日々草子 鴛鴦文様(おしどりもんよう) 3
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

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渡辺屋が連れてきた男は、なかなかの男前だった。
年齢も直樹と同じくらいだろう。



「こちらが鴨屋の親類筋で…。」
「啓太と申します。今日はお忙しい中ありがとうございます。」
啓太と紹介された若者は礼儀正しく両手をついた。
なるほど、渡辺屋の言うとおり礼儀作法は一通り身についている。

「入江先生の本は全て読ませていただきました。悲恋物は俺…俺…。」
感想を述べようとした啓太は鼻をすすった。
かなり涙もろい男のようである。

「あと絵師の物語。こちらは今までの作風と大分変っていますがとても面白いです。」
「まあ!」
この感想に顔を輝かせたのはお琴だった。
「そうでしょ、そうでしょ?」
「はい。絵師が本当に姫君を慕っていることがこちらにも伝わって。」
「啓太さん、見る目あるわ。」
お琴はまるで自分が書いた話のような顔をしている。
この話は直樹が自分とお琴を題材に描いた物であるので、お琴にとっては特別なのである。

「こんな素晴らしい物語の作家である入江先生にぜひ弟子入りしたいと思いました。」
啓太は再び頭を下げた。

「…。」
直樹は黙っていた。
それをお琴と渡辺屋は緊張して見ている。

「…鴨屋の方はお前が物書きになることを認めているのか。」
直樹が口を開いた。
「はい。俺の好きにやるようにと言ってくれています。」
「そうか。」
大店の親類筋だと、家に黙ってこちらに転がり込んだ可能性もある。直樹はそこを確認したかった。

「師匠、啓太さんはとてもいいお弟子さんになると思いますよ。」
お琴はすっかりこの啓太という男を気に入ってしまった。
「お前はすぐに調子に乗る。」
「大丈夫ですって。私の次にいいお弟子さんになりますもん。」
お琴の中では直樹の一番弟子は、あくまで自分なのである。

「俺も保証するよ。この通り鴨屋の御隠居からも書状を預かっている。」
渡辺屋が直樹に書状を渡した。そこには啓太をよろしくと達筆で書かれていた。
このような書状まで持たせたのだから、他に心配することはなさそうである。



「…一月だな。」
「え?」
啓太が直樹の顔を見る。
「一月様子を見よう。その先はこの一月のお前の態度次第だ。それでいいなら。」
直樹からのお許しに、お琴、渡辺屋、啓太の顔に笑顔が広がった。

「ありがとうございます!俺、一生懸命頑張ります!!」
啓太が何度も何度も大声を出した。
「ありがとう、入江。」
渡辺屋もこれで面目を保つことができたと、安堵していた。



「よかったわね、啓太さん。」
お琴が啓太に笑顔を向けた。
「はい。」
啓太も笑顔を返す。
その様子に直樹の胸がなぜかチクリと痛んだ。

「これから仲良くやりましょうね。」
「はい、よろしくお願いします。」
そして啓太は直樹に向かって、
「よろしくお願いします、師匠。」
と頭を下げた。

「それ、やめてくれ。」
啓太の言葉に、直樹が意外な反応を見せた。
「その師匠って呼び方はやめろ。」
なぜか直樹の口からそのようなことが飛び出した。

「そんな…どうしてですか?啓太さんは師匠のお弟子さんなんですよ。私の次のお弟子さん。」
変な所にこだわりながらも、お琴が不思議な顔をする。
「いいから、その呼び方は禁じる。」
自分のことを「師匠」と呼ぶのはお琴だけでいい。いや、お琴以外の人間に「師匠」という呼び方をされたくない。直樹はそう思っていた。
「師匠」という呼ばれ方はそれだけ直樹にとって特別な意味があるのである。

「それでは何とお呼びすれば…。」
啓太は困り果てている。渡辺屋も細かいことを気にする親友に困っていた。
「うーん…。」
直樹もそれは同様だった。そう言ったものの、何と呼べばいいのか。

「それじゃあ…。」
いい考えがあるという風に、お琴が声を出した。
「旦那様は?」
「はあ!?」
直樹、啓太、渡辺屋の三人が見事に声を合わせた。
「師匠がだめなら、旦那様。どうでしょう?」
お琴はこれ以上すばらしい考えは出ないだろうとばかりに、自信を持っている。

「何で女房にも呼ばれない呼び方を野郎に…。」
直樹がすこぶる嫌な顔をする。
「それはちょっと俺も…。」
啓太も気が進まないようである。

「だって、渡辺屋さんだってお店の人に旦那様って呼ばれてるでしょ?何がおかしいの?」
異を唱える夫に、お琴が反論する。
「渡辺屋は店だろうが!」
「ここだって似たようなものじゃないですか!」
たちまち夫婦喧嘩が勃発する。



「あ、あのう…。」
ギャーギャーやりあっている夫婦に、恐る恐る手を挙げたのは渡辺屋だった。

「どうだろう?ここは素直に先生っていうのは?」
「先生…。」
お琴が呟く。
「それ、いいですね。」
啓太が頷いた。
「そうだな。まあそれが妥当だな。」
直樹も同意する。

ということで、啓太は直樹のことを「先生」と呼ぶことに決まったのだった。



啓太が来るのは十日後からで、一日おきにこの家に通うということになった。
「それでは明後日からよろしくお願いします、おかみさん。」
啓太はお琴に挨拶する。
「おかみさん…?」
突然の呼ばれ方に、お琴はきょとんとなった。

「そうだね。先生の奥さんだからお琴ちゃんはおかみさんだ。」
渡辺屋が笑った。
「おかみさん…私がおかみさん…。」
何だか自分がとてもいい女房のような感じを覚えるお琴。

「おかみさん…。」
何度も呟いているお琴に、
「あの、先生…おかみさんは…?」
と、啓太が心配する。
「ああ、あいつはもうああなったらどうしようもないから。」
直樹は違う世界へ羽ばたいてしまったお琴にすっかり慣れている。
「目が覚めるまで放っておいていい。」
「そうなんですか?」
「これからも度々目撃するだろうから、徐々に慣れておいてくれ。」
「はい…。」

「おかみさん…何て素敵な響き…。」
お琴は両手を組んでうっとりとしたままだった。





「おかみさんかあ。」
ウフフと笑いながら、お琴は買い物に出かけた。
「おかみさんって何をするんだろ?」
せっかく入った二番弟子に色々世話を焼きたいお琴であった。

「何をうすら笑いしているんだい?」
そんなお琴に声をかけたのは、直樹をめぐる争いを日々繰り広げているおうめ婆さんだった。
「ちょうどよかった。」
お琴はおうめ婆さんに、この辺りでおかみさんと呼ばれている人はいないか尋ねた。
「それなら、そこの先に十手持ちの親分さんが住んでいるから。」
一体何をする気だろうかと不安を覚えながら、おうめ婆さんは教えてくれた。





数日後――。

「それじゃ、おかみさん、行ってきます。」
「はいよ、気をつけて!!」

カチッカチッ!

おかみさんは火打石を鳴らして、十手持ちの親分とその子分、二人を見送っている。

「おい、お前。」
出かけようとした親分が足を止め、おかみさんを手招きした。

「…あの娘っ子は何をしてる?」
親分がそっと指した方向。その先には生垣の陰に隠れたつもりのお琴が顔を覗かせていたのである。
「さあ?数日前からじっとうちを見てるんだけどねえ。」
おかみさんも首を傾げる。
「悪さをしているわけじゃないから、捕まえるわけにもいかないしねえ。」
「そうだなあ。まあしばらく様子を見るか。」



「なるほど、ああやって見送るわけか。」
そんな噂をされているとは全く知らずに、お琴は懸命におかみさんがしていることを学んでいた。
「この数日間、ここのおかみさんのことを見て学んだから、もう大丈夫!」
これであの二番弟子をちゃんと迎え入れることができる。
お琴は自信満々で家路についたのだった。










☆お詫び
すみませんでした。
携帯の方に表示しておいた「お暇なら…」なんですが、あれはパソコンからしか見られないものでした。
本当にごめんなさい。
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コメント

おかみさ~ん!

「おかみさ~ん」って何回でも呼んであげたくなりますね!
お琴ちゃんてば、何をやるにも一生懸命でカワイイっ!ちょーっとズレたところはあるけど、またそこがカワイイっ!お琴ちゃんの大ファンな私です笑。でも、ママには負けるかもですね、なんてったって、強烈ですから笑。
さて、おかみさん見学が役に立つのでしょうか??作家さんは、そうそう、出掛けないって事、忘れてないかな??ふふふっ!
「限界」だなんて、仰らず、ノンビリ書いて下さい!いつまでもお待ちしております!

カワイイ[e:415]

カワイイなぁお琴ちゃん。
どんなおかみさんになるのか続きが楽しみ(=^_^=)
このシリーズ、脳内ではシリアス(ラブなシーン)ではよしなが○み風、コミカルなところは忍○ま風なイリコトになってます(=^_^=)

楽しみにしています!!

水玉さん、こんにちは。
新シリーズ楽しみに拝見させていただいています。

直樹の元に啓太と言う弟子が、直樹,この啓太で頭を、悩ますの
かしら??
直樹の事を、『先生』、琴子の事を『おかみさん』もう、この『おかみさん』と言う名で呼ばれて、琴子チョコッと、舞い上がっているようですね。
大丈夫かしら、心配ですね。
これからどのように、展開されていくのか、本当に楽しみです。


REEさん、ありがとうございます。

お琴ちゃんファンだなんて、ありがとうございます!!
お琴ちゃんが可愛いと言ってもらえる事が一番の喜びです~。
でもおかみさんなんて、ちょっとお琴ちゃんにはまだ早い気もしますが(笑)、でも呼ばれるとベテラン夫婦になった気分になるんじゃないかなと思います!
コメントのおかげで、やる気が出ました!

えまさん、ありがとうございます。

コミカルな部分の方が多いですよ、このシリーズは(笑)
というか、私がそんなシリアス書けないですし!
忍たま…実写版は予告でしか見てませんが、なかなか主役ちゃんが可愛かった覚えがあります。

吉キチさん、ありがとうございます。

ありがとうございます!
もう完全に舞い上がってますよ、このおかみさん♪
そして彼が出てきたら、何かが起こることは間違いなしです。
本当にお琴ちゃんが魅力的だからしょうがないとんですけどね~。
ぜひ続きも楽しいと思っていただけるよう頑張りますね!

拍手コメントありがとうございます。

まあちさん
いやいや、啓太くんが出ていて「ハイ、何もありませんでした、チャンチャン~♪」はないでしょう(笑)
色々とご活躍していただかないと!!
入江くんは琴子ちゃんの「師匠」って呼び方が気に入っているんですよね。だからそれは誰にも呼ばせたくないという、独占欲のかけらがチラリと出てまいりました!

みづきさん
ありがとうございます。
とんちんかんな琴子ちゃんは私も書いていて、とても楽しいです。
でもとんちんかんだけど一生懸命なんですよね。
それにしてもみなさん、もう私の作風(?)をよくご存知で(笑)
琴子ちゃんを泣かせないで~と言いつつ、それを待っているような気がするのは私だけでしょうか(笑)

Foxさん
とりあえず、お琴ちゃんは完璧なおかみさんをめざしつつ、一番弟子の座を奪われないように頑張り、さらに隣のおうめ婆さんに入江くんを取られないようにと、色々頑張らなければいけないことがたくさんあるみたいです(笑)
お琴ちゃんも大忙しですよ~!!
そして拍手もありがとうございました!
もう本当、拍手のお礼でしかあれは書けないです(笑)

紀子ママさん
お鴨様(笑)
そっか、そっか。紀子ママさんにとってはお鴨様&沙穂子さんは天敵だったんですよね~。
でもこの二人を超える最強ライバルは現れないし、書けませんわ(笑)
台風、すごい嵐でした。停電とかはなかったのですが、とにかく窓をたたきつける雨と風にびっくりでしたよ!

佑さん
いや~なんかどっかで書いた事があるような話ばかりだなあと今頃気づいて。
根本的なものは似ていても、色をつけることで差別化したいとは思っています!
でも最近の話は「もう怖くてギブアップしたい」と佑さんに言われない…(笑)
それを楽しみに待っているのに(笑)


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