日々草子 君に花を捧ぐ 10

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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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君に花を捧ぐ 10


申し訳ありません!
9月15日過ぎてもご覧の通り、終了できませんでした。
なんとか9月いっぱいには終わらせられたら…いや難しいかも!
そして連休は親戚宅へ法事で出かけるので更新はできません。すみません。
☆☆☆☆☆






その晩見たことをモッティは誰にも言わなかった。いや、言えなかった。
ただナオキヴィッチとコトリーナ、お互い憎からず想っているのに思うがまま行動できないもどかしさ、その辛さを我が事のごとく感じていた。

一方、舞踏会が成功に終わったケイはコトリーナとの結婚にますます加速をつけようとしていた。
「そりゃうちは子爵家だけど、でもコトリーナを幸せにする自信は誰にも負けないぜ。」
「はあ…。」
「何だよ、モッティ。張り合いのない相づちだな。」
「失礼しました。」
この日もモッティはケイの話し相手をしていた。が、心は別の所へ行ってしまっている。
「この間の舞踏会、俺たちお似合いだって評判だったんだけど。あ、コトリーナの耳にも入っているかな。」
「さようでございますね。」
「おい、ちゃんと聞いてくれよ。」
「申し訳ありません。」
「まったく、メイドのお前に協力してもらわないと困るんだからな。」
文句を言いながら、ケイは姿を見せないコトリーナを気にかけていた。

「コトリーナ、本当に大丈夫なのか?」
「はい、お体は。」
あの夜からコトリーナはほとんど部屋に籠もるようになってしまっていた。もっとも食事の時は姿を見せるし屋敷内を歩いていることもある。が、ナオキヴィッチと顔を合わせないようにとしていることはモッティには明白だった。
今日もケイが来ても人に会いたい気分ではないと言っている。
「お嬢様も年相応の落ち着きを見せ始めたということでしょう。」
モッティはケイにあらぬ疑いを持たれぬよう誤魔化した。
「そういうことか。」
確かにレディはそうやすやすと人前に姿を見せない。
「刺繍や読書など、教養を深めていらっしゃるのですわ。」
「そうか。まあ、それなら邪魔はしまい。」
モッティの言葉を何一つ疑うことはせず、ケイは帰って行った。


コトリーナの恋を応援したいモッティではあるが、どうしてもわだかまりがあった。
――ナオキヴィッチは人間じゃないのでは?
いつぞやの夜、自分が目で見た出来事。最近になって忘れたはずのその考えが、又モッティの頭の中に巡り始めていた。
「もしそうだとしたら、お嬢様は…。」
そうだとしたら、ナオキヴィッチがあの夜涙を流していた理由も説明がつくのではないだろうか。
「だめだめ、それはあまりにナオキヴィッチ様に失礼なことだわ。」
いくらなんでも怪物扱いは酷すぎる、モッティは頭を振って考えを振り払った。


しかし、そんなモッティの気持ちを打ち砕くことがとうとう起きた。

ある日のこと、アイハーラ伯爵の書斎にモッティは呼ばれた。
「確か先生がいらしているはずよね?」
1時間ほど前、医者が訪れたところだった。お茶のお代わりだったらそう言われるはず。書斎への来客中に呼ばれたことなどないモッティは何事かと思いながら書斎のドアをノックした。
「お入り。」
伯爵の声が聞こえ「失礼いたします」とモッティは中に入った。やはりそこには医者がいた。
「すまないね、突然呼び出してしまって。」
「とんでもございません。」
この伯爵はいつも仕事中である使用人を気遣ってくれる。
「そこに座ってくれないか。」
「え?」
「構わない、さあ。」
メイドが座るなんてとんでもないと思ったが、伯爵がそうするよう言うのでモッティは遠慮がちに腰を下ろした。
「モッティ、いつもコトリーナが世話をかけて苦労させる。」
「とんでもございません、旦那様。」
「コトリーナが信頼して、そして賢いお前にだけは話をしておこうと思って。先生とも相談してのことだ。お前は知っておいた方がいいだろうと。」
伯爵の言葉に医者も頷いた。
「今、村の娘たちを襲う謎の病については知っているね。」
「はい、旦那様。」
「一向に収まる気配のない病について、先生がある考えを示された。」
「そうなのですか。」
ようやく原因が分かったのだろうかとモッティは少し気分が楽になった。が、それでどうして自分がこの場に呼ばれるのだろうか。
「モッティ、いつぞやの夜にコトリーナが騒いだことを覚えているかい?」
「はい、勿論ですとも。」
答えた途端、モッティの背筋がゾクッとなった。もしや…?

「…モッティ、コトリーナも村の娘たちと同じように倒れるところだったかもしれない。」
「どういうことでございましょうか?」
「村を襲っている謎の病は病ではないかもしれないのだ。」
「病ではないとおっしゃられますと?」
「…吸血鬼の仕業ではないかという考えがわしと先生の間に出ているんだ。」
「吸血鬼!」
モッティは真っ青になった。
「そ、そんな…そんなものが現実に?」
空想の世界の生き物ではないのか。モッティは伯爵と医者を見た。が、二人とも冗談を言っている顔ではないし、そんなことを言うために自分を呼んだりするわけがない。
「ではお嬢様も?お嬢様もでございますか?」
伯爵は頷いた。
「コトリーナの首にあった痣、あれは村の娘たちと同じものだった。」
「あと少し駆けつけるのが遅かったら、お嬢様の命も危ないところでした。」
「そんな…。」
「恐ろしい話を聞かせてすまない。が、お前にだけは話しておいた方がいいという結論になったんだ。コトリーナの側にいて、何かあったらすぐにわしや先生を呼んでほしい。」
「またお嬢様の元に吸血鬼が来るというのですか?」
「分からないが…。」
詳しいことはまだ何も分かっていないらしい。が、もはやそれしか原因は見つからないと医者が言った。
「お前のことも怖がらせてすまない、モッティ。」
「とんでもございません。お嬢様のことはお守りいたします。」
半信半疑といった体でモッティは書斎を後にした。

吸血鬼…その話を聞いた途端、モッティの中で全ての事象がカチッと当てはまった。
村で娘が倒れた翌朝、ナオキヴィッチは起きてこない。壁をすり抜けていったナオキヴィッチ。そして…。
「初めてお会いした時の、あの花…。」
掃除を完璧にしておいた部屋で見つけた枯れた花。もしかして、あれはナオキヴィッチが触れて枯らしたもの?
「だとしたらナオキヴィッチ様は吸血鬼…。」
呟いた途端、モッティは膝から崩れ落ち、ガタガタと震え始めた。


吸血鬼の正体はナオキヴィッチではないだろうか。モッティは何度も伯爵に告げようと考えた。が、確実な証拠が出てこない。
「…モッティってば!」
コトリーナに呼ばれてハッとなった。
「どうしたの?気分が悪いの?」
「いいえ、お嬢様。」
ボンネットの下から心配そうなコトリーナの顔が見える。
「やはり誘わなければよかったわね。」
自分が誘ったから無理をさせてしまったと、コトリーナは申し訳なさそうに言った。
「とんでもございません。」
最近元気のない自分を心配して、村への見舞いに連れ出してくれたコトリーナの気持ちをモッティは嬉しく思っていた。コトリーナこそ、あの夜以来元気がないというのに。
「嬉しゅうございます、こうしてお嬢様のお供ができて。」
「辛かったら遠慮せずに言ってね?」
お互い気遣いつつ、目的の家に着いた。

「さすが村一番の綺麗な娘さんの家ですね。」
「本当ね。」
今日見舞う相手は村一番の美女の家だった。それだけに家の周りを若い男たちがうろついている。
「あ、お嬢様。」
そんな男たちも伯爵令嬢には礼儀正しい。
「病人がいるのですから、お静かにね。」
「はい。」
コトリーナの言葉に、男たちは名残惜しそうに家から離れていった。

「あいつら、やっといなくなったか。」
家でそんなことを口にしているのは、この家の末っ子であるジョンであった。
「姉ちゃんに取り入ろうと必死なんだぜ、お嬢様。」
「無理もないわ。ローザはとても綺麗な娘さんですもの。」
そのローザは青白い顔でベッドにいたが、コトリーナの顔を見て笑顔を見せた。
「ああ、無理しちゃだめよ。そのままで。」
起き上がろうとするローザをコトリーナは止めた。
「先生はすぐに良くなるとおっしゃっていたんですってね。ゆっくり休んでね。」
「ありがとうございます。」
そしてコトリーナは見舞いの食料をローザの親へ渡した。



「お嬢様!お嬢様!」
帰途についたコトリーナたちを、ジョンが追いかけてきた。追いつくと、周囲に誰もいないかジョンは見回した。
「内緒のお話?」
その様子を見てコトリーナが訊ねると、ジョンが頷いた。
「あのさ、姉ちゃんが倒れたのって昨日の朝なんだけど。」
「ええ、そうだと聞いたわ。」
「俺、その前の夜に見ちゃったんだ。」
「まあ、何を?」
「お化け。」
「え…?」
いくら相手が年端も行かない子供でも、コトリーナはお化けというものが大嫌いで怯えた。
「姉ちゃんが寝てたところに、お化けがユラユラって近づいたんだ。」
トイレに立ってジョンはその一部始終を見ていたという。
コトリーナはジョンが夢を見ていたのだろうと思いつつも、話を聞いてやることにした。しかし、コトリーナの後ろに立っているモッティの顔色は青ざめていた。
「それで?」
「俺、後をつけたんだ。少し姉ちゃんの所にいたと思ったらそいつ、家を出て行ったから。」
「まあ怖いことをしちゃだめじゃない。」
「平気さ!でもそいつ…顔は見えなかったけど、黒いマントを着てたんだけど。あっという間に消えちまった。」
「黒いマント…。」
夢にしては随分具体的だとコトリーナは思った。
「ご両親にお話して?」
「したよ!でも誰も信じてくれなくて!姉ちゃんはあんな調子になったってのにさ。」
確かに子供の戯言だと思われても仕方ない。
「夢なんかじゃないよ!ちゃんと証拠だってあるんだ!」
「証拠?」
「お嬢様は俺の話を聞いてくれたから見せてあげる。」
「ほら」と誇らしげにジョンが見せたものに、コトリーナは言葉を失った。
「それは…。」
「これ、雑巾だよな?掃除が好きなお化けっているの?」
ジョンが広げて見せたもの、それはコトリーナが心を込めて刺繍して贈った、ナオキヴィッチのハンカチだった…。



ジョンをうまく言い含め、コトリーナはハンカチを受け取ることに成功した。
「どうしてナオキヴィッチ様のハンカチが?」
信じられなかった。どうしてこれが落ちていたのか。道を歩いていて落としたものと、ジョンが追いかけたお化けが偶然重なったのか。
「まさか…夜這い…?」
ジョンの姉ローズは美人で有名。美人の元に夜這いをかけにいって、ジョンの気配を察してナオキヴィッチは逃げたのだろうか。
「だったら…私の元に来て下されば…。」
呟いたとき、コトリーナはハッとなった。自分が何を口走っているか気づき顔を赤くした。
「お嬢様。」
「今のは聞かなかったことにして、モッティ。はしたないことを考えてしまったわ。」
だから自分のことをナオキヴィッチは見てくれないのだと、コトリーナは自己嫌悪に陥った。

コトリーナはナオキヴィッチが夜這いをかけに行ったのではと疑っている。が、モッティは違った。
――やはり、ナオキヴィッチ様は…。
ますます確信を深めるモッティ。そして決意した。

「おや、どうした?モッティ。」
「お話がございます、旦那様。」
ただならぬモッティの様子に、アイハーラ伯爵は驚きつつも前に座るよう促してくれたのだった。



☆☆☆
本日も読んで下さりありがとうございました。

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