日々草子 サブ・ローザ 2

プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

現在の御訪問者

現在の閲覧者数:

御訪問ありがとうございます

このブログについてのお願い

当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

カテゴリー+月別アーカイブ

 

最新コメント

最新記事

サブ・ローザ 2






VIP病棟での初めての患者、それも政治家。琴子の緊張は言うまでもなかった。
「大丈夫、患者は患者に変わりないんだから」
自分に何度も言い聞かせながら、琴子は病室のドアをノックした。

「失礼します。」
通常の個室よりもずっと広い部屋。応接セット完備。その応接セットから立ち上がったのは二人の初老の男性だった。
「寺崎さんの担当看護師の相原です。」
「ああ、どうも。」
目の前に立っている男たちより先に、ベッドの方から声が聞こえた。

「寺崎です、お世話になります。」
病人にもかかわらず丁寧に櫛が入れられた白髪まじりの髪、さすがに顔色は優れないものの、その笑みは穏やか、それが寺崎高志であった。
「先生がお世話になります。」
「よろしくお願いします。」
応接セットにいたのは寺崎の秘書たちであった。

琴子は日常生活の様子、食べ物の好き嫌いなどを寺崎に確認した。寺崎はどの質問にも屈託なく、時折笑いも交えながら答えてくれた。その寺崎の態度にいつしか緊張していた琴子の心もほぐれた。

「相原さんは言葉から察するに東京の方ですか?」
「はい。」
「そうですか。どうですか、神戸は?」
「素敵な所です。」
「神戸出身の僕にはとてもうれしい言葉です。それなのに…。」
寺崎は溜息をついた。
「地元に戻ってこの様なんて、本当に情けないものです。」
「いいえ、そんなこと。この辺りでゆっくりと休むようにと神様が言われたんですよ。」
寺崎は元々高血圧があった所に疲労がたまり心臓に負担がかかったらしい。道で倒れ、救急車でこの病院に運ばれてきたのであった。
「たまたまこちらの病院の先生が通りかかってくれたおかげで、適切な処置をしてもらえ救急車にも同乗してもらえたそうなんです。」
胸の苦しさを訴えたところで寺崎の意識はなかったらしいので、秘書たちから話を聞いたのだという。
「その先生にぜひとも担当していただきたいと無理をお願いしました。」
「まあ、そうなんですか。」
担当医を琴子はまだ確認していなかったことに今頃になって気付いた。政治家担当ということでかなり気が高ぶっていて肝心なことを忘れているなんてと、琴子は自分を叱りつけながら寺崎の枕元のプレートを見ようとした時。

コンコン。

そこにノックの音が聞こえた。
「どうぞ。」
寺崎の返事とほぼ同時に、ドアが開いた。
「先生!倒れられたって聞いて。」
息を切らせてやって来たのは二十代後半、背の高い体をスーツに包んだ男性だった。
「具合はいかがですか?」
「何ともない、それより担当の看護師さんの前で何だ、その態度は。」
「失礼しました。」
男性は琴子に気づいて恥ずかしそうに頭を下げた。
「秘書の一人です。こちらは担当看護師の相原さん。」
「寺崎です。」
「相原です…え?」
今この秘書は寺崎と名乗らなかっただろうか。
「息子なんです。息子の理志です。」
ニッコリと笑って寺崎が説明した。
「息子さんですか。」
「お世話になります。」
落ち着いた父親の様子に安堵したのか、理志にも余裕が出て来たのかその顔は幾分和らいでいた。

理志は父親が地元へ戻っている間、東京で留守番をしている予定だったのだという。倒れたという知らせが入り慌てて新幹線で飛んで来たとのことだった。
「お前、担当の先生にお話を伺ってくれ。」
「分かりました。」
秘書とはいえ家族でもある。
「担当の先生とお会いできる時間はありますか?」
理志に訊ねられ、まだ担当医を確認していなかったことに気づいた琴子は、そっと寺崎の枕元のプレートを確認する。
「担当医は入江先生ですので今、確認をしてきます。」
「お願いします。」
理志に頭を下げられ、琴子は笑顔で病室を後にした。
「入江先生はと…ん?」
スタッフステーションへ進む琴子の足が止まった。
「入江?」
この病院に入江という名前の医師が他にもいただろうか?



「びっくりしちゃったよ、まさか入江くんが寺崎さんを助けたお医者さんだったなんて。」
帰宅後、琴子は直樹に興奮しながら話した。
「俺も驚いた。まさかあんな現場に遭遇するとはな。」
医者として同乗して、更に担当医として指名されるとは。
小児外科の方ではちょうど落ち着いているところなので引き受けたという。
「まさかお前が担当するとは。」
「うんうん、私もとうとうVIP担当デビューなのよね。」
口では軽い調子だが、さすがに気が張っていたのか琴子に料理をする気力はなかった。というわけでテーブルに並んでいるのは出来あいの惣菜である。

「政治家ってもっと怖い人だと思ってた。」
「怖い人?」
生春巻きを頬張りながら直樹は琴子を見た。
「うん。紫のガウン着て、両手に金の指輪をいっぱいはめて。札束で往復ビンタとかしているのかと。」
「…悪徳金融業者だろ、それ。」
「寺崎さんって、すごく優しい人でびっくりしたよ。」
「代議士の中でも悪い噂も立ったことのない、珍しいタイプではあるけれど。」
「あれ?入江くん、寺崎さんのこと詳しいの?」
「お前が政治に興味なさすぎ。寺崎高志、神戸が選挙区の祖父の代からの衆議院議員。党の重職も経験し、首相候補としても何度か名前上がっている人だぜ。」
「嘘、そんなにすごい人だったんだ!」
明日、また緊張しちゃうかもと琴子はブルルと震えた。

「神戸でお前、まともに仕事しているんだから、そのまんまで頑張ればいいさ。」
直樹が優しい言葉をかけると、
「うん、入江くんと一緒に患者さんを担当できるんだもんね!頑張る!」
と、琴子は笑顔を見せた。
「あ、奥さん業も頑張るからね。」
「そっちはあんまり期待しないでおく。」
「ひどーい!」
膨れる琴子の口の中に直樹は生春巻きを押し込んだのだった。



「フン、フン、フン~スーパーナースのあたしが行く~。」
自分で作った適当な歌を歌いながら琴子が食器を洗っている時、お風呂が沸いた音楽が流れた。
「入江くん、お風呂湧いたからお先にどうぞ。」
リビングにいるかと思っていた直樹の姿が、そこにはなかった。
寝室に使っている部屋をのぞくと、そこで直樹が何か考え事をしていた。
「入江くん?」
「え?何?」
琴子から声をかけられた直樹は驚いた様子を見せた。
「お風呂湧いたよって言いに来たんだけど。」
「ああ…そうか。分かった。」
支度をしようと直樹は立ち上がった。
「何を考えていたの?」
「…お前がどうやったら一緒に風呂に入るかってこと。」
「…考えても無駄だと思う。」
顔を真っ赤にして琴子はキッチンへと戻ってしまった。
笑いながら見ていた直樹であったが、やがてその顔から笑みが消えたのだった。





関連記事

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

NO TITLE

更新ありがとうございます♪
琴子ちゃんVIPデビューですね。
入江君と二人三脚頑張ってね。
いったいどんなことが起きるのでしょうか??

最後の入江君の態度が気になります。
何について考え込んでいるのか?
楽しみです!!

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

たまちさん、ありがとうございます。

暑い中コメントありがとうございます♪

本当にいつの時代の金持ちって感じですよね。
役者はそろったというところですよね。入江くんの出番も作らないといけないということで、急遽担当医に…。
入江くんの悩みが何なのかも気になるところです。

ぴろりおさん、ありがとうございます。

暑い中、そしてお忙しい中のコメントありがとうございます♪

さすがぴろりおさん、タイトルの意味が分かったんですね!
そんな深い話は書きたくとも書けないのでお恥ずかしいのですが、頑張ります。
このシリーズの琴子ちゃんは立派な看護師さんですので、あとは入江くんとすれ違わないかが問題なんですよね。
我慢できなくて読みに来て下さるなんて、とてもうれしかったです!

ゆみのすけさん、ありがとうございます。

暑い中コメントありがとうございます♪
琴子ちゃん、デビューしても何とかお仕事頑張っております。
入江くんが何を悩んでいるのか、それに琴子ちゃんが気付くのか…。
ゆみのすけさんに楽しんでいただけるよう頑張りますね!

紀子ママさん、ありがとうございます。

暑い中のコメント、ありがとうございます♪

救急車をタクシー代わりに使うわ、たらいまわしにされるわ…色々大変な世の中ですよね。
よかったですね、名医の処置で助かって!
日キス、そこまで進んだんですね。
この間、大泉会長役の人が出ているドラマは見ました(笑)
そうそう、ブログの絵、素晴らしいですね!!
いいな~絵の上手な人♪

YKママさん、ありがとうございます。

暑い中のコメントありがとうございます♪

電球!!確かにそんな表現がぴったりの琴子ちゃんですね。
LEDのように長持ち。そんな琴子ちゃんに群がる虫…そのうちの一匹に入江くん、あなたも入っていると言いたいです(笑)
神戸の入江くんは琴子ちゃんに振り回されるシリーズなので、そこはしっかりと書いてみました!

anpanさん、ありがとうございます。

暑い中のコメントありがとうございます。
神戸シリーズは本当は安心して読めるはずなんですよね。
でも琴子ちゃんがモテモテシリーズでもあるので、入江くんは苦労するかも。
楽しみにしてくださってうれしいです。がんばりますね!

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP