日々草子 シンデレラ・コトリーナ 8

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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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ノックの音に、博士は読書の邪魔をされた不機嫌さを露わにして、ドアを開けた。
「まったく、この間といい今日といい、一体どこの物好きがここを訪れるというのじゃ!」
「物好きで悪かったですね。」
「王子!」
立っていたのは、あのナオキヴィッチであった。
「本を譲って下さったお礼を申し上げに参りました。」
「お、お、お礼と言ったか?」
「ええ、お礼と。」
「おぬしから…おぬしからそんな殊勝な言葉が出るなんて!」
博士の顔は驚愕にあふれた。
「どうした!頭でも打ったのか!」
「…どいつもこいつも同じことを。」
「何じゃと?」
「いえ、どこも打っていません。俺もあの頃よりは成長したつもりです。」
とりあえず博士はナオキヴィッチを家の中へと入れる。

「いやあ、あの生意気な小僧がこんな所までやって来るとは思わんかったよ。」
「俺もこんな山奥まで足を運ぶとは思いませんでしたけど。」
「やはり王子じゃ。その口の悪さは間違いない。」
と言いつつ、博士の顔はどこか嬉しそうであった。

「…お元気そうですね。」
自分のためにお茶を淹れる博士を見ながら、ナオキヴィッチは呟いた。
「空気のいいところへ引っ越したおかげで、体はこの通りぴんぴんしておる。生意気な小僧のお守からも解放されて足腰もこの通り…っと。」
足踏みをしようとした博士であったが、バランスを崩し転びかけた。すかさずナオキヴィッチがその小柄な体を支えた。
「ったく、年を考えていない所は変わらないですね。」
「フン!」
ナオキヴィッチの手をパンと叩いて、博士は座った。
「老い先短いんですから、たまには城に顔を見せに来て下さい。」
「老い先短いは余計じゃ!わしゃ、まだまだ長生きするんじゃ。まあ、でも。」
ズズズとお茶をすすると、博士はニヤッと笑った。
「何でも城はわしのような年寄でも安心して歩けるようになったらしいじゃないか。たまには遊びに行ってやってもいいぞ。」
博士の言葉に、今度はナオキヴィッチが驚く番であった。その顔を見て、
「ウフフ、なぜわしが知ってるか驚いておるな?」
と博士は嬉しさを隠し切れない。
「この間来た、あの風変わりな小娘が教えてくれたのよ。」
「風変りって…。」
「王妃様の特別女官とか名乗っておったな。」
間違いない、コトリーナである。
「なぜあいつがそれを?」
「おぬしが好きだからであろうよ。」
何を分かりきったことをという顔で博士が呆れる。

「あの小娘、何を血迷ったかおぬしのような、どうしようもない男を好きと来た。好きだからこそ、おぬしがやっていることをいつも気にかけておるのだろうよ。」
「だからといって、そんなことまで気づくなんて」とナオキヴィッチはやはり驚いたままだった。あのコトリーナがそんなことまで。
「ボケッとした顔だったが、なかなか見所のある小娘ではあったな。」
博士はコトリーナに感心しているようであった。
「この間来た時なぞ、わしがおぬしのことをギャーギャー文句つけたら、一方の言い分だけを聞いて結論は出せないと来た。普通、好きな男のことを無条件で庇うもんだというのに。その辺、冷静な所は…。」
「冷静な所は?」
博士はナオキヴィッチを見た。ナオキヴィッチは博士の言葉の続きを待っている。
ところが、
「あっかんべえ。」
と、博士は舌を出した。
「このクソジジイ」とナオキヴィッチは言いたくなったが、今日はそのようなことを言うために来たわけではないと、思いとどまった。

「まあ、とにかく。わしがあの本を譲ったのは、血も涙もない、頭でっかちの王子に惚れてしまったあの娘の今後の悲惨な人生を憐れんでのことじゃ。おぬしに礼を言われる覚えはない。」
「そうですか。」
「それにしても、本当にはやまった真似をする娘じゃ。おぬしのどこがよくてこんな山奥まで本を取りに来たりするんだか。」
「俺を好きなんだからしょうがないでしょう。」
「どこがいいんじゃろ?」
「知りませんよ。本人に聞いたらどうです?」
「全部とか言っておったような。」
「聞いてたのなら、俺に訊ねなければいいのに。」
「さっぱり分からん。」
「俺も分かりませんよ。」
「わしの方がまだおぬしより魅力があると思わんかね?」
「それも本人に訊いたらどうです?」
用件は済んだと、ナオキヴィッチは席を立った。しかし、博士の口はまだ止まりそうもなかった。
「わしだってまだ体も丈夫じゃし。それにあの娘。」
「ニヒヒ」と変な笑い声を博士は立てる。
「…ちょっと見たところ、あの尻は安産型のようじゃ。わしも年齢は来ているが、まだ父親として頑張ろうと思えば…ぐふっ!」
博士の襟をナオキヴィッチが掴みあげていた。
「安産型?もしかしてあいつのドレスをまくって確認したんじゃねえだろうな?」
「そんなことせんわ、変態じゃあるまいし!」
「すでにもう変態だ、このスケベジジイ!」
「それが年配者に向かって言う言葉か、このケツの青いひよっこが!」
「年配者、年配者って威張りたかったら、敬ってもらえるような態度を取れ、スケベ!」
「おぬし、少し前に何と言った?確か“俺も成長した”とか抜かしておったくせに。撤回せい!どこが成長したんじゃ!」
「うるせえ!山奥に引っ込んだらおとなしくしてろ!変なこと考えないで霞でも食って生きてろっ!」
「わしゃ、仙人になった覚えはない!」

結局、ナオキヴィッチと博士の再会は前と同様、言い争いに終始したものとなったのである。

「時間の無駄だった。帰る。」
ナオキヴィッチは機嫌悪く外へ出た。
「ああ、帰れ。帰れ。」
犬を追いやるようにする博士。
帰っていくナオキヴィッチの背中を見ながら、先程答えなかったことを博士は口にしたのだった。
「“ああいう考え方をするおなごだったら、よい王妃になるかもしれん”なんて、口が裂けても絶対教えてやるか!」


「ああ、面白くねえ。」
城に戻ったナオキヴィッチは、機嫌を直すこともなくカツカツと歩いていた。と、その足をふと止めた。
「…よかったです、本当に。」
コトリーナの声である。ナオキヴィッチは顔を上げた。どうやら図書室の近くまで来ていたらしい。
「安産で何よりでした。」
「何だと!?」
安産?コトリーナが?
―― あの尻は安産型。
博士の言葉がナオキヴィッチの脳裏をかすめた。いつの間にコトリーナが出産を?

思わずナオキヴィッチは図書室のドアを開け、叫んだ。
「俺はまだ何もしてないぞ!」
「え?」
突然のナオキヴィッチの登場に、コトリーナとその前にいた司書がキョトンとした顔をしていた。
冗談じゃない。まだ自分とコトリーナは何もしていないというのに、なぜコトリーナが安産など。

「あ、あの…もしかして王子様、お産をご覧になりたかったのでしょうか?」
司書がおずおずと尋ねた。
「お産をご覧に?」
ということは、この人のよさそうな司書はコトリーナのお産を見学したということなのか?なぜ司書が?そこまでコトリーナと深い付き合いをしていると?
「司書さんの所のワンちゃん、赤ちゃんが生まれたんですよ。安産で。」
コトリーナが嬉しそうに続けた。
「犬…か。」
何だ、犬の話かとナオキヴィッチは胸を撫で下ろした。冷静に考えれば、コトリーナがお産をするわけがない。
「まだ何もしていないって王子様、何をされたかったんですか?ワンちゃんのお産のお手伝いですか?」
首を傾げるコトリーナに、
「そんな、めっそうもない。王子様御自ら我が家の犬の世話などしていただくわけには。」
と遠慮する司書。困惑する二人を尻目に、
「いや、何でもない。」
と、ナオキヴィッチは図書室を出て行ったのだった。



執務室へ戻ったナオキヴィッチは、溜まっている書類に手も付けずに考え込んだ。
「なぜ、あいつの安産と俺を結びつけて考えたんだ?」
自分はまだ何もしていないなど口走り、一体何をしようというのか。
「だめだ、あいつのせいで俺のペースはどんどん乱れていく一方だ。」
執務に戻らねばと、ナオキヴィッチは書類を一枚手に取ったが、思考はまだコトリーナに向けられたままであった。


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いつも楽しく拝見してます。最近 チラシの裏のマーくんが登場しないのが寂しです。

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