日々草子 永遠に君を愛す 29
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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いつもの診察日、満太郎は琴子と共に病院を訪れたが西垣は入院患者の手当てをしているとのことで、診察室にいなかった。
琴子は待合室で待っているので満太郎一人がそこにいることになった。10分ほど経過したが西垣が戻って来る気配はない。
待合室に戻って琴子と話でもしようかと思って立ち上がった時、診察室のベッドに無造作に置かれた医学書が満太郎の目に止まった。

「ごめん、すっかり待たせちゃって。」
西垣がやって来たのは予約時間を30分オーバーした時間だった。
「…満太郎くん?」
西垣に名前を呼ばれ、漸く満太郎は本から顔を上げた。声が聞こえないほど夢中になって満太郎は読んでいた。
「すみません、勝手に触って。」
元のようにベッドへ置こうとした満太郎を「いやいや」と西垣は止めた。
「…中身、分かるのかい?」
「理解とまではいきませんが」と満太郎は苦笑する。が、かなり興味深かったのか本を手離すことが惜しい素振りであった。
「よかったら持って帰るかい?」
「え?」
「僕の本だし、今は使っていないから。」
「いいのですか?」
「ああ。読み終わったら返してくれればいいよ。」
「ありがとうございます。」
喜ぶ満太郎を西垣は興味深そうに眺める。医学書など医療関係者しか興味を持たないのに。
―― 偶然がもしあるとしたら?
この間自分で否定した「偶然」が本当にあるのだろうか。西垣の中にその思いが湧きあがって来る。
「…帝大時代の後輩辺りを通して調べてみてもいいかもな。」
琴子の夫は京城帝大卒業だったと聞いている。が、高校は日本だった可能性もある。自分の出た東京帝大の後輩に当たってみるかと西垣は思った。



「満太郎様、何を抱えていらっしゃるんです?」
進に靴を磨いてもらった後、大事そうに満太郎が抱えている物が琴子は気になった。
「西垣先生に借りたんだ。」
満太郎が見せた本に琴子は驚いた。
「満太郎様、医学に興味が?」
琴子の胸が高鳴る。
「面白そうだと思って。」
何気なくページをめくる満太郎であるが、その目は仕事の書類を見ている時とは全く違う輝きを放っていた。
「記憶を失ってからこんなに夢中になれたのは初めてだ。」
と話して満太郎はフッと笑った。どうしたのだろうと見つめる琴子に、
「もっとも仕事に医学は関係ないけどな。」
こういった本を読んでも意味はない、読むならば経済書や貿易関連の本だと琴子に言うと、
「そんなことありませんよ!」
と、琴子から勢いのある言葉が返ってきた。あまりの勢いに驚いた様子の満太郎に「あっ」と恥ずかしそうになった琴子であるがすぐに、
「医学だってこれからの満太郎様に役に立つ日がくるかもしれませんよ。ほら、ええと…お仕事で医療の道具などを販売する時とか。」
今の満太郎を否定することはしてはいけないと琴子は自分に言い聞かせながら、注意深く言葉を選ぶ。
「…そうかな?」
大泉の取り扱い品に医療関係があるとは思えないが、琴子が言うならそういう気がしてくる。
「はい!知識を増やすことはいいことですもん。いっぱい、いっぱい知ってこれからの満太郎様の人生に役立つ時が来ますよ!」
いっぱいというところで両手を大きく広げて笑う琴子に、満太郎の頬も緩んだ。
「琴子が言うと、そういう気がしてくるから不思議だな。」
「琴子」という呼び方にまたもや琴子の胸が高鳴った。直樹と話しているようだ。直樹もそうやって琴子の行動をおかしそうに笑っていた。
「じゃあ、最後まで読んでみるよ。」
「はい!感想を聞かせて下さると嬉しいです。」
「感想?」とぷっと満太郎が噴き出した。「血圧を測る時に聴診器を裏返しにする奴に医学書の感想を話して分かるのか?」
「それはもう忘れて下さい」と琴子が頬を膨らませると、満太郎は声を上げて笑った。
そして医学書を読んでいることは大泉家の他の人間には秘密だと満太郎は琴子に頼んだ。
「分かりました。じゃあ指切りしましょうか。」
「子供みたいだな。」
と言いつつ、満太郎は琴子の小指に自分の小指を絡めた。「ゆびきりげんまん、うそついたら針千本のます」という無邪気な琴子が満太郎には愛らしく見えた。



少しずつ二人の距離が縮まって行くのを警戒している人物がいた。大泉家の女中頭のおつねであった。
おつねは琴子がこの家に来た時から、大事なお嬢様と満太郎の間に割り込んで来るのではという予感がしてならなかった。それだけは何をしてでも阻止しなければいけない。

「お嬢様、満太郎様とのご婚約をそろそろ進められたらいかがでしょう?」
琴子と満太郎の戻りをそわそわしながら待つ沙穂子に、おつねが話をもちかけた。
「でも満太郎さんはまだ…。」
そう言いながらも本音としては婚約をして、早く満太郎と夫婦になりたいと願っている沙穂子であった。しかし満太郎の体も気になる。
「もう大丈夫そうでございますよ。西垣先生の所へああして通われているんですもの。」
「そうだけど…。」
「旦那様にお願いされては?こういうのはきっかけがないと進むものも進みませんし。」
沙穂子もおつね同様、密かに満太郎と琴子の距離が縮まることを懸念していた。満太郎は祖父が認めた沙穂子の将来の夫である。沙穂子はこの家の令嬢であり、琴子は使用人。それなのになぜか不安が消え去らない。いつか琴子が満太郎を奪うのではという不安が溢れていた。
「…もう少し、満太郎さんの様子を見てから。」
最近やっと共に外出できるようになった満太郎である。ここでまた無理をされては困る。沙穂子は慎重な態度を崩さなかった。



満太郎の部屋の掃除も琴子の仕事であった。満太郎が食堂で沙穂子と朝食を取っている間に済ませる。
「あら?」
満太郎の机の上に広げられたままの医学書に琴子は気付いた。栞があちこちに挟まれ、その傍にメモが散らかっている。残念ながらメモの字は酷く乱れていて直樹と同じ筆跡かどうかわからないが、それでも満太郎が医学にかなり興味を持っていることが一目瞭然であった。
医学に興味がある所が直樹と同じだという喜びもさることながら、満太郎が自ら興味を持ったものができたことが琴子には嬉しかった。大泉家で借りて来た猫のように暮らしている満太郎が自分らしさを取り戻しつつある。

朝食を終え部屋に戻ると、いつものようにきれいに整頓されていた。掃除をしている琴子に会えたらと少し早く食べて来たのだが、残念ながらその姿はなかった。
落胆しつつ机の前に座ろうとした満太郎は、椅子の端に光る物を見つけた。
「ブローチ…?」
沙穂子が付けているものには遠く及ばないが、それはブローチに間違いなかった。花の形をして中央にキラキラと石が輝いている。ところどころ剥げているそれに満太郎は見覚えがあった。確か琴子が腰の所にいつも付けていたのはこれではなかったか。
時折、琴子がこのブローチにそっと手を当てているのを見たことがあった。そういう時の琴子はとても嬉しそうだった。きっと大切な誰かからもらった物…おそらく戦死した最愛の夫からだろう。

満太郎はブローチを手に部屋を出た。すると階段を下りたところに琴子がいた。が、その顔は冴えなかった。階段に立つ満太郎に気付くことなく、腰をかがめたりしてあちこち覗いている。何かを探していることは明らかであった。それを満太郎は表情変えずに眺めていた。自分にも気付かないほど夢中になって探すほど、大切な物という証拠なのか。

「おい。」
「はい!?」
突然上から降って来た声に、琴子の体がピョンと跳ね上がった。声の主が満太郎と分かってもいつもの笑顔はない。
「何かご用でしょうか?」
「探し物はこれか?」
忽ち琴子の顔に満面の笑みが広がった。
「はい、そうです!」
満太郎からブローチを受け取ると、それはもう大切な宝といったように両手で優しく包み込む。
「ありがとうございます。」
掃除をした時に落としたに違いない。
「…随分大切な物なんだな。」満太郎の中にもやもやとした黒い感情が湧き出していた。「結構な安物のようだけど。」
こんなこと言うつもりはなかったのに。しかし満太郎の口が止まらなかった。
「…お守りなのです。」
しかし琴子は満太郎の言葉など意に介さない風であった。
「ずっとずっと子供の頃からの宝物です。これがあるから今まで生きて来られたくらいなのです。」
「誰かからもらったのか?」
すると琴子の表情が一瞬翳った。
「…内緒です。」
表情が翳ったのは、もう会えない戦死した夫だからか。子供の頃からの宝物ということは、夫とはそれ以来の付き合いなのか。自分の知らない琴子を知っている男がこの世にいた。分かっているはずの事実に満太郎は打ちのめされる思いであった。
考えてみれば結婚していたということは…当たり前だがその夫は琴子と枕を共にしていたわけである。自分じゃない男が琴子を…満太郎の静かだった心の中が忽ち炎で焼き尽くされていく。
「満太郎様?」
琴子に何も言わず満太郎は背を向けた。これ以上琴子を見ているとよからぬことまで想像して自滅しそうだった。そんなことしょうがないこと、当たり前なことだと何度自分に言い聞かせても炎は激しさを増すのみであった。



「満太郎さん…。」
この現場を見ている人間がいた―沙穂子だった。
たまたま通りかかった時に、満太郎と琴子が会話をしているのが見えたのである。離れていたため、二人の会話の内容までは聞こえなかった。が、満太郎が何かを琴子に渡しているのはしっかりと見えた。それを受け取った琴子の何と嬉しそうなことか。
記憶を失っている満太郎を世話して来たのは自分なのに。上海から日本まで連れて帰って来たのに、心をこめて世話をしてきたのに。その自分には何もくれない。いや、何かが欲しいわけではない。物など必要ない。ただ満太郎に愛情を示してほしいだけ。
それなのに、自分に向けられることのない顔を満太郎は琴子には向ける。満太郎と琴子の信頼関係は患者と看護婦だけにとどまっていない気がしていた。その不安が的中しているとは。

「おつね、おつね!」
自分の部屋に戻った沙穂子はおつねを呼び付けた。
「おじい様のご予定を秘書に確認しておいて。」
「旦那様のご予定ですか?」
突然何をという顔をするおつねに、沙穂子は言った。
「おじい様に…満太郎様との婚約のお話を進めていただくお願いをしたいから。」







☆☆☆
次回予告
・おつね、エンジン温め終えてポールポジションにてスタート待機
・お嬢の逆襲~満太郎を呑むか、琴子を壊すか
・不幸のジェットコースター、レールの端まで到達、逆行を待つのみ

※予告内容は変更する場合もございます。




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コメント

来るぞ来るぞ~

水玉さん、連日の更新ありがとうございます。

ついにお嬢あほ子が動きますね!!
権力をカサに強制執行。
そんなんだから、愛情を向けてもらえないんだよ!と言ってやりたい。
満太郎と琴子はこれからどうなるんでしょう。。。
気になる~。

おつねはついにポールポジションにたどりつき、不幸のジェットコースターは
ついに折り返し地点に。
今後も見逃せない~!!


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お嬢様の暴走開始?

連日の更新ありがとうございますm(_ _)m毎日更新を楽しみにしてます(^O^)
満太郎が琴子ちゃんへの態度を見て不安がつのるお嬢様…暴走開始する予感がひしひしと伝わって来ます!それに…あの嫌な女おつねとタッグを組んだらと考えると琴子ちゃん大ピンチじゃないですか~私は、ハラハラしてます( ̄○ ̄;)ガンバレ~負けるな琴子ちゃん!

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婚約!進める気?琴子ちゃん、かわいそう?満太郎!琴子ちゃんに、早く気が付いて・結局‼御常の言いなり、沙穂子?直樹

tomokoreikoさん、ありがとうございます。

そうなんです~ブローチを見ても満太郎は何も思い出さず(涙)
アホ子さん、発動しちゃいましたね。かなり危機感を覚えているのでしょう。
「俺はお前が気になるんだ!」ってぶつけられたらいいんでしょうけどね。
あんなに愛しく大事にしていた琴子ちゃんなのに。
夢で十分、愛し合う琴子ちゃんを見て下さいね!!

pecoさん、ありがとうございます。

せっかく待機させたけど、未だスタートする気配がなくて申し訳ありません!!
いや~このままスタート直後にクラッシュとかだったらいいんですけどね。
結構粘り強そうだからなかなかやりそうな。
琴子ちゃんは穏やかなテクニックのような。それこそ周回遅れでゴールしそうな感じです。
どうぞチャンネルはそのまま…(笑)最後までお付き合いいただけたらと思います。

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