日々草子 永遠に君を愛す 9

プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

現在の御訪問者

現在の閲覧者数:

御訪問ありがとうございます

このブログについてのお願い

当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

カテゴリー+月別アーカイブ

 

最新コメント

最新記事






その日、琴子が浜崎に送られて帰って来たのを直樹は自室の窓から見ていた。足取りはしっかりとしている様子を見て直樹は胸を撫で下ろした。それにこれをきっかけに二人の距離も縮まるだろう。浜崎は一見軽い人間に見えるが、何事も真面目に取り組む性格。琴子のことを大事にしてくれると信じている――。

その晩、直樹の部屋を遠慮がちに琴子が訪れた。
「直樹坊ちゃん、お勉強の邪魔をしてごめんなさい。」
机に向ったままの直樹に琴子はおずおずと声をかけた。
「あの…今日は医務室まで運んで下さってありがとうございました。」
「え?」
直樹はクルリと椅子ごと振り返った。まさか振り返るとは思っていなかった琴子もつられて「え?」と驚いた声を上げた。
「何でそれを?」
「…浜崎さんが教えて下さいました。」
「あのバカが」と心の中で直樹は友人を罵った。
「ご迷惑かけて申し訳ありませんでした。」
これ以上直樹の時間を無駄にするわけにいかないと、琴子はそれだけ言うと部屋を出て行った。



そして翌日、更に驚くことが直樹を待っていた。
「断られた?」
昼休み、人のいない実験室に引っ張ってこられた直樹は浜崎から打ち明けられた事実にまたもや驚いた。
「いつだよ?」
「昨日。」
「昨日って、だってお前、あいつを送ってきて。」
「あの時はもう断られていたってことで。」
浜崎はホルマリンに漬けられている物を悲しげに見つめながら言った。
「ああ、そうだ。俺さ、お下げちゃんを医務室に運んだのはお前だって言っておいたから。」
「何でそんなことを。」
「嘘つくのも嫌だったしな。」
浜崎はビーカーに息を吹きかけ磨き始めた。

「…その後に返事を聞いてみたんだ。」
「それは時が悪かったんじゃないか?」
倒れて意識がはっきりしていない時にそのような大事なことを聞かれたらまともな答えは返ってこないだろうと直樹は呆れる。
「あいつがちゃんとしている時に、もう一度…。」
「いや、ちゃんとしてたよ。」
小さいビーカーから丁寧に磨く浜崎はあっけらかんと答えた。
「そういうことだから。でも友人としては付き合っていこうっていうことになったから。」
「…そうか。」
それ以上直樹にはかける言葉が見つからなかった。
「まあ、断られるだろうなって分かっていたけど。」
「だってこの間は…。」
つい最近までは脈があるとか嬉しそうに言っていたのに。
「うん、まあ突然分かるってこともあるさ。」
きちんと整列してあるビーカーに映る、直樹の姿を見ながら浜崎は思い出す。昨日、運んだのは直樹だと言った時の琴子の表情…あのような顔は自分にさせることはできない。琴子の秘めたる恋が実る日が来るのは。
「…お前次第なんだよ、この鈍感野郎。」
「え?何だって?」
「いや、何も言ってない。」
これで浜崎の恋は終わった。



「ごめんなさい、直樹坊ちゃん。」
そしてその夜、また琴子は直樹の部屋にやってきた。
「浜崎さんのこと…。」
「俺に謝ることじゃないだろ。」
「それはそうですけど、でもお友達だし。」
「俺はお前と浜崎のことに何の関係もないし。」
「そうですね…。」
ということは、自分が他の男に想いを告げられても直樹は何も感じないということか。これまた琴子の胸は塞がれる。
「言いたくなければ答えなくていいんだけど。」
「はい?」
「浜崎、結構いい奴だと思うんだけど?」
勿論そのような理由を自分が突っ込む資格はない。それは分かっているのだが、直樹は琴子に聞かずにいられなかった。
「…自分の気持ちに嘘はつきたくなかったんです。」
琴子は答えた。
「それに、ちゃんと学校卒業して看護婦になりたいし。」
浜崎の気持ちを受け入れたら結婚まですぐだろうということは琴子も分かっていた。そうなると学校を続けることは難しくなる。
「そうか。」
「はい。」
部屋を出て行こうとする琴子を直樹は呼び止めた。
「この間…酷いことを言って悪かった。」
別に浜崎を振ったから謝るわけではなかった。ただ、この時を逃すと琴子に謝ることはできないと直樹は思った。
「学費泥棒とか、役に立たないとか。本当に酷いことを言ったと思う。言ったことは取り消せないし、許してもらえるなんて思ってもいない。でも本当、すまない、ごめん。」
直樹は立ち上がり琴子に頭を下げた。
「そんな、坊ちゃん。」
慌てて琴子は直樹の顔を上げさせようとした。
「浮ついたように見えた私が悪いんです。」
「いや、お前は浮ついてなどいない。倒れるまで勉強していた。俺よりずっと立派だよ。」
「そんな。」
琴子は首を振って、
「私が勉強するのは坊ちゃんのおかげなんですよ?そもそも看護婦になろうと思ったのも坊ちゃんが理由だし。」
「俺が?」
「はい。高校からずっと勉強されていて、それで医学部に入ったらいつも机に向かっておいでで。病気の人を治したいんだなっていつも思っていました。それで私もそのお手伝いができたらと。」
最後の部分は恥ずかしくなり、琴子は声を小さくした。
「手に職をつけるという助言を下さったのは坊ちゃんです。それでどうせなら看護婦さんになろうって。そうしたら…坊ちゃんのお傍で一緒に患者さんを助けることができるって。」
「俺と一緒に。」
「あ、いえ」と琴子は手を振った。
「勿論、看護婦になれないと話になりませんけど。でもあれほど優秀な坊ちゃんが机にいつも向かっていらっしゃる、私なんてその何十倍も、何百倍も頑張らないといけないって励みにしているというか…生意気ですよね、すみません。」
「いや…。」
琴子がそこまで自分を見ていてくれたとは。高校でも大学でもいつでも楽に一位を取っていると見られている自分を認めてくれた人間が近くにいた。それが琴子だった。

「…お前、これからまた勉強?」
「はい。」
「じゃあ、道具持ってこい。」
キョトンとする琴子に直樹は言った。
「睡眠不足は絶対だめだ。お前に合ったやり方で勉強していくぞ。」
直樹が教えてくれるということだと分かり、琴子の顔が輝いた。



「…それじゃ、ここから自分で考えてみろ。途中分からなかったら声かけろ。」
「はい。」
やはり直樹の教え方は上手だった。あれほど時間をかけて考えても分からなかったことがスイスイと頭に入って来る。
医学書を読んでいた直樹は琴子がどこまで理解できたかと視線を移した。が、その目が吊り上った。
「何をしてるんだ!」
「わっ!」
紀子が差し入れてくれた夜食。そのお椀のすいとんを琴子は直樹のお椀の中へ移そうとしていた。
「変なことしてません。坊ちゃんの所に私のすいとんを入れていただけです。」
直樹のお椀ののすいとんは倍増していた。
「余計なことするな。」
「余計なことって。坊ちゃんがお腹いっぱいになりますようにって。」
「腹いっぱいになるのはお前だ、ったく。」
直樹は素早く箸を動かし、すいとんを琴子のお椀へと戻す。
「体力つけろって言っただろ?」
「大丈夫ですよ。」
「いいや、食え。黙って食え。」
食べるまで見張ってるという直樹の前で琴子は遠慮がちに、だが徐々に顔いっぱいに嬉しさを表しながらすいとんを口にしたのだった。



食べ終わったお椀を台所へ戻しに行くと、紀子が笑顔で迎えてくれた。
「ごちそうさまでした。とてもおいしかったです。」
「ああ、琴子ちゃん。そこへ置いておいてちょうだい。」
「いえ、片付けます。」
「そう?じゃあ二人でやっちゃいましょうか。」
二人並んで台所に立った。
「おば様、直樹坊ちゃんはお医者様にとても向いていらっしゃいますよ。」
「そうかしら?」
「はい。病院実習でも患者さん…特に女性の患者さんにすごい人気で。」
「あら、あの顔でたらしこんでいるのかしら?」
「いえ、そういう意味では!」
「ウフフ、冗談ですよ。」
片づけを終えた紀子は手を拭きながら、
「分かっていてよ。この間、私が言ったことを琴子ちゃんは気にしているのね?」
琴子に八つ当たりしていた直樹に退学するのは自分だと叱りつけた紀子だった。
「こうやって琴子ちゃんとお勉強を再開したのなら、今回は許してあげるわ。」
「ありがとうございます。」
琴子を大事にしてくれるのならば万事よしな紀子なのである。

「それにしてもお兄ちゃまはこれから大変でしょうね。」
「…ええ。」
卒業後戦地へ赴任することだと思い返事をした琴子であったが、
「女性の理想が高くなるでしょうね。」
「え?」
どういう意味だという顔をする琴子に、
「だって、こんなに優しい琴子ちゃんが傍にいるのよ?あんなひどいこと言っても優しく許してくれてニコニコ笑ってくれて。こんなよくできた琴子ちゃんをずっと見ていたら、そりゃあ女性の理想が高くなるってものよ。」
その辺の女性なんて足元にも及ばないという紀子に、
「そんな私なんて。ただ、直樹坊ちゃんがそういうことを言うからには私に原因があったからでしょうし。」
「そういう所が琴子ちゃんの素晴らしい所。何で琴子ちゃんをいつも見ていながらその優しさの半分、ううん三分の一、ああ、100分の1でもいいのに影響されなかったのかしら?」
「直樹坊ちゃんは優しいです。」
「嬉しいこと。そんなこと言ってくれるのは琴子ちゃんだけですよ。」
「…おしゃべりはそろそろやめて戻って来いよ。」
いつまで経っても戻らない琴子に業を煮やして直樹が迎えに来た。
「あら、ごめんなさいね。つい出来の悪い息子の愚痴をね。」
「今琴子の頭は看護でいっぱいなんだ。余計なもんを入れて詰め込んだばかりの知識を追い出さないでほしいね。」
「おば様はそんなことなさいませんよ。」
「いいから早く。」
直樹に言われ、琴子は台所を出る。
「琴子ちゃんに無理させてはいけませんからね。」
紀子は直樹に釘を刺すことは忘れなかった。



関連記事

コメント

良かったね

今晩は~更新ありがとうございます。浜崎君は琴子ちゃんに振られちゃいましたね。浜崎君は琴子ちゃんが入江君の事が好きなのを気付いちゃいましたね。浜崎君ちょっと可哀想です…最後の「鈍感野郎」の言葉に笑っちゃいました(笑)入江君は琴子ちゃんに、この前の酷い事を言ったのをちゃんと謝罪してましたね。頭を下げる入江君…偉いですね。その後は勉強を教えてるし、琴子ちゃんは嬉しそうですね。仲良く一緒に夜食を食べ、琴子ちゃんはすいとんを入江君のお椀に移してるし、琴子ちゃんは優しいですね~自分より入江君にお腹をいっぱいにさせたいんですね。

とりあえず良かった

琴子ちゃんが本当にやさしくて直樹は救われましたね~。
浜崎くんはかわいそうですが(とってもいい人そうなのに・・・)
幼いころからの恋心はそう簡単には変わらないですよね。
残り少ない二人の時間、穏やかに過ごしてほしい気もしますが
こればっかりは直樹が素直に自分の思いに気づいて口にしない
と無理でしょうね。

は~・・・続きが気になる~.+゚.+゚(o(。・д・。)o).+゚.+゚

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP