日々草子 BIRTHDAY PRESENT 上
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

最新記事

BIRTHDAY PRESENT 上

入江くん、HAPPY BIRTHDAY!!

ということで、一応バースデーエピソード。

…大丈夫!他のサイト様が素敵なエピソードを書いて下さっている!と自分に言い聞かせて書きました。
そう、うちなんて余興、余興(笑)









「モッティさん、もうちょっとそっちを上げて。」
「こうでしょうか?」
「そうそう。」
コトリーナの指示に従い、モッティとシップは横断幕を壁に掲げた。

「やあ、もう準備も万端だね。」
やってきたウェスト男爵が準備が整った居間に驚く。
「誰も出て来てくれないと思ったら、こんなすごいことになっているとは。」
「それはそうですわ。」
モッティは梯子から下りながら答える。
「だって今日は旦那様のお誕生日なんですもの!」

今日はナオキヴィッチ・イーリエ公爵の二十数回目の誕生日である。
それを盛大に祝おうと提案したのは妻のコトリーナ。
「身重のくせに、何かあったらどうする。」
ナオキヴィッチは今にもはちきれんばかりのお腹を抱えている妻に呆れた。
「大丈夫よ。予定日までにはまだ少しあるし。」
コトリーナはお腹を撫でる。予定日まであと二週間ほどあった。

コトリーナの計画に従い、「HAPPY BIRTHDAY」と大きく描かれた横断幕、くす玉が居間に準備された。
そこに男爵はやってきたというわけである。

「ケーキも焼けましたよ。」
キッチンからノーリー夫人が顔を見せた。
「後はコトリーナちゃんが飾り付けないと。」
「そうだった。」
難しい部分はノーリー夫人にお願いし、コトリーナはケーキの飾り付けだけを担当することにしていた。
「さ、ジュゲムちゃん。きれいに飾ってお父様をびっくりさせましょうね。」
コトリーナはお腹の子供に話しかけながら、よたよたとキッチンへと向かった。

「そういや、ナオキヴィッチはまだかい?」
主役の姿が見えない。
「まだ大学からお戻りじゃないんです。」
「ったく、あいつは自分の誕生日くらい早く家に戻ればいいのに。」
仕事バカだ、融通がきかないと文句を言いながら男爵はちゃっかりと長椅子に腰を下ろす。

「男爵様、プレゼントは?」
モッティが尋ねた。
「あ?ちゃんとあるよ。」
男爵は手に提げてきた紙袋から綺麗にラッピングされたものを取り出す。
「へえ、ちゃんと用意されたんですね。」
シップが感心した。
「そりゃあね。」
「中身は何ですの?」
「フフフ…写真集さ。」
男爵は面白そうに答えた。
「しかも、オールヌード!男なら誰でも喜ぶと思わないかい?まあ、あいつはあの通りむっつりスケベだからこっそりと見るだろうけど。で、その現場をコトリーナに見られて軽蔑される。シナリオは完璧さ!」
自信たっぷりに男爵は親指を立てた。

「…あの背表紙で旦那様に殴られるに一票。」
「私は本の角で殴られるに一票。」
一人ご満悦な男爵を横目に、忠実な執事とメイドはボソボソと呟いた。



やがて玄関のベルが鳴った。
よたよたとキッチンからコトリーナが玄関へ向かう。
どれだけナオキヴィッチが止めても、コトリーナは夫の見送りと出迎えは欠かさない。

「お帰りなさい、先生。」
「…ただいま。」
家中に広がっているバニラビーンズの甘い香りに顔をしかめながら、ナオキヴィッチは帽子を帽子掛けにかけた。
「あら、先生。それは私のお仕事よ?」
いつもなら帽子を自分の頭に乗せるのにと、コトリーナは少し不満そうだった。
「濡れたんだよ。」
「濡れた?」
「外、突然空が暗くなって大粒の雨が降り出した。」
「嘘!さっきまでいいお天気だったのに!」
コトリーナは窓の外を見た。
地面は色が変わり、街ゆく人々が走っている。



そして天気はあっという間に…。

「…季節外れの大嵐ですね。」
家中の戸締りを確認し終えたシップが驚いていた。
外の木々は今にも折れんばかりに揺れ、雨が窓を破るように叩いている。

「せっかくの先生の誕生日なのに…。」
コトリーナはしょんぼりとしてしまっている。
「まあまあ、気にする事はなくってよ。」
それを慰めるのはノーリー夫人である。
「ナオキヴィッチ様がお生まれになった時も、こんな嵐だったのですから。」
「え、そうなんですか?」
モッティが驚いた。
「ええ。そりゃあもうすごい雷でね。稲妻がピカーッと光った時に、ナオキヴィッチ様が産声を上げられたの。」
「さすが…お前、生まれた時から尋常じゃない環境だったんだな。」
男爵がナオキヴィッチに笑いかける。ナオキヴィッチは男爵を睨み返した。

「とにかく、家の中は明るいんですもの。パーティーを始めましょう。」
ノーリー夫人が明るい声で仕切り直そうとした時だった。

「コトリーナ?」
ナオキヴィッチがコトリーナの様子がおかしいことに気がついた。
「コトリーナちゃん?」
「奥様?」
ノーリー夫人とモッティもコトリーナに駆け寄る。
コトリーナはお腹を押さえている。
「どうした?」
ナオキヴィッチが身を屈め、コトリーナの顔を覗きこんだ。

「あ…ノーリー夫人!!」
モッティが悲鳴を上げる。
「奥様…破水していらっしゃいます!!」
「何ですって!?」
ノーリー夫人も身を屈め確認する。確かに、破水している。

「もしかして…生まれるのか!」
「嘘でしょう!!」
真っ青になっているのは男爵とシップだった。

「大丈夫…大丈夫よ、先生…。」
コトリーナはナオキヴィッチを心配させないよう弱々しく笑った。
「どうしたのかしら…ジュゲムちゃん…。」
「…お前たちの盛り上がりぶりに、自分も参加したくて出てきたくなったんだろう。」
ナオキヴィッチは妻を安心させるよう、そんな軽口を叩いた。

「お医者様を呼ばないと!」
モッティの声に、シップが「私が!」とレインコートを着込んで家を飛び出した。
「大丈夫ですよ、すぐにお医者様が来ますからね。」
ノーリー夫人が優しくコトリーナに声をかける。
「とりあえず、寝室へ連れて行かないと。」
ナオキヴィッチがコトリーナの体を支え、ゆっくりと立たせた。
「一階の客間を使いましょう。あそこでお産をする予定で準備もしてありますから。」
ノーリー夫人に従い、ナオキヴィッチに支えられコトリーナは居間を出て行った。



三十分後、シップは戻って来た。しかし一人だった。
「医者はどうした!」
コトリーナを心配させないよう、居間でナオキヴィッチが叫んだ。
「それが…先生は川の向こうの患者の所へ出かけていて。川が増水していて戻れないんです。」
「何…?」
ナオキヴィッチは外を見た。先程よりかなり激しい雨となっている。
雷の音も聞こえた。

「橋が通行止めになってしまっていて、迎えにも行けません。」
悲痛な声でシップは答えた。何もできない身がもどかしい。

確かにこの嵐では通行止めになるのも無理はなかった。

「どうするんだ、ナオキヴィッチ?何なら隣町まで医者を呼びに行こうか?」
男爵は真面目な顔でナオキヴィッチに訊ねた。
「いえ…男爵を危険な目に遭わせるわけには。」
この嵐である。何が起きるか分からない。
馬車が転覆でもしようものなら、男爵の身も保障できない。

ナオキヴィッチはノーリー夫人だけをコトリーナの枕元に残し、モッティを居間へ呼んだ。

「…俺が取り上げる。」

「はい!?」
ナオキヴィッチの言葉に、シップ、男爵、モッティの三人が目を丸くした。

「医者を迎えに行く暇はない。戻ってこられる保証もない。だから俺が取り上げる。」


「冷静になれ、ナオキヴィッチ!」
これには男爵が異を唱えた。
「君、自分が何を言っているのか分かっているのか?おたまじゃくしを捕まえるんじゃないんだぞ?人間の子、自分の子なんだぞ?」
「分かってます。」
ナオキヴィッチはどこまでも冷静だった。

「大丈夫です。何が起きてもいいように、俺はお産も見学していました。医者から知識も少しかじっています。」
「いや、だけど。」
ナオキヴィッチの用意周到ぶりに感心しつつも、やはり男爵は賛成できない。
それはシップも同様だった。

「大丈夫だ。」
ナオキヴィッチは考えを翻そうとしなかった。

どうしたものかという雰囲気が漂う居間に、

「ナオキヴィッチ様に私は賛成です。」

という声が響く。それはノーリー夫人だった。

「もう時間はありません。それにナオキヴィッチ様の勉強ぶりは存じております。大丈夫、できますとも。」
「しかしですねえ。」
男爵はそれでもまだ不安である。

「私がサポートしますわ。出産の経験もありますし、お産の見学も何度かしております。」
ノーリー夫人がナオキヴィッチを安心させるかのように、堂々と告げた。
「私もサポートします!」
モッティが手を上げた。
「私、看護師の資格を持っております。」
「そうだったわ、モッティさん。」
援軍を得たノーリー夫人が頷く。

「…頼もしい援軍もいることだし、何とかなるだろう。」
ナオキヴィッチは決意した。

「とりあえず、コトリーナに意見を聞いてくる。」
ナオキヴィッチはそう言った。
「そうだな。コトリーナが何と言うかだよ。」
全てはそれにかかっている。
ナオキヴィッチたちは寝室へと向かった。




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