日々草子 ついていない女 8

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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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結婚したからといって女友達との付き合いをおろそかにするのは嫌なの、あたし。
「琴子、よく食べるわねえ。」
「あん、だって今日のために甘い物は控えてきたんだもん。」
そう言いながら食べるケーキは何個目かしら?
「ねえねえ、モンブランが追加されてたわよ。」
「あ、行かなくっちゃ!」
じんこの報告にあたしは勢いよく立ち上がる。
「ちょっと、琴子!そろそろやめておいた方がいいって。」
理美は止めたけどあたしはすでに歩き出していた。だってここのホテルのケーキビュッフェ、すごく評判よくて前から行きたかったんだもん。

「ねえねえ、入江くんとはこういうところ…あ、聞くまでもないか。」
まるでムースをスープかというような感じで食べるというよりすすっているじんこが気の毒そうな顔であたしを見た。
「入江くん、甘い物嫌いだもん。」
そう、入江くんは甘いものが嫌い。お義母さんのお菓子だって滅多に口にしない。パティシエ級の腕を持つお義母さんに対してそうなんだから、あたしの作ったお菓子は…言わずもがな。

「あんたたちってどういう夫婦なのか、いまだに分からないわあ。」
人に言っておきながら自分だって結構な量を食べている理美が溜息をついた。
「休みの日って何しているわけ?」
「うんと…入江くんは本を読んで。あたしはお義母さんとおしゃべりしたりチビの散歩に行ったり?」
確かにこんな風に聞かれると、自分でもどういう夫婦か分からないわ。もしかしてあたし、日頃の鬱憤をケーキで晴らしているのかしら?
最近だって入江くんは帰りも遅ければ家にいる時も勉強してばかり(それが学生の本分だろうけど)。放置されている身としては鬱憤もたまるってもんよ。



鬱憤をケーキで晴らすなんてことしたからか、次の日気持ち悪くなった…うっぷ。
理美たちからは8個も食べたからだと言われるし(8個って食べ放題では許容範囲じゃない?)。
あーあ、何だか最近パッとしないや。
看護師になる夢もあきらめろって理美たちに言われるし。そんなに向いてないのかなあ?そりゃあ簡単になれないことは分かってるけどさ。

ついていないことは更に続いた。
入江くんが明日から三日間、家を空けるんだって。教授と一緒に学会で神戸だって。
「…突然言われたって。」
思わずそんなこと口にしちゃったら、
「俺、先週言ったと思うけど?」
うっ。あたしが忘れていただけか。そっか、その頃は理美が良くんの伝手でケーキのチケットが手に入った、無料で食べ放題と喜んでいたからな。え?あたし、入江くんよりケーキが重要だったってこと?うそ!そんな!まさか、これがいわゆる「倦怠期」ってやつ?え?

入江くんは着々とお医者様への道を歩み、あたしは看護婦にもなれず何もできず…はあ。
普通こういうことって旦那様に相談するものじゃないかなあ?でも入江くんに相談したら言われることは決まってる。
「いい加減夢から目を覚ませ。」
夢くらい見たっていいじゃないの。そりゃあできれば夢を現実にしたいとこだけどって、どこの予備校のセリフかしら?

学会へは船津くんが一緒なんだって。よかった、女子だったら心配になるところだった。
だって二人で教授のお手伝いしているうちに…。
いや、待てよ?学生で同行するのは男でも、お医者様が集まる学会、当たり前だけど医者だらけ。

「その学会って…男性限定とかじゃないよね?」
「…気味の悪いこと言わないでくれ。」
「だって。すごい美人の女医さんがいて入江くんにせまったりして。」
そうよ。

「入江くん、今回の発表、とてもよくできていたわ。」
と入江くんの顎をなでなでする、図々しい女医A。
「ああん、入江くんは今夜はあたしのものなの。」
と入江くんの腕を取るのは女医B。
「入江くん、既婚者なんですって?」
「早まったと思ってるんじゃなくて?」
「しょうがないです。おふくろの策略に引っかかったから。」
と困ったように答える入江くん。
「だから俺が自由になれるのは、こうして東京を出たときだけ。」
「んまあ!何てかわいそうなんでしょ!」
「入江くん、今夜はあたしたちが慰めてあげる。」
「看護婦になれない、ペチャパイなF組出身の奥さんなんて忘れましょう。」
「そうよ、ほらあたしたちの胸を触って…。」


「やめてぇぇぇ!!」
「何だよ、突然!」
叫んだあたしは、入江くんの冷たい目に気づいた。
「勝手に妄想して叫ぶ癖は、どんな名医にも治せないな。」
「…すみません。」
だって、だって、だって。入江くんがあたしを一人にして学会に行っちゃうから。神戸に行っちゃうから。
「神戸って遠いんだよ?すごく遠いんだよ?阿蘇山とかあるんでしょ?」
「…ねえよ、ばあか。」
なかったっけ?どこと勘違いしてるんだろ?いいや、それくらい遠いってことで。

うっぷ…。
気が滅入ってきたらまた調子が悪くなってきた。
「どうした?」
「ちょっと昼頃から胃が…。」
「またどうせバカ食いしたんじゃないか?」
何ですぐにばれるんだろ?問い詰められてケーキの数言ったら「俺が気持ち悪くなってきた」だって。
はいはい、どうせバカですよ。バカはバカ食いしてバカ寝してますよーだ。

「どら」
入江くんがあたしのおでこに手を当ててきた。あれ?こんなこと初めてかも。
「微熱があるかな。」
微熱、それは入江くんが突然おでこに触ったからだよ…もしかして入江くん、心配してくれてる?
「口あけて。」
あーん、あーん。
「横になって、お腹出して。」
「え!入江くん、お医者さんごっこするの!?」
「は?」
「なんかお医者さんごっこって、すこしHな響きじゃない?」
「ごっこじゃない!!」
怒鳴りながら入江くんはあたしをベッドに寝かした。そして有無を言わさずパジャマをめくる。
「…お前、パンツ小さすぎない?」
「そんなこと!」
「ていうか具合悪いってのにこんなもん履いてるな。」
「それって…ぱんつ履かないでいろと?」
「違うって。もっとお腹を温めるようなやつを履けって意味。」
えー。それって可愛くないもん。ただでさえ入江くんに放置され気味だってのにそんな可愛くないの履いてたら…もうおしまいじゃない?

「ここ痛い?」
「ううん。」
「ここは?」
「大丈夫。」
入江くんがあちこちを押していく。うーん、本当にお医者さんみたい。

結果は、明日も具合悪かったらお医者さんに行くようにって。うーん、面倒だなあ。この時期って病院混んでそうだし。具合悪かったら学校休んで寝てようかな?

「ねえねえ、入江くん。」
ベッドに入った入江くんをあたしは呼んだ。
「何だよ、俺明日は早いんだけど?」
「ごめんね。ねえ、あたしの体診てくれたのってやっぱり心配だから?」
だって結婚前はこんなことしてくれるなんて考えられなかったもん。やっぱり結婚してあたしが奥さんだからあそこまでしてくれた…。
「俺、ついこの間腹部の病気について勉強したばっかだから。」
「へ?」
「症例見られると思っただけ。おやすみ。」

…やっぱあたし、ついてない女だ。



翌日、入江くんを見送った後もどうも調子が悪かったので学校を休むことにした。
「琴子ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫です。一日寝ていれば治りますよ。」
お義母さんに心配かけたのは心が痛いけど、なんか疲れちゃったし。さてと、ゆっくりと寝ますかね。

午後になって目を覚ましたら、理美たちがお見舞いに来てくれた。とにかく朝から胃がスッキリしなかったので果物を持ってきてくれたことに感謝。
ところが。
「琴子ちゃん、妊娠したんじゃない!」
吐き気、酸っぱい物が食べたい、月のものが遅れてる…お義母さんは断言した。
「琴子、営みは?」
い、営み?営みって?あれ?ええと…。
「あ、あの…どれくらい前のことでしょう?」
「そうねえ、二か月くらい前?」
二か月前…ええと…そういえば…。
「思い当たることが少し…。」
「やることはやってるのねえ!!」
…はい、一応。やだ、思い出したら恥ずかしいじゃないの!

でも本当にあたし、赤ちゃんができたの?入江くんの?いや、それこそ入江くん以外の人との営みに思い当たることはないけど!

たちまち大騒ぎになって、入江くんが帰ってくるのは明日という日になった。
入江くんとの赤ちゃんか…顔は入江くんに似てるのかな?頭も似てほしいな。運動神経も。あれ?じゃあ、あたしに似ているところってないんじゃ?似る、似ないは今は置いておこう、うん。
赤ちゃんが出来たって報告したら入江くんは?

「本当?」
驚く入江くんの前で頷くあたし。
「ここに入江くんの赤ちゃんがいるの。」
あたしが撫でるお腹に目をやる入江くん。
「琴子…。」
感激に震える入江くんはあたしの体を抱き上げる。
「やったぞ、琴子!最高だ!」
抱き上げたまま、クルクルと回るあたしたち――。

「ウフフ…入江くん、だめだよ。お腹の赤ちゃんも目を回しちゃう…ウフフ。」
入江くんがいないのをいいことに心ゆくまで妄想をしておこう。
あたしはお腹に手をやった。本当にここに入江くんの赤ちゃんがいるのかな?まだ小さいんだろうな。どんどん大きくなっていって…まだ信じられないや。
あの入江くんの赤ちゃんを産めるなんて…最高に幸せ、あたし。


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