日々草子 鴛鴦文様(おしどりもんよう) 1
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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最新記事

大体続編を書くときは、最低3カ月は空けていたようなのですが(故意にではなく、たまたまですが)、今回は2カ月も経たずに書いてしまいました。
この話は本編を書いていた時にすでに浮かんでいて、「絶対書くぞ!」と決めてたのです。

というわけで「めでたしめでたし」の続きでございます。
お読み下さる方は続きからどうぞ。

☆追記
タイトルの「鴛鴦」なのですが、ひらがなで「おしどり文様」にすると何だか「こまどり姉妹」を思い出してしょうがなかったので漢字にしました。



物干し竿には、今日も白いふんどしがはためいていた。

江戸一番の地本問屋の若き主、渡辺屋は庭に足を向けた。
庭からは鼻歌が聞こえてくる。
「お琴ちゃん、今日も可愛い声だな。」
そんなことを渡辺屋が思っている時だった。

「オギャーッ!!!」
赤ん坊の泣き声が響き渡った。

「え?え?ええ!?」
渡辺屋はそこに信じられない光景を見た。

「おお、よしよし。」
お琴は背中におぶっている赤ん坊をあやしていた。
「お、お琴ちゃんの赤ん坊…?」
渡辺屋は目を疑った。しかしそこに背負われているのは紛れもない赤ん坊である。
確かお琴がこの家の主、江戸一番の作家入江直樹と所帯をもったのは、三か月前だったはず――。



「ああ、ご近所の赤ん坊だったわけか。」
「そうだよ、冷静に考えろ。」
胸を撫で下ろしている渡辺屋に直樹は呆れていた。
「そうだよな。三か月で赤ん坊ができるわけないし。」
アハハと渡辺屋は頭に手をやった。

渡辺屋と直樹は幼い頃からの親友同士。
元は旗本の家に生まれた渡辺屋は、母方の実家に養子に入った。
武士としてより商人の才覚があったのか、今では江戸一番の地本問屋に店を成長させた。

そして直樹は大身の旗本の嫡男でありながら、物書きになりたいと家を出た変わり種であった。

その直樹のもとに押し掛け女房同然に転がり込んできたのは――。


「お待たせしました!今お茶を淹れますね。」
息を切らせて飛び込んできたお琴である。
「ちゃんと赤ん坊返してきたか?」
「そんな師匠!物じゃないんですよ、物じゃ。」
元は直樹の書く物語にほれ込んでこの家に弟子入りしたので、お琴は夫婦となった今でも直樹を「師匠」と呼んでいる。



「何か夫婦って感じがしないよな。」
二人の様子に渡辺屋が笑う。
「まあな。」
直樹は庭に目をやる。
「…甘い新婚生活を送りたくても、こうやって誰かさんが仕事を次から次へと持ってくるから、あいつを可愛がる暇もありゃしない。」
そして直樹は大きなため息をついた後、項垂れた。
「俺、あいつに逃げられたらどうしよう…。」

「わ、悪い。」
確かに直樹の言うとおりである。
どんどん仕事をさせているのは自分である。渡辺屋は新婚夫婦への気遣いが足りなかったことを素直に反省した。

「まあ、いいさ。仕事をもらえるうちが華だからな。」
「本当に悪い。今度の話が上がったら、ちょっと考えるから。な?な?」
渡辺屋は手を合わせた。
そんな渡辺屋に顔を背けたまま、直樹は呟く。
「俺がこうやって好きなことで食っていけるのも、お前のおかげだもんな。」
「入江…。」
本当に申し訳なさそうにしている親友は、直樹がこっそり舌を出していることなど気がつかない。



「お待たせしました!」
そこへお琴がお茶を乗せたお盆を手に現れた。
「渡辺屋さん、いつもありがとうございます。」
お茶と一緒に出したのは、お琴の好物のわらび屋の団子である。
渡辺屋は直樹の家に行く時、必ずこれを手土産に持ってきてくれる。
「いいんだよ、いいんだよ。団子くらい遠慮しなくていいんだからね。」
先程の直樹の件もあり、渡辺屋は変に気を遣う。それを直樹が忍び笑いしていることに全く気付くこともなく。



「ところで、私も新しいお話を考えてみたんです。」
お団子を食べながら、お琴が切り出した。

既にお琴の皿は空となっていた。そこに直樹が自分の分のお団子をさりげなく乗せる。
その様子に渡辺屋の頬が思わず緩んだ。

「今回はお二人の話し合いも沢山参考にしたから、いいお話ができる気がするんです。」
「そりゃあすごいね、お琴ちゃん。」
お世辞ではなく、心から渡辺屋は感心した。
「まだあらすじだけしか書いてないんですが、見てもらえますか?」
「ああ勿論。なあ、入江。」
渡辺屋は直樹に同意を求めた。
「…あんまり期待はしてねえけどな。」
そんな直樹の脇腹を渡辺屋は肘で突いた。



お琴はいそいそとあらすじを書いたものを取りに部屋を出て行き、またすぐに戻ってきた。
直樹と渡辺屋は二人でお琴の物語のあらすじを読み始めた。

「どうでしょうか?お二人の好みを考えて書いて…。」
黙って読んでいる二人に、お琴が声をかけた。

「何だ、これは…。」
紙を持つ直樹の手が震え始めた。
「ええと…お琴ちゃんの顔からは想像できない話…だよね?」
渡辺屋は懸命に言葉を選ぼうとしている。
「ちゃんとお二人のお話を聞いて勉強していた成果が出ていませんか?勿論、師匠の本も何度も読み返しましたし。」
どうやらお琴自身はこれをかなりの自信作と思っているのか、その声に誇らしさもにじんでいる。

「これのどこが俺たちの好みだ!!!」
直樹はあらすじを書いた紙を大きく破った。
「ひどい!!」
お琴が破られた紙を拾いながら、直樹を恨みがましく見上げる。

「何だ、これは一体!!!」
直樹は青筋立てて怒鳴った。
「女が山から出て来て騙されて凌辱されて、そんで身ぐるみはがされて売られて、人生のどん底を味わうって!!」
「お琴ちゃんにしては、かなり過激な内容を考えたね…。」
「だって!いつもそういうお話を二人で考えているじゃないですか!」
「違う!俺はそこまでひどい話は書いたことがない!!」
「というか、俺たちはそういう話を書いて売っている物好きだと、世間からは思われているってこと…?」
激昂する直樹と落ち込む渡辺屋。
「でも最後はめでたしめでたしですよ。師匠のお話とは違って。」
お琴はぷーっと頬を膨らませる。

「ったく…お前はもう物書きはあきらめろ。」
直樹は額を押さえる。
「そんなあ!!」
「その前に味噌汁の一つもまともに作れるようになれ!!」
わめき始めた夫婦を見ながら、渡辺屋は考えていた。

「やはり少し仕事を減らさないと、まずいかも。」

きっとすぐにこのように喧嘩になるのも、仕事量が多くてお琴をかまうことができないからに違いない。



「ああ、もうお前はお茶のお代わりを淹れて来い!」
直樹はお琴を鬱陶しそうに追い払った後に、渡辺屋と次に出す話の打ち合わせを始めた。

お琴がお茶を淹れて戻って来た時、直樹たちは真剣は表情で話し込んでいた。
お琴は邪魔をしないようそっとお茶を置き、また二人から話の作り方を学ぼうと部屋の隅に膝を揃えて座った。

「で、若い女を力ずくで嫁にするんだよ、男は。」
「だったらさ、妾も同じ家に住まわせているという筋の方がよくないか、入江?」
「それいいな。で、夫の愛情は若い妻へと向けられる。それに嫉妬して妾が妻をいびると。」
「その妻を助ける若き家来を出すと…いいね、若い女の客には受けるよ。」

二人の話を聞きながら、お琴は首を傾げていた。
「大して私の話と変わりないと思うんだけど…。」
むしろ、自分の考えた話の方がだいぶましではなかろうか。
そう思ったお琴であったが、売れる作品を世に出し続けている二人の考えは素人の自分に簡単に理解できるものではないと、考え直したのだった。





「お妾さんを出した方が面白いのか。」
昼間に直樹たちが話していたことを忘れないうちに、お琴は帳面にまとめていた。
「世間は強引に夫婦になるという筋を面白がると。」
二十五万石の大名の姫君として蝶よ花よと育てられてきたお琴にとっては、まだまだ分からないことが多い。

「おい、まだ起きてるのか。」
仕事に一段落ついた直樹が声をかけた。
「先程のあらすじに色々手を加えているんです。」
お琴はまたもやふぐのように頬を膨らませる。
「無駄な努力はやめておいた方がいいと思うけど。」
直樹はお琴の机の傍までやってきて、帳面を覗きこむ。

「師匠は?まだ起きているならお茶をお淹れしましょうか?」
「いや、俺もそろそろ寝る。」
「そうですか。」
「それでは先にお休みを」と言いかけたお琴の肩に、直樹の手が回された。
夫婦になった今も、こういう直樹の仕草にお琴の心臓が跳ね上がる。

「あ、あの…師匠?」
そしてそうされる度に顔を赤くするお琴。
「…話の作り方、教えてやろうか?」
二人きりの時にしか見せない、甘い笑顔を浮かべ、甘い声を直樹は口にする。
「そんなこと言っても…いつも師匠、教えてくれないじゃないですか…。」
もじもじしながら、お琴が反論を試みる。
「話の作り方を教えてやる」、これは「床を一緒に」という二人だけに通じる合図であった。
「それはお前が話を聞かないうちに寝ちまうからだろ。」
「だって…それも師匠が…。」
まだ反論しようとするお琴の唇を、直樹が自分の唇で塞ぐ。

「…どうする?」
唇を離した後、直樹はお琴に返事を促した。
「…教えて下さい。」
こうなるとお琴の負けである。
そして今夜も恐らく作り方を直樹は教えることなどしない。

直樹はお琴の返事に満足すると、行燈の明かりを吹き消した。
そして恥じらいのあまりに自分の胸に顔を埋める妻に愛しさを覚えながら、その体を軽々と抱きかかえ寝間へ向かったのだった。
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コメント

わ~い♪

いつも楽しませて頂いてます。ありがとうございます。
カワイイお琴ちゃんにまた会えるんですね。
どんなお話になるのか、ワクワクですっ!
更新楽しみにしています。

REEさん、ありがとうございます。

ありがとうございます!
この本編を書いている時から、続きが浮かんで書きたくてたまらなかったのですがいくらなんでも早いかなあと思って控えていたのですが…。
そう言って頂けて嬉しいです!

拍手コメントありがとうございます。

拍手コメントありがとうございます。

まあちさん
そうなんです、めでたしの琴子ちゃんはふんどしが必需品なんです(笑)
今日も嬉しそうにふんどしを洗っていることでしょう。
入江くんには黒い尻尾(笑)
本当にその通りですよね。
黒い尻尾がチロチロと動いている様子が目に浮かびます!!

emaさん
いや~ん、突然何を(笑)
それは私の台詞です。
あの時、えまのブログに行ってなかったらこうしてブログを開設していなかったんだから!!
絵茶で「ブログやらないんですか」と言ってくれたことがどんなに嬉しかったか。
あの時の時間は今でも私の大事な宝物です♪

佑さん
入江くん、一応悲恋作家という肩書のつもりだったのに、いつのまにかエロ作家になってしまった(笑)
早いうちに軌道修正しておかなかいと!!

あけみさん
ありがとうございます!!
このシリーズの琴子ちゃんは、うちの琴子ちゃんの中でも三本の指に入るくらいの可愛らしさじゃないかと、我ながら思っております!
楽しんでいただけたらいいな♪

Foxさん
ありがとうございます!!
本当に某所でのヘタレは放置しておいて、こちらで少し心を和らげて頂けたらいいなと思っております。
今回もタイトルには結構頭を悩ませました~。
もう本当にタイトルが浮かばないってことは、ボキャブラリーがないんでしょうね。
情けないです。

紀子ママさん
うちの親が、年に一回懐かしの歌番組でその姉妹を見る度に「いつも同じ振袖…」とぼやいております(笑)
確かにあの年齢で振袖は(しかも結構派手なんですよね)きついものが。
でも本当、「おしどり夫婦」ってタイトルだとその姉妹が浮かんでしょうがなかったんですよ。
そっか、おしどりって浮気するのか~。
いいこと聞いた♪
そして大蛇森、彼が『硬派』じゃなかったら迷わず出したいところなんですよね!!


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