日々草子 シンデレラ・コトリーナ 3

2013.04.15 (Mon)

シンデレラ・コトリーナ 3

今夜も足を運んで下さりありがとうございます。
そしてお返事ができないにもかかわらず、コメントをありがとうございます♪
読んで下さる方がいらっしゃると、本当に書きたい気持ちが膨れ上がっていきます。嬉しいです^^
というのに、更新できたものの「ここに来てよかった!」とはとても思っていただけないような内容になってしまった感がありありなのですが、とりあえずここまでで第3話ということで。
現在、不調モードのようです…すみません。








【More】




まずは自分を知ってもらおう。
コトリーナは基本方針をそこに定め、せっせとナオキヴィッチ王子へのアタックを続けることにした。

しかしナオキヴィッチはコトリーナを鬱陶しがるばかりで相手になどしない。
その上、未来の国王として日々政務に追われており、やれ視察だ、やれ書類に目を通すだのとコトリーナの前に姿を見せることすら滅多になかった。
そしてたまに顔を合わせることができたと思ったら「追い剥ぎ女」と冷たい視線を向けるだけ。
しかし恋する乙女コトリーナは、そんな呼ばれ方をされてもナオキヴィッチと会えた日に素直に喜んでいた。

「神様、今日王子様と会わせてくれてありがとうございます。」
神妙に祈りをささげるコトリーナを前に、
「本当にけなげといおうか、なんと言おうか。」
と感心しているのは魔女モトであった。
「だって十日ぶりに会えたんだもの。今日はとてもいい日だったわ。」
そしてコトリーナは祈りを続ける。
「どうぞ明日も王子様が健康に過ごせますように。」
ここでモトは気づいた。
「ねえ、アンタってそうやっていつも王子様のことをお祈りしているのね。自分のことよりも。」
「ええ、そうよ。だって王子様がお元気で過ごせることが一番幸せなんだもの。」
屈託なく笑うコトリーナである。



「うーん、困ったもんだわねえ。」
しとしとと降る雨を窓の外に見ながら、モトは杖をプラプラと動かしながら考えていた。
コトリーナが城に来てから一か月が過ぎようとしていた。それなのに王子とコトリーナの関係は一向に進展の様子を見せなかった。モトはコトリーナを連れてきたことが間違いだったのではと思い始めていた。
「アタシ、人を見る目には自信があったのだけど。」
王妃から王子の花嫁にふさわしい女性をと頼まれ、国中を探し回って見つけたのがコトリーナであった。
「王子よりもいい男を見つけた方が、あの子の幸せかもしれないわね。」
コトリーナには気の毒だがと考えていたその時、
「モトちゃん!!」
と、息を切らせてコトリーナが部屋に飛び込んできた。
「ねえ、聞いて!聞いて!」
「な、何なの?」
「あのね、あのね…王子様がね…ネコを…。」
「何ですって?王子様がネコを食べた?」
モトは眉を潜めた。
「あの方、心も人間離れしているかと思ったらやっぱりそんな獣じみたことをしていたのね。」
「違うわよ!もう、ちゃんと聞いて!」
「何よ?」
「あのね、今日ね、お城の近くにネコが捨てられていたの。それを王子様が見つけて…。」
「んまっ!!もしかして、それって…。」
モトは椅子から立ち上がった。その眉が元に戻り、頬が紅潮している。
「今日は雨。そして捨て猫。そして素敵な王子様ときたら…。」
モトの脳裏には、雨に濡れながら助けを求める子猫。それを見つけた王子が抱き上げ「もう大丈夫だよ」と優しく撫でる…というシチュエーションが浮かんでいた。
「何て素敵なのかしら!!」
「でしょ?素敵よね。これで可哀想なネコや犬が減るわよね。」
「ん?減る?」
コトリーナの言葉にモトは首を傾げた。
「何、王子様そんなに大量の捨て猫や捨て犬を拾ったの?」
モトは大量の犬猫を乗せたリヤカーを引っ張るナオキヴィッチを思わず想像して、「いや、まさか」と頭を振った。

「もう、モトちゃん、ちっとも話を聞いていないんだから!」
コトリーナは頬を膨らませた。
「だから、王子様はその捨て猫を見て“まだまだ国中にはこのような動物がいるに違いない”って思って、そういう動物の保護施設を作ることを命じられたの。そして簡単に動物を捨てないようにするために、捨てた飼い主に対する罰則も作るように大臣たちに命じられたそうよ。」
「保護施設…罰則…。」
モトはヨロヨロと椅子に座り込んだ。
「どしたの、モトちゃん。」
「いえ…。」
「ね、素敵なお話でしょ?王子様、素敵よね。」
「ええ…そう…ねえ…。」
未来の為政者としては完璧なことではあるが…モトはウーンと頭を抱えた。
そこにコトリーナの声が響いた。

「さすが王子様だわ。どんな些細なことも見逃されないで、国を治めるきっかけにされるんだもの。」

「え?きっかけ?」
モトは顔を上げた。
「ええ、そうよ。」
コトリーナは頷く。
「だってそうでしょ?一匹助けただけではそのネコが助かるだけであって、捨て猫や捨て犬が多いということの解決にはならないもの。一匹の捨て猫がいたのならもっとたくさんいるはず。猫がいるなら犬もいるはず。そう思われたのでしょう?」
モトはハッとなった。
「アンタって…。」
「ああ、どうしましょう。ますます王子様が好きになる。」
頬を押さえて「きゃあ」と歓声を上げるコトリーナを眺めながら、モトは思った。

――この子…思ったよりも…。



「お珍しいですわね、お呼びになるなんて。」
その晩、モトはなんとナオキヴィッチの部屋に呼ばれた。
「御用の向きは大体分かりますけれどね。」
「なら話は早い。」
机の上で長い指を組み、その上からナオキヴィッチはモトをギロリと睨んだ。
「あの子のことですよね?」
「そうだ。何であんな奴を俺の前に寄越した。」
「それは、王子様に似合っていると思ったからです。」
ナオキヴィッチの睨みにも負けじと、モトは堂々と答えた。
「俺に似合ってる?あの追い剥ぎ女が?」
「ええ、そうですよ。」
「あのバカが?」
「バカってどういうことでしょう?」
「バカはバカだ。」
「いくら冷たいお言葉をぶつけても、全然へこたれる様子がないからですか?」
「そういうことだ。」
「そりゃあ、王子様のことが好きだからですよ。」
「なぜ好きになる?絶対そんなことありえない。」
ナオキヴィッチは立ち上がり、長椅子にドカッと体を移した。

「俺は口だけではなく、性格も悪い。会えば傷つけてばかり。そんな男を好きだと?ありえない。」
「…性格が悪いことを自覚しているなら、直す気はないのかしらね?」
「何か言ったか?」
「いえ。」
「とにかく俺はあいつを何とも思っちゃいない。今後も思うことはない。そう言っておけ。」
「それはご自分でどうぞ。」
「言った。38回繰り返した。」
「38回って数えていたんですね…。でも無駄だったと。それでアタシから言えと。」
「連れて来たのはお前だ。最後まで責任持ってくれ。とにかく俺は女は必要ない。」
「…あの子は今まで王子様に近づいてきた女とは違いますよ。」
今までナオキヴィッチを挑発するかのような笑みを浮かべていたモトは真面目な顔で言った。
「どこが?」
「それはご自分で確認された方がよろしいかと。ご自分の目が一番信頼できるでしょう?」
モトはそう言い残し、ナオキヴィッチの部屋を出ようとしたところでクルリと振り向いた。
「あの子…未来の王妃の器かもしれませんよ。」
「未来の王妃?どういうことだ?」
「私にもそれ以上分からないので。」
「何だと?無責任な奴だな。」
「ただ一つ言えることは、あの子は王子様がおっしゃるような外見だけにうつつを抜かすタイプではないってことです。」
「どういうことだ?」
「私も今はそれしか言えないというか、分からないので。」
「とにかく、お前と母上がどう足掻こうが、俺は女一人でこの性格を変えるつもりも変わる予定も全くない。俺は今のままで何も不満はない。だから他人は必要ない。以上!」
「はいはい。」
モトはフフフと笑って、ナオキヴィッチの部屋を出て行った。

――未来の王妃。
思わず口走ってしまった。モトも本当にコトリーナがそうだか、はっきりとわからない。
ただ一つだけはっきりと言えることがある。

「あの子、どんなに状況が良くならなくても、魔法を使ってとアタシに頼んできたことがないのよね。」


関連記事
23:31  |  シンデレラ・コトリーナ  |  CM(5)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 |  2013.04.16(Tue) 06:34 |   |  【コメント編集】

水玉さん、その後体調はいかがでしょうか??
ゆっくり、しっかりと体を休ませて下さいね。

今回のお話も
琴子ちゃん頑張れ~~!!!と
心から応援したくなるお話です。
琴子ちゃんのけなげさもまたホッと感じる私です♪

水玉さんいつもありがとう♪
ゆみのすけ |  2013.04.16(Tue) 09:52 |  URL |  【コメント編集】

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 |  2013.04.16(Tue) 17:11 |   |  【コメント編集】

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 |  2013.04.16(Tue) 22:59 |   |  【コメント編集】

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 |  2013.04.18(Thu) 00:17 |   |  【コメント編集】

コメントを投稿する

URL
COMMENT
PASS  編集・削除するのに必要
SECRET  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲PageTop

 | HOME |