日々草子 白い後輩
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白い後輩





いつもは病院が舞台のこの話。
今日は違うんだな。

「ああ、いいお湯だ。」
露天風呂につかりながら、僕は最高の気分だった。
医者という激務についていると、旅行なんてなかなか来れない。
といっても、これも旅行じゃないんだけどね。

「…間抜けな顔。」
いい気持ちでつかっている僕を、これまた渋い顔で睨んでいる男。
「お前、先輩に向かってそんな言い方はないだろ。」
僕も負けじと言い返す。

「全くお気楽な人ですよ。」
入江は謝ることもせず、ザバーッと立ち上がった。

クソ、いい体してやがる。
やっぱりスポーツクラブに入会しようか。
入会しても幽霊会員になりそうだから、迷っているんだけど。



さて、どうして僕たちがここにいるのか。
え?とうとう男二人、あらぬ仲になったんだろうって。

ちょっとやめてくれよ!大蛇森先生じゃあるまいし!
僕はノーマルだ。女の子大好きなんだから。

温泉に来ているのは、仕事ですよ、し・ご・と!
この近くにある温泉病院で手術をするためなんだ。

いや、うん。執刀医はあいつななんだけどね…。
でもほら、僕はこいつの全てを見届ける義務があるからさ。
(ついでに温泉にも入れるし)
というわけで、こうしているってわけ。分かったかい、そこのマドモアゼルたち?
…って、大蛇森先生が乗り移っているみたいだ。



上せないうちに、僕は温泉を出る。
脱衣場では、入江が先に着替えていた。

ぷっ…!!!
僕は入江を見て思わず噴き出した。

ぷぷぷっ、ぷぷぷっ…。

だめだ、堪え切れねえ!!

「アーハッハッハッハッ!!」
僕はタオル一枚だけを腰に巻いた姿で、腹を抱えて笑い転げた。

だって、だって…!!

「お前、お前…今時そんなもんを履いているやつがいたとは!!」

入江の奴、白ブリーフなんて履いてやがるんだぜ!!

これが笑わずにいられるかよ!
ブリーフだぜ、それも白!!
お前は幼児か?いや、幼児だって今どきもっとカラフルなもんを履いているだろうよ!

「これだから、何も知らない人は。」
入江は冷めた目で僕を見る。
ていうか、白ブリーフ一丁でそんな威張られてもさあ。

「何が言いたいんだ、え?白ブリーフくん?」
ヤッホー!!こいつの弱みを握ったぞ!!
これで今までやられた分をやり返せる!!
運は僕についた!神は僕に味方した!!

「どうして俺がこれを履いているか、目的を考えて下さい。」
「目的?」
「いいですか。ブリーフというのは非常に効率的にできているんです。」
「効率的?」
「いかに動きやすくなっているか。ま、あなたには理解できないでしょうね。」

お前、何だよ?その物言いは?
お前はブリーフ愛好会の会長か?え?

「ブリーフのどこが効率的だってんだ?教えろよ。」
言いながら僕はトランクスを履いた。
見ろよ、このしゃれたデザイン!結構女の子たちからも評判いいんだぞ。
「西垣先生って、見えない所までおしゃれ!」
って、何人の子たちが喜んだか。

「ふんどし効果です。」
「は?」
「ぴったりと収めることができるんです。つまり、無駄な動きをさせずに済む。」
僕は入江のブリーフをじっと見る。
ふんどし…なのか?

「それにぴったりと収まっていれば、標的にされることもありませんからね。無駄な動きをさせていると敵に手を出される可能性を作ることになる。」

「だーかーら!!」
白ブリーフ一丁で仁王立ちしている後輩に負けじと、僕もトランクス(ブランド品だ)で仁王立ちする。
「それはお前だけだろうが!!ちゃんと僕みたいに清廉潔白に生きていれば、敵に狙われることなんてないんだよ!!」
「はっ!」
入江は鼻で笑いやがった。

「まあ、あなたには分からないでしょうね。」
「ああ、分からないね。」
何で大の男がブリーフ論争を温泉で繰り広げなければならないのか、その理由も分からないよ。

「そうでしょうね。」
頷きながら入江は僕のトランクスをじっと見つめる。
何だよ、やっぱりトランクスの方がおしゃれだと思ったんだろ?
ったく素直じゃないんだから。

しかし入江がトランクスには全く興味を示していないことが、次の一言で分かった。

「そんな幼稚園児が粘土で作ったようなものをくっつけている人には、収める必要ありませんものね。」

「なっ!!」
よ、幼稚園児が粘土で作った…だあ!?

「失礼な!!」
僕は抗議する。
ああ、失礼な奴だ!!
これで僕はあまたの女性たちを虜にしてきたんだ!!
それを…それを粘土細工だとお!?

「そんなもんだったら、動く余裕もないですよね。狙われる心配もないと。いや、うらやましいなあ。」

「うらやましい」の部分は思いきり棒読みだな、てめえ!

「おい、お前!!」
「悪いですけど、人を待たせているので。」
入江は勝手に話を切り上げて、気が付いたら浴衣の帯を絞めていた。

「ちょっと待て!!お前が何ぼのもんを持っているってんだ!!」
僕は叫びながら、浴衣をひっかけて後を追いかける。

「お前に人のことをとやかく…。」
そこまで言いかけた時、僕は信じられない光景を見た。

「入江くん、遅かったね!」
そこにいたのは、琴子ちゃんだった!!
何で?
何で温泉に琴子ちゃんが?

「悪い。ガラの悪い奴に引っかかってたから。」
「やだ、怖い。」
琴子ちゃんは入江の袖につかまった。
その琴子ちゃんも浴衣姿だ。
しかも風呂上りらしく、その肌はまさしく湯上りタマゴ肌のツルツルのピッカピカ。

「ああ、西垣先生。」
入江が首を動かして僕を見る。

「俺のが何ぼのもんかっていうのは、こいつがここまで追いかけて来たことから分かるでしょう?」
自信たっぷりにそういうと、ニヤリと笑いやがる。
そして更に入江は付け加えた。

「だから俺は、太らないんですよ。というか、太る暇がない。」
またニヤリと笑う入江。

くそーっ!!!



「それじゃ、俺は明日の手術に備えて早く寝るので。」
入江は琴子ちゃんの手を引いて、エレベーターに乗り込んで行ってしまった。

何が早く寝るだ、このアンポンタンが!!
どうせ朝まで琴子ちゃんを手離さないくせに!!

何が追いかけて来ただ、このムッツリスケベ!!
どうせお前がまた師長に手をまわして、琴子ちゃんに休暇を取らせたんだろうよ!!


エレベーターが下りてくるのを待ちながら、僕は先程チラリと見た入江の物を思い出す。
…幼稚園児の手では作れないサイズだったけどさ。

でも、でも僕だって標準サイズだと思うぞ!!







☆ゴルゴ13はなぜ白ブリーフを愛用しているのか?
無駄な動きを省くため…だそうです。


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