日々草子 永遠に君を愛す 44

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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

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昭和22年、春。直樹の元に一通の郵便が届いた。中を開けると見覚えのあるお守り袋が出て来た。送り主は、少し前に直樹が遺骨を届けたとある家からであった。
琴子の結婚というショックが落ち着いた頃、記憶を取り戻したこともあり直樹は自分と間違えて届けられた遺骨の主を探し始めた。終戦から二年が経とうとしていたその頃でも、探すのは困難を極めた。ただ、お守り袋が傍に落ちていたということから見当をつけた。

「本当にありがとうございました…。」
遺骨は直樹を慕っていた、学徒出陣の学生兵士であった。息子が戦死したということは広報で知らされていたが、せめて遺骨が家に帰ってきてくれたらとずっと思っていたのだと母が涙ながらに話した。その悲しむ姿を前に自分がこうして生きていることが申し訳ないと思わずにいられない直樹であった。
「どうぞ息子の分まで学問にお励みあそばしますように。」
気丈に振る舞っている母親の姿が今でも目に浮かぶ。その母親が届けてくれたものだった。
遺骨は琴子が冷たい海に沈むまで大事に抱えてくれていたと聞いていたが、お守り袋はそういう中でなくなったと思っていたが。

―― え?軍医殿はご結婚されているんですか。
満州の戦地において、直樹が結婚していることに驚いていたのは遺骨となってしまった彼だった。どんな妻かと訊かれたので、直樹はいつも持っていたお守り袋を見せてやった。
―― へえ、手作りなんだ。いいなあ。
恋もせずに学業半ばにして応召されてしまった彼は心底うらやましそうにお守りを見ていた。
―― 必ず生きて帰って、こういう女性を探します!
そう笑った時、爆撃が起きた――。


「…生きて帰って来れなかったな。」
彼の気持ちを思うと今でも辛くてたまらない。まだこれからという時に。そして生きて帰ってきても妻と再びめぐり会うことはなかった自分。爆撃を受けても奇跡的に焦げ目を付けただけのお守り袋を掌に乗せると、渡してくれた時の琴子の顔が今でもはっきりと浮かぶ。
その顔を振り払うよう、直樹はそれを机の引き出しの奥深くにしまい込んだ。



「入江先生、患者さんの様子を診ていただけますか?」
やって来た看護婦の声に、直樹は立ち上がった。そして病室へと急ぐ。
「大丈夫です。手術後ですから痛みが少し残っているだけでしょう。」
直樹の言葉にベッドの上の患者はホッとした笑顔を見せた。病室を出るとすぐに別の患者から呼び出され、直樹は向う。

季節は流れ昭和23年の秋となっていた。直樹は琴子を忘れるために家に籠り医学書を読みふけった。西垣の知り合いの病院で実際の現場に何度も足を運んだ。そして春から、家から通える病院で医師として勤務を始めたのだった。
記憶を失っている時の空白期間が心配であったが、そこは優秀だった直樹はあっという間に現代の医学に追いつくことができた。今では外国から医学書を取り寄せ知識を深め、この病院は入江直樹でもっているとまで言われるようになっていた。



「入江先生、今、大丈夫かな?」
診察の合間、漸く取れた休憩時間を医局で過ごしていると上司がやって来た。
「実は家内から頼まれてね。」
「部長…。」直樹はフッと笑った。部長が出したのは見合い写真だった。それも初めてではなく、これまで数回こういうことがあった。
「どうだろう?家内のお茶の弟子なんだけど。」
とりあえず部長に気を遣い直樹は写真を開いた。振袖姿の感じのいい女性が微笑んでいる。その顔が直樹の目には琴子に見えてしまうのもいつものことだった。
「申し訳ありませんが、今は医学のことで頭がいっぱいですので。」
「そうか。うん、分かった。また妻にそう言っておくから。」
部長は強引に話を進めない。そこが直樹には助かる所であった。
「君、付き合いたい女性とかいないのかい?」
これだけ男前なのだからと部長は笑う。
「医学書もいいけど、ほら、看護婦たちが君を見て喜んでいるの気付いているかい?」
「何か失敗しないだろうなって見張っているだけですよ。」
「君は天狗にならないねえ。」
部長は休憩時間を邪魔したことを詫びると医局を出て行った。



「お帰りなさい、お兄ちゃま。」
この日直樹は、早い時間に帰宅することができた。といっても家族が夕食を終えた後ではあった。紀子はできるだけ起きて直樹を待っている。直樹が先に休んでいいと何度言っても待っていてくれた。
着替えに二階へあがると、裕樹の部屋から明かりがもれている。直樹はドアをノックした。
「お帰りなさい、兄様。」
来年高校受験を控えている裕樹は机に向かっている所だった。中学入学後、運動はともかく学業の成績は直樹同様トップを誰にも譲らずにいる。
「将来は経済を学んで、語学も学んで父様の跡を継ぐんだ。」
それが裕樹の最近の口癖である。

裕樹の勉強を少し見てやった後、直樹は自室へ入った。本棚にはぎっしりと医学書が並ぶその部屋で直樹は着替える。その前に直樹はズボンのポケットに手を入れた。
コトンと音を立てて机に載せたのは、かなりメッキがはがれつつある、あの花のブローチであった。家族の前で琴子の写真を処分させておきながら、いまだ自分がこれを持ち続けていることに後ろめたさを感じずにいられなかったが、どうしてもこれを捨てることは直樹にできなかった。かつて琴子がそうしていたよう、今では直樹がこれをお守りのように持ち歩いている。
家族はあれから琴子の名前も京城での生活も一言も口にしないようになっていた。

食事、入浴を済ませ少し勉強をした後、直樹はベッドに入った。あっという間に疲れが襲い直樹は深い眠りに入った。

夢の中で琴子が笑っている。しかしその笑顔は自分に向けられていない。
いつしか琴子の体から衣服がなくなっていた。直樹は不思議だった。琴子の裸体は見たことがないのに、どうして夢に出てくるのか。
そしてその琴子を抱きしめているのは、あの新川という男だった。抱き合う二人に直樹は叫ぶ。「やめてくれ!」その声に新川が振り返って、「誰?」という顔を琴子にして見せる。琴子は「気にしないで」と笑っているだけだった…。

ハッと目を開けると、朝だった。
「またあの夢か…。」
琴子が自分ではない男と結婚を決めていたという現場を見て以来、この夢に直樹は何度も苦しめられてきた。自分じゃない男が琴子を抱いている。それだけで直樹は胸が押しつぶされそうだった。
重い体を引きずり、直樹は身支度を始めた。

きっと大阪で琴子は幸せに暮らしているのだろう。自分のことなどもうすっかり忘れているに違いない。
琴子の幸せを願ってあの手紙を書いたは自分だ。直樹はこの夢を見る度に同じことを繰り返していた。


午前中は病棟で過ごし、直樹は午後の外来に備え食堂で早めの昼食を取ることにした。
「入江先生、お昼ですか?」
看護婦たちが弾んだ声をかけてくる。確かに看護婦の視線は直樹も気付いていた。あからさまに誘いをかけてくる看護婦も中にはいる。直樹は上手くそれらをやり過ごしていた。もっとも看護婦たちには直樹が簡単に誘いに乗らない点がたまらないらしいが。

そして今日も適当に受け答えをしながら直樹は歩いていた。
途中、外来の待合室の様子を見ることにした。
「今日もすごい混雑だな。」
総合病院であるのでいつも患者は殺到しているが、今日はいつにましてすごかった。診療科によっては待合室の椅子に座れない患者もいる。
「こりゃあ、しっかりと食っておかないともたないな。」
午後からの戦場を想像し、食堂へ急ごうとした直樹の足が止まった。
―― あれは?

前から歩いて来る人物を見て、直樹は目を疑った。と同時に物陰に隠れる。そこから直樹は歩いてくる人物に目をこらした。
―― 琴子?
秋らしい色の上着とスカート。胸元には綺麗なブローチをつけている。髪の毛は低い位置にまとめ上着と揃いの色のリボンを飾っている。どこから見ても若奥様という言葉がぴったりの琴子がこの病院の廊下を歩いているではないか。
なぜ大阪にいるはずの琴子が東京にいるのか。直樹は何度も別人じゃないかと目を疑った。しかし間違いない、琴子である。

琴子は辺りをキョロキョロと見回していた。何かを探しているようである。そんな中、ヨタヨタと歩いている老人が気になったのか声をかけている。琴子は優しくその老人の手を引き、ちょうど空いた席に座らせた。
そういう所は変わっていないのだなと直樹は微笑ましくなった。優しい琴子はそのままだった。

そして琴子はまた辺りをキョロキョロと見回す。一体何を探しているのだろうか。いや琴子が病院にいるということはどこか具合が悪いのだろうか。今すぐにでも琴子の前に出て行きたくなる気持ちを直樹は堪え、その様子を見守る。
やがて琴子は目当ての場所を見つけたのか、一人分だけ空いていた席に腰を下ろした。直樹は一体何科の待合室に座ったのかと、その前に目をやる。が、その途端直樹の目が大きく見開かれた。
琴子が座っている席の正面は、産婦人科だった――。



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コメント

まじかよ!!

って、叫んでしまいました。(職場で)
入江くんと琴子ちゃんのすれ違いつらいーーー!!(>_<)くぅ(>_<)

え!琴子ちゃん?赤ちゃんできたの?もう、本当に、入江君と、もとに、よりを、もどせないんの?!

マジか~!!

琴子ちゃん、本当に順調に若奥さんになっちゃったの!?

産婦人科って・・・マジなの!?

直樹はただでさえ悪夢に魘されてるっていうのに・・・今夜から更なる悪夢決定かなぁ。。。

最初は、結局新川さんとうまくいかなくて真瀬夫妻のところに戻ってきて、今日は真瀬のおじいちゃんかおばあちゃんの付添~みたいな感じかなって思ってたのに・・・。
琴子ちゃんは、直樹以外の人とはダメなのに~(T_T)

今夜は私も眠れないかも~

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この?お話大丈夫ですか!琴子ちゃんと、入江君、幸せになれるの?

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嘘~

入江君…琴子ちゃんを忘れられなくって、辛いよね…悪夢も見てる様だし、でもお見合いの話は断ってるし、看護婦が話し掛けても、無視だし、琴子ちゃんが大事にしてたブローチを大切に持ってたのはやっぱり入江君には琴子ちゃんしか居ないんだよね…入江君可哀想です(>_<) そんな時に、琴子ちゃんか産婦人科に!新川さんとの赤ちゃんが出来ちゃったの?非常に気になります…それをしったら、入江君はどうするんだろう…心配です。

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おりんさん、はじめまして!

初めまして、コメントありがとうございます!
ええ、開設当時から来て下さっているんですか。そんな長い間!!ありがとうございます。
開設当時から来て下さった方も卒業されていく方が多いので、一人取り残されている気分になることもあるので本当、嬉しいです!
二人は再会したのに距離ができたままですよね。近づく日が来るのかどうか。
どうか飽きずに遊びに来て下さると嬉しいです。

ピチカートさん、ありがとうございます。

あはは!落ち着いた若奥様は似合わないって(笑)
確かにそうですよね。入江くんと一緒の琴子ちゃんは独身のように跳ねてますもんね。
やっぱり入江くんじゃないとだめなのかも。
そうそう、妄想して落ち込む入江くんなんてらしくないですよね。
毎日ご訪問下さり、ありがとうございます。

sanaさん、ありがとうございます。

皆さん、色々な理由を考えて下さって楽しかったです(笑)
sanaさんと同じ理由の方、いらっしゃいましたよ~!
そうですよね、イリコトはやっぱり一緒の方がいいですよね…。

涼ママさん、ありがとうございます。

はじめまして~!!
うわあ、お会いできて嬉しいです!!噂の…(笑)
水玉劇場(自分で言うか?)楽しんでいただけて何よりです。いつもお姉さまの様子を聞いてそれはもう嬉しくて!
あばよって、あのお話の台詞ですか?そんなに!でもご家族でイタキス好きなんて素敵ですよね。仲良し家族で素敵です。
そしてすごいなあ、お姉さんの想像!!新川さんを悪人に仕立てたのは涼ママさんだけですよ~(笑)でもすごい面白い!さすがだ!!
私にはその想像力がないからいつもワンパターンになってしまうんですよねえ。
ぜひまた、遊びに来て下さい!!娘さんにもよろしくお伝えくださいね♪

nonkoさん、ありがとうございます。

ウフフ、ここは結構皆さんが乗って下さって書き手冥利につきました!
や~産婦人科、ナイスだったわ、我ながら!!(笑)
琴子ちゃんと入江くんの赤い糸、まだ結ばれたままだといいですね。

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