日々草子 縁ありて 21

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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

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縁ありて 21

コメントのお返事がまた停滞してしまい申し訳ありません。
間が空いたりして話を進める方が先かなあと思って…。
前回はたくさんのコメントをありがとうございました。
すごく嬉しかったです♪









漸く落ち着いた直樹とお琴は、入江家へと出向いた。
直樹が傷ついていたことや、お琴がそれをずっと見守っていたことを知っていた重樹と紀子は晴れ晴れとした二人の顔を見ることができ心から安堵した。

「ご心配おかけしました。」
手をついて頭を下げる直樹とお琴に、重樹と紀子が嬉しそうに頷く。重樹の体もすっかり良くなっていた。
「ひょんなことから、お前が生まれた家の名前が分かったわけだが…。」
重樹がかねてより心配していたことを口にした。
「はい。」
「お前に隠していたつもりはない。訊かれたら答えようと紀子と決めていたことではあった。」
紀子が頷く。
「それでだな。」
「何でございましょうか。」
「藤波殿がお前に会いたいと申されておる。」
藤波とは直樹の実の父であった。
「此度の騒ぎは藤波殿は何も知らないことであった。だが藤波家の問題でお前に迷惑をかけたことを詫びたいと申されている。そして。」
重樹が続ける。
「藤波殿は、此度の騒ぎで家をご自身限りとすることを決められたそうな。」
つまりもう跡取りは他家から迎えないということだった。家をつぶすということがどれほどのことか、武家に生まれた直樹とお琴にもそれは分かっていた。
「お役目も全て返上し、あとは静かに暮らされる覚悟だとか。」
直樹は黙って重樹の話を聞いていた。
「どうする?実の親と対面を希望するか?」
重樹の目は直樹を気遣っていた。

お琴は直樹はどうするのだろうかと、その様子を伺った。直樹は微動だにせずにいる。
「…私たちに気を遣う必要はないからな。」
重樹は直樹が正直に答えられるように導く。
「生みの親に会いたいと思うことは至極当たり前のことだ。」
「私の親は父上と母上だけでございます。」
直樹がきっぱりと告げた。
「直樹さん、それは本心ですか?」
やはり自分たちを気遣っているのだろうと紀子が直樹に問いただした。
「いいのですよ、気を遣わなくても。」
「いえ、気を遣ってなどおりません。」
直樹は紀子にもはっきりと答えた。
「私の親は父上と母上のみ。私は入江直樹です、これから先もずっと。」
直樹の答えに緊張していたお琴の口元に微笑が浮かんだ。

「直樹…。」
「私はこれからも父上と母上に孝養を尽くしてまいりたく思います。お琴も同じ思いです。」
「はい、左様でございます。」
お琴が直樹に続いた。
「私が嫁としてお仕えするのは義父上様と義母上様でございます。」
「お琴ちゃん…。」
紀子が袖で目を押さえた。

「では藤波殿とは?」
「申し訳ありませんが会いたいとは全く思いません。」
「そうか。」
藤波には申し訳ないと思いつつ、重樹と紀子は直樹の返答に胸を撫で下ろしていた。直樹も実の親を懐かしく思って、自分たちの前からいなくなるのではと内心不安でたまらなかったのである。

「ではその旨、先方に伝えよう。」
「よろしくお願いいたします。」
これでその話はおしまいとなった。



昼食を一緒に食べて、お琴たちは入江家を後にした。
「お琴。」
「はい。」
直樹が歩く足を止めた。
「俺の出した答えは間違っているだろうか?」
実の父親との面会を拒んだことを直樹が気にしていると、琴子は気づいた。
「冷たい人間だろうか。」
自分の代で長年続いてきた家の歴史を終えようとしている実の父親への仕打ちとしてはどうなのだろうと、直樹は思う。
「…いいえ。」
お琴はゆっくりとかぶりを振った。
「師匠の出した答えは間違っていません。」
「本当にそう思うか?」
直樹が一歩下がった所に立っているお琴を振り返った。
「はい。」
お琴ははっきりと頷いた。
「育てのご両親を大事に思う師匠のお心はもっともだと思います。そして藤波様を気遣われる師匠が冷たいとは思いません。」
「そうか。」
「はい。」
お琴の言葉に、直樹は少し安堵した表情を見せた。

「俺と会って、どうしたいと思ったのだろうか?」
入江の両親には訊けなかったことを直樹は妻に問いかけた。
「生まれてすぐに手放した息子に何を求めたかったのか、俺には分からない。」
幼い頃より神童と持て囃されてきた直樹にも分からないことがある。
「おかしなものだ。」
直樹は自嘲した。
「今まで沢山の、人間のドロドロとした感情を物語として世に出して来たのに、自分のこととなると何一つ分からない。」
「…私の想像なのですが申し上げてよろしいでしょうか?」
おずおずとお琴が口を開いた。
「ああ。」
「想像ですが、藤波様は…成長した我が子の姿を一目ご覧になりたかったのでは?」
「それは分かる。何のために?」
「生まれてすぐに手放したとはいえ、我が子には違いありませんから。親としての感情かと思います。」
「そんな感情がわくだろうか?顔もろくに覚えていないだろうに。」
「覚えていらっしゃると思います。」
お琴がきっぱりと言った。

「覚えている?」
これには直樹が意外だという顔をする。
「はい。何十年経とうと師匠のお顔は覚えていらっしゃるのではないでしょうか。今までお会いにならなかったのは入江の義父上様たちへのお気遣いだと思いますが、師匠がどのように成長されたか、気にしなかった日はないと思います。」
「俺はてっきり、会ったら藤波の家に戻る気はないかと言われるかと思っていた。」
「それはないと思います。」
これもお琴が断言した。

「今日のお前はやけに自信にあふれているな。」
直樹がクスッと笑った。
「なぜそう思う?武家など家が一番大事なものだ。それはお前だってよく分かっているはず。」
「私の父がこの間、申しておりました。」
「相原の義父上が?」
「はい。先日実家へ戻った折にそのような話をしたのです。父には私しか子はいないのに、外へ嫁いで大丈夫だったのかと。そうしたら父は“娘の幸福を犠牲にしてまで血縁にこだわらない”と。」
「義父上がおっしゃりそうなことだ。」
また直樹が笑った。その様子が目に浮かぶようである。

「藤波様も同じようなお考えだと私は思います。師匠は入江家のご長男として健やかに立派に成長されました。それは入江のご両親の賜物。師匠のそのような幸せを奪ってまでご自分の家を継がせようとは考えられていないと思います。」
「親だから?」
「はい。此度の一件で師匠がどれほど傷ついたか、もはや関係のない家の騒動に巻き込まれた師匠のお心を慮って藤波様はお家をご自身限りとする決断をされたのだと思います。藤波様は全ての原因となったお家をなくすことで師匠の憂いがなくなるようにと考えられたのではないでしょうか。別の言い方をすると、生まれてすぐ養子に出した師匠への懺悔かもしれません。」
「懺悔…ね。」
直樹が目を地面へと落とした。

――しまった!
お琴は自分の口が過ぎたのではと思った。そんなことを話したら、直樹の決断が悪いと言わんばかりではないか。

「だとしたら。」
直樹が顔を上げた。
「俺はやはり藤波殿に会うことはない。」
「師匠。」
「藤波殿がそうお考えならば、俺はやはり会う必要はないということだ。そうだな?」
「は、はい。」
また自分を責めてしまったらどうしようかと心配していたお琴は胸を撫で下ろした。
「俺が入江の両親に孝養を尽くすことをあちらも望んでいる。入江直樹として暮らしていくことを望んでいると、俺はお前の話からそう受け止めた。」
「そうだと思います。あ、でも藤波様に聞いたわけではないので…。」
「何を今更弱気になるんだ。」
ごにょごにょと口ごもり出したお琴を直樹が小突いた。

「俺は女房の考えを信じるさ。」
「本当ですか?いいのですか?」
「ああ。人の心の動きに関しては俺よりお前の方が優れているからな。」
「あ、師匠。」
「え?」
歩こうとした直樹がまた足を止めた。

「藤波様と奥方様がいらっしゃるから師匠はこの世に生まれたのです。確かに藤波様のお家の件では師匠も義父上様も渡辺屋さんも大変な目に遭われましたけれど…それは藤波様ご本人が関わったわけではないですし。此度のことで藤波様と亡き奥方様を恨まないでくださるといいなと思います。」
「お琴…。」
「師匠がこの世に生まれたから私は師匠と出会うことができました。こうしてお傍にいられるのです。私は藤波様ご夫婦にも感謝しております。」
最後にニッコリと笑ったお琴をしばし見ていた直樹であったが、その口に自分の唇を重ねた。

「師匠、こんな外で!」
「いいだろ、夫婦なんだから。」
直樹はじたばたするお琴を抱きしめた。
「もう!」


――俺もお前をこの世に出してくれた相原の義父上と義母上に感謝している。

お琴を抱きしめながら直樹はそう思ったのだった。










なんか最終回ぽくなりましたが、まだ少し続きますので~!!
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いたさん、ありがとうございます。

続けてコメントありがとうございます。
私も遅れての返事で申し訳ありません。
藤波さんは切腹とかにならなかっただけでもよかったと思うしか…手放した時点でそれは覚悟していたと思います。そうでないと入江の両親がかわいそうですから。

まあちさん、ありがとうございます。

続けてのコメントありがとうございます。
そうですよ、入江くんには琴子ちゃんがいないとだめです!!
私も琴子ちゃんみたくがむしゃらになりたいなあといつも思います。
あの看護科へ編入したバイタリティは今でも見習いたい…年下にまじって頑張る姿はすごいと思いますよ。

ようたいさん、ありがとうございます。

18からのコメントありがとうございます。
琴子ちゃんと出会ってから入江くんは本当に感情豊かになりましたよね。琴子ちゃんだけが入江くんの感情を動かせるんだなあと思います。
琴子ちゃんに謝る…ぷぷぷっ。
本当にそれができたらよい男ですね!

トトロンさん、ありがとうございます。

19からのコメントありがとうございます。
いえいえ、本当にお返事なくて申し訳なくて…
やっぱり感想を頂戴しているのだからできるだけお返事は書くよう頑張りますね!
お優しいお言葉をありがとうございます。
今回もお琴ちゃんの深い愛情でございました♪

おばちゃんさん、ありがとうございます。

そうなんですよね、書いてみたらここで終わっていいんじゃない?みたいな感じで(笑)
でももうちょっと書きたいことがあるので、お付き合いいただけたら嬉しいです。

佑さん、ありがとうございます。

16からのコメントありがとうございます。
今回も佑さんをやきもきさせたストーリーで…(笑)
琴子ちゃんに諭される入江くん、ちょっといいですよね(笑)たまにはこんなのもありかと。
そうだ、機微でした!この単語が浮かばなくて!ありがとうございます!

紀子ママさん、ありがとうございます。

16からのコメントありがとうございます。
もこみち浅見、録画してまだ見てないんですよ~。
ついでにもこみちのオリーブオイルに応募しちゃいました(笑)買ったら5千円以上ってすごいお高いオイルだわ!当たりますように~。
にしても、今回は大きな浅見光彦になりましたね(笑)風間杜夫と兄弟って色々突っ込みたいですけど。
そうそう、イタキスのドラマ化!
CSだしフジテレビはあまりお金がないとかいう話だから、そんな有名人じゃないと思いますが(ギャラ高くなるからね)…背の高さだけは維持してほしいな~。

たまちさん、ありがとうございます。

16からのコメントありがとうございます。
おとなしくお琴ちゃんの話を聞く入江くん…(笑)
お琴ちゃんは人の心を思いやることができるから、こういう話ができるんでしょうね。
今回もたまちさんからよしよしとハグしてもらえそうで嬉しいです。
時代が時代だけに見つかったら大騒ぎになりそうですよね。

やっぱり、お琴ちゃんは凄いよね! 物事の"芯"を見抜いているの!! しかもそれをサラっと伝えることが出来るなんて 直樹が惚れ込むはずですよね。

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