日々草子 万華鏡 1(若干修正)

万華鏡 1(若干修正)

「いいか、琴子。」
車に揺られながら、父重雄が言った。
「今日からお世話になる入江家というのは、伯爵家だ。けれど華族様だからといって下手に遠慮はしてはいけない。」
「遠慮…?」
「向こうは息子さんが二人いるらしいからな。華族の息子であることを鼻にかけて変なことされたら、すぐに俺に手紙を出すんだぞ!こっちが平民だからといって遠慮するな!」
「そんな…。お父様。」
琴子は溜息をついた。それでなくとも、今日からお世話になる家のことを考えると緊張してたまらない。
「あ、見えてきたな…。」
父の視線の先を、琴子も見た。
「うわあ…。」
琴子が今まで見たこともない、大きな屋敷の中へと車は入っていった。

「いらっしゃいませ!相原様。お待ちしてましたのよ!」
応接間へと通されると、すぐに上品で美しい洋装の婦人が部屋へと入ってきた。
「まあ、こちらがお嬢様ですね!」
「…奥様。このたびはご好意に甘えまして、娘がお世話になります。」
重雄は婦人へ頭を下げた。そして、琴子に向かって言った。
「琴子、こちらが入江伯爵様の奥様だ。ご挨拶を。」
「は、はじめまして。琴子です。」
琴子が慌てて頭を下げた。
「琴子さんね!なんて可愛らしい方なのかしら!私、娘がいないものだから、こんな可愛らしいお嬢様をお預かりできるなんて…!何て、お着物が似合うのかしら!」
そう言って、伯爵夫人は琴子を抱きしめた。
「私、入江紀子と言います。よろしくね、琴子さん!」
「は、はい…。」
琴子は想像していた華族の奥様と、大分違う紀子の態度に驚いていた。

「申し訳ございませんね。相原様。主人は仕事で留守ですのよ。」
申し訳なさそうに、紀子がお茶を勧めながら言った。
琴子たちの前に出されているのは、高価そうなティーカップに入った紅茶と、クッキーである。純日本風育ちの琴子には初めて見るものばかりだった。
「いいえ。イリちゃん…いえ、伯爵も事業をいろいろ展開されていてお忙しいのでしょう。」
「まあ、イリちゃんで結構です。主人と相原様は幼馴染でいらっしゃるんですもの。主人からよく、“アイちゃんは…”と聞かされておりますしね。」
紀子と重雄は和やかに会話を交わしている。その会話に入れずに、琴子は応接間の装飾品を見回している。
「でも、大変ですわね。相原様もお仕事の関係でしばらく東京を離れられるなんて…。」
重雄は仕事の都合上、しばらく日本のあちこちに足を運ぶことになったのだ。琴子も一緒に連れていこうとしたのだが、それを聞いた親友の入江伯爵が「学校の友達と離れて転々とするのは可哀想だ」ということで、入江家で琴子を預ることになったのだった。

「琴子さんのことは、私が責任を持ってお預かりしますから、お仕事に集中なさって下さいませね。」
「ありがとうございます。」
重雄はまた紀子に頭を下げた。
「琴子さん、お茶のお替わりはいかが?」
突然、話しかけられ、琴子は慌てふためいた。
「あ、大丈夫です。ありがとうございます!」
琴子はそう言って、紀子の顔を見つめた。綺麗な人…。息子さんが二人って話だけれど、やはり似ているのかしら…?

そんなことを、琴子が考えていると、応接間の入り口に人影が見えた。琴子が見ていると、紀子が琴子の視線に気がつき、入り口を振り返った。
「あら…。お行儀の悪いこと、直樹さん。お客様の前ですよ。」
そこに現れたのは、背の高い、顔が美しい若者だった。
「相原様、琴子さん、長男の直樹です。直樹さん、相原様とお嬢様の琴子さんですよ。」
――それが、相原琴子と、入江直樹の最初の出会いだった。


☆あとがき
イタキスin明治です。
書く前に時代背景とか、一応主な出来事を年表にしてみたのですが、おそらく穴が見つかると思います(汗)
つまらなかったらスルーして下さいね(*^_^*)
ちなみに、名絵師様がこれ以上に素晴らしい絵を描いて下さって…(嬉泣)。
これ読まずとも、そちらで十分という噂も…私はそう思っていたりします(笑)。
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待ってました!大河ドラマ!

新連載おめでとうございますー。
待っておりましたっ。

もうワクワクしてこれからの更新を待ちます!
そしてまた勝手ながら萌えさせていただきます。
四次創作というか勝手に挿絵もしちゃいます!
(既にしております…^^)

時代もの大好き!

イラストを見て、これだけのお話が作れる水玉さんがすごいです! 大好きです!
しかも続くので当分楽しませていただけるのですね!
いくつもお話を同時進行するのは大変でしょうけど、毎日わくわくして更新待ってます!

きゃ~こ、このお話の絵だったんですね!えまさんちにあったのは!ってえまさんの絵が先でしたか。本当に水玉さんって・・・なんてすごいの??頭の中はどうなっているの?一度みせてもらいたいです。それにしても、絵とお話が一緒に見れるのってすごく素敵です!!水玉さんのお話を読んで、またえまさんが絵を描いてくれるんですね~どちらもとっても楽しみですぅ~
入江くんと琴子がこれからどんな感じで会話をするのか気になります。

でも、今日もすっごく寒いので風邪ひかないでくださいね。

takieさんemiさん、訂正させていただきます!!!
水ちゃんのテキストが先なんです!
私が縁あって先に読ませていただいて、妄想をフライング爆発して自分のブログにUPしたのが私でございます!

最初はこの華麗大河テキストなのですよ!
さぁ、一緒にこの大河ドラマを楽しみにしましょうね!

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いろいろと…

いろいろと皆様のお手をわずらわせたみたいで、すみませんでした<m(__)m>

これはちょっと書いたものの、UPするかどうしようか迷ったわけでして…。
えまさんにあんな素敵な絵を描いていただけたので、自信が出てきたのでUPしたんです>^_^<

ていうか、大河って何!?(笑)
そんな大それたもんじゃないですから!これ!
軽く軽く読み流してくださいね!
読○新聞の「コ○ちゃん」を読む感覚で一つお願いします!

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プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

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