日々草子 蜜月旅行 7(最終話)
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プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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このブログについてのお願い

当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

最新記事





どんどん雨は激しくなる一方で、小降りになる気配は一向にない。
「全然やまないね。」
とりあえず大きな木の下へと避難したものの、このままここにいるわけにいかない。
少し下りてきたとはいえ、麓まではかなりの距離がある。
登って来る途中に渡った小川も、今ではかなりの激流になっているだろう。

「確かこの辺に…。」
直樹は周囲を見回した。
「あった。」
目的の物を見つけた直樹は、琴子の手を引いて道から逸れ、繁みの中へと入って行った。
そして一軒の小屋の前に着いた。

「これは?」
「この辺の見回りをする人が泊まる小屋だよ。」
直樹はドアを動かした。が、当然のように鍵がかかっている。
不安になる琴子をその場に置き、直樹は窓へと移動した。
「確かこうすれば…。」
直樹は窓枠をガタガタと揺らした。すると掛金がいとも簡単に外れた。
直樹は窓を開け、中へと入る。
そして入口へ回り、中から鍵を開け琴子を入れた。

勝手知ったるといった様子で、直樹は暖炉のそばに積まれた薪を手に取った。
「あの、直樹さん。」
「何?」
直樹は火をつけ始める。
「その、勝手にやっていいの?」
心配する琴子に、直樹は答える。
「大丈夫、前にも雨宿りに使ったから。」
「でも、薪まで勝手に使って…。」
「平気だよ。入江家の者だって言えば許してもらえるから。」
器用に薪をくべる直樹を見ながら、琴子は思い出した。

別荘がある一帯は、入江家の土地であった…。



「あったかーい。」
暖炉はたちまち温かさをもたらした。琴子は手をかざし、その温かさを実感する。
「直樹さんも…。」
一緒に暖まろうと、声をかけようとした琴子の目が点になった。

直樹は上半身裸になっていた。
「お前も脱げ。」
そして琴子にも脱ぐように勧める直樹。
「ぬ、脱げ!?」
一体これから何をする気なのか、直樹に身を委ねることを決めたはずの琴子であったが、突然そう言われて思わずシャツを握りしめた。

「…脱がねえと風邪引くぞ?」
「はい?」
「濡れた服をそのまんま着ていたら、風邪引いて酷くなると肺炎起こす。」
「あ…。」
やっと意味を理解した琴子だが、それでも直樹と同じように素っ裸になることは躊躇する。

「ああ、そうか。」
直樹も琴子の女心を理解した。
直樹は部屋に一台だけあるベッドに近寄ると、そこから毛布を取り琴子に投げた。
「うわっ!」
頭に落ちて来た毛布をどかすと、直樹は自分に背を向けている。
「こっち向いているから、さっさと脱いでそれにくるまってろ。」
それを聞き琴子は直樹の心遣いを無にせぬよう、急いで服を脱ぎ始めた。

「やみそうもないな。」
毛布を肩から掛け、直樹は窓から空模様を見る。
雨は落ち着く気配は全くなく、それどころか雷まで鳴り始めた。
「今夜はここで過ごすしかないな。」
「…うん。」
これから夜になると、更に下山は困難となる。
直樹の言うことは正しいと琴子には分かっている。
直樹は暖炉の前で、毛布にくるまっている琴子を見た。
「…ぷっ。」
思わず噴き出す直樹。
「何?」
「いや、そうやっているとダルマみたいだなと思って。」
「ダルマ…。」
直樹に肌を見せぬよう、しっかりと毛布にくるまっている琴子は直樹の目にはダルマに見えた。



「それじゃ、夕食でも食うか。」
「夕食?」
琴子はキョロキョロと小屋の中を見回した。
この小屋は端にベッドが一台、あとは粗末なテーブルと椅子が一脚。簡単な煮炊きができる場所もあるが、材料がなければ何も作れない。

どうするのかと思っている琴子の前に、直樹はリュックを置いた。
「重いからあんまりないけどな。」
そう言いながら直樹が中から出したのは、缶詰だった。それだけではない。紙に包んだパンも出てくる。

「すごい!!」
あまりの用意周到ぶりに琴子は驚くことしかできない。
「お前と一緒にいるようになると、不測の事態に備える癖がついたんだよ。」
そういえば、この間穴に落ちた時も直樹はロープを持っていた。
「そんなに私、色々しでかしているのね。」
しゅんとなる琴子の口に、直樹はパンを頬り込んだ。
「むぐっ!」
「不測の事態を楽しむ余裕もできたけどな。」
パンを何とか食べる琴子に、直樹は笑いかけた。

「おいしい。」
「缶詰とパンだけの、簡単なものだけどな。」
「ううん。」
琴子は首を振る。
「こうやって、好きな人と一緒に食べたら何でもおいしい。それにこういう状況なんて滅多にないから楽しいし!」
「お前は何でも楽しめる性格なんだな。」
からかいながらも直樹は嬉しくなる。

「東京に戻っても、こうやって食事したら楽しいんじゃない?」
「はあ?ちゃんとテーブルも食材もあるってのに?」
「だって、楽しいんだもん。」
絶対にやろうとせがむ琴子に、直樹は「気が向いたら」と適当に返事をする。
が、その本心は部屋に暖炉を作って二人きりでこうやって過ごすのも悪くないと思っていた。



「そろそろ寝るか。」
二人で話をしてゆっくりとした時間を過ごしていたが、夜も更けた。
雨音と雷はまだ続いている。
「朝までにはやむかな?」
琴子は窓からそっと空を見た。その途端に稲妻が光り「ひゃあ」と首を縮めた。

「お前、ベッド使え。」
「はい?」
琴子は窓から離れ、毛布を引きずって直樹の傍に来た。
「直樹さんは?」
「俺は床でいい。幸い毛布は多めにあるから。」
話しながら直樹は、毛布を床に敷いていた。
「だめよ、体が痛くなっちゃうじゃない!」
「一晩くらい平気。」
そして直樹はテーブルと椅子をベッドと自分の寝床の間へと並べた。
「まあ、あんまり意味ないけれど一応境界線な。」
「境界線?」
「いや…。」
直樹は毛布にくるまって横になりながら、言った。
「お前もそうした方が安心だろうから。」
「…。」
直樹が嫌味で言っていないことは琴子にはよく分かっている。
だが琴子の心には寂しさが広がる。

「それじゃ、おやすみ。」
直樹は琴子のベッドに背を向けてしまった。

琴子は言われた通り、ベッドに入った。
ベッドの中から直樹の背中をじっと見つめる。直樹はすぐに眠ってしまったのだろうか、微動だにしない。

「直樹さん…。」
そっと琴子は背中に呼びかけた。
「…雷が怖かったら、毛布を頭の上まですっぽり上げておけ。そうすれば聞こえないから。」
直樹からはそのような返事が来た。
琴子はまた暫く、直樹の背中を見つめる。

「…。」
やがて琴子は、起き上がり素肌に毛布をぐるぐると巻きつけた。
そして直樹の傍へと進む。

「ねえ、直樹さん。ベッドで一緒に寝よう?」
「…。」
直樹は何も返さない。
「ここで寝たら体も冷えちゃう。暖炉の火も消しちゃったし、ね?」
「…冗談だろ。」
少しした後、直樹から言葉が返って来た。
「冗談じゃないわ。」
琴子は毛布を巻きつけたまま、直樹の傍にしゃがんだ。

「…一緒に寝て下さい。」
琴子は精一杯の勇気を振り絞った。
直樹がゆっくりと体を琴子へと動かした。そしてその場へ起き上がる。
直樹の上半身が毛布から露わになった。
しかし、今度は琴子は目をそらさなかった。

「一緒に寝たら、どうなるか分かってるのか?」
直樹は上半身を毛布で隠すこともしなかった。
「こんな格好なんだぞ、俺は。お前だって同じだ。そんな状態で一つのベッドに寝たら、どうなるか分かっていてお前は言ってるのか?」
「…分かってる。」
琴子は直樹から視線をそらさずに、はっきりと答えた。
「お前は怖いって…。」
「怖かったけど、今は平気。」
「嘘つけ、無理するな。」
直樹はそう言い捨てると毛布を肩までかけて、また横になってしまった。

「無理なんてしてない。」
琴子はその毛布に手を置いた。
「…いつだって、直樹さんは私の喜ぶ物を贈ってくれた。」
琴子は顔を直樹の背中につけた。
「女学校に入った時にはお洋服。いつも誰かのお下がりばかりだった私が初めて着た、新品のお洋服。」
直樹は琴子の温もりを感じながら、話を黙って聞いている。
「おたふく風邪の時はバラのつぼみの花束とお見舞いカード。初めてのお年玉、お化粧品にスーツ。そして入江直樹としての外国の絵ハガキ。」
「…それはお前の後見人として、生活必需品を送ったまでだ。」
「ううん。」
琴子は直樹の体にもたれるようにして、話を続ける。
「物だけじゃないわ。あしながおじさんは、私に愛をくれたもの。」
琴子は直樹の背中から離れようとはしない。

「覚えてる?前にお手紙に書いたのだけど。」
琴子は顎を直樹の体に置いて、微笑んだ。
「あしながおじさんは、愛を知らなかった私に沢山の愛をくれました。」
話す琴子の手に涙が一滴、また一滴と落ちて行く。

「今度は私があしながおじさんに愛を贈りたい。そして…。」
琴子は微笑んだ。
「最後にこう書いたわ。永遠に永遠にあなたのものである琴子って。」
「…ああ。」
あの手紙は今でも直樹の机の引き出しに大事にしまってある。
直樹にとって、何よりの宝物である。

「ねえ、直樹さん?」
琴子は直樹の体の上に、全てを預けた。

「…私をあなたのものにして下さい。」

琴子が言ったと同時に、その下の体が動いた。
そして気が付いたら、直樹の胸に琴子は抱かれていた。

「…本当にいいのか?」
「うん…。」
自分の中で琴子が微かに頷いた。
それを確認すると、直樹は毛布ごと琴子を抱き上げて立ち上がる。

そしてベッドの上に琴子を寝かせた。
「ごめんね、前は酷いことをしちゃって。」
直樹の下で、琴子が謝る。
「もういいよ。」
直樹はクスッと笑った。こうやって琴子が受け入れてくれる気持ちになったのだから、過去はどうだっていい。

「本当に大丈夫か?」
直樹は最終確認をした。
「うん、大丈夫。」
琴子は笑った。
「あしながおじさんは、私に幸せだけをくれるでしょう?」
「ああ。」
直樹は琴子を力一杯抱きしめた。
「お前は永遠に俺だけのものだ。」



「明かり、どうする?」
鳥目の琴子のため、明かりはつけっぱなしだった。
「俺としては、琴子の全てを見たいからこのままがいいんだけど?」
「す、全て…。」
琴子は毛布を引っ張った。まだ琴子の体は直樹の目に晒されていない。

「あの…ええと…。」
「何?」
直樹は自分でもこんなに優しい声が出せるのかと驚きながら、尋ねた。
「私…そんなに見せる程のものでは…。」
恥ずかしそうに答える琴子に、直樹の頬がまた緩む。
「大丈夫だよ。」
「あと、あとね?」
「ん?」
「…本当に何も知らないから、すごく変なことをしちゃうかもしれないの。」
「変なこと?」
一体どんなことをしてくれるのかと、逆に直樹の期待が高まる。
「それでも…あきれない?」
緊張してきたのか、琴子の頬がだんだんと赤く染まり始めた。
「あきれないよ。」
直樹は目も潤み始めた琴子の頬に手を添える。
「何をしたってどんな体だってね。」
そして直樹は琴子の手から毛布をそっと外す。

「うう…。」
恥ずかしさで琴子はギュッと目をつぶってしまった。
確かに胸は小振りではあるが、白く華奢な体の美しさに直樹はしばし見とれる。

「愛してるよ、琴子。」
直樹は琴子の唇に自分の唇を重ねた――。



目が覚めたら、雨音はしていなかった。
鳥の鳴き声に直樹は耳を傾け、窓から外を見ていた。

「…朝?」
直樹が振り返ると、琴子が目をうっすらと開けていた。
「雨の音がしないけど…。」
「夜中には上がったんじゃないかな?上がる直前にすごい雷が会ったけど。あれはどっかに落ちたな。」
「そうなの?」
不思議そうな顔をする琴子に、直樹は笑いかける。
「あんなにすごい音だったのに、聞こえてなかったのかよ?」
「だって…もう音とか全然聞こえていなかったんだもん。」
確かにそうだろうなと、直樹は思う。
もっともそれだけ自分に夢中になってくれていた証拠なのだから、大満足ではあるが。

「あれ?」
半分閉じられていた琴子の目が、大きく見開かれた。
「どうした?」
「直樹さん…昨夜、何かに噛まれたの?」
「え?」
「だって…その背中…。」
琴子は震える指で直樹の背中を指した。

「ああ、これか。」
自分では見えないが、動くと微かに痛むので傷があることは分かる。それも一か所ではないことも。
「どうしたの?」
「どうしたのって…お前がつけたんだろうが。」
「私が!?」
琴子は驚きのあまり、ガバッと起き上がった。
が、何も身につけていなかったことに気がつき、慌てて毛布を巻きつけた。

「な、何で?」
「何でって覚えてないのか。」
まあ無理もないと、また納得する直樹。

――あれだけ痛がったら、爪を立てずにはいられなかっただろうし。

いよいよという時取りあえず自分の体につかまらせたものの、その痛みは相当なものだったらしく、琴子は「痛い、痛い」と繰り返すばかりだった。
「何をしてもいいから、絶対俺から離れるな」と直樹も叫んだ記憶がある。
そうでもしないと、とても最後まで進まなかったのだ。

やたらと自分の体の上を琴子の手が動いていたことは気が付いていたが、直樹も無我夢中で痛みなど気付かなかった。

「ごめんなさい…そんな…大事な旦那様を傷物にしてしまって。」
泣きそうになる琴子に、直樹は噴き出した。
「まあ、お互い様だし。」
「お互い様?」
「俺もお前を傷物にしたことだしな。」
「あ…!」
琴子の顔が真っ赤になった。
「こんなもん、唾でもつけておけば治る程度だから気にするな。」
そして直樹は窓に目をやる。
「今からいいもの見せてやるから…。」
そう言いかけて琴子を見た時だった。

「おい、何をしてる?」
琴子は枕に顔を埋めて、うつ伏せになっていた。
「琴子?」
「…だめ。」
「え?」
何が一体駄目なんだろうか。もう全て終わったというのに。
「思い出したら…恥ずかしくて…顔を見られないし見られたくないの。」
消えそうな声で琴子は呟いた。

「何を今更。」
「だって、そんなに傷だらけにしたのだから、きっとすごい顔だったと思う。もう駄目。恥ずかしい。」
琴子は枕から顔を上げようとしない。

直樹は窓にまた目を向けた。もう時間がない。

「枕と仲良くするの、やめろ。」
琴子の肩を掴み、強引に仰向けにさせた。
「ひゃあ!」
琴子は叫び声を上げたが、構うことなくその体を起こさせる。
そして自分の前に座らせた。
体を冷やさないよう、自分の体と一緒に琴子の体を毛布でくるんだ。

「何?」
「しっ。」
直樹は琴子の唇に指を当て黙らせる。

やがて――。
窓の向こうの山々の間から、神々しい光が放たれ始めた。
太陽が昇る瞬間である。

「綺麗…。」
琴子の口から感想が漏れた。
「ああ…。」
直樹もその美しさに見とれる。
太陽の光は二人がいる窓辺を照らす。

「こんなに素晴らしい朝を迎えられるなんて。」
あまりの美しさに琴子の目に涙が浮んだ。
「俺たち二人の始まりを祝福してくれているのかもな。」
直樹も山で朝を迎えたことはなかったので、太陽が昇る様子を目にするのは初めてだった。

「直樹さん。」
太陽が昇りきった後、琴子は直樹を見上げた。
「こんなに美しい景色を、ありがとう。」
そう言って微笑む琴子は、太陽に負けないくらい美しかった。
「…どういたしまして。」
二人はキスを交わした。

琴子は直樹からそっと離れた。
昨夜は眠りについたのがかなり遅かった。数時間しか眠っていないのだから、きっとまだ眠いのだろう。
そう思い直樹は、琴子の自由にさせてやろうと思った。

しかし、琴子は横にはならずに直樹の背後に回った。

チュッ…。
直樹の背中に、琴子の唇の感触が走った。

「何だ?」
突然のことに驚いた直樹が振り返る。

「あ…ごめんなさい。」
毛布で胸を隠して琴子が謝った。
「あの…さっき、舐めておけば治るって言ったから。」
小さくなる琴子を見て、確かにそう言ったと直樹は思い出す。

「それで、ひどくならないうちにって思って。でも舐めるとしみるだろうなと思って。だからちょっと唇をつけるだけにしたんだけど…だめ?」

「だめって…。」

戸惑う直樹を見て、琴子はハッとなった。
「あ、そっか。ごめんなさい。これもやってはいけないことだったのかなあ?」
無知である自分を恥じる琴子を見ながら、そうではないのだがと言いたい直樹。
こんなことをされると昨夜の続きをしたくてたまらなくなるのだが、まだその入り口に立ったばかりの琴子には分かるまい。

「でも、すごく痛そうで…可哀想だから。」
「…いいよ、やっても。」
直樹は琴子に背中を向けた。
「本当?」
喜ぶ声が背中に聞こえると、琴子の唇の感触がまた直樹の背中に走り出した。

チュッ…。
チュッ…。

「…お前って。」
「なあに?あ、痛い?」
「いや痛くはないけど…。」
無知というものは、何よりも恐ろしい。
琴子の心のこもったキスを受けながら、直樹は必死で耐えていたのだった。

数時間後、二人は山小屋を出発した。

「また来ようね。」
「ああ。」
直樹が琴子に手を差し伸べる。琴子はその手をしっかりと握った。

やっとお互いをお互いのものにした二人は、思い出の沢山つまった那須の山をゆっくりと下りて行ったのだった――。







☆あとがき
『蜜月旅行』を最後までお付き合い下さり、ありがとうございました!
ずっと書きたい書きたいと思い続けていた、『Daddy Long Legs』の新婚旅行編を漸く書き上げることができて、私も嬉しいです!
最終話は一か所、私が今夢中になっているマンガの台詞を仕込んでみました(笑)(ゴルゴじゃありませんよ~)
このお話の入江くんは琴子ちゃんにとにかく惚れ込んでいるので、結構安心して読んでいただけるのではないかなと思っております。

本当は全3話くらいで終わらせられればと思っていたのですが、何だか引っ張り過ぎてしまってすみませんでした。
引っ張り過ぎたせいで、どうも皆様に変な期待をさせてしまったような。
あ、そんなことないですか?
そうですよね!私にそんな上級テクニックな表現を期待される方はいらっしゃらないはず!!(笑)


拍手、コメントを下さった皆様、本当にありがとうございました!



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コメント

那須の天気さん<m(__)m>

水玉さん、更新有難うございます!

那須のお天気さん!お邪魔虫って言ったこと、アッホッ~って「こだま」させたこと、陳謝陳謝陳謝!! <(_ _)>はっは~申し訳ございません!
お邪魔虫どころか貴女様はキューピット❤~よくぞ雨を降らせて下さり感謝~
・・・?まっ!直樹の愛が勝ったのだけど~~~・・・
あ!、いえいえ那須のお天気様のお蔭をです?!、雨降って愛固まる~です
那須が二人にとって想い出増量「地」=故郷になった!祝(^m^)
渡辺さん~ご苦労様でした!これからも二人を4649~

琴子のカワイさ全開!

直樹さんの用意周到ぶり、ゴルゴ入江に通じるところあり?!で笑いましたぁ~。まあ、家出嫁を捜すのに、ロープを持って出る人ですからね・・・爆笑。でも、雨対策のお着替えを持たなかった事には、奏功したかも?!ふふ。それも手伝って?!の、やっと一身一体ですよね微笑。
琴子の決心を直樹さんにくっついて話すところ、カワイイ!
初心な琴子相手に、野獣直樹さん降臨したらどうしよう・・・なんて、要らん心配までしてしまいました微笑。「大人な直樹さん」で居てくれて良かった!笑。
なんてったて、私「琴子ちゃんの乳母様に立候補した」位の琴子ファンですから。直樹さんの「限界」も解りますが、大切に扱って頂かないと!爆笑。
よく頑張りました、琴子ちゃん!直樹さんもね・・・傷だらけの背中は、痛いけど沢山の愛もくれたし・・・あっ、それは、「今日は身体に毒なお薬」だったわよね~笑。
これで、渡辺さんも一安心ですね微笑。
直樹様の八つ当たりで無理難題を強いられ、あまりお休みは頂けなかったでしょうけど、幸せそうな2人の顔を見れば、疲れも吹き飛びますよね、きっと。
もどかしい2人に、ハラハラドキドキしながら楽しませて頂きました。ありがとうございました。次作も、「師匠とお琴ちゃん」も楽しみに待っています。いえいえ、煽ってませんよ~笑。のんびり待ってます。



更新ありがとうございました。やっと結ばれた二人のこれからを象徴するような景色‥素晴らしい描写です!

楽しい連載をありがとうございました(^^)
また更新楽しみにしています♪

連載お疲れさまでした♪やっと結ばれたのね~(^w^)登山中の雨はきっと琴子を大切に想ってずっと待っててくれたから神さまからのご褒美よ!!ハネムーンベビーのオプション付きだったりして(笑) 背中の爪痕…なんか直樹さんに付いてるとエロ~いっ(ノ▽≦)ノ キャッ 2人ずっと仲良しなんだろうねぇ う、羨ましいっ(≧ー≦) この2人の子供見てみたいなぁ なんかこのお話の直樹さん子煩悩パパになりそうだから(笑) イケメンパパ なんかいいなっ♪萌える(笑)

水玉さん、おはようございます@^^@

新婚旅行での二人に今までのエピソードが織り込まれていて、結ばれるまでが、『Daddy Long Legs』の琴子ちゃんと直樹さんらしく、お互いを想う思いやり、ぎこちなさが伝わってきました。二人の気持ちが分かり合えていく過程が素敵でした!!

毛布にくるまったダルマの琴子ちゃん~~~可愛い~♪♪♪

二人を祝福し、輝いている山の朝。。。綺麗で美しくって、私も感動しまた!!
山の朝に満たされた気分です!~♪

渡辺さん、帰った二人を見。。。成功を確信して、小さくガッツポーズをするのでは!。。?(笑)~~ほんといい人ですもの!!

水玉さん、私も可愛い双子ちゃんのお話とか、部屋の暖炉で穏やかに過ごす琴子ちゃんと直樹さんとか。。。短編とか。。また水玉さんの『あしながおじさん』にお目にかかりたいです!!
新婚旅行編、本当にありがとうございました!!~♪

彩られました(^_-)-☆

ああっ最終話は寂しいですが、無事に本当の夫婦になられて嬉しゅうございます(^^♪これもひとえに、那須の自然たちとたくさんの思い出とGreatButler渡辺さんの力があってのこと(悦)やっぱり琴子ちゃん可愛いすぎです。勇気を出してよくよく直樹さんに飛び込みましたね❤でもね!あんまり確認しちゃいけませんよ~煽ってもいけませんよ~!!直樹さん調○○になちゃいますよ~(>_<)今回の直樹さん何時もより男っぷりをあげているのは、初夜への思いがあってのことでしょう?(←やっぱり大事!外せない!ぷぷっ)しかし根底には限りない琴子ちゃんへの一途な思いがあってのことですもんね。そこでDearenemyの最終話を思い出し「これまで我慢していた分・・・」や「ゆっくりなんてできない・・・」とMaster&Butler3での直樹は琴子一人を愛し抜くだろうという素敵すぐるシチュエーションを続編で作っていただきたく切にお願いいたします。

コメントありがとうございます。

美優さん
そうでしょう、そうでしょう(笑)
私は美優さんがアホ―と言った時に笑いを堪えてました。
そのアホ―な天気が二人を助けてくれることになるなんて思わなかったでしょう、うふふ。
二人の故郷、そうですよね!二人にとって大事な大事な土地になったことは間違いないです!
最後までお付き合い下さりありがとうございました。
おニューのパソコンと仲良くしてくださいね♪

REEさん
本当に用意周到ですよね!
いや、自分でもそう思ったんですがロープを持ってこないと救出できないし(村の人はもう寝ている時間だったし)、食糧持ってこないとお腹が空いて甘い夜どころじゃないし。
無理を承知でそうしましたよ!
でも絶対、読んで下さった方は野獣になる直樹さんを想像していたと思います。
なんか書き上げた後「散々引っ張ってこれかよ~」という声が聞こえたような気が(笑)
皆さんが渡辺さんの顔を見たがっているようなコメントを下さったので、カットした部分をUPしてみました。よかったら!
そして98%の方がお忘れであろう「師匠とお琴ちゃん」を楽しみとのお言葉、ありがとうございます!!こちら、すごく嬉しかったです!
最後まで読んで下さりありがとうございました。
なんかもうREEさん、私の中では常連様なのでお名前がないと寂しい感じです(笑)

ちぇりさん
こちらこそ、最後までお付き合い下さりありがとうございました!
結ばれた時に朝日を見せたかったんです♪
これから始まるって感じでいいかなと思って!
こちらこそ、また遊びに来て下さいね!

あやみくママさん
背中の爪痕は、前からいつか使ってみようと思っていたんです(笑)
いや、こうやって日の目を当てることができてよかった、よかった!
でも本当、ちょっと入江くんだとドキドキしますよね!
ハネムーンベビーだったら、名前はナス夫くんとナス子ちゃんでしょうかね?(Daddy…の最後に双子を誕生させているんですよ)
最後までお付き合い下さり、ありがとうございました!!

あおさん
私も最初はこんなに過去のエピソードを織り込む予定はなかったのですが、書きながら「入れてみたらいいんじゃないか」と思うようになって。
もう本当にもどかしい二人を見守って下さり、ありがとうございます!
琴子ちゃんは何をしたって可愛いんですよ!入江くんは毛布にくるまっただるま琴子ちゃんを襲いたい気持ちを必死でこらえていたはず(笑)
渡辺さんのガッツポーズ…もう皆さん、どれだけ渡辺さんを見たいんですか!
そんなにやられっぷりを見たいですか?
ということで、次に書いてみました(笑)
部屋の暖炉で過ごす琴子ちゃんたちはそのうちまたお目にかけることができるかもしれません。

白湯さん
最後までお付き合い下さりありがとうございました!
もう白湯さんのコメントで「よっしゃ、それじゃあUPするか」と気合が入りましたよ~♪
だから気にしないで下さいね!すごく楽しいコメントでした!
でも驚いたのはお姫様抱っこ!まさか白湯さんも考えておいでだったとは!
私も家にはお姫様抱っこで入ってもらいたいなあと思っていたのですが、これは琴子ちゃんが怪我でもしないと無理だと思って。琴子ちゃんはドジだから多分何でもない所で転びそうだと思い、それでけがをしてもらいました!
しかも私の直樹さんはありがとうも言わないし。渡辺さんは変な気を使ってお赤飯炊いているし!
だからすごく私も楽しかったし参考にさせていただいたので、どうぞ自重なさらないで下さい!


拍手コメントありがとうございました。

emaさん
ぜひ描いてくださ~い!!
こちらこそ、いつも素敵な絵で楽しませて頂いています♪
小川君の続きが楽しみでしかたない今日この頃(笑)

ゆっぴさん
こちらこそ、最後までお付き合い下さりありがとうございました!!
ぜひぜひ、また遊びに来て下さいね!

Foxさん
最後までお付き合い下さりありがとうございました。
そうです、琴子ちゃんからお誘いかけちゃいましたよ!!
きっとすごくドキドキしていたと思います。直樹は待っていた瞬間でしたしね!
二人で見た朝日は一生忘れることないでしょう。
そして直樹さんは…恩を忘れ、また無謀な命令を下しております(笑)この性格だけは生涯治らない(笑)

りんさん
ラブラブな新婚生活、この先に二本UPしてみたのでよかったら!!
これが最終話だったら、やはり物足りないのかなあと思って書いてみました。
渡辺さんがもう見てられないと思ってくれるかどうかは不安ですが(笑)
勝手なんてとんでもないです。文章書きにとっては続きが読みたいというお言葉は何より嬉しいお言葉なので!!
最後までお付き合い下さりありがとうございました!

るんるんさん
琴子ちゃんの最初の男になれた嬉しさは、そりゃあ言葉に言いつくせないほどでしょう!!
背中の傷は消えてほしくない、るんるんさんの言うとおりだと思います!
もう記念に魚拓のように残しておきたいくらいじゃないでしょうか(笑)
でもこれからもどんどんつけられる、いやつけてほしいと願っているに違いない。
最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。

佑さん
双子ちゃんの誕生ですか!
問題は…私が子供を書くのが苦手ということなんですよね~。
でもいつかは誕生させたいと思います!!
最後までお付き合い下さりありがとうございました!!

ぴくもんさん
二度手間かけてしまい申し訳ありませんでした!!
歯型…私もそれ浮かべましたよ!!
でも初めてで歯型をつけられるって、いやあ、いくらドSな直樹さんでもそこまでの無体は(笑)
そんなことしちゃったらまたお預けくらいそうですもん!!
でも考えただけでドキドキ、セクシー!!←変態がまた
琴子ちゃんは自分を愛してくれる人をやっと見つけることが出来て、それだけで幸せいっぱいなんだろうなと思います。
入江くんも自分の性格(やや難あり)を受け入れてくれる人をやっと見つけられたし。
お互いよかったなあとしみじみ思います。
傷跡にキス…それがどうして入江くんが戸惑うのか、それをいつ入江くんは説明するのか。
ああ、想像しただけでワクワクですよ!!
最後までお付き合い下さりありがとうございました!!

まあちさん
まあちさん同様、渡辺さんにこの喜びを伝えたいという方が多くて、だから帰宅後の話もUPしちゃいました。
やっと結ばれましたものね。長かった…。
天然爆弾はこれからもどんどん投下されることでしょう。その度に入江くんが困るのがもうたまらないです!!
最後までお付き合い下さり、ありがとうございました!!

紀子ママさん
「あんた誰!」ってくらいに優しかった(爆笑)。
確かに、本当にそう言いたくなるくらいの別人でしたよね、直樹さん!!
連載中は一番鬼…ああ、そうかも。というか、これまた琴子ちゃんが一番辛い境遇でしたから余計そう感じたのかもしれません。
入江くんといえば真っ先に浮かぶキーワードが「意地悪」ですから、そう思っていただけるのはとても嬉しいです。
そしてあっちも読んで下さりありがとうございました。
なんか最新作は面白そうですね!別冊になるまで待つしかないか。
ガッキーは本当に男として最悪な目に遭っても入江くんを追い続けるところは…まさしくドMですね!!
最後までお付き合い下さり、ありがとうございました!

chan-BBさん
最初は「誰!?」と驚いちゃいました。
多分そうだろうなあとは思ったのですが(笑)
いいなあ、うちの近くレンタルコミックなんてしゃれたお店ないんですよ。
前にツタヤがそれを始めたってニュースは見たんですが、うちの地域は該当していないし。
だからもっぱら古本屋です。新刊がすぐに出る古本屋があって(それはそれでちょっと問題な気もするのですが)。
マンガはそうです、想像していらっしゃるやつです(笑)イラスト集が出たら絶対買うくらいハマっております(笑)
今回は新刊書店とそこを併用して集めましたよ~。それを収納するために別のマンガを一気に打って千円ちょっと儲けた(ラッキー♪)
怒って入江くんが電話をかけるシーンは私も気に入っております。
お金持ちを書く楽しさをここで味わえました。
最後までお付き合い下さり、ありがとうございました!!

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