日々草子 イリエアン・ハネムーン 1

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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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すっかりご無沙汰してしまい、申し訳ありませんでした。
色々忙しくしていて、ネットからも遠ざかっておりました。そして気づいたら広告が出ていたんですね。
なんかそんなに経っていたか~と驚いたり。
留守の間にコメントもいただいていたようで、ありがとうございました。お返事できないままで申し訳ございません。
旧作を楽しんでいただいていること、とても嬉しいです。
リハビリがてらに書いてみましたが、おつきあいいただけたら嬉しいです。

☆☆☆





イーリエ王国にある、とある一軒の店がこの日大賑わいであった。
「はい、ケーキとクッキーですね。」
「ビスケット5箱お待ちのお客様~。」
客が一人出て行けばまたすぐにやってくる。さして広くない店内は押すや何やの状態だった。
それもそのはず。この店はイーリエ王国の王室御用達として名を馳せていた。その店が全品安売りをするという日なので、この時とばかりに客がたくさんの菓子を購入していくのだった。

午後になってすぐ、全ての商品を売り切ってしまったため店は閉店時間を待たずに扉を閉めることになった。
「やれやれ、すごい人気だったわねえ。」
「お疲れ様でした、コトリーナちゃん。」
「お妃様を手伝わせてしまって申し訳なかったわ。」
店の主人のヨシヤとその妻がねぎらっているのは、この国の王子の妃であるコトリーナだった。今日は店が混むということで手伝いに来たのである。ヨシヤ夫婦とおそろいのチェックの仕事着で店頭に立っていたコトリーナを客は誰も妃とは気づかなかった。
「ううん、とても楽しかったわ。ヨシヤくんのお菓子が大人気なのを目にして嬉しかったもの。」
「それも王室御用達の看板のおかげだよ。」
ヨシヤは少し残ったクッキーを出しながら感謝の眼差しをコトリーナに向ける。
「そんなことないわ。ヨシヤくんの腕が全てなんだから。」
と言いながらコトリーナはヨシヤの妻に抱かれた赤ん坊、トシヤに「ね?」と笑顔を向けた。
「トシヤちゃんもおとなしくしてて、偉かったですね。」
「この子、お金の音が聞こえる度に笑っていたのよね。」
「子供ながらにお店が繁盛しているのが嬉しかったのね、きっと。」
コトリーナはトシヤを抱かせてもらった。すっかりコトリーナに懐いているトシヤはご機嫌な笑い声を腕の中で上げる。トシヤたちに断って、コトリーナはトシヤを抱いて外の空気を吸いに出た。

「ねえ、あなた。」
トシヤの妻がツンツンと夫を突いた。
「何だい?」
「ここまで手伝ってもらったのだから…。」
そう言って妻は厨房の片隅を指した。
「ああ…そうだね。」
そこには大きな包みが置かれている。トシヤ夫婦はその前に歩いて行き、中を覗いた。
「今朝、コトリーナちゃんがこれを背負って現れた時には覚悟を決めたよ。」
「そうよ、大丈夫。あなたが教えれば何とかなるわ。」
「いや、教えるのが嫌だってわけじゃないんだよ?ただ…。」
ヨシヤはもう一度、包みの中を覗いた。
「…ザッハトルテはまだ、コトリーナちゃんには早いと思うんだよね。」
「でも、材料をこうして持参して来たわけだし。」
「うん、そうだね。ここまで気を遣ってもらったわけだし。」
ヨシヤ夫婦がそろって大きく頷いたところに、トシヤを抱いてコトリーナは戻って来たのだった。



「ウフッ、ウフフ…。」
トシヤに負けないほどの機嫌のいい笑い声を一人上げながら、コトリーナは王宮に戻って来た。
「ザッハトルテ、成功したわ。」
ヨシヤが手取り足取り教えてくれたおかげで、試作のザッハトルテは大成功だった。もちろん、それはその場で食べてきた。愛する夫、ナオキヴィッチに食べてもらうケーキはコトリーナが一人で作るつもりだった。
「やっぱり私のお菓子の腕前はかなり上がったってところね。」
コトリーナは腕を曲げ大して出てもいない力こぶを撫でる。
「そのうち、ヨシヤくんに暖簾分けしてもらってお店を出すのも悪くないかも…ん?」
スキップしていたコトリーナの足が止まった。前方を歩いている男性はナオキヴィッチ付の侍従ではないか。そして後ろからワゴンを押した侍女が付いて行っている。どうやらナオキヴィッチの書斎から出て来た所らしい。ワゴンには銀の覆いのある皿が乗っている。
「王子様が何か召し上がったのかしら?」
それがおかしいというわけではないが、何となく気になったコトリーナは侍従たちに気づかれぬように後を付いて行った。
侍従たちは厨房へとやって来た。扉の隙間から中を見るコトリーナの目が驚きで大きく開かれた。
「な、何、あれ?」
侍女が取った覆いの中から現れたのは、それはそれは見事なケーキだった。そのデコレーションの美しさといったら。一体どこの誰が作ったものなのか。ヨシヤのような腕のいいパティシエが他にもいるのか。いや、そもそもこのケーキは一体どこから?
「サヴォンヌ姫からの贈り物ですね?」
料理長の台詞がコトリーナの耳に聞こえた。
「そうです。」
侍従が困ったように頷いた。
「それにしても、サヴォンヌ姫の腕前には毎回驚かされますな。」
「何ですって!?」
コトリーナは耳を疑った。ということは、あのケーキはパティシエではなくサヴォンヌ姫のお手製ということか。ザッハトルテに成功し、すっかり上機嫌だったコトリーナは頭から水をかけられた気分になってしまった。

「妃殿下?何か御用でしょうか?」
厨房の扉にへばりついているコトリーナを心配して侍女が声をかけてきた。その声が厨房の中まで聞こえたのか、侍従と料理長は「え!?」と同時に声を上げる。
「妃殿下、おいででしたか。」
ナオキヴィッチのお茶菓子作りでしょっちゅう厨房に出入りしているので、すっかりコトリーナには慣れっこになっている料理長を始めとするコックたちであったが、さすがにこの時は狼狽していた。
「ええと…あの…素敵なケーキですね?」
取り繕ってコトリーナが笑顔を見せた。
「サヴォンヌ姫とおっしゃるのはどなたでしょうか?」
コトリーナの質問に侍従は困った表情を浮かべる。
「あ、いえ、別に気にしているわけじゃなくて。ほら、聞いたことのないお名前だし。」
「オーイズミ公国の公女様でございます、妃殿下。」
「オーイズミ公国の公女様?まあ、ではその方はよくケーキを王子様に?」
「…時折でございます。」
「その…オーイズミ公国には王子様と私が結婚したということは…?」
「お知らせしております。」
「そう…ですよね。」
困った顔を浮かべる侍従たちを何とかせねばとコトリーナは思った。
「まあ、本当に見事ですこと。私も見習わねばいけませんね。」
サササとケーキを見ると「お邪魔しました」とコトリーナは厨房を急いで出て行った。



「ああ、たまにケーキを届けて来るんだ。」
夕食の席でコトリーナに尋ねられたナオキヴィッチは事もなげに答えた。
「…そんなこと、王子様仰らなかったわ。」
自分がナオキヴィッチの傍に来てからは届いたことがなかったから、今まで知らなかった。いや、それにしてもコトリーナから問われなければナオキヴィッチはサヴォンヌ姫の存在を隠していたのだろうか。隠すような間柄ということか。コトリーナの想像はどんどん悪い方向へ進んでいく。
「その…王子様、あのケーキは。」
「食べるのか」とコトリーナが聞こうとすると、ナオキヴィッチは立ち上がった。
「すまない、片付けねばならない仕事があるから先に戻る。」
見るとナオキヴィッチのお皿は空っぽであった。コトリーナが「はい」と消えそうな返事をするとナオキヴィッチはさっさと行ってしまった。
「あれって…避けられたのかしら?」
やはり言いたくない、言いにくいことなのだろうか。結局コトリーナもそれ以上食事が進まなかった。



トボトボと歩いていくうちにコトリーナは前向きに考え始めた。そもそも、結婚したという知らせを受け取っておきながらもああいうケーキを届けてくるということは、サヴォンヌ姫は実は幼い年頃なのではないだろうか。
「そうよ、きっとそうだわ。」
きっとナオキヴィッチを兄と慕い、懐いているだけなのだろう。
コトリーナはナオキヴィッチの居間に入った。前向きになってきたため、仕事に疲れて休憩にやってきた時に備えてお茶の支度でもしようと思ったのである。
「それにしても、幼いのにあの腕はすごいわね、うん。」
そんな幼女に負けていられないと思いながらコトリーナが長椅子に腰を下ろした時だった。背後でガタンという音がした。何事かと首を動かすと部屋の片隅から絵画が転んでいるではないか。
「まあ、どうして?」
元へ戻そうと絵画を手にしたコトリーナの体が固まった。今度は冷水どころかキンキンに冷えて氷を頭から落とされた気分であった。
そこに描かれたのは美しい女性の姿であった。コトリーナは震える手で絵画をひっくり返す。
『オーイズミ公国公女 サヴォンヌの肖像』
「こ、これがサヴォンヌ姫…。」
そこにあったのは幼女などではなかった。コトリーナと同じ年頃の気高い姿――。



どうしてあのような所に肖像画が置いてあるのか。
「私の肖像画だって置いてないのに。」
グスンとべそをかきながらコトリーナは王宮の廊下の片隅、狭いところに身を隠していた。別に隠れていたいわけではないが、こういう時は狭い所の方が落ち着くのである。
「サヴォンヌ姫のケーキ、見事だったわね。」
そこへ届いたのは、侍女たちの噂する声であった。コトリーナは息を殺して耳を澄ませる。
「無理もないわ。オーイズミ公国は王子様との縁談に大乗り気だったし。」
「あの時は誰もがサヴォンヌ姫がこの国の妃殿下になると思っていたものね。」

侍女たちが遠ざかった後もコトリーナは動けないままだった。誰もが妃殿下になると思っていた…その言葉がコトリーナの中で何度も繰り返される。確かにあの肖像画の姫君はナオキヴィッチとお似合いだと思う。


追い打ちをかけるように、この晩ナオキヴィッチは仕事が終わらず寝室に行かないという連絡が入った。
「本当にお仕事なのかしら?」
ベッドで自分に問い詰められるのを察して、ナオキヴィッチは書斎に籠っているのではないかという疑念がコトリーナの中で膨らむ。書斎に押しかけたい気持ちをコトリーナはグッと堪えた。そのようなことをしたらナオキヴィッチに完全に嫌われてしまうかもしれない。そして一人では広すぎるベッドに潜ったのだった。





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Yunさん、ありがとうございます。

お久しぶりです!色々お気遣いありがとうございます。
それにしても、紫陽花ハンター(爆笑)!!!かっこいいですね、なんか!!「明日はちょっと鎌倉の紫陽花を…」とか言ってるんでしょうか。いや、大爆笑でした!!
もう結婚している二人ですから、そんな深刻にはならないでしょうけれど。でもやっぱりどのシリーズにも一度は顔を出してもらわないとな~と思って!

マロンさん、ありがとうございます。

こちらこそ、ありがとうございます!
待っていて下さる方がいらして、本当に嬉しいなあと思います。
確かに結婚しているのにケーキとかすごいですよね。コトリーナちゃんも不安になることでしょう。
ベビーシッターぶりを見ているといいママになれそうですが、肝心のパパがこの調子ではといったところでしょうか。

ねーさんさん、ありがとうございます。

ありがとうございます!寂しいだなんて嬉しいことを!
私もすっかり二次とご無沙汰していて、もはや頭を使うことすら拒否していた状態だったので…うまく書けるか不安です。
このハネムーンは、お休みする前からどこかで書きたいなと思っていたので。
それにしてもGって(笑)一瞬、ゴ●ゴか、それともゴ●ブ●かどちらかと思いました。
世継ぎ作る気…あるんでしょうかね。何だかちょっと心配です。

たまちさん、ありがとうございます。

こちらこそ、お忙しい中来て下さりありがとうございます。
そうそう、いつの間にか大繁盛しているお店に。そしてお手伝いするお妃って(笑)
ザッハトルテはあきらめていませんよ。何しろ自分の中では名パティシエ―ルになってますもん。
ネガティブ坂を転がり…爆笑しました!!何だか、歌まで出てきそう!!

ととろんさん、ありがとうございます。

いえいえ、こちらこそお忙しい中毎日来て下さっていたなんて!ありがとうございます。
楽しんでいただけて嬉しいです、それだけで本当、幸せです!

shirokoさん、ありがとうございます。

うわ~すみませんでした!!ご心配おかけして。
そうですよね、私だってコメント下さる皆さんの名前がしばし途切れるとまず「体調崩したか」と心配してしまいます。
元気です、ありがとうございます。
shirokoさんもお元気でしたか?いきなり暑くなってますので気をつけて下さいね。すでに私はバテ気味ですが…。
そうなんですよ、コトリーナちゃんは愛を込めて作ったお菓子を食べてもらいたいんでしょうね。
自分のために一生懸命な奥さんを何だかんだ可愛く思っているでしょうが。

あおさん、ありがとうございます。

過去作を読んで下さりありがとうございます。
久しぶりにあおさんのお名前を見つけた時は、びっくりしました!!まだ忘れないでいてくださったんだなって。
お元気そうでよかった。
いえいえ、空気を読めないなんてとんでもない!嬉しいですよ、本当に!!
何の作品に下さったコメントかと辿ったりしてます。

りょうママさん、ありがとうございます。

本当に何でそんなところに肖像画がというところですよね。
取っておいたのか、何なのか…。
コトリーナちゃんらしい生活をするのが王子様も嬉しいでしょう。
みんな知っていたお姫様の存在、自分だけ知らなかったというのはショックだったと思います。

satominさん、ありがとうございます。

そう言って下さってとても嬉しいです、ありがとうございます!!
そしてお誕生日おめでとうございます~!!私の拙いお話で喜んでいただけるなんて!!
私もまた少しずつ書いていけたらいいなと思っております!!
素敵な言葉、本当にありがとうございました!!

紀子ママさん、ありがとうございます。

ただいまです~!!
そうそう、このお話の王子様、コトリーナちゃんにゾッコンなんですよね!!あのマフィンを毎日食べているくらいですもん。
予想つかない行動をするお妃の方が、パーフェクトな王子様は退屈しなくて絶対楽しいと思います。きっとサヴォンヌ姫は自分と同じような感じで目新しさもないでしょうに。
私も勝手にいじけるコトリーナちゃんが可愛いと思っちゃいました!

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