日々草子 バラを受け取る後輩
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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珍しく静かな医局だった。

今ここにいるのは、僕と入江の二人だけ。
いつもは気味の悪い行動ばかり起こす、この得体の知れない後輩も机に向かっている。
僕は…明日の夜にダブルブッキングしてしまったデートをどうやって乗り越えようかと、計画を練っているんだけどね。



「…さて、今夜も始まりました!みなさん、こんばんは!」

何だ、突然!
せっかくあと少しでアカネちゃんとミチルちゃんとうまくデートをする方法が完成するところだったのに。

僕は椅子をクルリと回転させた。
入江がラジオをつけたらしい。

ったく、ラジオが聞きたかったら「つけていいですか?」くらい断われよ!
僕だってそんな意地悪な先輩じゃないんだから、お前が素直に礼儀正しくお伺いを立ててくれれば喜んで許可してやるんだからさ。


と、僕のそんな思いに気づくことなく、この礼儀知らずな後輩はまた机に向かった。


「さあて、今夜一発目のリクエストは…ペンネーム“ラブリー大蛇森さん”。」


僕はアカネちゃんに打とうとしていたメールを思わず消去してしまった。
何だ、ラブリー大蛇森って!!


「“こんばんは。今日もあなたを思って胸を焦しております…”うーん、ラブリー大蛇森さん、今夜も片想い絶好調!!」

僕はラジオの向こうのDJが親指を立てている様子が目に浮かんだ。
ていうか、ラブリー大蛇森ってペンネームなんかじゃないじゃん。そのまんまじゃん。
それに、「今夜も」ってことは、結構この番組にリクエストを出しているってことか。
そんでもって、「片想い」の相手は…僕は背中を向けたままの後輩を見た。



「リクエストは…おお!ラブリー大蛇森さんの大好きな“百万本のバラ”ですね!はい、じゃあどうぞ!」

ラジオからはあの名曲『百万本のバラ』が流れてきた。



『…貧しい絵描きが女優に恋をした』

ホモの脳外科医が外科医に恋をしたぁ…と、思わず替え歌を歌いそうになる僕。
全く、大蛇森先生もどこまで入江を追いかければ気が済むんだか。

いや、それよりもさあ。
何でこんな医局で、こんな物悲しい歌を聞いてないとならないんだよ!

『百万本のバラの花を あなたにあなたにあなたにあげる』

僕は明日デートなんだ、デート!!
テンションが上がりつつあったのに、沈み始めたじゃないか!

その物悲しい歌は途中で切れた。
どうやら入江がラジオのスイッチを切ったらしい。

さすがのこいつも、こんな重たい歌を捧げられても困るんだろうな。
よかった、そっち方面はまともな神経なようで。



「何だ、これ?」
数日後、新聞を広げていた僕は奇妙な広告を見つけた。

え?ダブルブッキングはどうなったかって?
ああ…まあ…二人同時にビンタってのは結構辛いものがあったよ、ハハハ。
くそっ!これもあの辛気臭い歌のせいだ!

と、広告の話だったっけ。
というか、広告面に掲載されているんだけど、広告ではない。

『百万本のバラを受け取る。連絡先0××…』

何だ、こりゃ?
百万本のバラって、どこに置くつもりなんだ?
広場を埋め尽くして女優に捧げるとでも?
酔狂な人間もいたもんだな。しかも広告費まで使ってさ。



だがその謎が解ける日が来た。

僕は一つの規則性に気がついた。
入江は決まって、例の番組をかける(勿論、僕に断ることは全くない)。
そしてその時は決まって「ラブリー大蛇森」から『百万本のバラ』のリクエストがかかる。
そして数日後、「百万本のバラを受け取る」という文面が新聞の広告欄に掲載される。



「ああ、ラブリー大蛇森は僕ですよ。」
ある日、僕はおもいきって大蛇森先生に訊ねた。先生はあっさりと認めた。
うん、それはそれ以外にないと思っていたけど。

「あのリクエスト『百万本のバラ』は?」
ここで入江への愛を延々と聞かされたらどうしようかと身構えたけど、それはなかった。

「まあ、西垣先生なら話してもいいと入江先生から言われているので。」
へえ、あいつも僕を信頼するようになったか。
「…もう年のせいか、話しても明日には忘れているからって。」
…あいつ!!

「入江先生の元には世界各国から依頼が来るんです。治療とか手術とか。」
「…モサドとかイタリアンマフィアからとか?」
「なあんだ、そこまでご存知なんですね。」
あらら、認めちゃったよ、この人まで。
何だよ、この病院ではイタリアンマフィアはもうご近所さん扱いなのか?

「で、そのコンタクトを請け負っているのが僕なんです。」
大蛇森先生が窓口!?

「まあ、これも入江先生の信頼が厚いからですけれどね。」
フフンと喜んでいる大蛇森先生。

「僕は職業柄口が堅いですし。頭もいい。」

…入江にゾッコンだから、あいつに不利になるようなことは口にしないからだろ?



「で、依頼が来たら僕はあのラジオ番組にリクエストを出すんです。『百万本のバラ』をね。」

何で『百万本のバラ』なんだろうか?
その理由を聞きたいが、きっと報われぬ愛をあの歌に乗せているんだろうと僕は勝手に解釈する。

「それを入江先生が聞いて、話を聞く気があったら…。」
「新聞に宣伝を載せると。」
「ウィ、ムッシュ。」
…何でフランス語?ま、いいや。



「だったら。」
話を聞いた僕は思った。
「同じ病院に勤務しているんですから、直接本人に伝えたほうが早いでしょう!!」

だってそうじゃん。
毎日顔を合わせているんだぜ?
ラジオを使ってそんなまどろっこしいことをしなくたってさ。

「チッ、チッ、チッ、だめだなあ、西垣先生。」
大蛇森先生は人差し指を左右に揺らした。

「用心をするに越したことはないでしょう?物事に慎重な入江先生らしい方法じゃないですか。」
「いや、おかしいでしょう!メールだってあるし!」
「パソコンとか電話は盗聴とかの恐れがあるでしょう?だからああいうアナログな方法がいいんですよ。これだったら誰から誰へのメッセージだと分からない。本当、入江先生は天才です。素晴らしい!」

いや、「ラブリー大蛇森」ってペンネームであなただってバレバレなんですけど!



きっと大蛇森先生も、かなりの報酬をもらっているんだろうな。
何だかこの病院が最近、僕の眼にはドス黒く見えるよ…。



ところで、よく毎回毎回、大蛇森先生のリクエストが取り上げられると不思議だと思わないかい?
その謎もすぐに解けた。

ある晩、家にいた僕はその番組を一人で最後まで聞いていた。

「この番組は、子供の夢と未来をつなぐパンダイの提供でお送りしました。」

…パンダイの単独スポンサーでしたか。
また親父さんのサイドビジネスを見つけたってわけか、僕は。
スポンサー様のお力で、一つのリクエストを優遇しているってわけね。

子供の夢と未来をつなぐ…?
怪しい患者と気味の悪い医者をつなぐの間違いだろ?









ゴルゴ13へのコンタクト方法(一例)
1.服役中の終身刑受刑者へ依頼者が手紙を出す
2.受刑者はラジオの宗教番組へ『讃美歌13番』をリクエストする(終身刑受刑者からのリクエストなので必ず聞いてもらえる)
3.それを聞いたゴルゴが新聞広告を出す
4.広告を見た依頼者は掲載された番号へ電話をかける
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