日々草子 リネン室の怪人 3
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リネン室の怪人 3

このお話の続きを待ってますというお声をありがとうございます。

ちょっと初心に戻りたいと思って、この続きをと挑戦しようとしたら、気がついたら…一年半も間が!!
書いた本人もすっかり内容を忘れておりました。
読み返したら、えらい所で中が終わっていたんですね(笑)

それでは…と続きを書き始めてみたら、すみません。上中下で終わらないことに。


本当にすみません!!

私同様、前の話を忘れた、または知らないという方、下記からどうぞ!

リネン室の怪人 1

リネン室の怪人 2

…何か無性にイリコトが書きたくてたまらないんです。
でもなんだか自分の文章が…死んでいるような気がするんですよね。
「元気はつらつ!」って感じに書きたいんだけどなあ。










「琴子が?」
「リネン室で西垣と琴子が密会」という噂を聞いた幹は「アハハ」と笑い飛ばした。

「ちょっと待ってよ!西垣先生はそりゃあ女だったら誰でもOKでしょうよ。0歳から99歳まで射程範囲でしょう。でもね。」
幹は「チ、チ、チ」と人差し指を振った。
「…いくらなんでも、琴子が不倫ってのはあり得ないから。」
「あら!そんなの分からないわよ!」
そう叫んだのは、以前慰安旅行にて琴子をあの手この手で陥れようとした風子だった。
「入江先生が旦那様なのよ?何の不満があるっていうの?」
自分が直樹の妻(?)だったら、間違いなくそんなことはする気にならない。幹は断言した。
「でも、しちゃってるんだもん。」
風子たちは「ねえ」と声を揃える。
「理由は分からないわ。でも後ろめたいことがなければ、何もあんな場所で会う必要はないじゃない?」
「そりゃあ、そうだけど。」
幹はこれが琴子…いや、直樹の耳に入らなければいいと祈ることしかできなかった。



噂というものは不思議なことに、当人の耳には入らないものである。
見事なまでに、その周りを避けて広まって行くものである。

「…琴子ちゃんは、まだか。」
その日、先にリネン室にこっそりとやってきたのは西垣だった。
琴子も大分メイクが上達してきた。
もうそろそろこのシークレットレッスンも終了してもいい頃である。

「ええと…メイクボックス、メイクボックスと。」
こっそりと隠しておいたメイクボックスを懐中電灯の明かりを頼りに探す西垣。
照明は琴子が来たら部分的につけるつもりだった。そうでないと、誰かが入って来た時に説明に困る。

もっとも、既に噂になっていることを西垣は知っていた。
しかし彼は噂になることは、すっかり慣れていた。
「もう何人と噂になったっけ?数えてらんないや。」
だから今回も大して気にはしていなかった。
「まあ入江にばれたら面倒だけどな。でもあいつ、ゴシップにてんで興味を示さないし。」
恐らく今回も耳には入っていないだろう。

「…西垣先生?」
琴子の声が聞こえた。
「あ、こっち、こっち。」
「すみません、申し送りで遅くなりました。」
パタパタと小走りで琴子が寄って来る。が、急いだあまりに躓いてしまった。

「キャッ!!」
そして見事に転んでしまった琴子。
「大丈夫かい?琴子ちゃん!」
「だ、大丈夫です…。」
膝を押さえながら、琴子は立とうとした。
「何かここにあるみたいで…。」
琴子はペチペチとその何かを叩いた。
「丸太かな?」
「丸太?んなもんがここにあるわけないでしょう。」
笑いながら西垣は、琴子の足元を懐中電灯で照らした。

ぼんやりとした明かりが照らしたもの、それは…。

「足!!」
琴子と西垣は同時に叫んだ。
「な、何で?」
「…まさしく“リネン室の怪人”?」
西垣は震える琴子に掴まれながら、懐中電灯をゆっくりと上へと上げていった。

やがて懐中電灯は、二人がよく知っている顔を照らし出した。
「…怪人って失礼な。」
「入江くん!」
「入江!?」
またしても、琴子と西垣は同時に叫んだ。

「…眩しいんで、それ、下ろしてもらえると助かるんですが?」
光に鬱陶しそうな顔を向け、不機嫌な顔を二人に向けて壁にもたれて座っていたのは…直樹だった。



「な、何でここに?」
天井の明りをつけて、琴子は直樹の前にペタリと座った。
「…。」
琴子の問いに、直樹は睨むことで返事をした。

「あのさ、入江。まさかとは思うけど、僕と琴子ちゃんを疑ってなんて…いないよな?」
西垣がおどおどしながら尋ねた。
「あたしと西垣先生?何ですか、それ?」
琴子はやはり噂を知らなかった。

「お前と先生がここで不倫してるって噂になってるんだよ。」
そんな琴子にいらつきながら、直樹が答える。
「嘘!何でそんなことに?」
「何でそんなことに、だって?」
直樹の声色が険しくなった。
「こんな場所でこっそりと会ってたら、噂にならない方が変だ。」
琴子の鈍感さにつくづく呆れ果てている直樹。
「だって何もしてないもの。やましいことなんてないわ。」
琴子は反論した。
西垣にはメイクを教えてもらっているだけである。

「そもそも、西垣先生だって軽率じゃありませんか?」
直樹は矛先を西垣へと向けた。
「ちょっと待って。」
これには琴子が黙っていなかった。
「西垣先生は悪くないわよ。あたしがお願いしてメイクを教えてもらっているんだから。」
「は?」
直樹の顔がどんどん険しくなっていく。まさかここで琴子が西垣を庇うとは思ってもみなかった。

「変なことを西垣先生に言わないで。」
「こ、琴子ちゃん…。」
さすがに西垣も焦り始める。
確かに琴子の言うことは正しい。しかしこれでは火に油を注ぐ結果となってしまう。

「入江くんまでが、そんなことを口にするなんて思ってもみなかったわ。」
琴子は琴子で、せっかく練習したメイクを直樹に気付いてもらえなかったことも心に残っていた。
自分でも八つ当たりをしているような気がしたが、口が止まらないのだから仕方がない。

「へえ、そうか。」
直樹は立ち上がり、パンパンと白衣を手で払った。
「つまり、俺はお二人のお邪魔虫ってわけだな。」
「…そういうことになるかしらね。」
睨みあう直樹と琴子。
西垣は二人の間に火花が飛び散ったような錯覚を見た。

「それじゃ、ごゆっくり。お邪魔虫は退散するから。」
「さっさと出て行ってちょうだい!」
直樹はリネン室を出て行ってしまった。



「琴子ちゃん…。」
残された二人。
西垣は困り果てた。
琴子はというと、あれだけ強気な態度を見せていたというのに、直樹がいなくなった途端に目に涙を浮かべ始めていた。

「もう、泣くくらいならあんなこと言わなければよかったのに。」
西垣は笑いながら琴子の頭を軽く叩いた。
「だって、入江くん…ひどいです。西垣先生にあんなことを…。」
ひっく、ひっくとしゃくり上げながら、琴子は泣き始める。
「まあ、あいつの性格はよく分かっているからさ。あいつだって僕と琴子ちゃんがどうこうなってるなんて噂、信じちゃいないさ。」
「それじゃ、何でここに来たんですか?」
「…へ?」
西垣はポカンとなった。琴子は泣きながら西垣を見上げている。

「入江くんは噂を信じてここに来たんでしょう?」
「え、ええと…琴子ちゃん?」

―― まいったな。

琴子は直樹が嫉妬をしているということに、全く気が付いていないのである。
直樹がここに来たのは、琴子が自分以外の男と一緒にいることが我慢できなかったから。それだけである。

だから西垣は、直樹に酷い言葉を言われても何とも思わなかった。
むしろ「ヤキモチ焼いて、青いな」くらいしか思っていない。大人の余裕で直樹を見ていたのである。

「酷い…あたしが入江くん以外の男の人となんて…そんなこと、絶対ないのに。」
琴子は傍に置いてあったボックスティッシュから数枚のティッシュを取り出すと、「チーン!」と盛大に鼻をかむ。
「入江くんは、自分のメンツを気にしてるだけなんです。」
「メンツって…。」
「きっとあたしと先生が噂になると、自分が恥ずかしいから。それだけしか考えていないんだわ。」
琴子はまた「チーン!」と鼻をかむ。

―― どれだけ自分が愛されているか、こんなに気付いていないとは。

メンツなんて直樹にとってはどうでもいいことである。
直樹は琴子しか見ていない。だから琴子も自分だけを見ていてほしい。それだけなのに。
西垣は泣いては鼻をかみ、また泣いては鼻をかむ琴子にばれぬよう、こっそりと笑みを浮かべた。



「ごめんなさい、先生。」
鼻が真っ赤になった琴子は、西垣に頭を下げた。
「あたしが変なことをお願いしたばかりに、嫌な思いをさせちゃって。」
「あ、いや。それは別に平気だよ。」
修羅場をくぐりぬけたことは数知れない西垣である。これしきのことは何でもない。

「琴子ちゃんはこれから家に…。」
「帰りますよ。」
あっけらかんと琴子は答えた。
「でも入江くんと同じ部屋には寝ませんけどね。」
「え?」
「あたしだって腹を立てることがある。それを入江くんに思い知らせます!」
「あ、そ、そう?」
どうやら琴子は直樹と仲直りをする気はないようである。

―― ていうか、やっぱり同じ部屋で寝てるのか。

夫婦だから当たり前なのだが、西垣は何だかそれにくすぐったさを覚えた。

―― 入江の奴、これは結構堪えるだろうな。

恐らくダブルベッドであろう。そこに一人寂しく寝る直樹…想像して思わず西垣は笑いがこみあげてくる。

そして、今日は何もしない方がいいという西垣の判断により、二人はまた時間差でリネン室を後にしたのだった。


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comment

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はじめまして。

いつも拝見しています。
このお話待ってました^^

でも、無理せず心のままにしてくださいね。
無理しても意味ないですからね。
読めば読むほど思いますが、
直樹みたいな人いないですかね?(爆)
琴子が羨ましいわぁ~^^

久々だぁ!
続きが読めて嬉しいです♪

ザ・イリコト

この話の続きが読めて嬉しいです♪

「日々草子のリネン室の怪人はすごいらしい」
じゃなくて、
「日々草子のリネン室の怪人は凄く面白い!」
と言いきってしまいます。

水玉さまの心の赴くまま素敵な物語群を紡いでいってくださいね。

水玉さんこんばんは♪

「ひっく、ひっく」・「チーン!」~~♪(笑)
水玉さんの音の描写、大好きです!
琴子ちゃんの可愛らしさがこの音で生き生きと伝わってきます!

一応強気の琴子ちゃんと、リンネ室の怪人?~続き楽しみです!

お話に元気いただきました!!

アヴィゲイルさん、ありがとうございます。

ありがとうございます!
一年半以上の時を経て、やっと書く気になりました(笑)

ケイタンさん、はじめまして。

初めまして、コメントありがとうございます!

確かに入江くんみたいな人は理想ですよね~。
本当に「ここで!」という場面にヒーローのように出てきますもん。
でも琴子ちゃん並の根性がないと相手にされないんだろうなと思います。

このまま続きを書くことなく終了になるかと思いましたが…何とか書けそうでホッとしております!

emaさん、ありがとうございます。

ありがとうございます。

そんなに期待されるような結末じゃないことを、今から申し上げておきます(笑)

いや~なんか続き、どうしたものかといまだに考えているのですが。
どうしてもラブラブよりギャグに走る傾向があるので。
だから受けが今一つなんですよね、うち…。
きっと今回もそうなりそうな感じが…。

あおさん、ありがとうございます。

ありがとうございます!

なんか琴子ちゃんだったら他の人の目も気にすることなく、鼻をおもいきりかみそうなんで。
人前で鼻をかむのって、ちょっと勇気いりません?
いや、私のかむ音が人並み外れて大きいからでしょうけど(笑)

一応強気な琴子ちゃん…(笑)
確かにそうですよね。でもきっと最後は…。

あおさんの元気が出てよかったです。

拍手コメントありがとうございます。

拍手コメント、ありがとうございます。

ちぇりさん
ありがとうございます。
ちぇりさんのように、時折この話の続きを…と仰って下さる方がおいでなんです。
だからちょっと真面目に考えてみようかと思って(笑)書いてみました。
時代ものがお好きだとのこと、とても嬉しいです。
もうそれだけで十分です。
ピンク色の綿菓子のような琴子ちゃん、すごく可愛らしい褒め言葉をありがとうございます。
こんな素敵なコメントが下手だと仰るのなら、私の返事などどうなりましょうか?
本当にありがとうございます。

紀子ママさん
ありがとうございます。
いや、最近読み返すと「あ~!!」とうなだれることが多くて多くて…。
でもこれは結構、自分でも活き活きとしている方になってきた感じがします。
というか、二人がけんかするとなぜか燃える私が(笑)
よさこい踊るほど喜んでいただけてよかった!!
確かに入江くんにちょっと懲りてもらうのもありですよね…。
過去に入江くんが落ち込む話を書いたら、結構評判よかったこともありますし。
でも絶対落ち込みそうもないですね。

Foxさん
ありがとうございます。
この話のガッキーは本当に大人ですよね。
これじゃ入江くんもかなわないわっていうくらいに…たまにはこんなガッキーもいいかなあと(笑)
後ろめたいことは何もないのだから、琴子ちゃんだって言われっぱなしではいられないでしょう。
次回は台風となる予定です。

まあちさん
ガッキーは絶対、もう体験記を出版できるくらい、いやブログにしたら即出版できるくらいな修羅場をくぐりぬけている気がします。
琴子ちゃんがあんなことをしていたのは、全て入江くんのためなのにねえ?
そこを分からない(というか、琴子ちゃんも話さないんだけど)入江くんがしょうもないです。
でもこんなに想われていて、気がつかないのが琴子ちゃんだけというのがまた何とも言えませんなあ。

おはようございます

人間 夫婦でも触れてはいけない部分がある… 心の境界線。踏み込んでしまえば互いに無事では済まないっっ!まさに琴子っちの発言は境界線を木っ端微塵に打ち砕いてしまったのね(T_T) そりゃあケンカにもなるっすね うんうん。どうなる事やら 早く次のお話読まなくち♪

愛は盲目

  こんばんは
 初めてこのブログに 来たての時読み漁っていてぇ・・・このお話しを知りとってもきになっていたのに・・・すっかり忘れてましたが リネンで・・・ヤッタァ・・・続きと思ってます。 すいません。

 直樹って心配のアマリに寝ながら待ってたのかなぁ? でもなんでかなぁ・・・。

琴子は直樹しか見えてないので・・・周囲に気づくハズもなく 直樹は見せない愛が・・・判る方方には判るんですかぁ・・・とあるお方を庇った琴子にも怒り爆発ですねぇ。
プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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このブログについてのお願い
当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

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