日々草子 姫と軍師 15

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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

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二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

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姫と軍師 15





西垣は今の所おとなしくしている。だが、それもいつまでもつかわからない。
直樹はここで安心してはいけないと考えていた。
せっかく結んだ隣国鴨狩家との同盟も、もっと強固なものにしたい。軍師としてそれが自分の務めである。
そのためには、身を切る思いをしないといけないと直樹は思った。それは絶対、自分のためにもなることだった――。



「鴨狩様と姫様を!?」
直樹が切り出した話に、当の本人よりも桔梗が驚いた。
「そうだ。」
直樹は頷いて、琴子の様子をうかがった。琴子は俯いていてその表情は直樹から見えなかった。
「西垣家との同盟をより強いものとするためには、姫が鴨狩家へ輿入れすることが一番いいと思います。」
琴子が隣国鴨狩家の当主啓太の元へ輿入れをする。それが直樹の考えたものだった。
「あなた、正気なの!」
今日は紀子も琴子の傍にいた。
「姫は、相原家の主でもあるのですよ!この家はどうするのです!」
「それは…。」
直樹は琴子をまた見た。琴子はやはり顔を上げない。
「それは?それは何だというの?」
「それは…啓太様と姫の間に生まれたお子を相原家の跡取りにされれば解決することでしょう。」
「間に生まれたお子…。」
桔梗は呟いた。
そしてそれを口にした直樹の心も傷んでいた。

「姫が輿入れされることで同盟はより強固なものとなります。それに姫が嫁げば西垣もあきらめるでしょう。」
西垣は琴子を側室にしたくて追いかけ回しているのである。
「…鴨狩家の主、啓太様には私も一度お会いしました。」
琴子の不安を取り除こうと、直樹は話し始めた。
「どのような方だというのです?」
紀子はまだ眉を吊り上げたままである。
「凛々しく意志の強いお方とお見受けしました。若いながらも家臣たちをうまくまとめており、その信頼も厚いようです。姫ともつり合いがとれるお年ですし。」
啓太の顔を思い浮かべながら直樹は話した。しかしその胸は張り裂けそうである。
「今はご寵愛の女人もおられませんし。」
「今は?そんなことわからないじゃないですか。」
紀子はまだ疑っている。
「ですが、あのお方でしたら姫を大事にして下さると私は確信しております。」
直樹は断言した。

「…私が嫁ぐことで、この国の民の力になるのでしょうか?」
琴子が初めて言葉を発した。
「はい。」
直樹は頷いた。
「…分かりました。」
琴子は小さく頷いた。
「姫!無理をせずともいいのです!」
止めようとする紀子に、琴子は柔らかく笑った。
「無理はしてません。いつかはこういう日が来ると思っておりましたから。」
大名家に生まれた以上、政略結婚がいつかは来るものだと琴子も知っている。
「それに。」
琴子は直樹をまっすぐ見つめ、微笑んだ。
「軍師様の仰ることに、間違いはありませんものね。」
その笑顔に直樹の心がざわついた。
「では、鴨狩家へ使者を遣わします。」
「よろしくお願いします。」
姫なのに琴子は臣下である直樹に手を付き、深く頭を下げたのだった。



相原家からの縁談の申し入れに、鴨狩家は大騒ぎとなった。特に騒いだのは言うまでもなく船津である。
「入江の奴、何を考えているんだ!」
またもや宿敵(と本人は思っている)直樹主導で話が進められていると知り、憤慨した。
そしてそのまま主の元へと急いだ。

「絶対にこんな縁談、受けてはなりませぬ!!」
船津は啓太に向かって叫んだ。
「これは絶対、入江が何か企んでいるのです!鴨狩家を乗っ取られます!」
「それはお前の個人的な恨みからの考えだろう。」
手が付けられなくなる前に船津を落ち着かせねばと、啓太は努めて冷静に話した。
「いいえ!私はいつも国のことを考えております!」
「ならば私も同じだ。」
啓太は直樹からの書状を船津へ見せた。船津は一目見るなり顔をそむける。
「考えてもみて下さい。あの入江が仕えている姫ですよ?あの入江ですよ?」
「わが軍を勝利に導いてくれた名軍師…。」
と言いかけたところで船津の顔色がまた変わり始めたので、啓太は慌てて言い直す。
「…普通の軍師じゃないか。」
「いいえ!私をあちこち振り回し、怪しげな術を使う巫女とも知り合い。もはや只者ではございません!あんな入江が仕えている姫なのです。家臣を見れば主君がどのような人間かもおのずと分かるものです!」
「家臣を見れば…主君の顔が分かる…。」
啓太は鼻息荒くしている船津を見た。
「…複雑だ。」
「とにかく!相原の姫はどこぞの怪物のような人間にちがいありません!だから今までも婿も来なかったのです。入江は先日の戦の恩を、その怪物を押し付けることで返させるつもりです。ああ、何と卑怯な男!!」
ぎゃーぎゃーとわめき続ける船津を遠巻きに見る啓太と家臣たち。
「とにかく、殿にはもっとふさわしい姫君がおいでのはず!これは断るべきです!」



「…と、言われても自分の目で確かめないと。」
啓太はわずかな家臣を連れ、ひそかに相原の国へとやってきていた。その身なりは流浪の浪人といったところ。
「姫がどんな人物か見てこいと命じても、あの船津が正直なことを言うとは思えない。」
船津とは違って啓太は直樹を信頼できる軍師だと思っていた。直樹が出した知恵の数々は本当に見事なものだった。その直樹が仕えている姫である。そこそこの女人だろうと思う。

「といっても、姫は城にいるだろうし。」
離れた場所にそびえる城を見て、啓太はどうしたものかと思った。
「とりあえず、民に話を聞いてみたらどうでしょう?」
琴子姫は民に慕われていると聞いている。
「そうだな、そうするか。」
啓太はどこか人が集まっている場所へ向かうことにした。

その時だった。
「痛っ!」
伸びていた草で啓太は手の甲を切ってしまった。
「大丈夫でございますか?」
「ああ、大したことはない。」
啓太は手の甲をごしごしと拭った。

「いかがされましたか?」
そこに伴を連れた若い女性が啓太たちに声をかけてきた。長い髪の毛を美しい組紐で結い、山吹色の小袖がよく似合っている。
「まあ、お怪我をされたのですか!」
啓太の傷を見て女性は驚きの声を上げた。
「ああ…大したことはない。そこの葉で切っただけだ。唾でもつけておけば…。」
「とんでもありません!」
女性は啓太の手を取った。その迫力に啓太が押されそうになる。
「小さな傷でも悪化すると大変なことになるんですよ?」
そう言って女性は袖から襦袢を引っ張り出すとそれをビリッと裂いた。
「ちょっと大きく切り過ぎましたけど。」
女性が笑った。確かにそこまで切らなくともというくらいの大きな切れ端になっている。どうやらかなり不器用らしい。
女性は啓太の手を取ると、その切れ端で手当てをした。

「ご浪人ですか?」
「え?あ、ああ…。」
大怪我をしたかのようなぐるぐる巻きにされた手を見ながら啓太は答える。
「この国は穏やかでいい国です。どうぞごゆるりとお過ごし下さいね。」
女性がニッコリと笑うと、啓太は自分の頬が熱くなることを感じた。

何者だろうか。身なりはいいのでおそらく、相原家に仕える家臣の娘だろう。
美しいというより可愛い顔立ちである。何より笑顔がいい。この笑顔は周りをパッと明るくしてくれるに違いないと啓太は思った。
姫じゃなくとも、相原家につながりがあるのならばこの娘を迎えられないだろうか。手にまかれた薄紅の布を見ながら、そんなことを啓太が考えた時だった。

「姫様、姫様!」
「ああ、桔梗。こっちよ。」
女性が手を振ると、これまた美しい女性が現れた。
「もう姫様ったら。すぐにどこかへ行っておしまいになるんですもの。」
息を切らせながらやってきた女性は顔の割には声が太かった。
「ごめんなさいね。でも赤ちゃんが元気そうでよかった。」
「ええ、そうですわね。姫様が命がけで助けられたんですもの。」

二人の会話を、啓太は呆然と聞いていた。
―― 姫…これが相原家の…琴子姫。
まさかここで会えるとは。
「あら!こちらの方は大怪我をされておいでなのですね!」
啓太に気づいた女性――桔梗が声を上げた。
「その手当のしかたですと、骨でも?」
青ざめる桔梗に啓太は、
「いやいや。その…大したことはない。」
と手を振る。

「…相原家の姫君とは気づかずご無礼をいたしました。」
浪人らしく啓太とその従者は膝をついた。
「とんでもありません。」
琴子は鷹揚に笑った。
琴子と桔梗は少し前にこの地に避難してくる途中に琴子が助けた赤ん坊の様子を見に町へ来ていたのだった。
「姫君は町へはよくおいでなのですか?」
啓太が訊ねた。
「はい、それはもう。」
桔梗が代わって答える。
「どこそこの家で食べ物がないと聞けば、ご自身でお届けに行ったり。お城にじっとしているのがお嫌いなのです。」
それを聞いた啓太が笑った。
「それより、ちゃんと洗ってお薬を塗って下さいね。」
とんだことを暴露された琴子が照れながらも、啓太に念を押した。
「はい。」
「それでは。」
琴子と桔梗は城へと戻って行った。その様子を啓太は嬉しそうに見つめていた。

鴨狩家より相原家へ、婚儀に応じると返事が届いたのはそれから間もなくのことだった――。





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ねくまこさん、ありがとうございます。

出ましたよ、啓太!
そうそう、入江くんがなんだかいいパスしてますからね(笑)
あんまりねくまこさんの胃が痛まないように頑張りますね!

ぷりんさん、ありがとうございます。

そうそう、すんなりとことが運んだら読んでいる方も面白くないでしょ?
せっかく啓太を出したんだから、それなりに…と言いたいところですがどうなるか?
自分の策に耐えられるか、本当にそうですよね!
自分で自分の首を絞めている状態ですもん!

ぴろりおさん、ありがとうございます。

完全無欠のドS(爆笑)
でも今回は見事なドMぷりですよ!!
ここまで自分を苦しめる人、見たことない!
これで琴子姫に「啓太さん、いい人!」とか言われたらどうするんでしょうかねえ?
ぴろりおさんとこの入江くんみたいに、大きな愛で包むようなかっこいい入江くんがどんどん遠ざかっていってまります(笑)

紀子ママさん、ありがとうございます。

…この間本家の橋さんを見たら…似てるかも!
でもやっぱり可哀想だよ~うう。

あのドラマ、ご覧になるんですよね?うふふ、あの時代って結構怖いんで…気をつけてね(笑)
いつか大蛇森と結婚する琴子ちゃんとか書いてみたいけど…大蛇森が女の人を愛することが想像できないので、ちっともときめかないです(笑)

佑さん、ありがとうございます。

戦略的には理解できるんですよね。間違ってないし!
誰が活躍するか、それはお楽しみってとこで、ウフフ♪

あけみさん、ありがとうございます。

自ら犠牲になっていく二人…。
入江くんは国のためも考えているのでしょうが、自分の気持ちのためでもあるんですよね。
それにしても、どこかコメントに安心を感じるのですが(笑)
その安心をブチ壊してみたい気も少しあったりします。

Foxさん、ありがとうございます。

そりゃあ、こんなことされたら恋しちゃうでしょうね!
戦国時代にしては珍しく、恋愛結婚(一方通行だけど)になりそうでうまくいけば琴子姫も幸せになれそうなんですけれどねえ…。

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