「そうだよ。」
「ふうん…。でも食べる。」
憎たらしい大蛇森先生の作ったものでも食うのか。
「もぐもぐ…うん、悔しいけどおいしいわね。まったくこの腕を使って別の男見つければいいのに。」
嫌いな相手でも長所は素直に認めるんだよな、こういうとこ、琴子の長所で俺の好きなところでもあるんだけど。
「なあに?」
じっと見ていたからか、琴子が口を動かしながら俺を見た。
「いや、すごい食欲だと。」
「夜勤明けでお腹ぺこぺこ。」
琴子の口元についている栗のつぶを拾い、俺は食べた。こういうのも夫婦だからできることなんだろう。

「大蛇森先生と何の話してたの?」
「愛の話。」
「あいぃぃぃぃぃぃ!?」
「い」の部分を思い切り口を横に伸ばして、これ以上汚らわしいものはこの世にないというような顔を琴子はした。
「ちょっと、口説かれたの?ねえ、入江くん!口説かれた?」
「違う。俺がちょっとした思い出話を。」
「愛の思い出?何、それ!ねえ、私も聞きたい!」
「教えない。」
「大蛇森には言えるのに?」
「そ。でもお前には内緒。」
「やだ、そんなの!!」
ギャーギャーわめく琴子の口に俺は栗ようかんを一切れ放り込む。
「もぐもぐ…うん、これもおいしい。悔しいけどおいしいわ。」
たちまち食べ物に夢中になるこいつはやっぱり子供だ。

「お前と大蛇森先生ってどっか似てるよな。」
「料理の腕!」
「その無駄に前向きなところだよ!」
口が裂けても、お前と結婚決めたときの話をしたなんて、しかもしれを愛の話として打ち明けたなんて言えない。絶対言わない。恥ずかしくってやってられなくなる。
でもいくら俺が琴子との馴れ初めを話したところで、恐らくあの先生は自分の都合のいいように解釈して勘違いして浮かれているんだろう。
そういうところ、この二人は似てるから面白い。

「入江くん、お茶淹れるね。」
「サンキュ。」
できれば料理の腕も似てほしいぜ、琴子。

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マロンさん、ありがとうございます。

いつもコメントありがとうございます。
そうなんですよね、今年はおかしな気候で。
花粉症じゃなくとも、色々体に影響を及ぼしている人多いみたいで。
マロンさんもお体ご自愛下さいね。
大蛇森先生、本当にレベルアップ。心がつながっていればと端から見たら究極のプラトニックなんですけどね。
そうそう、認めない、認めない(笑)
食べ物に罪はないんですよ。おいしいものはおいしい。単に二人の食事係になっていることに大蛇森が気づく日はくるのか。

たまちさん、ありがとうございます。

いつもコメントありがとうございます。
何だかキンモクセイの香りがしだしたら目がかゆくなってきて、くしゃみと鼻水がひどくなって。
まさか秋に鼻うがい買うことになるとは思いませんでした。
本当、お互い乗り切りましょうね!

ハードル下げているんだかどうなんだか。
事実婚狙いってところは本当に今風というべきなのか。
愛人でいい、妻の座は求めないって純愛なんですけどね…。
女子力こんなにあるんだから、少し琴子ちゃんに分けてあげてほしいくらいです
入江くんに尽くしているつもりが、実は琴子ちゃんにも尽くしていることになっていることに気づいたらどうなるんでしょうね?
黒魔術!それはそれで面白いかも!(メモメモ)

紀子ママさん、ありがとうございます。

いつもコメントありがとうございます。
そうなんですよ!本当、なぜか秋の花粉は認めたくなかった(笑)
私もついこの間二日間ばかり落ち着いたかと思ったら、また昨日から鼻がつまってきて。
10月の前半がピークとかいうのに何か違うのかと思っていたら、紀子ママさんも同じなんて~。
アレルゲン、五年前に秋の花粉も調べてもらってその時は大丈夫だったんですけど、今年また調べてもらおうかな~と考えてみたんですが、キンモクセイは調べられないとかで(この香りがした頃に症状が開始されたので)、じゃ行くのやめるかと。

大蛇森先生と琴子ちゃん、似てますよね。入江くんに一途なところとか。前向きなところとか。
でも似ているからこそぶつかり合う。琴子ちゃんは結婚しているんだからどーんと構えていればいいのにあんな大蛇森相手でも本気になって戦うところがいいんですよ。

ちっちぽっぽさん、ありがとうございます。

いつもコメントありがとうございます。

アレグラは少し飲んだだけで後は飲まずにいるのですが、鼻が詰まり気味で。
お気遣いありがとうございます。

大蛇森先生の特徴、出てますか?嬉しいです。
いつのまにか女子力の高い設定になっていますけど。
入江くん、うまいこと大蛇森をかわしてますよね。
一応、先輩医師だから粗略に扱えないのでしょうか。

コメント読みにくいことないですよ。逆にとても読みやすいです。ほどよい余白とお手紙形式がとても可愛くて。
ハンドルネームもとても可愛くて、いつも癒やしていただいております!

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佑さん、ありがとうございます。

お返事遅くなりすみません。
琴子ちゃん、おいしいものはライバルが作ろうが食べるんです(笑)
ごはんに罪はないから!
入江くん、しみじみとプロポーズ付近を振り返ってもらいました。でも気づかないんですよね、大蛇森先生は!
栗ご飯、おいしそう!

りょうママさん、ありがとうございます。

お返事遅くなりごめんなさい。
本当、秋はおいしいものが沢山で大蛇森先生も腕のふるい甲斐があるというもの。
それでも琴子ちゃんの胃袋に入っていくのが何というか。
そうですよね、ごきげん取っておけば琴子ちゃんと争うこともありませんよね!

tatさん、ありがとうございます。

お返事遅くなりごめんなさい。
このたびはうちに来て下さってありがとうございます!

うわ~そんな風に言っていただけると嬉しいです!
もう好きなだけで、よく分からないところはぼかして書くし、いつも「専門的な人が読んだら絶対笑われるレベルだ」と思いながら書いているので!
でもイタキスのファンの方って優しい方が多いからきっと見ないふりをして下さって、暖かい目で見て下さっているんだろうなとも思ってました(笑)
「天の海…」は私が韓国時代劇を見ていて書いたシリーズだったはず。最近久しぶりにまた見ているのでちょっと書いてみたい気もあります。
でもなかなか今の連載も更新出来ないので、またお待たせすると迷惑をかけちゃうので慎重に進めないといけないなとも思っています。
本当に優しいお言葉を沢山ありがとうございます。
とても嬉しかったです!

う~ん?何気に、築いたんじゃないの?大蛇森もさ、入江君と、琴子ちゃんの、間には、二人の関係には、入れないてさ?きずいてないか?今だに、自分に、、入江君が、大蛇森に、プロポーズすると、思ってるんだもんね、入江君が、どれだけ、琴子ちゃんを、愛して、思ってるか、入江君のためにも、看護師になるために、頑張ったkわかっていないんですよね?大蛇森と、琴子に照るからこそ、会わないんでしょうね。v-12
プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

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