日々草子 頭を使う後輩

頭を使う後輩

某サイト様でほめていただけて、励ましのお言葉まで頂戴しちゃったので!!
興味のない方には本当、申し訳ないです。









「こんな無茶な依頼を聞いてもらえるとは思ってない!だが、君にしか頼めないんだ、頼む、ゴルゴ入江!!」
「…やってみよう。」

…日増しに態度が大きくなっていく我が後輩だ。
だが、確かにこれはいくら入江でも難しいと僕は思う。

「入金が確認され次第、とりかかることにする。」
「わかった。」
ちなみにこの会話、英語だ。相手は英語圏の人間。つまり日本人じゃない。
今回の依頼は宇宙へ行けとかそんな無茶なものではない。ちゃんとした手術の依頼だ。

え?西垣先生、英語は上達したかって?
うん、ちゃんとあれから英会話教室へ入学申込みしたんだよ?医者という不規則な生活の合間をぬって語学を習得しようとするこの向上心を褒めてほしいもんだよ。
ところがどっこい。
外国人講師がさ、「何で英語を?仕事に必要だから?」と質問してきたわけ。
で、僕は正直に答えたよ。
「C○Aと対等に会話をしたいから!」ってね。

そしたら講師は「アハハハ、君は冗談がうまいね。」と笑ったんだ。
「冗談じゃない!僕はC○AともN○SAとも対等に会話をしたいんだ」と熱弁をふるったんだ。
そうしたら…。
「いい年してふざけるなあ!!」
とめちゃくちゃうまい日本語で怒鳴られた…くそ、これも入江のせいだ!



「でもさ、相手のデータも何もないんだから一から検査するしかないんじゃないのかな?」
僕は歩きながら入江に訊ねた。
「そんなことできるわけないでしょう。もう二度と検査はごめんだと患者が言っているんですから。」
「でもデータがないと手術は難しいって。」
「西垣先生。」
入江は足を止め、僕を睨んだ。
「患者にとって何回も採血されたり、レントゲン撮られたり、どれだけ苦痛か分かっているんですか?」
「わ、分かってるよ…。」
「分かっていて、もう一度検査なんてよく言えたもんですね。」
「だって…。」
「まったく、だからあなたは英会話教室から追い出されるんですよ。」
「な、何でそれを!!」
僕のトップシークレットを、なぜおまえが知っている!
「…そんなのがトップシークレットなんて、どうしようもない人だ。」
だからどうして僕の考えていることが読めるんだよっ!!

さて、今回の患者はとある病院から斗南大病院へ転院してきた人だ。
ところがこの患者、何一つ前の病院でのデータを持って来ていない。それは理由がある。

…前の主治医と大喧嘩したんだとさ。
それで売り言葉買い言葉で「お前のカルテなんて、絶対にうちから出さないからな!」「ああ、上等だ!お前の世話になんて今後ならねえよ!」と掴み合いの喧嘩になり大騒動だったとか(ちなみに喧嘩になった理由は好みの看護師のタイプがかぶったから)。
…くだらない、本当にくだらないよ。


というわけで、入江はデータが何一つない、そして検査もできないという患者の手術を担当することになったってわけ(勿論、その患者は大金持ち)。



「データがなければ、手に入れればいいんです。」
「手に入れるって、どうやって?」
患者がかかっていた病院は金持ち専用病院だとかで、データ保管もそりゃあもう厳重らしい。コンピュータの中に入っていて、専用のアクセスキーがなければだめだって話じゃないか。

「アーマライトを手に病院へ突入?」
すると入江は「フッ」と鼻で僕を笑った。
「これだから、素人は。」
そして入江は頭をコツコツと叩いた。
「ここを使うんです、ここを。」




「で、何でお前の家に?」
入江が向かったのは自分の家だった。相変わらずでかい家だ。高級住宅街の中でも目立つ大きさ。
入江はスタスタと門の中に入る。僕も後を追いかけた。

入江は家の中に入ると、まっすぐにある部屋へ向かった。

「あら、早かったわね。」
そこは書斎らしい。そして中にいたのは入江のお母さんだった。
「どう?」
「できたわよ。」
お母さんの座っている席。その前にはパソコンが置いてあった。お母さんはディスプレイが入江に見えるように体を少し動かす。僕も首を伸ばした。

「こ、これって!!」
ディスプレイに出ていたのは紛れもない、あの患者の電子カルテだった。
何でこれが、この家のパソコンに!!

「もしかして…。」
「そうです。あの病院のデータシステムに侵入したんです。」
入江がしれっと答えた。目はカルテから動かない。
「それって!」
世間ではこういうのをハッキングというのでは!?
そしてそれをやったのは…。

「お袋ですよ。」
「お袋さんが!」
「お袋、パソコンに強いんですよ。」
その言い方じゃないだろ!パソコンに強いくらいで、ハッキングできねえよ!

「難しかった?」
「全然。すぐにできちゃった。ここのパスワード、ちょっと考えた方がいいかも。」
いかにも物足りないという顔で答えるお袋さん。

「でも今回は地味な作業だったわね。この間みたいにC○Aとかの方が腕が鳴るわ。」
そんなところまで侵入しているんですか!
「ああ、お袋にとっては朝飯前なんですよ。」
またもや俺の考えを読む入江。
「嘘だろ…。」
「本当です。お袋にとってはウメーバのパグライフの方が難しいらしくて。」
「そうなのよ!なかなかクエストが終わらなくて!」

…ウメーバ、すげえ。



「ところで、何でこんな地味なことを私にさせるわけ?…と、いけない、私には関係のないことだったわね。」
どうやら理由を追及することはお袋さんも禁じられているらしい。
「いいのよ、私は。お兄ちゃんが琴子ちゃんを泣かせなければ何をしたって構わないから。」
いやいや、少しは息子さんの行動に関心を持ちましょうよ、お母さん!


「お兄ちゃん、ちょうどよかった!」
そこへやって来たのは入江の弟、裕樹くんだ。
「これ、頼まれていた物ができたから。」
「ああ、ありがとう。」
入江が受け取ったのは、携帯電話だ。

「大丈夫か?」
「うん。エシュロンも探知できないように作ったから。」
「エシュロンって何?」
僕の質問に、兄弟そろって「はあ?」という顔をした。

「お兄ちゃん、何でこんな無知な人と一緒にいるわけ?」
「好きで一緒にいるわけじゃない。勝手に付きまとっているんだ。」
「ちょっと!何だよ、それ?エシュロンを知らないだけで無知な人間にされるわけ?」
「はい。」
二人そろって頷きやがった。

「エシュロンというのは、とある国が作った軍事目的の通信傍受システムのことです。」
面倒くさそうに入江が説明すると、
「つまり、この携帯は絶対に傍受されないってことです。」
と、これまた裕樹くんが面倒くさそうに続けた。

「何でそれがいるわけ?」
「病院の職員を一人買収したんです。連絡に使おうと思いまして。」
「つまり病院にこちらの動きを察知されないために必要ってこと?」
「ま、そういうことです。」
入江は携帯電話をポケットに突っ込んだ。


「なあ、こういうものを作るのって親父さんの仕事じゃなかったか?」
確か親父さんのサイドビジネスの一つだったような気が。
「ああ、親父は武器を作ることに専念したいっていうもので。裕樹がそれ以外の道具を作ることになったんです。」
「お兄ちゃん、僕、もっと頑張るからね!」
「ああ、楽しみにしているよ。」
「父さんみたいに、僕もお兄ちゃんの役に立つ道具をたくさん作るんだ!」

おいおい、裕樹くん。
目的、なんか違ってるって。
そこは「お父さんみたいに、夢のあるおもちゃをたくさん作る」だろ?

「オホホ、頼もしいこと。」
そして呑気に笑うお袋さん。

変だ、この家、今更だけど変だ!!

「親父さんが武器、お袋さんがコンピュータ、弟が通信機器、舅が建物改造…琴子ちゃんは?」
「琴子は肉体要員です。」
「…はい?」
「琴子ちゃんが一番、お兄ちゃんのために必要なのよね。」
「そうそう、あいつバカだしね。」
それを何の疑問も持たずに受け入れているお袋さんと裕樹くん。
彼らに入江はこれまた分厚い封筒を渡す。
「悪いわね、こんなにもらって。」
「ありがとう、お兄ちゃん。」
「正当な報酬だ、受け取ってくれ。」
今回はいくら払っているんだろう?



ということで、入江の手術は見事に成功した(勿論、痔の手術ね)。
検査も不要だったことで、患者は大喜び。知り合いにも入江の腕を宣伝すると騒いでいた。


ゴルゴ入江…その活躍(?)を支えるのは世界一怪しい家内工業…。








※この作品は完全なるフィクションです。お笑い目的です。

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ゴルゴ、フォーエバー

こんばんは。ゴルゴ入江ファンを公言させていただいております。
西垣先生、英会話教室さえ通えなかったんですね。なんて気の毒な…wwでも本人大真面目だから余計に哀れさが笑いを誘います。
変だ、この家、のくだりで膝をたたいて笑ってしまいました。そうなんですよ、皆変なのに変だと思っていないところがツボです。
いやー、年末年始と楽しませていただきありがとうございました。
あ、もちろん本編もお待ちしております。

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YKママさん、ありがとうございます。

お返事遅くなり申し訳ありません。
イチジク…そのうち手にする日がくるかもしれませんね、ゴルゴ入江(笑)
琴子ちゃんがいれば、入江くんはまさしく怖いものなしです!

sayuさん、ありがとうございます。

こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
肉体要員、笑っていただけてよかったです。
それ以外に琴子ちゃんの役割ありませんから(なんてひどいことを!)

ソウさん、ありがとうございます。

フォーエバーまでありがとうございます、うれしい!!
そうそう、本人は大まじめで間違っていないんですよね。唯一のまともな人なのになぜか変人扱いされている、この哀れさが…。
そりゃあ「CIAと話したい」なんて言っても相手にされませんよ。
入江家、どっからどう見ても変なんですよ。それなのにその事実にだれも気づいていない。
私、あれからソウさんのあのネタを色々一人妄想して止まらないのですが(笑)
ソウさんにブログで話題にしていただかなかったら、こんなに書くことはなかったと思います!
医者だから殺傷するわけにはいかない、やっぱり治療、でもゴルゴだけに狙撃はさせたい…と考えた末の座薬狙撃です。

たまちさん、ありがとうございます。

入江家、いつ警察にマークされてもおかしくない状態ですよね。
琴子ちゃんだけが秘密を知らずに、ひたすら体を提供しているという…(笑)
一家が琴子ちゃんが一番ゴルゴ入江の任務に貢献していると認めているところがまた何とも言えない気がします。

紀子ママさん、ありがとうございます。

そうなんです、読者はガッキー目線なんですよね!
ガッキー何一つ間違ったことはしてないんです。それなのにひどい扱いで…。
紀子ママが一番賢いことは間違いないですね。なんとなくメカに強いイメージだったので担当をそれにしました。
重樹パパ、そうですよ。デイブがモデルです(笑)
そして紀子ママさん!!大ニュース(私的に)です!
なんと来週水曜、NHKの爆笑問題の番組でさいとうたかを氏が扱われるんです!ゴルゴ13はこうしてできる!みたいな!
私、早速録画予約しちゃいました!

いたさん、ありがとうございます。

世界一の権威だと思いますよ!だって世界中から依頼を受けているんですもの。
痔は人に言いたくない病第一位(私の勝手な憶測ですが)だろうし。秘密裡にやってくれるゴルゴ入江は貴重な存在だと思います。
これだけ色々しでかしている家で暮らしながらも、何一つ気づかない琴子ちゃん…。
入江家が隠すのが上手なのか、琴子ちゃんがぼけているのか(笑)
いや、今回もいたさんからコメントいただけてうれしかったです。
貴重な貴重なゴルゴ入江ファンですもん!

お腹が捩れる!

面白過ぎてお腹イタいです。ゴルゴ13読んでないけど少し分かりました。ゴルゴ入江最高です。d=(^o^)=b
プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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このブログについてのお願い
当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

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