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2012.05.21 (Mon)

イリエアン・ナイト 3

次で最終話だから拍手ポチリとしてやろうと思って、中に拍手して下さったんだと思いますが…。
すみません、終わりませんでした!!!
しかも思い切って打ち明けますが…結末、まったく考えていません!!






【More】



「悲鳴が上がらなかった…!!」
翌朝、シゲキヴィッチ国王とノーリー王妃は驚いていた。
「しかし、王子様はやはり眠れなかったご様子で。」
喜ぶ二人の傍で、浮かない顔をしているのはシゲオ・アイハーラ子爵とその娘コトリーナである。
「すみません、私が至らないばかりに。」
しょんぼりとしているコトリーナに王妃は、
「いいえ、いいえ!そんなことはいいのです!」
と優しく声をかけた。

「そうそう。ナオキヴィッチが女性をいじめなかったことが奇跡だ!」
「ええ、そうですとも!最近は毎晩のように女性の悲鳴と泣き声が宮殿内に響いておりましたもの!」
そんなに毎晩ナオキヴィッチは女性をひどい目に遭わせていたのかと、シゲオとコトリーナは顔を見合わせる。

「やっぱりコトリーナちゃんを気に入ったんだわ!私の見た目に狂いはなかったのよ!」
「いえ、王妃様。それは違うかと。」
コトリーナが言った。
「王子様は、私の父は陛下と親しくさせていただいているから別扱いだと仰っておいででした。つまり私は陛下の友人枠といった感じですから王子様も気を遣って下さっただけだと…。」
「友人枠?そんなものあの子が気にするもんですか!!」
王妃の声にコトリーナは「え?」とキョトンとなった。

「確かにコトリーナちゃんは陛下の大事なお友達のお嬢様だからと念を押しておきましたよ?でも、あの子がそんなこと気にするタマじゃないことは私たちが一番よく知っています。」
「た、タマ…。」
呆気にとられるコトリーナに国王も続ける。
「そうだよ、コトリーナちゃん。わしの親友だろうが何だろうが気に入らなければ容赦なくこっぴどく痛めつける、それがわしらの息子なんだ。」
「…はあ。」
「でもナオキヴィッチはコトリーナちゃんを無傷で帰した。それは大いなる前進だわ!」
「…無傷、ですか。」
一体過去の女性たちにナオキヴィッチは何をしたのだろうと、コトリーナは知りたいような知りたくないような複雑な気分である。



「こんばんは、王子様。」
その晩、またコトリーナはナオキヴィッチの部屋を訪問した。
「…。」
ナオキヴィッチは本から少し目を上げコトリーナを見たが、すぐに本を読み始めた。
「ご機嫌いかがですか?」
「最悪。」
「…みたいですね。」
それでも自分は王子を眠らせなければいけない。コトリーナはガタガタと椅子をベッド傍へと運んだ。

「…おい。」
ナオキヴィッチが本を置き、コトリーナを見た。
「何でしょう?」
「何でしょうじゃない。昨日の話、途中だっただろうが。」
「昨日の話?はて?」
コトリーナは首を傾げた。その様子にナオキヴィッチはイライラし始める。
「てめえのくだらねえテスト攻略法だろうが!一晩経ったら忘れちまうのか、このスットコドッコイ!!!」
「あ、あれか!」
やっと思い出したコトリーナは笑った。

「あれですね。あれはですね…ええとどこまで話しましたっけ?」
「てめえが鉛筆に番号振って転がしたってとこまでだ。」
「そうでした、そうでした。そうなんですよ。鉛筆転がしたんです。そしたら何と…。」
ナオキヴィッチはやっと続きを聞くことができそうだと思いながら、コトリーナの話に耳を傾けた。

「何と、全部解答が3になったんです。」
「は?」
「いえね、問一から順番に鉛筆をコロコロと転がしたんです。そしたら問二も問三も全部3が出て。全問の解答が3になっちゃったんです。」
「…で?」
「私悩みましたよ。ここは鉛筆様の仰る通り3と書くべきかって。いや、でも全問答えが3はないなと。でも先生がいたずら心で全て同じ番号の答えになるよう問題を作ったのかなとか。王子様も覚えがありませんか?マークシートで気がついたら全部同じ番号で悩んだこととか…。」
「ない!」
「…ですよね。」
ナオキヴィッチに否定されたコトリーナだが、すぐに気を取り直して話の続きに戻る。
「考えた末に、鉛筆様に従おうと全部3って書いたんです。そしたら…先生に呼び出されました。」
「だろうな。」
「全部同じ解答って、お前何も考えなかっただろうってお説教受けて。その通りだったので言い返せませんでした…。」
当時の事を思い出してしょんぼりとなったコトリーナを冷たくナオキヴィッチは見据えて、
「…底なしのバカだな、お前は。」
と吐き捨てるとベッドへもぐってしまった。
こんなくだらない結末のために自分は一晩悶々とさせられたのかと思うと、腹が立って仕方がない。

「…王子様、ちょっとお聞きしてよろしいでしょうか。」
「何だ?」
コトリーナに背を向けたまま、ナオキヴィッチは言った。
「そのですね、今後の参考までにお訊きしたいのですが。過去にいらしたお嬢様たちは皆さん、どんな方法で…王子様を眠らせようとしたのでしょう?」
ストレートに「一体何をしでかして王子様のお怒りをかったのでしょうか」と訊きたいところだが、そんなことを口にして答えてもらえないと困るのでコトリーナなりに言葉を選んでみたのである。

「今後、私が同じことをしないためにも教えていただけたらと…。」
「…いきなり脱いだ。」
ナオキヴィッチからの返事にコトリーナは「へ?」と間抜けな声を出してしまった。
「何を脱いだ…んでしょう?」
「服に決まってるだろうが。」
「服?あの、プールにでも移動していたのですか?」
「んなわけあるか!」
ナオキヴィッチが起き上がりコトリーナに枕を投げつけた。

「お前がいるこの場で、いきなり服を脱いだんだよ。で、俺の傍にずうずしく潜り込もうとした。」
「あの、それって…。」
「大体似たような奴らばかりだ。服を脱ぐか、下着もつけないでスケスケの品のないパジャマで現れたり。で、ベッドを見てうずうずしている。ああ、思い出すだけで腹が立つ!」
「それっていうのは、その、寝技に持ち込もうってことですか?」
コトリーナはまたもや言葉を選んだ。が、その顔は赤くなっている。
「寝技?まあそんなところだ。俺をたぶらかして寝せるって頭の悪い奴らの考えることだな。」
「都会のお嬢様って結構積極的なんだわね…」とコトリーナは思わずにいられなかった。

「それで王子様は一体…。」
「大した体でもないのにやたら自信過剰な奴らばかりだから、ちょっと欠点を指摘してやったらすぐにピーピー泣いて出て行った。」
「ちょっと指摘?」
「“それはいくらで豊胸した?”とか“他に自慢できるところないからそうしたんだろうけれど、お前の体はそれほどのもんじゃない”とか、“お前見ているくらいなら魚をさばいてその骨をしゃぶっている方がまし”とか。これでも言葉はオブラートに包んだつもりだがな。」
「…オブラートが破れて全部もれちゃってるし。」
体を見せつけて来たということはそれだけ自信があったわけであり、それをこんなきれいな顔でけなされたら、それは泣き叫んでしまうだろうとコトリーナは思った。
そこでコトリーナは気がついた。ナオキヴィッチの口から針を出すという噂があったが、それは傷つけられた女性たちが言い触らしてそんなオーバーな表現になってしまったのではないだろうか。

「で、何だ?お前もあいつらと同じ方法で俺を寝かしつけようって魂胆か?」
ナオキヴィッチはベッドの中からまな板を出した。まな板を撫でながら、コトリーナの胸を見る。
「…まな板抱いているほうがましみたいだな。」
コトリーナは赤面して胸を両手で覆った。
「それよりは多少はあります!」
「あ、そ。」
さして興味のなさそうに、ナオキヴィッチはまな板をまたベッドの中へしまった。

「でも、王子様がお怒りになる気持ちも分かる気がします。」
コトリーナは呟いた。
「え?」
ナオキヴィッチはコトリーナを見た。
「お前が?」
「はい。」
頷くコトリーナを見て、ナオキヴィッチは思ったより話の分かる人間かもしれないと少し、ほんの少し思う。
「だって…私だって、自分が眠れないところに王子様がパンツ一丁で現れたらドン引きしちゃいますもん!」
「百億積まれたって、しねえよ!!」
ナオキヴィッチはコトリーナを見直そうとした自分を恥じた。

「まあまあ。王子様は寝る前にカッカしすぎではありませんか?寝る前は穏やかな気分になった方がいいかと…。」
「誰のせいでカッカしていると思ってるんだ!」
「まあまあ。落ち着いて。ここは私が穏やかな話をしますから。」
「またかよ。」
ナオキヴィッチは時計を見た。もうすぐ十時になろうとしている。
「…お前、話が下手だから時間制限は撤廃してやる。」
「本当ですか?」
コトリーナの顔が輝いた。
「それじゃ、今夜は最後までお話しますね!」
「簡潔に、分かりやすくな。」
あんなに悶々と夜を過ごすのはごめんである。ナオキヴィッチは横になり、コトリーナに背を向けた。

「ええと穏やかなお話…それじゃ私の友達の話でも。」
「お前の友達?」
「ええ。小さい頃から一緒の友達です。サティとジーン、そしてキーンと仲良しなんですよ。」
「ふうん。」
「でもね、キーンはいつも女の子をからかってるんです。」
「…男か。」
「はい。キーンはジーンを見るといつも“サカナ顔”ってバカにして。ひどいでしょう?自分だってサル顔のくせに。」
「…類は友を呼ぶ。」
「はい?」
「いや、それで?」
「キーンは魚ってバカにしますけど、ジーンはなかなか可愛い顔をしているんですよ。でもね…。」
「どうした?」
「…小学校の時に川で泳いでいた時なんですけれど。そこで私、知ったんです。ジーンが…。」
「…ジーンが?」
今日は制限時間はない。最後まで聞かせてもらえるはずである。
「…。」
コトリーナの話が途切れた。続きをどう話していいか考えているのだろうか。
ナオキヴィッチは体を動かしてコトリーナの顔を見た。

「ジーンが…ぐぅ。」
コトリーナの頭は船をこいでいた。
「おい!」
「あ、ああ…すみません。ジーンが川で…。」
「川でどうした?」
「川で…ぐぅ…。」
また船をこぎ出すコトリーナ。
「おい!」
「あ…ええと…はあふう…。」
コトリーナは王子の前であるにもかかわらず、可愛いあくびをした。
「すみません、すごく眠くなってしまって…。」
「はあ!?」
「続き…明日で…ぐぅ…。」
「おい、起きろ!!起きねえか、このバカ!!」
ナオキヴィッチはコトリーナの体を揺らすが、目を開けたかと思うとすぐに閉じてしまうコトリーナ。

「…すみません、おやすみなさい。」
ここで寝るわけにはいかないとコトリーナはフラフラになりながら立ち上がった。
「…ちゃんと部屋に戻れよ。」
「…はい。」
コトリーナは部屋を出て行った。



「ったく、人が眠れねえってのにあいつは!」
ナオキヴィッチはベッドにもぐった。しかし、話の続きがまたもや気になって仕方がない。
ナオキヴィッチは起き上がって、本を持ってきた。
「人面魚…これは人の顔にたまたま見えるだけだよな。」
本を広げてナオキヴィッチは我に返る。
「何を俺は調べているんだ、馬鹿らしい。」
本を放り投げ、ナオキヴィッチは寝ようとした。だがジーンが川で何をしたのか。気になって仕方がない。

「何だよ、魚だの猿だのって。あいつは動物園で育ったのか?」
考えを変えようと魚と猿に囲まれるコトリーナをナオキヴィッチは想像した。そこで、
「待てよ?」
と、呟いた。
「あいつ…人間か?」
コトリーナは今までやってきた女性とは明らかに違うタイプだった。というか今まで接した事のない人種である。
「魚、猿…もしかしてあいつ自身、タヌキなんじゃねえのか?」
そう思ったナオキヴィッチだったが、すぐに笑った。
「ばかばかしい。あいつのバカが俺に移ったか。」
のほほんと笑っているコトリーナの顔を振り払おうとするナオキヴィッチ。その顔がすぐにタヌキへと変化する。
「あいつは人間とは思えないような…。」
ナオキヴィッチはベッドから降り、ドアを開け廊下に顔を覗かせた。
「王子様、どうなされました!」
通りかかった侍女が驚く。
「ここをタヌキが通らなかったか?」
「タヌキ?いいえ?」
きょとんとなっている侍女に「いや、何でもない」と誤魔化し、ナオキヴィッチは部屋へ戻った。

「ったく、あいつのせいでまた今夜も眠れねえじゃねえか!!」
ナオキヴィッチはタヌキの格好をして腹を叩きながら踊るコトリーナを必死で振り払いながら、一晩ベッドでまたもや悶々と過ごす羽目になったのである。










マークシートで気づいたら同じ番号が続いていた時、やけに不安になるのは私だけ?

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 |  2012.05.21(Mon) 17:13 |   |  【コメント編集】

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 |  2012.05.21(Mon) 22:21 |   |  【コメント編集】

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 |  2012.05.21(Mon) 23:17 |   |  【コメント編集】

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 |  2012.05.22(Tue) 00:23 |   |  【コメント編集】

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 |  2012.05.22(Tue) 06:46 |   |  【コメント編集】

★水玉さん、おはようございます♪

のどかな村が育んだ最強天然コトリーナ♪
ちゃんと時間がきたら目が閉じるのね。~“ぐぅ…。”(笑)

ナオキヴィッチ~「…ちゃんと部屋に戻れよ。」
おっ♪優しいんでは?

コトリーナの穏やかな話で(?)脳内、動物園で夜が明けそうなナオキヴィッチ。(笑)

☆久しぶりの偏屈入江くんと思っていましたが、とても素直で単純な入江くんと天然琴子ちゃんの続き楽しみです♪
あお |  2012.05.22(Tue) 09:01 |  URL |  【コメント編集】

★佑さん、ありがとうございます。

完全に琴子ちゃんペースですよね!
琴子ちゃんに振り回される入江くん…楽しんでいただけているようで何よりです♪
水玉 |  2012.05.25(Fri) 22:22 |  URL |  【コメント編集】

★るんるんさん、ありがとうございます。

こちらこそ読んで下さりありがとうございます。
夫婦漫才…まさしくその通りなんです!
二人の会話を楽しんでいただけたらと思って書いています。
ですよね、マークシート不安になりますよね!
…ちゃんと勉強して自信があれば別なんでしょうけれど(笑)
水玉 |  2012.05.25(Fri) 22:23 |  URL |  【コメント編集】

★あけみさん、ありがとうございます。

この時点では結末が未定だったのですが、やっと浮かんできました。
本当は一話で終わらせるはずが、まさかの5話超え…^^;
うれしいです、3話で終わったらがっかりだったと言っていただけて!
水玉 |  2012.05.25(Fri) 22:26 |  URL |  【コメント編集】

★ら~ゆさん、ありがとうございます。

え?新参者?うそーっ!!
なんかもうすごく長いお付き合いのような気がしますよ!
ご心配かけてすみませんでした。マドカメ(使って下さりありがとうございます!)は本当、最初からあの路線と決めていたので思いのまま書かせていただきました~!
叱るなんてとんでもない、すごくすごくうれしいです、ありがとうございます!
入江くんって口が悪いじゃないですか(笑)そこが結構好きなのです♪
水玉 |  2012.05.25(Fri) 22:29 |  URL |  【コメント編集】

★紀子ママさん、ありがとうございます。

正しくは『友人の娘枠』ですよね(笑)でもゴロがいいから友人枠にしちゃいました!
でしょう?いくらかっこよくてもいきなりパンツ一丁で登場されたらドン引きですよ~!!
コトリーナちゃんワールド、この時はすごかったですね~。
水玉 |  2012.05.25(Fri) 22:31 |  URL |  【コメント編集】

★あおさん、ありがとうございます。

荒れだけ追い出したがっていたのに、ちゃんと部屋に戻るか心配している王子様(笑)
なんだかんだと優しいですよね!
純粋培養されたようなコトリーナちゃんには、嫌味も何も通用しませんし。
なんだかんだと相性がいい二人です♪
水玉 |  2012.05.25(Fri) 22:35 |  URL |  【コメント編集】

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