日々草子 大蛇森の申年

大蛇森の申年

『杜の都…』はハッピーエンドを迎えた後ということでドキドキがないのかな?こちらをアップしてみよう(笑)

☆☆☆☆☆










2016年、今年もよろしく。
え?年も改まったんだから考えも改めろ?何だね、この僕、大蛇森にそんな失礼なことを言うなんて。
大体改める必要のある考えなど僕は持ち合わせていない。医学に対する真摯な態度、一人でも多くの患者を救いたいという気高き志、それは変わらないさ。

ん?そうじゃない?何だと?あのチンチクリンに対する考え?
あいつが成長しない限りダメナースの烙印は押されたままじゃないか。
ああ?いい加減あのチンチクリンを入江先生の…と認めろ?はあ!?冗談じゃない!そんなこと絶対認めない、おあいにく様!
いいか?2016年になろうが、2017年になろうが、2020年、東京オリンピックを迎えようが、チンチクリンは入江先生の妻、配偶者じゃない!
あいつは戸籍謄本上、入江先生の美しき御名の横に図々しく名前を連ねる、態度のでかい女!入江先生は無償の憐れみをもって、ご自分の戸籍謄本の余白を貸していらっしゃる、ただそれだけの関係!いいね?わかったね?

しかし、今年は申年か。申だけに去る…あのチンチクリンも病院を去ってくれないだろうか。いや、いっそ入江先生の側から去ってほしいが、とりあえず病院から去る…いやいや、だめだ!

あの脳味噌スッカラカンの奴が病院を去ったら、間違いなく暇をもて余す。そうなると、とんでもないことをスッカラカンの頭で考え始める。
何を考える?そりゃあこの世のものとも思えない、恐ろしいことさ。
…ズバリ、入江先生の子を欲しがる!

え?夫婦なんだから別にって?だからさっきも言ったよね?戸籍謄本の余白を占領しているだけだって!
だから入江先生は夫婦としての関係は築いていないはずなんだ。そりゃああの方は誰よりも心優しき方だから、あのチンチクリンにも情けはかけて粗略な扱いはしていないだろう。で、チンチクリンはそれに甘えてどんどん入江家を侵食していっている。
で、入江家最大の侵略方法、それは子供を作ることだろう。

ああ、勿論、入江先生はそこまで許したりしないはずさ。入江先生の体は絶対神聖なまま、無垢なまま。そう、その美しき体を染めていいのは僕の心だけ…。
と、話がずれてしまいそうになった。
とにかく子供を作るなんて真似は入江先生は絶対していない。が、あのチンチクリンは絶対にどうにかして入江先生の子を作り、入江家から追い出されないよう考えるに違いない。スッカラカンの奴はそういう悪知恵だけは働くんだよな、チッ!

それでだ、スッカラカンチンチクリンがどう動くか、僕はシミュレーションしてみた。
まず入江先生は普段は絶対チンチクリンに心を許していないはず。
そこでチンチクリンはどうするか。入江先生を昏睡状態にさせるに違いない。入江先生はお酒は強いから酔いつぶれるなんてことはないだろう。が、薬を使われる可能性はある。いやいや、あいつはそんな知的なことは考えないな。ドリフなみに頭の上に金だらい落として気を失わせるだろう。

それで意識を失った入江先生の大事な部分を、文字通りのあいつのバカ力にてギュッって握って、貴重な先生の分身を採取する。
そこでスピッツでも使えばまあナースらしいのだろうが、あのチンチクリンに限ってそんなものを準備するわけない。
紙コップ…いやいやあのチンチクリン、くだらんところでドケチ精神を発揮しそうだから病院から検尿カップを持ち出すだろう。「検尿カップは山ほどあるし~あたしって節約上手のいい奥さんでしょ?」としたり顔のチンチクリンが目に浮かぶようだ。
だが、所詮チンチクリンの頭だ。
「いっけなーい、検尿カップの蓋がない!」なんて採取した後に気づくに違いない。
きっとあいつはラップをして外れないよう輪ゴムで止めるだろう。いやいや、もしかしたら自分がガバガバ飲み干したスタバのコーヒーについていたプラスチックの蓋で代用しかねない。
「あたしって、エコよね~ウフッ」とか笑っている顔が目に浮かぶ。んなもんで蓋をしたら、貴重な分身にコーヒーの香りがついてしまうじゃないか。

ああ!想像しただけで腹が立つ!いつか将来、僕が受け入れる可能性のある(医学がそこまで発展したらね)入江先生の大切な分身を検尿カップに入れるなんて!!絶対許せん!!何が何でも、チンチクリンが検尿カップを産婦人科に持ち込むことは阻止せねば!

チンチクリンの血が流れる子供ができたら、またその子供はチンチクリンの血が流れているわけで…チンチクリンの遺伝子はどんどん増えていって最終的には…地球が滅亡する!!

ハッ!つい興奮してしまったじゃないか。まだそこまで行動は起こされていないんだから。
落ち着け、落ち着け僕。ハアハア…。

そうなると、チンチクリンをこの病院から追い出すわけにいかない。くやしいが入江先生のためにもここで面倒を見てやるしかないということか。
まあいい、入江先生と僕の輝かしい将来のためなら耐えることにしよう。入江先生のあの優秀な遺伝子を受け入れ、その血を絶やさないようにするのはこの僕、大蛇森以外に考えられないのだから。

が、それでもいつかはチンチクリンが入江先生の元から消えてほしい。
そこで僕はこんな物を用意した。
ジャーン!赤パンツだ!申年は赤い物を身につけると病などが去るというだろう?入江先生からもチンチクリンという名の災いが去りますようにという、僕の願いを込めた。
いっておくが、おばあちゃんの原宿で売られているような安価な赤パンツじゃないからな。海外から輸入したシルクの赤パンツだ。
そして僕の願いの他に、霊験あらたかな寺院にてご祈祷をいただいてきた。いやあ、冬のボーナスの半分近くつぎ込んだが、入江先生のためならば惜しくないというものだ。

さて、これを早速入江先生に渡すことにしよう。





************



「あれ?お前、赤パンツなんて履いてるの?」
手術後のシャワーの後、俺の下着を見つけた西垣先生が面白いと笑い出した。
「何だよ、もしかしてあれか?申年にちなんで?」
「…何か問題でも?」
別に赤パンツを履いてはいけないという院内規則はないだろう。
「だってさ、お前がそんな俗めいたことをするなんておかしくて!」
ダサいだの爺くさいだのと笑う西垣先生。まったく、年が変わってもしょうがない人だ。
「琴子が買ってきたんです。」
「へえ、琴子ちゃんが?何、お前のパンツ、琴子ちゃんセレクト?」
「俺に災いが来ないように、俺の患者さんから病気が去るようにとの願いだそうです。」
「へえ。」
「ま、こういうのも結婚した醍醐味かなと。」
「へ?結婚?醍醐味?」
「独身だったら絶対こんなことしませんけど、結婚して奥さんの考えに乗る自分も嫌いじゃないなって。」
これは本音だ。絶対に独身だったらこんなもんは履かない。が、琴子の俺と俺の患者に対する思いが嬉しかったし、琴子の単純なところに乗っかる自分って悪くないと思う。
「結婚して自分の知られざる一面が分かったというところですかね?まあ万年独身の誰かさんには永遠に分からないでしょうが。」
「万年独身だの永遠だの、勝手に決めつけるなよ!」
「そうですか?」
「僕はみんなの西垣先生だから結婚できないわけで、まったく!」
「にしても」と西垣先生は俺の下着をまじまじと見る。
「琴子ちゃんが選んだパンツか…。」
ったく、この人はどういうわけか琴子にちょっかいを出そうとする。琴子にも赤いパンツを履かせたほうがいいな。ろくな男は去るという意味で。いや、パンツだけじゃなくブラも赤にするのも…赤い下着姿の琴子…これもまた知らない雰囲気でそそられるもんだ。
うん、帰りに買って行こう。で、早速今夜、サル合戦…なあんて。

「おい、人の話を聞けよ。」
「ああ、そうだ。よかったらこれ、あげましょうか。」
俺は先ほど大蛇森先生からもらった赤パンツを出した。
「俺はもう持っているし。」
「え?もしかして、琴子ちゃんセレクト?」
「いや…。」
「何だよ、お前!随分心にゆとりが出て来たんだな、うん、そうだな。琴子ちゃんのパワーがこもっている赤パンならどんな病も消え去るな!サンキュー!」
勝手に琴子が選んだと思い込んで、ああ、早速履いている。西垣先生って本当に単純な人だ。
「お!お寺のお札までついてるじゃん!琴子ちゃんって信心深い所あるんだね。」
だから大蛇森先生からなんだが…まあ、いいか。

「そういやさ、検尿カップの管理を厳しくしようって提案が出されたらしいぜ?」
赤パンを抱きしめながら西垣先生がそんなことを口にした。
「検尿カップを持ち出す時は氏名を記入させるとかなんとか。いちいち面倒でやってられなくない?」
確かにそうだ。備品を大事にというのは分かるが検尿カップごときにそこまで。大学病院、何人が毎日検尿すると思っているんだ。
「誰がそんなこと言ったんだろうな。」
「さあ?誰かがそれでお茶でも飲んでいるのが見つかったんじゃないですかね?」
「おいおい、いくら未使用でもそれは勘弁だぜ。」
アハハと笑いながら西垣先生は赤パンを履いた尻をフリフリと振った…間抜けだ。



************

ああ、何て幸せ。
先ほど入江先生に訊ねてみたら「早速履いてます」と答えが返ってきたじゃないか!
やっぱり先生の本心はあのチンチクリンに去ってほしいんだろうな。大丈夫、僕の願いがたくさんそのパンツに込められているから。
しかも、しかも…ムフフ。僕も今日履いているんだよねえ。だから、お・そ・ろ・い♪
それだけで幸せを感じる僕って、何て純粋なんだろう。そしてささやかな恋心に酔いしれる僕ってス・テ・キ♪

あ、西垣先生だ。いつもどっか浮かれている感じだけど、今日はそれ以上に浮かれているな。
あーあ、スキップまでしちゃってるよ。全く、少しは落ち着きがほしいもんだ。
ん?何、尻なんて触ってるんだ?ハハーン、どっかのナースに下着でももらったか。まったくめでたい人だよ、あんな尻軽男にパンツを贈る奴の顔が見たいもんだね。





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