日々草子 コトリンを救い出せ! 中の下
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

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穏やかな昼下がり、入江家のリビングにはこの家の長男と次男がくつろいでいた。

「面白いのやってないなあ。」
裕樹がリモコンのボタンを適当に押して、ザッピングしていた。
『…このように外国の方も多数訪れていて。』
リポーターの声に裕樹の手が止まった。

『日本のゲームは外国人にも大人気…。』

「え?コトリンのイベント?」
裕樹の声に、新聞を広げていた直樹が、顔をテレビに向けた。

『…大ヒットゲームの同人誌のイベントは大盛況です。』

そういってカメラが写し出したものは、コトリンのコスプレをした…。

「琴子!?」
裕樹が目を丸くして叫んだ。間違いない、琴子である。琴子がコトリンの格好をして立っている。

「お、お兄ちゃん…これって…。」
家出中の琴子を見つけた裕樹が顔を向けた。しかし、そこには読みかけの新聞が広げられているだけで、直樹の姿は既になかった ――。



「うーん…こんなんで本当に入江くんに見直してもらえるのかなあ?」
昼休憩をもらった琴子は、同人誌即売会の会場の隅のスタッフ用の休憩スペースで首を傾げていた。
「そもそも、あたしがここでこんなことをしていること、入江くんがどうやって分かるんだろう?」
…やっとそこに気がついた琴子。
そして琴子はミニスカートを引っ張った。
「あの人たちって、くやしいけれどあたしよりお裁縫上手よね…。これで身を立てること考えればいいのに。」
人のいい琴子は、オタク部たちの身の振り方まで考えていた。



「いやいや、過去最大の儲けだよ!!!」
少し客が途切れたところで、矢野は売上を数えて「ゲヘヘヘヘ」と笑いが止まらなくなっていた。
「これもコトリン効果だな!」
「そうですね。さすが矢野さんのアイディアです!」
太鼓持ちよろしく、青木が矢野を持ち上げる。
「コトリンも俺たちの考えた衣装を着てくれたし!」
「そうそう、それが一番大きいですね!」
そして青木はよれよれになったキャラクター図案を広げる。そこにはレオパード柄のビキニめいたものを着ているコトリンが微笑んでいた。

「まったく、ゲームもこれでいけばもっと売り上げたってのに。」
「これもドンのせいだ。」
オタクたちが図案を見て忌々しく呟いた。

あのゲームソフトの製作過程において、オタクたちはこの衣装で行くべきだと主張した。
しかし、責任者の直樹が「こんなもん着せられるか」と言わんばかりに違う衣装を強引に着せたのである。

「あいつ、絵も上手だったのがまた腹が立つ。」
あの時、自分たちの目の前でまるで一筆書きのようにサラサラサラと描いた直樹を思い出し、また腹が立つオタクたち。
「露出度全然なかったですよね。あの青い服。」
「そうだよ!」
思い出した矢野がテーブルをバーンと叩いた。
「…あんな足もへそも見えてない服、どこがいいんだ!!」
そして矢野は足元に置いてある紙袋を取り上げ、中からビキニタイプの衣装を出した。
「コトリン、これ着なかったのが残念でしたけど。」
白山が惜しそうに呟く。
「でもコトリン、ツルツルペッタンだったからこれ着ても胸余るだろ?」
黄原が冷静に話す。
「確かに。ずり落ちたらちょっとなあ。」
「いや、それもまた見たかったかも。」
矢野の最後の一言に、オタクたちは「ゲヘヘヘヘ」とあらぬ想像をして、下衆な笑い声を上げた。

「しかし、俺らが考えた衣装をコトリンが着ているって知ったら、ドンの奴はどう思うだろうか?」
矢野がニヤニヤしながら青木たちに訊ねる。
「そりゃあ、悔しがるでしょうよ。」
青木も負けじとニヤニヤしながら答えた。
「しかもドンが嫌がる同人誌を、コトリンが売ってるんだぜ?」
「考えただけでもう…。」
「ゲヘヘヘヘ」とまたもや下衆な笑い声を上げる四人。



「考えただけで、何だって?」
盛り上がっている四人に、聞き覚えのある冷たい声が響いた。
「…え?」
四人はそっと首を動かした。
「考えただけで、何だって?ほら、言ってみろよ?」
そこに立っていたのは…。

「ド、ドン入江!!」

入江直樹が壁に背をくっつけて、腕を組んでオタクたちを睨みつけていた。



「お、お、お前、来たのか!!」
青木がまだトーンの欠片を貼りつけたままの人差し指を震えながらつきつけた。
「本当にどこにでも現れる奴だな!ゴキブリか!」
「ていうか、どうしてまた登場の仕方がゴルゴなんだ!!」
黄原と白山が青木に続いて叫ぶ。

「…来たくもなかったけどね。」
もはや直樹は敬語を使うことすらしなかった。
ゆっくりとオタク部のブースに近づいてくる。
「ひ、ひいっ!!」
その迫力に、オタクたちは抱き合い震え上がる。

そして直樹はテーブルの上に片手をつき、体を斜めに出した。
「…前に俺が言ったこと、覚えてなかったみたいで。」
「な、な、何だよ!!」
矢野が言い返す。
「言ったよな?くだらないもんを作るなって。」
そして直樹は机の上に積まれていた同人誌を取り上げた。
「“唐草物語”…相変わらずネーミングセンスの欠片もねえな。」
眉を潜め、パラパラとめくる。

ビリリリリッ!!!

「ああっ!!!」
目の前で直樹に同人誌を引き裂かれ、オタクたちは悲痛な声を上げた。
「何するんだ!!」
「売り物を!!」
「…ふざけんなっ!!」
直樹の一喝で、またもやオタクたちが震え上がる。

「何だ、これは?」
「いいだろ!この間はR18だから駄目だって言われたから、今回は全年齢OKにしたんだ!!」
矢野が主張する。

「内容がくだらないんだよ。何だよ、コトリンがどうして三銃士たちの子供を産んでいるんだ?何でコトリンが“あなた、いってらっしゃい”って笑ってんだ?え?」

この同人誌の内容、ラケット戦士コトリンは戦いの後、三銃士のメンバーそれぞれとの間に子供を作って、四人で暮らしているというハチャメチャなものなのである。

「だって、それは…。」
白山が黄原を見る。
「誰がコトリンの相手になるかってことになって…。」
黄原は青木を見た。
「俺たちは三人で三銃士だから、三人で相手になろうってことになったんだよ。」
青木は精一杯の勇気を出して結論づけた。

「入江。」
後輩たちとのやりとりを見ていた矢野が口を開いた。
「矢野さん!」
後輩たちは頼もしい先輩を仰ぐ。
「ここはコトリンのイベントだ。お前がわめくってことは、ここにいる奴ら全員を敵に回すってこと、分かってるよな?」
矢野はギロリと直樹を睨んだ。しかし、その太い脚はテーブルの下でブルブルと震えている。

直樹はまた一冊を手に取った。そして、
「渡辺。」
と名前を呼んだ。
そこに現れたのは、スーツ姿に身を包んだメガネの似合う、頭の良さそうな若い男性だった。
「誰?」
見たこともない男の出現にオタクたちは顔を見合わせる。
「これ、どう思う?」
渡辺と呼ばれた男は直樹から同人誌を受け取り、パラパラと捲る。
「まあ、著作権にひっかかるといえばひっかかるかな。」
「だろ?」
直樹と渡辺の会話を聞いた四人は、後ろに下がり額をつきあわせた。
「誰だ、あれ?」
「スーツってところが…。」
「まさかとは思うんだけど…。」
白山が言った。
「…弁護士じゃないですかね?」
「弁護士!?」
そして四人は渡辺を見た。
渡辺は直樹と何か話をしている。

「…確かにそうかもしれない。」
「スーツですし。」
「ドンの友達?」
「あいつに友達なんているのか?ドンは友達を片っ端から抹殺してるんじゃないのか?」
ヒソヒソと話しあう四人。
しかし先程の著作権云々発言から見ても、渡辺という男が弁護士の可能性が大きい。

「おい。」
直樹が四人を呼んだ。
「は、はいぃぃっ!!」
先程までの威勢の良さはとうに消え、四人は恐る恐る元の場所へ戻る。

「このくだらないもん、全てここへ送れ。」
直樹が出したのは、前にも送ったことのある書類処分を専門とする会社の所在地が記載された宅配伝票だった。
「そ、そんなあ…。」
「弁護士まで連れてきて、やり過ぎじゃねえのか!」
「だったら、他のサークルの奴らにも言えよ。」

オタクたちの抗議に直樹の目がギロリと光った。

「むぐっ!!」
そして直樹の手がまた矢野の両頬を掴む。今日もその頬は脂にまみれ、指が滑りそうになった。

「お前たちの存在自体が違法なんだよ!!」
「むぐぐぐぐっ…。」
「い、入江…落ち着いて。」
渡辺が直樹を止めようとする。しかし直樹は手を緩めない。
「純粋にな、コトリンを愛する人間のやることなら目をつぶってやる。しかしお前らはそうじゃない。お前らの作っているもんは最低だ!」
「ぐぐぐぐっ…。」
矢野の顔が赤くなっていく。
「しかも何だ?琴子まで担ぎ出しやがって!何だよ、あの下品な服は!俺があの時却下した服だろうが!!あんなもん琴子に着せるな!あいつの体が穢れる!」
「うぐぐぐっ!」
「入江、落ち着け、な?」
渡辺が何とか直樹を落ち着かせようとする。
何故直樹がドンと呼ばれているのか渡辺にはその理由は分からないが、これではドンというよりも祭りの会場で勝手に店を出したことにイチャモンつけているその筋の人間のようである。

直樹は渡辺の説得に耳を貸したのか、矢野から手を離した。

「琴子をすぐに解放しろ、分かったか?」
「は、はいっ!!」
これ以上逆らったら、今度こそ命はないかもしれない。
矢野たちは従うしかないことを悟った。
「これも今すぐ、その段ボールへ入れて送れ!」
「はいっ!!」
青木たちが体に似合わないスピードで段ボールの中に同人誌『唐草物語』を入れた。



「…今回も俺らの負けか。」
直樹たちが去った後、何もなくなったテーブルの上に矢野は突っ伏した。

「コトリンも帰ったし…。」
琴子が着ていた衣装は矢野たちに預けておくと転売しかねないと、直樹が持ち去った。
琴子はこの場に姿を見せることなく、そして直樹が来ていたことも知らずに帰って行った。

「仕方ないですよ…弁護士まで連れて来られたんじゃ…。」
オタクたちは全員、渡辺が弁護士だと思い込んでいた。

「くそっ!!!今度こそ、今度こそドンの鼻を明かしてやる!!」
矢野は両方の拳でテーブルをバーンと叩いたのだった ――。









すみません。
三話で終わらなかったので、この話を中の下にします…。次回で終わらせますので!
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