日々草子 オタクたちの咆哮
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

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オタクたちの咆哮



「やあ、やあ、やあ!」
ここ斗南大学アニメ部の部室に手を上げて入ってきたのは、
「矢野さん!いつもの唐草じゃない!」
「珍しいですね、スーツで!」
…アニメ部OBの矢野である。

「まあね、今日は取引先からまっすぐここに寄ったからさ。」
そう話す矢野のスーツは一見、その辺の紳士服量販店にて大量に売られているような至って普通の紺色である。
しかし、それでは我らが矢野ではない。

「ジャーン。ここに俺のこだわりがあるんだな!」
矢野は身につけている上着を両方に広げた。
「おお!!」
「こんな所に唐草模様が!!」
スーツの裏地にはびっしりと唐草模様が。まるで一昔前のヤンキ―が学ランの裏に施していた刺繍を思わせる。

「それだけじゃないよ。」
チッチッチッと短くささくれだった太い人差し指を左右に揺らして、矢野はおもむろに懐に手を入れた。
「ほら、やるよ。」
「あ!名詞だ!」
後輩たちは渡された名刺に目を輝かせる。
「それはただの名刺じゃないんだぜ。裏見てみ、裏。」
「裏?」
裏を返すと…何とそこにも唐草模様プリントがびっしりと!

「それはさ、社名が入ってないだろ?プライベート用なんだ。」
「ああ、なるほど!」
「さすが矢野さん!名刺を二種類使い分けるなんて天才!」
「ガハハハハ!」
後輩のおだてに高笑いする矢野であるが、実のところは上司に唐草模様プリントの名刺をと申し出たら即却下されてしまっただけの話である。
上司の言うことはもっともである。どこの世界に唐草模様の名刺と自分の名刺を交換したいと思うサラリーマンがいるだろうか?
しかし矢野はあきらめきれなかったため、プライベート用にわざわざ作ったというわけだった。

「ところでさ、青木は?」
部室にいるのは黄原と白山だけである。矢野は壊れかけた椅子にドシンと腰を下ろす。
バァーン!!
椅子の背もたれがとうとう矢野の重みに耐えきれずに壊れてしまった。

「すみません、矢野さん!」
慌てて黄原と白山がガムテープを片手に補修を始める。
「お前ら、すっかりガムテープ使いが上手になったよな。」
「おかげさまで。」
…それよりも、椅子をガムテープで補修しなければならないほどの貧しい部活動を何とかしようという気はないのだろうか?

「青木は自販機に水を買いに行ってます。」
「水?自販機ならすぐそこにもあるじゃん。」
矢野は窓の下に見える自販機をクイッと顎で示す。
「あ、そこは150円じゃないですか。ここから300メートルくらい行った所に全部100円の自販機があるんですよ。」
「そうです。50円でも節約は大きいですしね。」
顔を見合わせて「なあ!」と気味の悪い笑顔を浮かべる後輩を見て、
「お前ら…何て涙ぐましい。」
と、矢野は鼻をすすった。
「今月の給料が入ったら、電気ポットを買ってやるから。」
「マジっすか!」
「ああ、もちろん…。」
と言いかけて、矢野の口が止まった。

―― まずい。今月は…デラックス女学園のライブDVDの発売が。

「いいっすよ、矢野さん。」
黄原たちはそんな矢野の気持ちをすぐに汲み取った。
「気持ちだけで。それにほら、またチョコレート作品をヤフオクに出すんでしょ?」
「あ、ああ!そうだな。それがあった!」
無駄に手先の器用な矢野の特技の一つ、精巧なチョコレート作品作り。これは確かに売れる。
後年、彼のこの特技のおかげでアニメ部部員はキャバクラなる場所にデビューを果たすことがあるが、この時の彼らはそれを知るはずもない。

「まかせとけ!バーンと稼いでやるから!!」
矢野は脂肪の溢れた腹ではなく、肥満のためにCカップ並みに膨れ上がっている胸を叩いた。

「じゃ、まずはお水を。」
白山はますます欠けている個所が増えている湯呑茶碗に水を注ぐ。
「すみません、飲む時はここんところを押さえて。」
「押さえる?」
見るとその湯呑茶碗にはヒビが入っており、そこを何とセロハンテープで補修してあった。
「そこ押さえれば、何とか持ちますんで。」
セロハンテープの間から水が少しずつこぼれ、相変わらずアニメ関連雑誌で散らかり、ハウスダストアレルギーの人間が来たら一発で発症することは間違いない埃の積もったテーブル上に、その水の跡がついている。
「お前らが一生懸命節約して手に入れてくれた水だもんな。大事にいただくよ。」
矢野は茶碗を持ち上げ、「ジュルルルルッ」という不気味な音を立てて水を飲み始めた。
「ジュルゥゥゥッ」という音で最後の一滴まで飲み干すと、セロハンテープが剥がれぬよう、慎重にテーブルの上に茶碗を置いた。



そして矢野はテーブルの上に無造作に置かれているアニメ雑誌に目をやる。表紙を飾っているのは大人気声優の水本ナナである。
「ったく、思い出しちまった。」
チッと矢野は舌打ちする。
「あの…ドン入江の奴…。」
「ああ、あいつっすね。」
「ドン入江。思い出してもハラワタが煮えくりかえります。」
矢野に同調する黄原たち。
「水本ナナに会わせるって言うから行ってみたら…。」
数か月前の出来事を憎々しげに思い出す矢野。



**********

数か月前のことである。
水本ナナはアニメ化されることになった大ヒットゲーム『ラケット戦士コトリン』の主人公、コトリンの吹き替えを担当することになり、ゲームの製作に携わった青木たちもその特権を生かして会わせてもらえることになった。

当日。
期待に胸を膨らませた矢野たちと直樹は落ち合った。
しかし直樹が彼らを連れて行ったのは、収録が行われるスタジオではなかった。そのスタジオから遠く遠く…そう、200メートルくらい離れた場所だっただろうか。
「おい!ここからじゃナナちゃんが気がついてくれないだろうが!!」
当然、矢野たちからはブーイングが起きる。
「話ができないだろ!」
喚き散らすオタク達を直樹は冷たく睨む。そして、
「ほら。」
と直樹が渡したもの。それは双眼鏡だった。
「ここからこれでのぞけば、スタジオ入りする彼女が見えるから。」
「み、見えるって!!」
しかも双眼鏡は四人で一台。その辺のスーパーで500円前後で売られているような安い物。
「話は!」
「…誰が彼女と話をさせるなんて言いました?俺は“会わせる”は言いました。しかし“直接”とも、“会話をさせる”とも一言も言ってない!」
直樹の迫力に四人はそれ以上何も言い返せなかったのである…。



**********

「あいつ、迫力ありますよね。」
悔しそうに思い出す白山。
「何か、こう…銃でも隠し持っているんじゃないかなって感じ。」
黄原も頷く。
「バカ言え!日本は一般人には銃の所持は許可されてない!」
矢野が社会人らしいことを口にする。
「でも矢野さん。あいつだったら銃を持つこと、警察も許しそうな感じが。」
「そうそう。あの口調で警察も言いくるめそう!」
「まるでマフィアだよ!」
「あいつ、正体はマフィアのドンなんじゃないの?」

そういうことから、入江直樹にこのオタク連中は「ドン入江」という呼び名を捧げたのである。
別に彼がワイドショーでファッションチェックをする人間と似ているからとか、そういう理由ではないことを理解していただきたい。



「大変だあ!!!!!」
思い出したくもないことを思い出して意気消沈していた三人の元へ駆けこんできたのは、ペットボトルを買いに行ったのに手ぶらの青木だった。
「大変、大変だあ!!」
「何がどうした?青木!」
びっしょりとかいた汗で、油がたっぷりの前髪が額に張り付いた状態の青木に、矢野が駆け寄る。
「あ、矢野さん!来てたんですか!」
「ああ、これを渡そうかと思って…。」
そう言いながら例の唐草模様の名刺を出そうとした矢野に、
「そんなことより!!」
と、さりげなく名刺をバカにしながら、青木は「ハアハアハア」と生臭い息を吐いた。

「どうしたんだよ、青木。」
黄原たちは青木の巨体を支えて、矢野が先程壊したばかりの椅子に座らせた。
今度はガムテープが何とか彼の巨体に耐えた。

「こ、コトリンが…。」
「コトリンが?」
「…した。」
「あ?何だ?聞こえないぞ?」
オタクたちは耳を青木の口へ近づける。
「…妊娠、した。」
「…はい?」
青木は顔を上げ、叫んだ。

「コトリンが妊娠したって!!!」

「何だってえ!!!!!」
アニメ部部室がミシミシと悲鳴を上げる。それくらいの大きな叫び声であった。



「何かの冗談だろ?」
黄原が青木に訊ねる。
「違うよ。すげえことになってるんだ。大学の正門付近!コトリンの妊娠おめでとうって横断幕があってさ!!矢野さん、気がつきませんでした?」
青木は矢野を仰いだ。
「さあ?俺は裏門から入ってきたからな。何か正門って気おくれするんだよ。」
卒業生ならば、堂々と正門をくぐる資格はあるだろうに。その辺に己の生き方を恥じる様子がうかがえる。

「とにかく!来てみろって!!」
青木は矢野たちを引っ張って部室を飛び出した。

『祝!ご懐妊!!直樹パパ&琴子ママ!!』
と大きく描かれた横断幕には、ご丁寧に二人の子供の予想イラスト(入江BABYと添え書き付き)が描かれていた。

「マジか…。」
「嘘だろ…。」
黄原と白山は目をこすった。しかしこすっても彼らの目からは目ヤニしか出ない。
「矢野さん…。」
青木はハッとなった。
「…。」
矢野の拳がブルブルと、腹もブルブルと、唇もブルブルと、矢野の体の出っ張っている物すべてがブルブルと震えていた。

「…許せない。」
祝福モードで盛り上がっている正門前からヨロヨロと移動したオタクたち。
「あのドン入江の奴…俺らのコトリンに何をしやがった!!!」
「や、やっぱ父親はドンですかね?」
青木がおずおずと矢野に訊ねる。
…それ以外に誰がいる?他の男だったら大問題ではなかろうか。
「…コトリンの体を…あの…あのドン野郎が…あの目で…。」
自分たちを何度も見据えたあの冷酷な目。まるでミサイルが発射されるのではなかろうかと思わんばかりの目でコトリンを見て、そして、そして…。

「ギャアアアアアアアアッ!!!!!」
矢野たちの口から断末魔の叫びとも思える声が出た。
その先は…その先は死んでも想像したくはない!!!!!



「覚えてろ、ドン入江の奴!!!このまま許すわけにはいかないんだあ!!」
そして矢野の叫びが、大学裏庭に響き渡った ――。



しかし、信じられないことに…天はこのオタクたちに味方した。
コトリン…琴子の妊娠は勘違いであったのである。



翌朝。
妊娠は間違いだったということを説明しながら、琴子と直樹は大学内を歩いていた。
間違いだと言って「そっか」と引き下がってくれた人間もいれば、しつこく色々と聞いてくる人間もいる。
そういう人間には容赦なく、直樹が睨みをきかせる。
それが功を奏したのか、二人が校舎に近づく頃には、誰も昨日の騒ぎなどなかったかのような態度になっていた。

「ありがとう、入江くん。」
医学部と文学部の校舎への分岐点で琴子は直樹にお礼を言う。
「入江くんのおかげで、あんまりからかわれなくて済んだ。」
「まあ、そんなもんだろ。」
今日琴子を一人で歩かせるのは、あまりにも可哀想だと直樹は思っていた。
夫婦なのだから、二人一緒に事情を説明して回ろうと直樹が言った時、落ち込んでいた琴子の顔に笑顔が広がったのは今朝のこと。

「教室は大丈夫だよ。理美とじんこがついていてくれるし。」
暗に後は一人でも頑張れると琴子は言っている。
「昼休みは俺が迎えに行くまで教室にいろよ。」
「え?」
「昼から出てくる奴もいるだろう。お前一人だったら泣きだしそうだし。」
昼休みも直樹は琴子を守るつもりなのである。
「入江くん…。」
周囲に誰もいないことをいいことに、琴子は直樹に抱きついた。
「よかった、入江くんが旦那様で。」
「…何、言ってんだか。」
直樹はクスッと笑い、
「お前、授業中寝るなよ。…いくら寝不足だからって。」
と囁く。
「寝不足って、それは…入江くんが…。」
「作っちゃおうか」と言って、そのまま朝方まで…と、琴子はじとっと直樹を見上げる。
「いや、どれくらい濃厚にすれば赤ん坊ができるのか分からなかったからさ。」
「お医者さんになるのに?」
まだ抗議の目を琴子は直樹に向けている。
「まだ医者のたまごだからな。」
顔を赤くして口を尖らせている琴子の頭をポンポンと叩くと、「じゃあな」と直樹は医学部へと向かった。



医学部校舎への道を歩いていると、
「ドン入江!!!」
という、今まで呼ばれたこともない名前を呼ばれ、直樹は足を止める。

「あんたたちかよ…。」
現れた集団を前に、直樹は額に手をやり「はあ…」と溜息をわざとらしくついた。

「お前…お前…コトリンに何をしたっ!!!」
今日はいつもの唐草模様セーターを着た矢野が、ささくれだった指を直樹に突きつける。
「何って?」
とぼけつつ、「やれやれ、こいつらにも説明するのか」と直樹は頭痛を感じる。

「とぼけんな!!コトリンを…俺たちのコトリンを…!!」
青木の放った「俺たちの」という言葉に、直樹の眉がピクリと動いた。

「コトリンを、俺がどうしたって?」
ずいと直樹は足をゆっくりとオタクたちへと向ける。その迫力はドンそのもの。
オタクたちはついと後退する。

「え?俺がコトリンをどうしたって?」
ゆっくりと、ゆっくりとオタクたちを壁へと追いつめて行く直樹。
その目はまるで標的を狙い定めたスナイパーのようである。

「こ、コトリンはなあ…。」
矢野が勇気を振り絞って口を開いた。
「コトリンは…永遠の処女なんだよぉっ!!!誰も触れちゃあいけないんだ!!」
「そうだぞ!子供なんてできるわけないんだ!!!」
青木も矢野に追従する。

「それなのに、それなのに俺たちのコトリンをお前は…。」
そこまで言いかけた矢野の口は、直樹の手によって閉じられる。
矢野の肉厚の両頬を直樹が片手でつかんだ。ガサガサに荒れている矢野の白さと赤みが混じった唇が突きだされる。

「何が俺たちのコトリンだ?何が永遠の処女だ?え?」
矢野の顔の脂を指に感じながら、直樹は口を開く。
「誰に向かって物を言ってんだ、お前らは?え?」
「ド、ドンだ…。」
「や、殺られる…!」
青木たちはブルブルと震えあがり、三人で固まっている。
「ムムム…。」
口を塞がれた矢野も顔が青ざめている。

「お前らさ、俺と琴子が結婚しているって分かってて言ってんだよな?分かってて“俺のコトリン”とかぬかしているんだよな?」
「ムムム…。」
「コトリンが処女だあ?んなわけねえだろうが。結婚していて処女とかありえないだろう?」
直樹はわざとそのようなことを口にしている。
オタクたちは勝手にコトリンを都合よく想像しているのである。その想像の中ですら、コトリン、琴子を動かされることは直樹にとって我慢ができない。
しかも今日は朝から妊娠について好き勝手なことを言われているのである。
溜りに溜まった怒りが、オタクたちに向けて爆発した。

「教えてやろうか?この俺が、懇切丁寧に。結婚した男女が何をするかって…。」
ニヤリと直樹は冷たい笑みを浮かべる。
「ヒィィィッ!!!」
それを目にした青木たちは、まるでメデューサと目が合い、石になってしまった人間のように固まってしまった。

「…ったく!!」
直樹はパッと手を離した。
その拍子に「ブシュッ」と、矢野の口からは変な音が発せられる。

「お、覚えてろお!!!」
矢野たちはそう捨て台詞を残し、どこかへと消え去った。

「汚ねえなあ…。」
直樹は手についてしまった矢野の顔の脂を傍の壁にこすりつける。



「入江くん!!」
そこにやって来たのは、先程別れたばかりの琴子だった。
「お前、何でここに?」
「入江くんが変な集団に連れ込まれたって聞いて!!」
どうやら矢野たちと話す直樹を誰かが見かけ、琴子に告げたらしい。
「大丈夫、怪我とかない?」
琴子は直樹の全身を隈なく見て、汚れたのではと服を手で払う。

「もしかして入江くんを連れ込んだ集団って…。」
直樹はギクッとする。オタク部の連中のことは琴子に知られたくはない。
「…あたしのファンクラブ、とか?」
真顔でとんでもないことを口にした琴子。
「ばあか。」
直樹は安心して、琴子の頭を小突く。
「何よ!あたしにだってファンクラブくらいあるかもしれないじゃない!それでほら、あたしをその…。」
「妊娠させた俺を恨んでの犯行かって?バカか、お前は。」
直樹の「妊娠させた俺」という言葉に琴子は顔を赤らめる。
しかし当らからずも遠からず。琴子の勘の良さに直樹は内心舌を巻いていた。

「心配したのに…。」
口を尖らせる琴子。その口を直樹は見つめる。
ほんのりとピンク色に染まっている可愛い口。昨夜何度、そこに自分の唇を重ねただろうか。この可愛い口から洩れる声に、昨夜はどれだけ満足したことか。
先程の矢野の口とは何という違い…矢野の荒れた唇を思い出し、その記憶を消そうと直樹は頭を振った。

そして可愛いピンク色の口に、キスを落とす。

「入江くん…。」
「可愛いから、つい。」
ニッと笑う直樹に、琴子は俯く。こういう所が可愛くてたまらない。

先程のオタク部との不愉快な出来事は、このキスですっかり直樹の中から消えてしまった。



「ほら、授業始まるぞ。」
直樹は琴子の背中をポンと叩いて促す。
「あん、入江くんの意地悪。」
もうちょっとキスの余韻を味わいたい琴子はそんな恨み事を口にする。
「何だよ?それとも…また作っちゃおうか?」
「へ?ここで!?」
琴子は顔を真っ赤にしてブンブンと頭を振った。
「ここ学校」「夜まで待って」とか自分でも何を言っているか分からない。
そんな必死な琴子に直樹は笑みを零した。



「それじゃ、昼に迎えに行くから。」
「はあい、待ってるね。」
琴子と別れ、今度こそ直樹は医学部の校舎の中へと入って行ったのだった。










オタク部のみなさん、お元気でしょうか?
久しぶりの部活動です!
GWも終盤、オタク部祭りも開催したいなと思って。
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コメント

待ってました、オタク部!隠れ部員としては嬉しい限りです♪
ようやくコメントを残す時間が取れた矢先にこの作品のアップで、嬉しくなってしまいました!ありがとうございます、水玉さん!
しかも…画面右上にどどーんと存在するゴルゴがまた、この作品を読んでる最中に笑いを誘うのです…(笑)
顔は全然違うのに入江くんに被るからでしょうか。ドン入江…見事なネーミングです(^m^)プッ

ところで、夜まで待てば入江くんは琴子にOKもらえるのですね(笑)なんだか張り切りそうな…?

ラブラブなイリコトで幸せになりました!ありがとうございました(^^)

miyacoさん、ありがとうございます。

ありがとうございます!!

そんな隠れずとも、堂々と部員表明して下されば…(笑)
ゴルゴは、連休中にまたハマりまして、コミックスの情報なんどあさっていたら発見してしまいました。
オタク部の連中にとっては、きっと入江くんはスナイパー以外の何者でもないのでしょう。

そして夜まで待てば…そうですね。
きっと入江くんは「夜まで待ってとお前が言った」とかなんとか言って、またもや子作りにせっせと励みそうです。
この話は最後にラブラブを出さねば、一体だれがこんなものを楽しむんだって感じになってしまいますので、そこで〆ております。

拍手コメントありがとうございます。

chan-BBさん
いやいや、ふと思いついてバババと書いてみたんですよ~。
こんなもん書いて、そんな大事に保管するなんてありえないでしょう!!
替え歌がなかなか進まず…。
それに副部長があんなにオタク賛歌を書いて下さったんですから、それを触れねば部長としての立場が…と思って!!
しかも入江くんのセコさにまで触れて下さりありがとうございます。
本当にオタク部相手だと容赦がないというか、心がとことん狭いというか…。
私も入江くんにこのフレーズを連発させる日が来るとは思ってもいませんでした。
入江くんが口にすると妙になまめかしく感じますね(笑)
うちの入江くん、たまに素直になっちゃうんですよね!

ぴくもんさん
確かに!!名刺を誰に渡すために作ったんだろうか…。
でもヤフオクでコトリンチョコを買う人たちの間では、神業をもつ矢野の存在はきっと神々しいものだろうから、喜んで名刺を受取りそうです。
入江くん、この日はきっとせっせと手を洗ったでしょうね。大事な大事な琴子ちゃんに触る前に…うふふ。
医者をめざすだけに、超強力な消毒薬とか常備してそうだしね。
入江くん、ものすごくオタク達の相手に疲労困憊して、だからつい学校で作っちゃおうかとまた言ってしまったんでしょう。ここで琴子ちゃんがうんと言ったら、すぐさま校門を出てたでしょうね。
ブログパーツ、気に入っていただけ何よりです。ぴくもんさんのところの時計とは雲泥の差なのがお恥ずかしいです(笑)

Foxさん
今年は聖地も結構な人だったでしょうね~。
中には彼らも当然いたことでしょう!!
ドンがつくと、どうしてもあの人が浮かびますよね!!私もですよ。
本当にあの人の肩書が「ファッションデザイナー」というところにたまげてたまげて。どんな服をデザインしているのかが知りたい…。
ドン入江と彼らの戦いは永遠に続くのです、はい。

まあちさん
「ご自分がその格好で他人のファッションチェックをするんですか?」
…大爆笑!!!!!!
本当にまさしくそうですよ、あの人!!ピー○の方にはチェックされても、彼にはしてほしくなーい!!
それにしても、この言い回し、もうちょっと早く知っていたら…文章に取り入れたのに!!もちろんまあちさんの許可を得てですけれどね。
それにしても、いくら入江くんの素敵発言が聞けたからといって、彼らを素敵だと表現するのは部員の中でもまあちさんくらいですよ(笑)さすが名誉部員!!
ところで笑点なのですが、私は円楽さんの腹黒さもさることながら、大月対秩父の対決もかなり好きなんです。あ、ご存じなかったらぜひお嬢さんに(笑)
以前日テレへ遊びに行った時、ショップに笑点グッズが売られてましたよ~。

紀子ママさん
もう紀子ママさんが「連休後半にはオタク部祭りも…」なんておっしゃるから、「しょうがないなあ!部員がそこまで期待してくれているのなら!」と部長、張り切ってしまいました!
紀子ママさん、モバイル派なんですね。私とえらい違い(笑)。いまだに携帯で音楽を聴くことすらできない…。
ブログパーツはこの日に貼りつけたものです。ちなみにゴルゴの壁紙まで見つけたので自分のパソコンに設定するつもりです。
いや私の連休、叔父の墓参に行ったら私がかつて送りつけたゴルゴを読みふけってしまって。すっかりゴルゴ熱が再燃しております。

佑さん
お仕事帰りに!!
お疲れの体をいやすお手伝いができたでしょうか?
でも佑さんが笑って下さるのが一番うれしいです。
入江くんは琴子ちゃんが絡んだら、あの天才的頭脳をフル回転させて何でもしそうですよね!

これぞ、オタク~ズ

        こんにちは
   懐かしの唐草模様登場ですねぇ。
 唐草と皮膚脂は青木とは、切っても切れない縁で結ばれているんですねぇ。  部費節約ねぇ・・・涙ぐましく・・・お手手からチョビチョビ滴り落ちてそうですねぇ。

 今回の騒動は琴子が悪い訳でないんで・・・直樹も一緒に誤解解き登校ですねぇ。 直樹は一睨みで有無も言わせないのはサスガですがぁ・・・   オタク~ズさん達はしっかりと直樹の餌食になっちゃいましたねぇ。 タイミングがすこぶるほどにナイスな登場・・・
 【ほっといてくれ~】の思いもある中に 直樹の中で一番ウザイオタクズ登場で、俺達の・・・なんて言われたら・・・そりゃぁ怒りますって・・・勝てない勝負に立ち向かうオタク~ズも懲りてないのか、サスガと言うべきか迷いますが・・・
 直樹は 助けにやって来た琴子とKissもできて・・・ 総てリセットできたようで・・・今はは今夜が楽しみのようですねぇ。

吉キチさん、ありがとうございます。

そうそう!!
もういやってほどそのネタを突っ込まれたのに、最後の最後で一番つっこまれたくない鬱陶しい奴らの登場で…。
これは入江くんの怒りが爆発するのも無理はないです。

それにしても懲りないものだ。
だからいつまでも貧乏なんでしょうね、オタク部(笑)
毎回、どんな貧乏ネタを書こうかと実は悩んだりしています。

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