日々草子 『路地恋花』(麻生みこと)

2011.12.02 (Fri)

『路地恋花』(麻生みこと)

復活した途端、凹み始めたのでちょっと違う話題を書いてみよう、うん。



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先月買ったマンガです。

この『路地恋花』は、京都にある、ものづくりを職業とする若い人たちが集まっている長屋(京都に実在している同様の長屋がモデル)を舞台に繰り広げられるラブストーリーです。

といっても一話完結、オムニバス形式です。

たとえば一巻だと、

製本の仕事をする女性と、夢をあきらめたミュージシャン
銀細工職人と、毎回誰かに恋をしては彼に指輪を作ってもらっているお嬢様
画家の卵と、高校時代のクラスメート
スランプに陥って京都に逃げてきた小説家の喫茶店主と、洋菓子作りが大好きな和菓子屋の京娘
キャンドルアーティストのバツイチの女性と、結婚式をプロデュースする会社の社員

といった面々の色々な愛情物語が繰り広げられます。

京都が舞台でセリフも京ことば。
なのでとてもほんわかとした感じの物語です。

ここに登場する「職人たち」は、皆駈け出して食べて行くのがやっとという感じです。
でも好きなことを一生懸命(あ、喫茶店主は違うな(笑))頑張る姿は美しい。

現在三巻まで出ていますが、二巻以降も
女性関係で実家を追い出された華道家元の息子であるオーダー花屋と、男性に負けたくないと頑張る女性検事
対人関係の苦手な背の高さがコンプレックスの万華鏡作家(女)と、大阪のガラス職人(男)
京友禅ののりづけ職人の師匠と弟子
同じ靴職人である父親と衝突して家を飛び出し独立した靴職人とその客
美容師とわがままな幼馴染
そして長屋の大家さんの秘められた物語
と、色々な職人さんが長屋を出たり入ったりして行きます。

私が一番印象に残ったのは、やはり一番最初に読んだ製本工房が舞台の『綴(とじ)』です。
解散したロックバンドのボーカルが、自分が作ってきた曲や歌詞を一冊の本にまとめたいと依頼するところから物語は始まります。

全て任せるという、どこか投げやりの彼。
そして「絶対に客に関心を持たない」ことを信条に「世界に一冊だけの本」を作ってきた職人の彼女。
それなのに、彼に関心を持ってしまい…というストーリーです。

出来上がった本を見て寂しく笑うお客さんたちを見てきた彼女はこう言います。

「ここのお客さんは、思い入れを思い出にするためにやってくる」
「本にしたい程思い入れのあること、本にしようと思い立つんは大概、やめはる時なんです」
…確かに本に何かをまとめる時って、集大成ではあるけれど。


ラスト、ミュージシャンを辞め第二の人生を歩み始めた彼に届けた、彼女の作った本が…見事!
カラーページで見たかった!!
絶対綺麗だと思います。
そりゃあ、こんな本を作ってもらえたら…惚れるわ♪
この本のラストページに、お客様の思い入れに引きずられるのが辛いからと関心を持たなかった彼女からのエールが込められています。


読みながら本を作るっていいなあと思いました。
自分の書いてきたもの、経験してきたものの集大成か…。
私だったら、和綴じ本にして表紙を綺麗な和紙にして…なあんて想像しちゃいましたよ。
和綴じ本の作り方までネット検索しちゃいました←影響されやすい奴。

あと印象に残ったのは、三巻の靴職人の話です。
印象というか、こちらは号泣…。

骨折のために足の長さが左右違う娘が入学式に履くローファーを依頼しに、デザイン画を持って父親が靴工房を訪れるところから話は始まります。
靴職人の女性は初めてのオーダーということで懸命に靴を作っていくうちに、少しずつその父親にほのかな恋心を抱いていきますが…。
その靴は、数年前に亡くなった妻が足の長さが違うことを気にしている娘を心配して「中学校の入学式にバシッと決められる靴を」と、病床でデザインしていたものだったことを知って…という話です。


そしてこの靴職人の彼女、いいことをサラリと言うんですよ。
母親が数年前に亡くなったことを知った時、娘に変に謝るわけではなく、
「ならその体、丸々お母さんの形見やなあ。」
と…。これを聞いたお父さんが泣いちゃって(私も泣いちゃって)。
元々足の長さの違いということに不安を持ってしまっている娘には、何よりの励ましになったのではないかなあと思いました。

とにかく泣ける!!泣けるからあまり読み返さないようにしているくらいです。

と、このような作品です。

久しぶりに何度も読み返すマンガに出会えました。

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Comment

はじめまして♪

ずーっと拝見させて頂いていましたが、
勇気が無くて拍手のみひたすらしておりました。
でもあまりに素敵で!
「この人すごいいっぱい色んな本を読んでるんだろうな~」と思いながら
お話しを読ませて頂いています。
で、このサイトがきっかけで『足ながおじさん』や『王妃の離婚』を読みました。
いや~面白い!
前者はお話は知ってましたが、ちゃんと読んだのは初めてで(恥
後者はハラハラドキドキ一喜一憂しながら軽快な文章を読みました。
水玉さんの素敵な文章はこれらの読みものが原動力なのかしら、と思いながら。
今回のあらすじも、読みながらちょっと泣きそうに…^^;
水玉の作品は本にしたいくらいですが、やめちゃうのはNGですから、
これからも素敵な文章を作り続けてくださいね!
ぱぴよん |  2011.12.02(Fri) 23:08 |  URL |  【コメント編集】

この漫画は知りませんでしたが、長屋の事はおそらく先日テレビで特集していた長屋だと思います(*^^*)
大家さんがみんなを実の子供みたいに接してらっしゃって素敵だと思ってみてました。
機会あったら読んでみます
まごみ |  2011.12.03(Sat) 08:06 |  URL |  【コメント編集】

コメントありがとうございます。

ぱぴよんさん
初めまして!コメントありがとうございます。
拍手だけでもとても嬉しいですよ~!
しかも私のあの拙い記事でまさか『王妃の離婚』を読んで下さったとは!!
本当にぱぴよんさんが仰るとおり、軽快な文章でした。私も最初は「興味が持てるかなあ」と心配していたのですが、夢中で読んだ覚えがります。
本は確かに好きで、自分でもこんな物語を書いてみたいと小学生くらいから書いていました。ただ飽きっぽいので未完が多かったです(笑)
でも当時は自分で書くことが楽しくて書いていたのですが、まさか大人になった今、人様に読んでいただくような文章を書いているとは。これもネットの普及のおかげでしょうか。
自分がまどろっこしい言い回しが苦手なため、すごくあっさりと書いている傾向があります。それが読みやすいとおもっていただけるのならとても嬉しいです。
コメントありがとうございました!

まごみさん
そうなんですか!
マンガに出てくる大家さんもまさしく、店子さんを自分のお子さんのように思っていらっしゃるように描かれています。
私もモデルになった長屋に足を運んでみたいと思いました。
長屋というのが京都ぽいですよね^^
私の拙いあとがきにコメントをありがとうございます。
とても嬉しかったです。

水玉 |  2011.12.04(Sun) 23:43 |  URL |  【コメント編集】

拍手コメントありがとうございます。

emaさん
ありがとうございます。機会があったらぜひ!
そしてあの話も読まれたんですね!
そうなんですよ、イタキスファンもかなり読んでいらっしゃるみたいです。
でも彼より入江くんの方がずっと冷たいです(笑)
ネットで書かれていましたが、入江くんに優しさとエ○さを足したのが彼だそうですよ♪
「路地恋花」、内容がこんなにホンワカしているのになぜか掲載誌が…青年マンガ雑誌なんですよね(笑)雑誌は読んでいませんが、そのギャップにちょっと驚きました。

佑さん
わ~本屋で気にして下さったんですね。ありがとうございます!
講談社のサイトで簡単な登録(もちろん無料)をしたら一話の途中まで試し読みができますので、よかったら♪
確かにマンガは立ち読みができない(最近は見本を置いているところも増えましたが)ので買うのに悩みますよね!

Foxさん
ありがとうございます!
あらすじは久しぶりにちゃんと丁寧に書いてみました。
というのも、少し前にふと「私の特技って何?」と親に聞いてみたんですよ。(そもそも聞かなきゃならないというところでないも同然なんですが)
そしたら「ない」と即答されて。
でもさすがに私がかわいそうになったのか「本を読むこと」と答えが返ってきて、「それは趣味」と言い返したら「いや、本の内容を結構覚えていること。あらすじを話すのが結構上手だし。あらすじを話すのは割と難しいから」と言われたので、ちょっと調子に乗って書いたという(笑)
だから褒めて下さってとても嬉しかったです。ありがとうございます。
水玉 |  2011.12.04(Sun) 23:50 |  URL |  【コメント編集】

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