日々草子 姫と軍師 1

姫と軍師 1

まず最初に。
この話は私の趣味全開なものです。それはもう、わずかな方しか読まれていないであろう「G入江」と同じくらい趣味全開です。
よってついていけない方が大勢おいでになることだと予想されます。
ここで書こうか、裏へ持って行こうか、それとも拍手にしておこうか(いずれにせよ書く気は満々)迷ったのですが、まず様子見でこちらに。
突然消えたら、そこらへんへ移動したんだなと思っていただければと思います。

「まさか、あれを下敷きに!!」と気付かれた方がいらっしゃれば成功、「あれっぽいけど全然違う」と思われても半分成功かなと思います。
ゆる~い感じに仕上げる予定です。

もう一度、最後に強調。私の趣味全開ですので!!
読む勇気のある方だけ、どうぞ。










教えられた場所はひっそりとした家だった。
「こちらが、その方のお住まいなんですよね、姫様?」
侍女の桔梗が主に確認する。
「そうだと…思うわ。」
姫と呼ばれた女性が頷いた。二人は頭から着物をかぶった被衣(かつぎ)といういでたちだった。
「とりあえず、お伺いを立ててみますね。」
桔梗はコンコンと門扉を叩いた。
ほどなくして扉が開き、中から少年が出てきた。
「あの、入江直樹様ですか?」
「違います。」
桔梗の問いに即答する少年は桔梗とその後ろに控える姫をジロジロと見た。
「では入江様はおいででしょうか?」
「どちら様ですか?まず名前を名乗るのが先でしょう?」
少年の不遜な態度に「んま!」と桔梗は言ったが、
「それは確かにそうでした。申し訳ございません。」
と謝ったのは姫だった。
「私は相原家の琴子と申します。」
「相原家?」
「はい。おば様、いえ紀子様にはよくしていただいております。」
「母上に?」
「母上というと、あなたはご次男の裕樹様ですか?」
「…。」
答えない少年に琴子は続けた。
「ちょっと身長が伸び悩んでいるけれど、お兄様に似て勉強好きの裕樹様では?」
「一言余計だ、馬鹿!」
少年―裕樹は吐き捨てると門扉を閉めてしまった。
「あ、ちょっと!直樹様は?」
「兄上は留守です。」
門の中から答えが返ってきた。
「馬鹿な女のくだらないおしゃべりを聞いているほど暇ではありません。」
「馬鹿って…ではいつお戻りでしょう?」
「知りません。さようなら。」
それきり門の中からはうんともすんとも返って来なかった。
「いかがいたしましょう、姫様?」
「お留守なら仕方がないでしょう。また参りましょう。」
琴子は微笑んで来た道を戻り始めた。

「姫様、あの少年、塩をまいていますよ!」
少し離れたところまで来て桔梗が振り返ると、裕樹が塩をまいているところであった。
「もう、姫様が余計なことをおっしゃるから。」
「ごめんなさい。でもおば様がおっしゃった通りでつい。」
琴子は舌を出した。



「んまあ!留守ですって!あの息子、何をフラフラと遊んで回っているのかしら!」
戻った琴子たちから報告を受けると紀子はカンカンになった。
「姫の一大事だというのに!」



時は戦国。武将たちが領土を広げようと戦を繰り返している時代、相原家という大名家が存在していた。
相原家の主は琴子という若き姫だった。両親を早くに亡くしてしまったためである。
その相原家の領土を狙っていたのが隣国西垣家であった。今まで何とか持ちこたえてきた相原家であったが最近力をどんどん伸ばしつつある西垣家の攻撃に次は耐えられないかも…というところまで追いつめられていた。

「私の息子を出仕させましょう。」
その案を出したのは、琴子を幼い頃より母親代わりとして育ててきた紀子であった。紀子は相原家の筆頭家老である入江重樹の妻であった。重樹は広い相原家の領土にあるもう一つの城を守っている。その紀子は娘がいないためか琴子を溺愛していた。
「息子?」
「ええ。入江と共に城を守ることもせずにのらりくらりと兄弟で暮らしている、しょうもない男で頭の良さだけが取り柄なのですが、少しは何か役に立つかと思うのです。」
その息子は琴子が暮らす城から三里(約12キロ)ほど離れた草深い場所にある家で暮らしているということで、琴子がこれまた幼い頃から仕える侍女桔梗を連れて尋ねたのだった。



「それではこれから私が呼びに行ってまいります。」
紀子はすくっと立ち上がった。
「いいえ、おば様!」
それを琴子は止めた。
「後日、私がまた参ります。」
「そんな、姫が何度も足を運ぶなんて。」
「いいえ。我が相原家を救って下さる大事な方です。私が自分でお願いに参ります。」

そして琴子はまた、桔梗を連れて紀子の息子、直樹の家を訪問したのである。



「また来たのか。」
出てきたのは直樹の弟裕樹であった。
「お兄様はいらっしゃいますか?」
「いません。」
「また?」
思わず桔梗が声を上げた。「これ」と琴子はたしなめる。
「いつごろお戻りでしょう?」
「さあ…誰かさんと違って学ぶことが好きですから夢中になるといつになるか。」
琴子をすっかりバカ扱いしている裕樹であった。
「では、お手紙を残してもよろしいでしょうか?」
「手紙?」
「ええ。私が参ったことをぜひ直樹様にお伝えしたくて。」
「…それで気が済むならどうぞ。」
裕樹は面倒くさそうに琴子たちを中へと案内した。

家はこぢんまりとしているが、とてもきれいに片づけられていた。
裕樹は机の上に墨と硯、そして料紙を用意した。
「それではお借りします。」
琴子は筆を取り上げた――。



「お会いできなくて残念でしたわねえ。」
来た道をまた戻りながら桔梗が溜息をついた。
「仕方がないわ。でもお手紙を残して来たから読んでいただけるでしょう。」
「そうですね。」




数日後--。
「お帰りなさいませ、兄上。」
裕樹は嬉々として兄を迎えた。
「留守中何か変わったことは?」
旅支度をほどきながら弟に訊ねる直樹。
「あ、ええと…来客が。」
「来客?誰だ?」
「母上がお仕えしている相原家の姫君が。」
「姫君?本人が?」
裕樹は頷くと琴子が手紙を置いていったことを兄に伝えた。
直樹は自分の部屋へ戻り、机の上に置いてあった手紙を見つけた。
「…何だ、これは!」
それは確かに手紙であった。しかしその分厚さに直樹は目を丸くした。あまりの分厚さに本来ならばそれを包むはずの紙が幅が足りずに見苦しい状態となっている。
「どうりで…なかなか書き終わらないと思ったら。」
琴子を部屋に残したまま放っておいた裕樹はそういうことだったのかと、思った。
直樹はその分厚い手紙を開く。が、すぐに放り投げた。

「要領が得ない、長すぎる、誤字脱字多すぎ。」
裕樹は兄が放り投げた手紙を拾い上げ、最後だけチラリと読んだ。そこには「ぜひとも当家へお力を」と書かれている。
「一応、仕官のお願いですか?」
「俺の知ったことではない。こんな手紙を書くバカ姫に仕えるなんてまっぴらだ。」
「しかしまた来ると言ってましたけど。」
もうすでに二度も足を運んで来たと聞き、直樹は次回は自分がびしっと追い返すと言った。
「どうせ母上がまたよからぬ入れ知恵をしたに違いない。」
直樹は溜息をついたのだった。



そしてそれからまた数日が経過した。

「ごめんください、直樹様はお戻りでしょうか?」
琴子が桔梗を連れ、また兄弟の家を訪れた。
「…戻ってますけど?」
応対に出た裕樹の返事に、琴子と桔梗は喜んだ。
今度は自分が追い返すと言っていたことから、裕樹は二人を家の中へと入れた。
そして二人を居間へ待たせると、裕樹は兄の部屋へと向かった。
「兄上、兄上。」
外から呼びかけたが返事がない。戸を開けると直樹は昼寝をしているところだった。

「昼寝しているので。」
そのまま正直に裕樹は二人に告げた。暗に帰れと言っているのである。
「まあ、それではお目ざめになるまでお待ちしてもよろしいですか?」
「あ?」
琴子の予想外の言葉に裕樹はあんぐりと口を開けた。
「…起こしてきましょうか?」
さすがに起こした方がよさそうだと思い裕樹は立ち上がりかけた。
「いいえ、いいえ。どうぞそのまま。」
それを琴子が止めた。
「旅からお戻りでお疲れなのでしょう。私は暇ですからこのままお待ちします。」
「はあ。」
本人が待つというのだから好きにさせておけばいいかと裕樹は思い、自分も勉強をしに自室へと入ってしまった。

「姫様、姫様。何かすごく失礼な兄弟のようでは?」
「これ、桔梗。おば様のご子息たちに失礼ですよ。」
「ですがあの紀子様のご子息とは思えない性格ですよ。兄はぐーすか昼間から寝てるし、弟は腹が立つ態度だし。」
「考えを変えれば、裏表のない性格ということにならなくて?」
琴子はおっとりと笑った。
「私が姫だと知っても裕樹様は態度を変えませんし、直樹様だって同じです。そういう方たちは珍しいと思うのだけれど。」
「姫様は本当に前向きでおいでですねえ。」
やれやれと桔梗はこの人の良い女主人に笑った。




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いつも楽しく拝見しています。今回の話も続きがきになります。

いつも楽しく拝見させていただいてます(^^)
今回のお話も、続きが気になります!(//∇//)このまま、ふわっと消えてしまわないことを願いつつ(T ^ T)ファンとして、応援しております☆

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水玉さん、こんばんは♪

“軍師”に反応はするものの(笑)
“あれ”は知らない“あれ”のようです。
“いずれにせよ書く気は満々”の水玉さん~~♪(拍手)
~“いずれにせよ読む気満々”でございます!!
厚い手紙を書いている琴子ちゃんを想像するだけで、
ほのぼのする、おっとりした(♪)琴子ちゃん(姫様)と軍師入江くんの続き、私も楽しみです。
武将ガッキーにも期待度大!
何に期待しているのかは、ご想像におまかせいたします!(笑)

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有姫さん、ありがとうございます。

ありがとうございます!
ぜひぜひ、続きを読んで下さるとうれしいです♪

奈々さん、ありがとうございます。

ありがとうございます!
今のところふわっと消えないよう頑張っていますが、この先続きがうまく書けなくなったら引っ越してるかもしれません(笑)
その時はお知らせしますね。

あやみくママさん、ありがとうございます。

ありがとうございます!
実弾を撃たせるわけにはいかないので、座薬にしているんです、あれは。
でも実際あんな風に打たれたら無傷でいられないですよね(笑)
入江くん、面倒見いいんですよね♪

あおさん、ありがとうございます。

正解です(笑)
読む気満々でありがとうございます。でもこの先うまく書ける自信がなくて…汗
ギャグ路線でいこうか、それともちょっとマジメにいこうかとまだ決心がつかずにいます。
イリエアンがギャグ調だったからこちらはマジメにいくべきか…。
武将ガッキーに何を期待しているのか、私はそれが楽しみです♪

佑さん、ありがとうございます。

うふふ、考えてみてくださ~い♪
続き読んで下さるといいなと思っております^^

るんるんさん、ありがとうございます。

ありがとうございます!
そのガッキーをどういうふうに書こうかとまだ迷っていて…刻々と出番が近付いているのに(笑)
またるんるんさんに「続編を」とか言ってもらえたらいいのですが♪

いたさん、ありがとうございます。

いえいえ、分からない方がいいです(笑)
本当、最後までここで連載続けられたらいいのですが…!
突然消えたら、色々探してみて下さい(笑)
母の事、いつも気遣って下さってありがとうございます!

No title

水玉さま、こんばんは(^^)
ご無沙汰しております。

私、水玉さまのお江戸シリーズも大好きで大好きで大好きで!!!
姫と軍師にわくわくしております。
戦国ものだ~~~って(*^^)v
ゆっくりと読ませてくださいね。

みゆっちさん、ありがとうございます。

もうお江戸シリーズを好きだとおっしゃってくださるだけで、うれしいです!!
戦国物はちょっと無理かなあと思っていたのですが、とうとう始めちゃいました♪
ぜひゆっくり楽しんでいってくださいね!
プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

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