日々草子 桔梗幹の温泉

桔梗幹の温泉

イタキス期間だからと気負う必要もないのかなと、考えつつも。やっぱり変な話は書けないかと苦悩しつつ。
原作読み返し大作戦に突入したら結構じんこに笑わせられて。

この間のお話にあんなに拍手がいただけるとは思ってませんでした。
裕樹くんがメインだしと思っていたので。うーん、ミラクルが起きました(笑)
ありがとうございます!


この話を読む前に『猿と死闘を繰り広げる野獣11.25』を読んでいただけたらと思います。
タイトルが何とかならないのかと思うのですが、センスが全くないもので申し訳ありません。







またまた慰安旅行にて温泉にやってきた、アタシたち斗南病院の一行。
琴子も前の過ちは繰り返すまいと行動にやたらと気をつけている。その甲斐あって、今年は何事も起きず穏やかに夜を迎えた。

「あれ?モトちゃん、どこに行くの?」
「ん?温泉よ。」
お風呂セットを手に廊下を歩いていたら、琴子とでくわした。
「温泉って、地下じゃなかった?」
「ああ、アタシが行くのは貸切。」
「貸切?」
「そ。」

女なのに男の体に生まれてしまったアタシだけど、さすがにこういうところで女風呂に入ることは躊躇われるわけよ。だって体はやっぱり男なんだもん。
だからといって男風呂でブヨブヨのおっさんたちに囲まれるのは嫌(入江先生とだったら考えてもいいけど)。
そういうわけで、こっそりと貸切風呂を予約しておいたわけ。
これでも結構気を遣ってるんだから。

貸切風呂は小さいながらも内風呂、露天を備えたなかなかのものみたいね。一通り見た後、着替えに入ろうとした時。

「モトちゃん、お邪魔していい?」
さっき別れたばかりの琴子がのんきな声を出して入って来た。
「どしたのよ。」
「ん?一緒に入ろうかなって思って。」
「へ?」
「あ、ちゃんと料金は半分払うよ。安心して。」
「いや、そういう意味じゃなくて。」
「お邪魔しまあす。」
琴子はお風呂セットをカゴの中に放り込んだ。



「はあ、温泉はやっぱりいいねえ。」
ベタに頭にタオルを乗っけて、琴子が気持ちよさそうにしている。
「ねえ、ちょっと。」
「何?背中の流しっこ?OKだよ。それも温泉の団子味だよね。」
「それを言うなら醍醐味ね。いやいやそういうことが言いたいわけじゃなくて。」
何でこの子、こんなに開放的なのかしら?にごり湯だからよかったものの、そりゃあいくらアタシが間違えて男に生まれてしまった女だからといっても体は男なわけよ。アタシの方が恥ずかしくなるくらいなんですけど。

「どうして入る気になったのかしらと思って。」
「モトちゃんと?」
「そう。」
「だってせっかくの温泉じゃない。」
「うぅぅ」と親父くさい声を出しながら琴子が答えた。
「何、今の声?」
「気持ちいいと出る声。」
「ふうん。」
と、そんなことはどうでもいいんだった。

「ああ、話の続きね。温泉なのに一人で入るのは寂しいんじゃないかなって。」
今度は「おぉぉふぅ」ともはや文字にもしにくい声を出す琴子。もしかして、この子は間違えて女に生まれてしまったオヤジ?

「みんなで温泉に来たんだから、きゃあきゃあ騒ぎながら入りたいじゃない?あたしもモトちゃんと騒ぎながら入りたかったんだ。」
「琴子…。」
「モトちゃんはちゃんと女の子だから、全然気にしてないよ、あたし。」

…アンタって、本当にこういうところ、かなわないわあ。
こういうことをサラっと出来るってすごいと思うのよね。こういうところが入江先生も好きなんだろうなと思う。
確かにアタシだってそういう女子めいたことに憧れはあるわ。でもそんなの、永遠に無理だって思ってた。
アタシにとっての、高い高いハードルをアンタはいとも簡単にクリアしてきてくれたのね。

「アンタって、いい子ね。」
アタシは「あぁぁうぅ」とまたもや親父っぽい声を出している琴子の頭をグイッと引き寄せた。本当にいい子よ、アンタは。



「へえ、来夢ったらそんな所まで営業してるのね。」
「そうなの。そしたらね…。」
背中の流しっこをしながら、琴子が先日夫婦で旅行した話をしてくれた。
「入江くんったら、可哀想なことするだもん!」
以前病院にイベントでやってきた猿と温泉で出くわして、入江先生と戦ったらしい。それを琴子はどうやら動物虐待だと怒っているみたい。
でもそれは違うわね。虐待じゃないわ。
アタシ、気付いていたの。あの猿、琴子に惚れているのよね、いっちょまえに。
猿にも好かれるアンタもアンタだけど、それをライバルと認める入江先生も入江先生だわ。
「猿にも愛される可愛い妻」という風に認識できないものかしらね?

「でもその後、イリュージョンしてくれたからいいんだ。」
「イリュージョン?」
「そう。入江くん、すごいんだよ!」
イリュージョン、温泉でイリュージョン?『滝の白糸』みたいな水芸かしら?さすが入江先生ね、そんなことして琴子を喜ばせるなんて。

「他には何かしてくれたの?」
「あとは…マサムネ?」
「マサムネ?」
なんじゃ、そりゃ?
マサムネと聞いて一番に浮かぶのは伊達政宗だわね。伊達政宗とイリュージョン?
「入江くん、すごかったの、マサムネ…。」
すごい伊達政宗って何?もしかして政宗のモノマネ?伊達政宗のモノマネしながら水芸を温泉でやったのかしら?
ちょっと待って、戦国武将のモノマネってどうやったらできるわけ?入江先生、タイプスリップして本人に話を聞いてきた?いやいや、それはないって。
じゃあ、入江先生ほどになると肖像画から声が分かるとか?あ、そっちならあるわね。うん…。



「入江先生!」
お風呂から上がって一度部屋に戻ったあと、アタシはジュースを買いに部屋の外に出た。そしたら入江先生とバッタリでくわした。
「琴子って、いい子ですね。」
ついそんなことを口にする。自然と出ちゃったのよね。
「何を今更。」
とフッと笑う入江先生。くぅー!いいわあ、この台詞!
「確かにそうですけど。でも今回は特にそう思ったんですよね。」
「お前と一緒に風呂に入ったからか?」
「そうです。って、それってもしかして先生はあんまり?」
「いいや。俺たちの中ではお前はあくまで女設定だから。」
「ありがとうございます!それにしても、先生?」
「何だ?」
「何かすごく嬉しそう。」
入江先生、アタシが琴子のことを話した時からとても嬉しそうなのよね。

「そりゃそうさ。」
「どうしてです?」
「あいつが褒められるの、俺一番嬉しいから。」
「自分が褒められるよりも?」
「ああ。琴子がいい奴だって言われるとすごく嬉しい。そんな琴子に選ばれた男ってことで誇らしくなるからな。」

うわあ!!これ、琴子に聞かせてやりたい!でも悔しいから黙っておこう!
琴子ったら、いつも先生が素っ気ないって騒いでいるけどこんなに愛されているんじゃないの。羨ましい子!

「そうだ、そうだ。先生に聞きたかったんですけど。」
「今度は何?」
「伊達政宗のモノマネってどうやるんですか?」
「は?」
琴子の話の時はすごくいい顔だったのに、なぜか表情が厳しくなる先生。
「も、先生ったら!」
アタシは先生の腕を軽く叩いた。
「琴子から聞いたんです。伊達政宗のモノマネして、滝の白糸みたいな水芸したんでしょ?あの子、うれしそうでしたよ!」
「俺が?いつ?」
「この間二人で旅行した時でしょうが!とぼけちゃって!」
「この、この」と先生の肘をアタシは押す。照れてるんですか、先生ってば!

「琴子がそんなこと言ったのか?」
「ええ。政宗がすごかったって。いいな、どうやるんですか?アタシにもできます?」
先生、「ああ、それか」と笑った。
「そうだな。“マサムネ”はお前の中にもあるだろうけれど。」
アタシの中にある?政宗が?うそ!
「それって政宗の精神がアタシの中にあるってことですか?」
すると入江先生、クスッとまた笑うだけで行ってしまった。

うーん、アタシの中に政宗があるとは!いや、奥が深いわあ!
とりあえず、帰ったら伊達政宗関連の本を読んでみることから始めてみようかしら?






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cocoaさん、ありがとうございます。

お返事遅くなり申し訳ありません。

モトちゃん、ちゃんと琴子ちゃんのことを認めているんですよね。
琴子ちゃんを褒められて入江くんも鼻が高いし。こういうところを琴子ちゃんにも見せてあげたいところです。

そうそう、私もモトちゃんには幸せになってほしいです。
色々苦労もあると思いますが、なんか素敵な男性と知り合って素敵な人生を送ってほしいですよね!

まあちさん、ありがとうございます。

お返事遅くなり申し訳ありません。

大丈夫、モトちゃんは入江くんの中でもちゃんと「女」認定されているはず(笑)
それにモトちゃんだって琴子ちゃんに変な気は起さないでしょうし。

入江くんも琴子ちゃんにあれを褒められて、そりゃあ嬉しいことでしょう。

YKママさん、ありがとうございます。

お返事遅くなり申し訳ありません。

そうそう、まさしくその通りですよね。
琴子ちゃんは優しいから、モトちゃんだって楽しく温泉で騒ぎたいだろうと思って後を追いかけてきたんでしょうね。
琴子ちゃん、モトちゃんのことはきっと女だと思っているだろうし。
確かにその通り、入江くんを説得していたような気がします。
モトちゃんのマサムネは永遠に竹光状態でしょう(笑)

紀子ママさん、ありがとうございます。

モトちゃんも琴子ちゃんのことが大好きで、色々お世話していますもんね。
結婚記念日の時は張り切ってくれていた感じだし。
そうそう、オヤジくさい琴子ちゃんをちょっと書いてみたくて。
来夢は最高のキャラですよね!また戦いの日がいつかやってくるはず。
入江くんも静かに琴子ちゃんへの愛を打ち明けているし。も~幸せもの!

モトちゃんのマサムネは永遠に封印されているんです(笑)

たまちさん、ありがとうございます。

爆笑して下さり嬉しかったです。

モトちゃんは人一倍勘がよさそうなので、来夢の気持ちも分かっていたはず。
まさか入江くんが猿を相手に本気にならないだろうと思っていたのですが、よもや、そんな事態になっていようとは。

モトちゃんはこの旅行から帰ったらきっと伊達政宗の関連本を読みあさることでしょう。
そのうち、眼帯して出勤してくるかもしれません。
そりゃあ、入江くんがあんなことするなんて夢にも思っていないでしょうしね。
でも真実を知っても「アタシには絶対無理。いや、やったらおしまい」「アタシにはそんなマサムネはない」と自分に言い聞かせることでしょう!

爆笑死www

初めてのコメントだょ~~ ////すみません。

(でわ、改めて感想を!! コホン。)

私は、イタズラなkissが大好きで、(平成生まれですが、、)
二次小説も大好きで、水玉さんが大好きで!!!!!
学校から帰ったら、すぐ読んでおります、、、
こんな素敵な小説、届けてくれてありがとうございました!!

(よし!イタズラなkiss読んで受験頑張ろう!、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、勉強します、、、)



風吹さん、ありがとうございます。

はじめまして!!
お若い方に楽しんでいただけて何よりです。
お若い方にもイタキス楽しんでいただけるんですね~。原作は携帯も出てこないのでどうなんだろうって思ってました。
受験、体調に気をつけて頑張って下さいね!応援しています♪
こちらこそ、素敵なコメントを届けて下さりありがとうございました^^
プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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このブログについてのお願い
当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

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