日々草子 入江法律事務所 31

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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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「もうすぐバレンタイン…ムフフ。」
琴子は怪しげな笑みを浮かべながら、座っているデスクの椅子をグリングリンとまわしていた。
「先生と一緒の、バレンタイン~。」
グリングリンとまわる椅子。
「ただならぬ仲になって初めてのバレンタイン~」とさらにスピードをつけて回ろうとしていた椅子が突然、止まった。
「おっと!」
危うく体が前のめりになりそうになるのをこらえながら、琴子は何事かと後ろを見た。
「…何をしてるんだ、お前は。」
「あ、先生。お帰りなさい!」
外出から戻った直樹がコート姿で椅子の背をしっかりと押さえていた。その眼は完全に吊り上がっている。

「ったく、おとなしく留守番もできないのか。」
「してましたよ。」
「椅子を回して遊ぶなんて、初めて机を買ってもらった入学前の子供と同レベルだな。」
「失礼な。」
お互いの親に交際の許可をもらったばかりの仲とは思えない、相変わらずの直樹の態度である。

「そんなことして、怪我でもしたらどうするんだ?」
「先生…。」
脱いだコートを直樹から受け取った琴子の胸が熱くなった。やはり今までとは違う。自分のことを心配してくれているではないか。これぞ恋人になったという変化の表れではないか。

「ったく、勤務中、しかも職場での怪我となったら労災の手続きとか面倒になるだろうが。ただでさえ忙しいってのに、この上そんな面倒なことが加わったらたまらねえからな。」
「ろうさい…。」
やはり直樹は変わっていなかった。琴子はがっくりと肩を落とした。



しかし、そんなことで落ち込むような琴子だったら直樹のハートは射止めていない。

「先生、もうすぐ何の日か知ってますか?」
コーヒーと留守中の電話メモを渡しながら琴子がまたもや「ムフフ」と笑った。
「お前の便秘が解消する日?」
「いや、解消するかどうかまだ未定…じゃなくて!なんで毎回毎回そっちに行くんですか?」
「お前が待ち望む日が他に見当たらないからだ。」
「それだけを待ち望んでいるわけじゃありません!」
「それじゃ、あれか。」
「そう、そう、それですよ。」
やっと直樹が気づいたかと、琴子は手を合わせニコニコと笑った。

「入江家十五代目当主の命日だ。」
「え?そうなんですか!それじゃお墓参りに行かないといけないじゃないですか!あ、それとも法事とかする予定が?」
まだ結婚していないが一応それを前提として付き合っている自分はその法事に参加するべきなのだろうか。だが図々しいと親戚に嫌な顔をされるのではないだろうか?
「先生、どうしたらいいでしょうか?」
「知らねえよ、そんなの。」
「そんな、ひどい!」
「バカ、冗談に決まってるだろ?」
「え?」
「十五代目当主なんて名前も知らなけりゃ命日なんぞ聞いたこともない。」
「もう!」
どうやらからかわれたらしい。琴子は怒るやら安心するやらと忙しい。

「バレンタインですよ、バ・レ・ン・タ・イ・ン♪」
琴子が区切ってゆっくりとそれを口にした。
「2月14日。バレンタインです。先生、この日は…。」
「2月14日?」
眉を思い切りひそめた直樹の顔に、琴子の口が思わず止まった。
「2月14日はもう予定が入っているが?」
「え!?」
琴子は思わず直樹が見ていた手帳をひったくった。
「2月14日…14時より…弁護士会勉強会…?」
「この連絡ってお前が受けていたはずだが?」
琴子から手帳をひったくり、直樹は怪訝な顔をした。
「そうでしたっけ?」
「ファックスが入って、それで参加どうするかってお前が聞いてきて。何も予定が入っていないってお前が言うから、ならば出席に○をつけて返信しておいてくれって俺が答えて。」
「そういや…そんなファックスを送った記憶があるような…。」
慌てて琴子はファックス送信簿のファイルをめくった。確かにそこには琴子の字で直樹の名前、事務所名、そして出席の欄に大きな○がついていた。

「日付確認しなかったのかなあ?」
「しただろ?つまりお前もその時点ではバレンタインなんぞいうものに関心がなかったってことだ。」
「だってここにバレンタインって書いてなかったんですもん~。」
泣きそうな琴子に直樹はさらに冷たく、
「当たり前だろ。どこの世界にビジネス文書の日付にバレンタインなんて記載する奴がいる?」
と返す。

だがここで落ち込んでいる琴子ではない。すぐに次の手を考え出す。
「先生、勉強会って夜には終わりますよね?」
暫く机にふせって落ち込んでいた琴子はガバッと起き上り、直樹を見た。
「だったら夕食でも…。」
しかし、直樹は再びファックス送信簿のあのページを無常にも琴子に突き出した。
「勉強会の後…懇親会…?先生、これも出るつもりですか?」
「いろいろな先生に顔をつなげるいい機会だからな。個人でやっているとその辺しっかりしておかないと。」
「それって遅くまで?」
「ああ。」



「なるほど、それでバレンタインの予定はパーになったってわけね?」
「あいつ真面目だよなあ。」
この日の夜、居酒屋のテーブルに涙の河を作り続ける琴子を前に、幹と西垣は困った表情を浮かべていた。
「でも、あんたが悪いんじゃないの。大きな○つけて送信しちゃったんだから。」
「でも…でも…!」
涙の河から顔を上げた琴子がキッと幹をにらむ。
「ただならぬ仲になったのに…先生、“それじゃお前を優先しなければな”って言ってくれるかと思ったのに!」
「ただならぬ…。」
「仲…。」
そういう表現でいいのだろうかと思う幹と西垣であるが、そこは突っ込まないことにしておいた。

「西垣先生はその勉強会と懇親会に出ないんですか?」
涙の河から海へと広げつつある琴子を暫く放置することにした幹は、西垣に尋ねる。
「僕?出ないよ。面白くないし。」
「ああ…ここが入江先生との大きな違いなんだわ。」
「失礼だな。別に出なくたってちゃんと勉強するし。大体、バレンタインにそんな冷めたことしたくないよ。」

「西垣先生…。」
琴子が顔を上げた。
「こういう心の傷って、労災下りますか?」
「いや…それはちょっと難しいと思うよ?うん。」
「男に相手にされずに受けた心の傷で労災認められたら、世の中労災申請だらけになるでしょうね。」
テーブルに広がる琴子の涙をおしぼりで拭きながら、幹はため息をついた。
「ケチ。」
「ケチって琴子ちゃん。あ、でも。」
西垣がすかさず琴子の肩に手を伸ばした。
「労災は無理だけど、傷ついた心をいやすことは僕は得意だから…。」
「お断りします。」
ぴしゃりと肩の手を払って琴子は西垣を睨んだ。

「それにしても、晴れて両想いになった割には片想いしていた時と全く変わらないわねえ。」
泣き止みグビグビとビールを飲む琴子を見て幹が呟く。
「入江先生、釣った魚に餌をやらないんだわね。」
「僕なんて釣った魚を丸々と太らせておいしくいただくけれど。」

「そうだ!」
飲み干したジョッキをテーブルに置き、琴子が声を上げた。
「いいこと思いついた!」
「いいこと?」
「うん、すごくいいこと!」
本当に落ち込む暇のない琴子である。



そして琴子がビールに酔いしれていたころ、直樹は一人事務所で仕事をしていた。

ピーッ…。

電子音に直樹はパソコンから顔を動かした。カタカタカタとファックスの音が響く。
琴子がいないので直樹は自分でそれを取りに行く。

「勉強会及び懇親会の会場変更…。」
2月14日の勉強会と懇親会の会場が弁護士会館から違う会場へ変更になった連絡であった。直樹はすぐに場所を暗記すると、それをシュレッダーにかけたのだったーー。






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水玉さん♪ご無沙汰しています。
一時閉鎖、心配でしたが、また水玉さんに
お会いできることが何よりもうれしいです♪
こちらにお邪魔する時が、何よりもの至福の時間です!!

また落ち着き、気持ちが向いた時で結構ですので例のお話の続きも待っています!

法律事務所、ただならぬ仲??になっても琴子ちゃん的には以前とあまり変化なく・・・
FAXもいったい??気になるところで話は続きで!!
続き待っていま~す♪
法律事務所、本当に面白いので好きです!

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水玉さま、初めてコメントします。

いつも楽しいお話、ありがとうございます!

数年前から海外生活をしているのですが、慣れない生活で凹んだ時は、
水玉さんのお話の可愛らしく健気な琴子ちゃんに、
いつも元気づけられておりました。

新しいお話もとっても面白そう♪とワクワクしておりました。
・・・と書いて、更新のプレッシャーになってしまったら、すみません><

ただ、いつもありがとうございます、という気持ちをお伝えしたかったのです。

バレンタインのお話も楽しみにしてますね^^

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佑さん、ありがとうございます。

お返事遅くなりすみませんでした。
体はこの時は大丈夫でした。ただちょっと最近はヘルペスができたりして乱れがちでしたけど。
私のペースでというお言葉、うれしかったです。ありがとうございます。

ぴょんさん、ありがとうございます。

お返事遅くなり申し訳ございませんでした。
書庫の整理と思って下さっていたんですね。すみません、ご心配おかけして。
何となく自分の中でちゃんと整理できないと続きはかけないなと思っていて。
皆様の励ましのおかげでようやく続きを書く決心がつきました。
励ましのお言葉、ありがとうございます。

のんのんさん、ありがとうございます。

お返事遅くなり申し訳ございません。
とんでもありません、上手にコメントなんて気にしないで下さいね。
私だってお話自体も下手ですし(それで公開してるなんて呆れますよね)、せっかくいただいたコメントのお返事もいつも下手で申し訳ないと思っているくらいなのです。

ここに来ることが好きだと言って下さってとても嬉しかったです。ありがとうございます。
何度も読み返して下さっている、お疲れの心を癒やしていただくお手伝いができているとわかり、何と申し上げていいやら。
本当にありがとうございます。

小さな応援大歓迎です。
先にお話しした通り、私自身が文章が上手ではないのでどうぞお気軽にコメントを下されば嬉しいです。

なみさん、ありがとうございます。

初めまして。
お返事遅くなり申し訳ございません。

海外からのご訪問、ありがとうございます。
なみさんを元気にするお手伝いができているなんて、もったいないです。でもとても嬉しいです。
新しいお話を楽しみにして下さってありがとうございます。
おかげで続きを書く決心がつきました。
又パスワードを変えてしまったので、お手数をおかけしてしまうことが大変心苦しいのですが…ぜひお時間があるときにでもトライしていただけたらと思います。

吉キチさん、ありがとうございます。

メールでのご連絡もありがとうございました。
その節はご心配おかけして申し訳ございませんでした。
そしてお返事が遅くなり申し訳ございません。

バレンタインのお話、楽しんでいただけてよかったです。
いえいえ、入り江先生は本当にバレンタインにこだわりがなかったんだと思います。それが入江くん(^▽^)
ヤケ酒の相手もちゃんといましたしね。でもお酒に酔っていても西垣先生にはなびなかい、さすがの琴子ちゃんです。

ゆみのすけさん、ありがとうございます。

お返事遅くなり申し訳ございません。

いえいえ、こちらこそずっとご無沙汰しております。
私もこうしてゆみのすけさんとお話しできて嬉しいです。

皆様の励ましのおかげで、何とか続きを書く気力が出てきました。
ただ、また面倒なことになってしまったことが申し訳ないのですが。

法律事務所も楽しんでいただけてうれしいです。

まあちさん、ありがとうございます。

お返事遅くなり申し訳ございません。

励ましのお言葉ありがとうございます。
そう思っていただけてうれしいし、何よりの励ましです。

法律事務所、本当に琴子ちゃんはポジティブですよね。私も見習いたいものです。
こんな子になりたいと思うようなお話を書いているので、うれしかったです。

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