日々草子 後輩ときどき先輩 下
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プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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このブログについてのお願い

当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

最新記事




「参考にならないでしょう?」
僕の心を見透かしたように尋ねる入江先生。
「あ、いや…うん…おいおい参考に…。」
曖昧な返事をする僕に、
「そんなもんですよ。プロポーズなんて人それぞれじゃないですか?」
と、首をすくめた。

「でもその若さで結婚なんてすごいねえ。」
僕はプロポーズは自分で考えることにして、話を変えた。
「学生結婚なんでしょう?」
「そうです。」
いやあ、すごい。
僕なんてもう30近い年齢だってのに、こうやってグズグズしているんだもんな。

「結婚って背負う物が大きくて…なかなか一歩踏み出せないんだよ。」
はあ。研修医相手にこんなことを言うなんて僕って最低かも。
こんな男にプロポーズされて、珠美さん喜ぶわけないよ。



「…そりゃあそうでしょう。」
「はい?」
入江先生は僕を見て口を開いた。
「結婚なんて、びびりますよ。誰だって。」
「そ、そう?入江先生も…そうだったの?」
「こいつを幸せにできるだろうか。いつも笑顔を絶やさないでいてくれるよう、頑張らないとって思いました。」
「へえ、そうなんだ。」
噂では入江先生はこの病院始まって以来の有能だってことだったけど。
そんな先生も不安になんてなるんだなあ。

「まあ、それが俺の原動力になりましたけど。」
そう話す入江先生の顔は、ちょっと優しくなった。
「あいつのために頑張らなければって思えば、力も発揮できたし。あいつも東京で一人頑張っているんだから俺も頑張らないといけないと思って。」
「へえ、素敵だねえ。」

そっかあ。奥さんと離れて暮らしてたんだね。
そういえば、入江先生は最近神戸から来たとか言ってたし。

あれ?ちょっと待って?
研修期間は確か二年だよな?
僕も二年やったしな。
で、入江先生は二年目ってことで…?

…あと一年、神戸だったはずじゃあ?

あ、もしかして…。


「先生、奥さんの傍にいたくて東京に?」
つい僕の口からそんな疑問が飛び出してしまった。

「…それが何か?」

入江先生は先程までの穏やかな笑顔とは打って変わって、ちょっと怖い顔になった。


あ、何か僕、地雷踏んじゃった感じ?

「いえ、何でも…ない…です。」
慌てて口を噤む僕。

でも先生、否定しなかったよな?



「とにかく本当に手に入れたかったら、理屈や建前なんか吹っ飛びますよ。」
入江先生はプイと横を向いて話す。
「プロポーズだって、一番伝えたいことを伝えたらいいんじゃないですか?」
「一番伝えたいこと。」
うーん…そうは言っても…。
変なことを言って珠美さんに振られたら怖いしなあ。

「そういえば。」
入江先生が思い出したように言った。
「ドン・ファンって、人の女を奪うのが好きだって豪語してましたけど?」
「人の女?」
「ええ。奪う時の爽快感がたまらないって。」

そ、それって…それって…。


「あの人、野生の本能で恋人がいる女性を嗅ぎつけるらしいですからね。」

ていうことは…!

「…許せん!!」

危ない!珠美さんが危ない!!
あのドスケベ野郎に珠美さんが食われる!!

こんなプロポーズがどうとか悩んでいる暇はない!!


「珠美さん、今行くよ!!」
そうさ、僕だってやる時はやる!
守る人は守る!
僕も入江先生のように、バイオレンスになってみせるさ!!



あーあ。
シーツ交換にいつまでかかっているのかしらねえ?

「入江さん、そこはね、こうやってみるといいわよ。」
私はシーツ交換のコツを入江さんに教える。
「ありがとうございます。」
返事はいいんだけれど、そのコツを実践できない入江さん…。



「あんまり意地悪すると、入江先生に怒られちゃうかしらね?」
ナースステーションで、私はそんな軽口を入江さんに叩いてみた。
「入江先生が?どうしてですか?」
入江さんはキョトンとして私を見た。
今ここには、私と入江さんだけしかいない。

「だって奥さんがいじめられていたら、面白くないでしょ?」
「いやいやそんなことは!」
入江さんはアハハハと大笑いした。

「入江く…入江先生はあたしがいじめられているなんて思っていませんし。」
「そう?」
「ええ。あたしが不器用で何もできないからって思っていますもん。」
「へえ。」
「いつも言ってます。叱られるうちが華だって。何もできないことは先輩たちだって知っているんだから、知ったかぶりしないで何でも聞け。聞いて叱られろって。」

ああ、だからこの子は何でも質問してくるわけか。
たまに知ったかぶりして、勝手に行動起こして滅茶苦茶にする人いるのよねえ。
それに比べたら、質問してくれた方が助かるんだけどね。

「入江先生は昔から放任してますから、あたしを。」
「放任?」
「はい。でもそれはそれで嬉しいんですけれど。」

嬉しい?放任されて?何で?

「あたしをそれだけ信頼してくれているってことですから。」
入江さんはニコニコと嬉しそうに話す。
「信頼…。」
「はい。まあ助けてほしいなあって思う時もありますけれどね。でもあたしが一人で頑張れるって信じてくれているんだって分かってるから。」

ふうん。
夫婦ってそういうものかしらね?
私と山本先生も…そうなるのかしら?
何か想像つかないけれど。



「それに桜井さんはあたしを助けてくれますし。優しいですよ。」
「優しい?私が?」
「はい。」
入江さんは笑顔で大きく頷いた。

「いつもガミガミ怒ってばかりだと思っているくせに。」
「でもそれだって患者さんを思えばのことですし。それにいつもコツとか教えて下さいますもん。」
まあ、教えることは嫌いじゃないしね。
何か入江さんって、踏みつければ踏みつけるほど、たくましく成長する気がするのよね。
だからつい、きつく言っちゃうこともあるというか。

「よかったです、桜井さんの下につけて。」
「それはどうも。」

まったく、この子って言いにくいことをストレートに口にするわね。
でも悪い気はしないけど。


「あれ?あの先生ってこの前の…。」
入江さんが突然、ナースステーションの傍の通路を指した。
「先生?」
私も振り返る。

「た、珠美さん!!」
「山本先生!?」
何で山本先生が外科病棟に!?
というより、珠美さんって!!
病院ではいつも「桜井さん」って呼んでいるのに…。

「山本先生、どうされたんですか?」
とりあえず、私は冷静さを保って尋ねた。
「あの!!」
山本先生は、私の両手を握りしめた。

「ちょ、ちょっと山本先生。ここは病院でして…。」

何!?
どうしちゃったの?
先生、落ち着いて!



「珠美さん!僕は毎日毎日、人の鼻の中ばかり見ている地味な耳鼻科医です!」
「は、はあ…。」
それは今更説明しなくても、十分知っているけれど。

「地味ですけれどでも…珠美さんを愛しています!!」

山本先生…。

「幸せにします!結婚して下さい!!」

山本先生…やっと…やっとプロポーズしてくれた…。


「…はい!」

ロマンチックな夜景もないし、皆見ているし、しかも二人とも白衣だけど…。
でも…こんな素敵なプロポーズ、想像もしていなかった…。


パチパチパチパチ!!!

入江さんが拍手をしてくれている。
いつの間にか戻ってきた他の看護師のみんなも拍手している。
患者さんもみんな拍手してくれている。

すごい幸せ…。





「入江さん、今日はちゃんと一発で採血してほしいわね。」
「う…頑張ります。」
プロポーズから数日後。
いつもの日常にすっかり戻った。
そりゃあそうよ。私は看護師だもの、浮かれている暇なんてないんだから。

「はい、町田さん。力を抜いて下さいね。」

こらこら、そういうあなたの力が入りまくりよ。
まったく、いつになったらちゃんとできるようになるのかしらね。

今日の入江さんは何とか採血を終えた。
さ、次の病室へと…。

「桜井さん。」
痛そうに腕を押さえている町田さんが、突然私の名前を呼んだ。
「何でしょう?」
「後ろ、後ろ。」
「後ろ?」
私は振り返った。

「え…?」

後ろには、この病室と他の病室の患者さんが笑顔を揃えていた。
「桜井さん、ご結婚おめでとう。」
そう言って皆さんがくれたのは…千羽鶴!

「これは…?」
「何かお祝いしたいわねってみんなで話していたの。でも入院しているから買い物は難しいし。それで少しずつ折ったのよ。」
「私のためにですか?」
「勿論よ。おめでとう。お幸せにね。」
「…ありがとうございます。」

嘘みたい。
患者さんがお祝いしてくれるなんて。
それに…私の名前、知っていてくれたんだ。

「そりゃあ知ってるわよ。」
町田さんが笑った。
「桜井さんの採血、痛くないもん。」
「お風呂のお手伝いも上手だし。」
他の患者さんたちが話す。
皆さん、そんなに私のことを見てくれていたの?

「それに、いつも琴子ちゃんが話してくれているしね。」
「入江さんが?」
入江さんは「へへへ」と恥ずかしそうに笑っている。

「桜井さんが本当に優しい先輩だって、いつも話しているんだから。」
「桜井さんに教えてもらっているから、絶対採血も上手になるって張り切っているしね。」
「入江さんがそんなことを…。」

まったくもう。
人の噂をする暇があったら、もっと頑張りなさいよね。

「桜井さん、お仕事続けるの?」
町田さんが心配そうに聞いてきた。
「勿論、続けますよ!」
私は迷うことなく、はっきりと答える。
「よかった!」
喜んでくれる患者さんたち。

看護師になってよかったなあ…。

「このダメダメな後輩を一人前に育てるまでは辞めませんから!!」
「ひどい、桜井さん!」
入江さんがプーッと頬を膨らませた。
「その通りじゃないの!」
まったく、こんな後輩初めてよ!




入江先生のおかげで、プロポーズもできた。
結婚できる。
ああ、よかった、よかった。

あれ?
僕の少し先に立っているあの看護師は…確か外科の…あの方向音痴の子!
西垣先生と何を話しているんだ?


「琴子ちゃん、そろそろ浮気したくならない?」

…さすがドン・ファン。
ていうか他の男のものって、結婚している、していない、関係ないんだ。

「なりません!」
ムッとして拒否している、ええと…あ、そうだ。入江さんだ、入江さん。

あれ?
入江さん?
入江…入江…。

その時、僕は信じられない光景を目にした ――。


高く、高く上がって行く西垣先生の体。
それはスローモーションのようだった。
いやあ、人間の体ってあんなに高く上がるんだなあ。

ドサッ!!

そしてつぶれたカエルのようになった西垣先生…。


その彼を見下ろしているのは…。

「まったく、本当に懲りない人だな。」

入江先生が突き出していた長い脚を、元の位置に戻していた。

「入江くん!」
あ、やっぱり入江先生の奥さんがあの子だったんだ。



「やっぱり入江先生が一年で戻ってきたのは、入江さんのためなのね。」
「珠美さん!」
「ここでは桜井と呼んで下さい。」
珠美さんは僕を睨んだ。
これが珠美さんのいいところ。

って、今の珠美さんの台詞って?もしや珠美さんも?

「そりゃあ気付きますって。入江先生っていつも入江さんを見てますもん。」
「へえ。」
「西垣先生がなぜか入江さんを気に入っていて。いつもちょっかい出しているんですが、その度にどこからともなく現れてやっつけてます。」
「やっつける…。」
「今日はまだマシな方です。この間なんて西垣先生、腕と足が絡み合ってみんなで解く羽目になって大変だったんですから。」

僕は団子のようになった西垣先生を想像した。どんな蹴り方をしたら、そんなことになるんだろうか?
…それでも何で懲りないんだろうか?

「入江先生の愛情の深さに、外科病棟は大騒ぎですよ。」
「うん、うん。」
僕は神戸から戻って来た理由を尋ねた時の入江先生を思い出した。
あんなに堂々とのろけられるとね。

「…山本先生は?」
「はい?」
珠美さんは僕を見上げる。
「山本先生も、あんな風に私を守ってくれますよね?」
「そりゃあ、勿論!」
あのドン・ファンから僕も珠美さんを守り抜いてみせるさ!

僕は珠美さんの手をそっと握り締めて、仕事では後輩だけど人生においては先輩の彼らを見ながら、あんな風になれればいいなと思った ――。












☆あとがき
『売店のオバちゃん』にチラッと出てきた山本先生と桜井さんの話でした。チャン、チャン!!



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コメント

お疲れ様でした

    こんばんは 
直樹が恋の『後押し』でしょうか・・・ごちゃごちゃ言わずに速攻にいけるようにドエロスケタラダラ先生だされたら そりゃぁ・・・大急ぎですよねぇ。

 知恵の輪状態になってでも 琴子にちょっかいダシ止めないお方は 懲りないただの女好き・・・   このお方が出られると  なぜか他の思いが浮かばない・・・。
 

さすが!

水玉さん~ありがとうございます~

そ~なんです 売店のおばちゃんにチョイ役が今回主役!病院中面白いお話がごろごろ出てきそうな展開なんですが シリーズになったらいいな~
ほのぼの~笑い~感動~ドンファン西垣~イリコト愛~美味しい~ご馳走フルコースじゃないですか!次を期待していいですか?(´∪`*)

吉キチさん、ありがとうございます。

ありがとうございます!
何気に入江くん、知り合ったばかりの人の恋のお手伝いまでしています。
これも琴子ちゃんの影響なんでしょうか?
それともウジウジしている人間を見ていたらイライラしてつい…というところが本当かも。

知恵の輪状態のガッキー、さすが吉キチさん。上手なことを仰る(笑)
本当にインパクトありますよね~。

美優さん、ありがとうございます。

そ~なんです!
あのチョイ役を主役に話を書くとは私も思ってもいませんでした!
なんだか書いてみたくなって。

病院中面白いキャラ、たしかにいそうですよね。
シリーズ化、できるものなら私もしたいです!!

フルコースの中にちゃっかり、ドンファン西垣が入っているんですね(笑)
つい私もこの人に触れずにいられないんです!

拍手コメントありがとうございました!

拍手コメントありがとうございます。

ひろりんさん
イリコトの出番が少ないからどうかな~と心配していたので、そのように仰っていただけて安心しました。
人って見ている人はちゃんと見ているんですよね。
人が見ていない所できちんとやるということは、なかなかできるようなことじゃない気がします。
第三者目線の話、久しぶりに書きましたがすごく楽しかったです。

紀子ママさん
本当にプロポーズは私も淡々と書いてみたら「すごいな…」と笑ってしまいました。
でもその通りなんですよね。その場面を見ていない人が聞いたらなんてバイオレンス(笑)
あの平手打ちは、入江くんは上手く口で説明できずに先に手がなぜか出てしまった…という風に私はとらえていますが(笑)天才も恋愛となるとからきし駄目ってことで。
琴子ちゃんは本当に放任されておりますが、でも入江くんが一生懸命守っているんですよね。
何だかんだと二人三脚で頑張って仕事をしているんだろうなあと♪

mayさん
わあ!!お久しぶりです!!!
あっちの世界でお目にかかれず、どうされているかと思っておりました。
何だかとっても大変な環境においでだったようで(笑)
でも相変わらず楽しいコメントをありがとうございます!
さーちゃんの淡い恋話…実はさーちゃんは密かに大蛇森先生を想っていました、という話を考えようとしたことはありましたが。
カヨさんは本当に何をやっているんでしょうね。
でも証拠を残すようなことは絶対しないだろうから、あの頭の中に全て入っているんだろうなと思います。
また遊びに来て下さいね!!

むさぴょんさん
ありがとうございます。
もうコメディ路線をひたすら貫いて見ました~!

Foxさん
どんだけ男性の同僚から睨まれているんでしょうかね、ガッキーは(笑)
見境のない男として周知されていることは間違いないようですが。
でもそれで山本先生に火がついて結果オーライというところでしょうか。

まあちさん
そうですよ、あの無関心路線一直線だった入江くんが人の恋のお世話をしている…。
もう本当に感涙ものですよね!!
でもプロポーズがあんなにバイオレンスだったら、結婚生活もさぞバイオレンスだろうと思われないでしょうか?思われても平然としていそうですけれどね。
そんな釣った魚にえさもやらないような入江くんですが、琴子ちゃんに近づく男は容赦なく排除している、そんな入江くんが素敵ですよ♪

佑さん
水玉ファミリー(笑)
どんどん増やしていけたらいいんでしょうけれどねえ!!
でも斗南大学はあんなに濃いキャラが揃っているので、オリジナルキャラクターもぶっ飛んだ人間を想像できて楽しいです♪

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