日々草子 掌中の珠 2

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Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

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二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

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掌中の珠 2




どれほどの間があっただろうか。

「…お相手は?」
先に沈黙を破ったのは、お琴だった。
「公家の姫君でございます。」
「公家の姫君?京よりはるばるとお輿入れされるということですか?」
珍しいことではないと話を聞いていた直樹は思った。公家は懐事情が寂しい家が多いという。援助を求めて大名家へ輿入れということは多い。内緒豊かな相原家もそうだろう。そして直樹が推察したとおりのことを家老は言った。
「数代前のご当主のご正室も京よりお輿入れされておりますゆえ。」
「ですが、父上は一度婚礼を挙げられたということをあちらはご存じですか?」
「はい、もちろんでございます。」
「私のようなコブ付きということも?」
「はい、姫様のようなコブが付いているということも先方にお話しております。」
「コブとは失礼な。」
眉を寄せたお琴に「失礼しました。ついつられて…」と家老が弁明する。
「お前が先にコブと言ったんだろ?」
「でも他人に言われると複雑です。」
直樹がお琴を注意する。
「もしや、あちらの姫君も再縁なのですか?」
再縁同士ならばおかしくない縁談だとお琴は思った。
「いえ、まだどちらにも嫁がれたことはないと。」
「それで父上と添われると?」
家柄もいい姫君がなぜゆえ好んで再縁の相手に嫁ごうというのか。男がまだ若いというならばいざ知らず。下手したら自分とそう年が変わらない姫なのではとお琴は不安になった。それを家老に確認したら、まだそこまで詳しいことは聞いていないというではないか。
「それが、先方の姫君はもう江戸に入られておりまして。」
「もう!?」
これにはお琴だけではなく、直樹も驚いた。縁談が整い、時期を決めて京より嫁ぐというのが普通ではないか。それなのに相手は親戚筋の大名家に滞在しているという。かなりこの縁談に乗り気ということの表れではなかろうか。
「そういうことゆえ、後日相原家にてご対面を予定しております。」
つまり見合いの席が設けられているということだった。顔も見ずに婚礼を上げることが多い大名家では珍しいことである。そして詳しいことはその折に話すことがいいと先方が言っているのだという。

「父上は乗り気なのか?」
呆気に取られつつ、お琴は確認した。
「…お世継ぎをもうけられてはという、さる有力筋からのお話故。」
顔を立てての縁談ということだと暗に家老は言った。
「姫様のお考えをお聞かせいただければと思い、本日参上いたしました。」
「それは父上が命じられたのか?」
「いえ、某の一存でございます。」
家老としては一人娘の琴姫の意見を聞きたいと思ったらしい。
「私の考え…。」
そうつぶやくとお琴は黙り込んでしまった。再び沈黙が入江家を包み込んだ。



「…父上のされるがままに。」
そして今度も先に口を開いたのはお琴であった。
「よろしいのですか?」
「…私はもはや入江家の嫁ゆえ、口をはさむことはできぬ。」
父もそれを分かっているから、縁談をお琴に伝えてこないのだろう。
「まことによろしいのですか?」
「父上のお気持ち次第じゃ。お相手が佳き方であれば仲睦まじく過ごされる、いいことではありませぬか。」
お琴は微笑んだ。家老はてっきりお琴が反対すると思ったので当てが外れた様子で帰って行った。



その晩、お琴は眠れていない様子だった。何度も直樹の隣の布団で寝返りを打っている。眠れないのかと尋ねようと直樹は思ったが、声をかけない方がいい気がした。
お琴に何か言われたら答えようと思っていたが、あれからお琴は父の縁談について何も言ってこなかった。格上の大名家ゆえ口をはさむことはできないし、ましてや婿を取って相原家を継ぐ予定だったお琴を半ば強引に嫁にしたのは自分である。
二人はこの夜、眠れないまま朝を迎えた。



それから数日後、いつものように渡辺屋が一人でやってきた。
「あれ?ふんどしがない。」
庭にはためいているはずの直樹のふんどしがないではないか。
「お琴ちゃん、風邪でも引いちゃったか?」
天気もいいのにどうしたことかと思いながら、いつものように渡辺屋は玄関をくぐった。
「入れ。」
そして今日もまた、お琴ではなく直樹に愛想のない声に迎えられた。さては本当にお琴は寝込んでしまったかと心配しつつ、渡辺屋が家に上がった時である。
「うわ!!」
足の踏み場もないとはまさにこのことだろう。いつも片付いている部屋が見事に散らかっている。
「ど、どうした?泥棒にやられたか?」
もしやお琴がかどわかされたかと渡辺屋は心配になりながら、直樹のいる所を目指した。
「入江、お琴ちゃんは無事か?」
「え?」
そんな渡辺屋を迎えた直樹の手には箒が握られていた。直樹の部屋も散らかっていた。
「どうしたんだ?留守を狙われたか?」
「いや、掃除をしたんだ。」
「それは分かった。これだけ散らかっているから掃除しているんだろ?」
「違う。お琴が掃除をしたんだ。」
「お琴ちゃんが掃除?」
渡辺屋はあたりを見回した。どう考えても何者かが家探しをした後である。
「…お琴ちゃんが失せ物を探した末のことじゃなくて?」
「あいつが掃除をしたんだよ。」
なぜ掃除をしてこんなに散らかるのか。そのお琴の後始末をする親友の手伝いを渡辺屋は始めた。そして直樹が理由を語った。
「相原のお殿様のご縁談か。」
なるほど、それでお琴が不安定になっているということかと渡辺屋は納得した。
「独り身でいらっしゃるからなあ。」
「まあな。」
そして当のお琴はというと、買い物に出かけたという。
「ま、そろそろ落ち着くと思うんだ。」
気持ちの整理がつくころだろうと直樹は思っていた。が、その期待は裏切られることとなる。

「ちょっと、先生!大変だよ!」
隣家のおうめ婆さんが血相を変えた声を上げて家にやってきた。
「あたしがちょっと留守をしている間に、ふんどし娘がやってきて。」
もしや自分の家を忘れたか、いやおうめ婆さんの家に籠城を始めたかと直樹と渡辺屋は心配した。
「これを預けていったというじゃないか!」
おうめ婆さんが抱えていたのは、何と直樹のふんどしの束だった。これには直樹と渡辺屋の目が丸くなった。
「あたしゃね、ふんどし娘と正々堂々と戦って先生のふんどしを手に入れたいんだ。こんな風に手に入れたって嬉しくも何ともありゃしない。」
そう言っておうめ婆さんは直樹にふんどしを渡した。
「どうしたんだい?何か腐ったもんでも食べてどうかしちゃったか?」
もしよかったら息子の大店に出入りしている医者でも紹介しようと、おうめ婆さんは本気になって心配する。
「大丈夫だと思います。すみません、ご迷惑かけて。」
何度も頭を下げて直樹はおうめ婆さんを見送った。
「お琴ちゃん…命より大事なこれを恋敵に与えるなんて、相当まいってるよ。」
直樹に押し付けられたふんどしに目をやりながら、渡辺屋はお琴の身を案じずにいられなかった。



それから少しして、お琴は無事に戻って来た。が。
「…気づいたらこれを買っていまして。」
申し訳なさそうなお琴の言葉。そして直樹は無言だった。
「でもよかったです、渡辺屋さんがいらして。」
お琴は渡辺屋に笑顔を向けた。
「でも渡辺屋さんはいつものことで食べ慣れておいでですよね?」
「いやいや」と渡辺屋は首を振った。
「うちだってこんな豪勢な飯は滅多にないよ。」
三人の前には、お琴が気づいたら買っていたという尾頭付きの鯛があった。それをぼそぼそと食べる三人。
一体お琴は父の縁談を祝いたいのか、それとも嘆いているのか、鯛を見ながら直樹は聞きたい衝動にかられる。が、お琴もきっとどうしていいか分からないのだろう。

「お前、お屋敷に行って来い。」
とうとう直樹が口を開いた。
「義父上にお会いして、思いの丈を話せ。」
「思いの丈なんてそんな。」
「ないとは言わせない。ご婚儀が整ったらもう何も言えなくなるんだぞ。」
「…。」
お琴は黙り込んで箸を置いてしまった。渡辺屋はこの場にいていいのか迷ったが、席を外す間を外してしまって何もできない。
「では…。」
お琴は言った。
「…お見合いをこっそりのぞきましょう。」
「え!?」
直樹と渡辺屋が同時に声を上げた。
「いや、俺はそうでなく話をしてこいと。」
「そうですね。お見合いをのぞいてくるのが一番ですよね。」
直樹の話も聞こえないのか、お琴は一人頷く。
「ではそうしましょう。」
「…お前が望むならば。」
もう反対しても聞かないだろうと、直樹は放っておくことにした。が、確かにお琴が見合いに同席するのは悪いことではないかもしれない。嫁いだとはいえ相原家の姫に変わりはないのだから。



「今日は色々ありがとうございました。」
「ううん、元気になってくれてよかった。」
お琴に見送られ、渡辺屋が玄関を出る。
「あ、そうだ。」
渡辺屋はふと思い出して「お琴ちゃん」とささやいた。
「おうめ婆さんに預けた入江のふんどしなんだけど。」
「はい?」
「…洗ってあったよね?」
よもや使用済のまま持たされていたのではと、今頃になって渡辺屋は気になったのである。いくら親友とはいえ男の使用済みふんどしは触りたくない…。





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お琴ちゃんご乱心(笑)

水玉さま、お忙しい中更新ありがとうございます~(*≧∀≦*)

パパさんの縁談にお琴ちゃんはかなり動揺してますね~。

まぁ、嫁に行った身とはいえ父親が再婚するかもってなったら多少ショックですよね(^^;

でも、ショックの受け方がお琴ちゃんらしい(笑)

よりにもよって大切な直樹のフンドシをおうめばーさんに渡しちゃうなんて!

お見合いの覗き見。。。わたしも見たいかも!

パパさんのお相手はどんな人なのか、直樹とお琴はどーするのか、続きがとっても楽しみです~★

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