日々草子 月読みの光に来ませ 8
FC2ブログ

プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

現在の御訪問者

現在の閲覧者数:

御訪問ありがとうございます

このブログについてのお願い

当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

最新記事





今夜は半月だった。中途半端な感じがして直樹は好きじゃない。
もう何日参内していないだろうか。適当な理由をつけてずっと邸に籠っている。
琴子は今、何を考えて過ごしているだろうか。
脇息にもたれて直樹は溜息を一つつく。

「お兄様!」
とうとう琴子の声まで聞こえてきた。重症だと直樹は笑う。
「お兄様!」
幻聴が聴こえる前に、さっさと素直になって琴子の顔を見に行けばよかった。

「お兄様!」
衣擦れの音が聞こえる。幻聴ではない。直樹は脇息から体を起こして渡殿を見た。琴子が走ってくる。
「お前…。」
声をかけようとした直樹に琴子は突進してきた。抱きついてくるかと思い両腕を広げようとした直樹だったが、琴子の体ではなく額が迫ってきた。
ゴツン!!
「痛え…!!」
あまりの痛みに直樹は額を押さえる。ただその痛みはこれが夢じゃないことを教えてくれた。
「お熱はありませんね!」
琴子は痛みを感じていないのか、平然と直樹を見ていた。
「お前、熱を測るにしても、もっと穏やかな方法があるだろうが!!」
頭突きしなくともと直樹は琴子を叱りつけた。
「よかった、いつものお兄様だ。」
叱られても琴子の顔は笑っている。胸に手を当てて「ほう」と安堵した。

「参内されてないと聞いて、いてもたってもいられなくて。」
「それで宿下がりしてきたのか。」
「はい!」
直樹の額に濡らした手拭いを琴子は当てた。
「まだ痛みます?」
「ああ。」
そして直樹は琴子の額を弾いた。
「痛い!」
今度は琴子が額を押さえる。
「これよりずっと痛かった。お前の頭の中は空っぽなくせにどうして石頭なんだ。」
「…それだけお喋りができれば大丈夫ですね。」
「エヘへ」と琴子は嬉しそうに笑った。

それにしても、よく帝が宿下がりを許したものだと直樹は思う。
「お兄様が心配だと泣いたらあっさりと。」
「主上をだましてきたのか。」
「人聞きが悪い。本当に泣きました。だって病気なんじゃないかと思って心配だったんだもの。」
嘘ではなかった。直樹が邸に籠っていると聞いた後の琴子は顔面蒼白。文も来ないということは、もう枕も上がらない重病人なのでは。
使いをやって確認することも考えたが、戻ってくることを待っている時間すら惜しい。
琴子はすぐに鴨狩帝の元へ向かい、宿下がりを願い出たのである。
本当のところは片時も離したくない帝だったが、琴子の方が倒れそうになっている様子を見て許すしかなかった。



「こうして二人きりで過ごすのは久しぶりですね。」
直樹と肩を並べ、月を見上げる琴子。
「そうだな。」
思いがけずこういう時間を持つことができた。けがの功名とはこのことをいうのだろうと思う。
「…絵、描けたか?」
琴子が描いた絵を自分より先に帝に渡してしまったことを知りつつ、直樹はわざとそんなことを訊ねた。
「今、一生懸命描いているところです。」
「ふうん。」
ここで「実は…」と打ち明けてくれたらと直樹は期待したのだが、琴子からそれは聞けなかった。何かやましく思っているのだろうか。

「ちょっ…!」
琴子は声を上げる。直樹の手がいつの間にか琴子の肩から袿を脱がせていた。
「…俺たち、新婚なんだぞ?」
直樹は琴子をいじわるく見て、手を動かし続ける。
今夜は誰も邪魔をする人間はいない。二人きりの久し振りの夜である。
「…こんな端近では、ちょっと。」
琴子とて直樹と同じ気持ちである。だがここはあまりにも外に近い。
琴子は室内の几帳を見た。その向こうには御帳台がある…。
「そこまで連れて行けってか?」
「自分で歩いて行けます。」
プイと横を向いて琴子は膨れる。
「仕方ないな。」
直樹は琴子を軽々と抱き上げた。下に脱がせた袿が落ちる。女房達にはしばらくの間、近寄らないようにと言いつけておいた。

「お兄様。」
腕の中で琴子が直樹を見る。
「何?」
「大好き。」
「…耳にタコ。」
琴子の耳元でささやいた後、直樹はその耳たぶを軽く噛んだ ――。



翌日、太陽がすっかり高くなっても二人は御帳台から出てこようとはしない。
女房達も気を利かせて入ってこない。
「お兄様…。」
全然起き上がることができない琴子は恨めしそうに直樹を見た。
「…起きる?」
起きることができないことを知っているのに、直樹はわざと聞く。
「ゆうべは…全然眠れなかった…。」
「眠らせなかったの間違いだ。」
「…やっぱり何かあったのですか?」
琴子はまた心配する。
「どうしてそう思う?」
「どうしてって…。」
琴子はみなまで答えず、顔を赤くして夜着の中に潜ってしまった。
あんなに猛々しい直樹は初めてだったからである。まるで獣のような…少し怖いと思いつつ琴子はすっかり翻弄された。

「お前の方はどうだ?」
直樹は自分の気持ちをごまかし、琴子に逆に訊ねた。
「どうって?」
「後宮の生活、何か困ったことはないか。」
直樹が心配そうに自分を見ている。
琴子は歩く道にまかれた汚物や、義父を馬鹿にされたこと、承香殿の女御と相模の君の顔を次々と思いだす。
「…大丈夫です。楽しく過ごしているから。」
直樹を心配させることは琴子の本意ではない。
「…そうか。」
「楽しんでいる」という返事に直樹は安堵よりも不安を覚えた。
もしかしたら、楽しさのあまりにずっとそこで暮らしたいと思っているのではないだろうか。だがそれを訊ねる勇気は今の直樹にはなかった。
「普段のお前らしくいてくれよ。いつものお前でいればいいんだから。」
ずっと自分だけのものでいてほしいという願いを込めて、直樹は琴子に話す。
「はい。いつもの私のままで。」
琴子はにっこりと笑った。

「琴子…。」
直樹が呼びかけると、琴子は目だけを出した。そこを無理やり顔の全部を出させて直樹は唇を重ねる。
そしてまた…二人の夜着が動き出した ――。



思う存分琴子と過ごせて、すっかり元気を取り戻した直樹は、再び宮中に顔を見せるようになった。
琴子も後宮に戻った。
相変わらずの嫌がらせは続いていたが、直樹に愛情をたっぷりと受けた琴子はそれを難なく耐える。もっとも「慣れた」といったほうがいいのかもしれない。
「いつもの琴子のままでいればいい」という直樹の言葉に自信を持てたのかもしれない。琴子はすっかり堂々とふるまえるようになった。何も悪いことはしていないのだから、堂々としていればいつか皆が認めてくれるはずだと思う。

「まったく、懲りない方だこと…。」
明るさを取り戻して女房達と談笑する琴子を遠くから睨みつけていたのは、承香殿の女御付きの女房、相模の君だった。
「早くここから追い出してやりたい…。」
琴子を見るその目には燃え尽きることのない怒りの炎で満ち溢れていた…。



そんな琴子の耳に、また新しい知らせが入ってきた。

「蹴鞠の会?」
「はい。内輪ですが、清涼殿の前で。主上もご参加されるとか。」
「まあ、主上が!」
鴨狩帝は蹴鞠の名手である。きっと自分の好きなことを思いきり楽しみたくなったのだろう。
それはいい気分転換になると琴子は思った。
「直樹様も参加されるとか。」
「まあ、お兄様も!」
琴子は興奮した。直樹の蹴鞠は見たことがない。
「それは私たちも見られるのかしら?」
「はい。後宮の女性方もご覧になられるとか。」
「うれしいこと!」
鴨狩帝もいきなことを考えてくれたと思う。夫の晴れ姿を見ることができるとは。
想像しただけで琴子の胸はときめく。直衣をひるがえし鞠を蹴る直樹の姿…どんなに立派だろうか。そんな素敵な公達が自分の夫なのだときっと誇らしくてたまらなくなる。
早く見たい、直樹の蹴鞠が見たい。
琴子は指折り数えてその日を待ちのぞんでいた。



しかし、直樹はそうは受け取っていなかった。
突然帝より蹴鞠の会を行う、出るようにと命じられて驚いたのは言うまでもない。しかも後宮の女性たちにもそれを見物させるのだというところに不安を覚える。その場には間違いなく、琴子がいる。
直樹には琴子に蹴鞠の会を見せるために、帝が後宮の女性を集めるとしか思えなかった。自分の考えすぎだと思いたいが…そう思えてしかたがない。
直樹は思い出していた。この会のことを鴨狩帝から直接言われたときのこと。
―― 忍ぶれど…。
帝が口にしたその歌の最初の部分…。何か帝は知ったのだろうか。
―― まさかな…。
直樹は懐から琴子と分け合った貝を取り出した。これは琴子と自分だけの秘密である。他に知る者は誰もいないはず。

この蹴鞠の会が、鴨狩帝の直樹への嫉妬から考え出されたものだとこの時は直樹も琴子も知らなかった ――。









まだまだ琴子ちゃん苦難が続く予定なので、ちょっとブレイクタイムを入れてみました。
ここでちょっとラブラブにしたら、後の困難も耐えられるよね、琴子ちゃん!って励ましの意味を込めて。
蛇足気味に描いてしまったのは、そういう意味ということでご理解いただけたらと思います。

それにしても、啓太が帝と言うのは無理があった~!!!
でも入江くんのライバルって、やっぱり啓太じゃないと燃えないんですよね。うう…。

全体的に退屈してしまう話になりつつあることも申し訳ないです。
本当にこのような話を読んで下さるだけで、感謝感謝です。ありがとうございます!!

もっと琴子ちゃんを生き生きと書けるように頑張るぞ、オー!!!(^o^)丿
関連記事

コメント

不足

こんばんは
 直樹と琴子共に、相手の酸素、愛情、スキンシップ不足だったんですねぇ。
お互いにまだ・・・今の生活の実情、思いを言ってないのが心配なんですが
 帝の陰謀が気になってます。

 水玉さんへ・・・OKかけじく・・・オタク部は♪恋しいくて、会いたくて(たぶん)なんて歌思い出しましたが パンプキン・・・お会いしたら蹴りいれそうですよぉ(とびっきりのニンマリ引きつり顔かも・・・エヘ)

困難?やだ~

水玉さん~あ~っと言う間に8話!ビックリハッ!(`ロ´;)
しかもこの先には二人の困難が待ち伏せているなんて・・・
ゴールデンウイークを灰色に包むオツモリ!?←桔梗風
あ~んどうして二人の行く手にはイジワルが付き物なのでしょうか?
イジワルなKissだものしかたなんべ~・・・はぁ~耐えます!
胸キュンキュン!なんだろうな~明るい明日のため!
狩鴨!後でお仕置き覚悟してろよ~
琴子を虐めた皆様方お覚悟を~
直樹君の報復を、楽しみに堪えまする~

吉キチさん、ありがとうございます。

ありがとうございます!!
本当に二人とも自分が何を思っているかを口にしないから…。
陰謀と呼べるような内容を書けなかったことが非常に心苦しいのですが…。
入江くんの口からは絶対に鴨狩帝が琴子ちゃんに横恋慕していることなんて言えないでしょうしね。
それを知った琴子ちゃんがどう出るか…。

そしてあちらにもお気づかいありがとうございます!!
コメントなど気にしないで下さい!!
読んで下さるだけで嬉しいですから♪

美優さん、ありがとうございます。

お久しぶりです!
遊びに来て下さりありがとうございます。

今回は数々の意地悪に耐える二人を書いてみたくて。
美優さんを苦しめているなんて~。
それにしても自分でも新緑の季節になんていう話を書いているんだろうと思っております^^;

可哀想な琴子ちゃんにしばらく御辛抱いただいて…
必ず明るい日々はやってくると思いますので!!

拍手コメントありがとうございます!

拍手コメントありがとうございます。
本当にこの話を読んで下さり…コメントまでありがとうございます!

紀子ママさん
本当にこのブログ始まって以来の史上最大の「誰これ!?」ですよ…とほほ。
こんなことを書いてしまっても、こうやってコメント下さる皆様に本当に感謝しております。ええ、本当に!!
昔の権力者は何をしても許される…確かにそれはあったでしょうね。
「あの人きれいだから」と一言いえば、すぐに手に入ってしまうような世の中だったでしょうし。でも結構女性も対抗はしていたみたいですよ^^

hirominさん
こちらこそ、本当にありがとうございます^^
恋敵は「憎い!!」と思われないと。だからhirominさんが蹴りを入れたいと思ってくださって嬉しいです(笑)
私も「じれったーい、じれったい」と思わず歌いだしてしまいました(笑)
琴子と直樹、本当にお互いがこんなに想いあっているのになかなか自分の気持ちを素直に口に出せないところが、書いていてもじれったいです。
ぜひまた続きを読んでいただければ嬉しいです。

あけみさん
私も久々にラブラブな二人を書けてちょっとやる気が出ました!!
この先ちょっと二人(特に琴子ちゃんにとって)辛い日々が続くので、それに耐えるためにやたらと甘い話に仕上げてみました!
蹴鞠の会は…書いてみたらすごくショボいものになってしまって、申し訳ないです!!

まあちさん
もうびっくりしましたよ!!熱が出たなんて!
今はもうだいぶ落ち着かれましたか?今年は4月もかなり寒い日があったので、体調崩している人が多いみたいです。色々環境も落ち着きませんでしたしね。
どうか無理されないように…本当にそんなときに読んでいただいていいのあろうかというような話です^^;

chan-BBさん
とりあえず、書き出したからには頑張って書くぞ~と思って書いています。
でもなんでこんなに難しいんだろうか…私には「君がため」的な話で精いっぱいなのだろうと今頃気が付きましたよ、とほほ。
自分で何かが足りない、何かこう「バーン!!」としたものが必要だと思うのですが、それが何なのかがいまいちわからないんですよね…。
どうも今回の話は盛り上がりに欠けているし、琴子ちゃんはおとなしすぎるし…う~ん。
読んでいてハラハラドキドキしていただけるようなものを常日頃から書きたいと思っている身としては、コメントを下さることが有難くて有難くて。
そして、拍手の数…そんなに!!ありがとうございます!
こんな話ばかりでそんなに頂戴していいのだろうか…うう。
そりゃあ日頃お世話になっている副部長様の頼みですからお聞きしたいのはやまやまなれど…こんな状態なんで、ねえ?(涙)

Foxさん
連続コメント、ありがとうございます!
Foxさん、そんな頭をお持ちで(笑)それにしても…瓦が当たってもタンコブで済んだってすごい…!!
頭って結構しっかりできているんでしょうかね?でも本当、Foxさんが今こうしてお元気で何よりです!
琴子姫はもうちょっと弾けた感じで書きたいと思うのですが、書けば書くほどおとなしくなってしまって!!
これからちょっと琴子姫が辛くなる予定なので、Foxさんにはぜひ甘いものを傍に用意して読んでいただけたらと思います!

るんるんさん
久々に二人きりの時間をとれて、お互いリフレッシュしたかと思いきや…
とんでもないことが待ち受けていて。
いつになったら、心から楽しめる時間を持つことができるのでしょうか?
琴子ちゃんはやっぱりいつでも入江くん一筋なんですよね♪

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://suisen61.blog77.fc2.com/tb.php/1080-3e74e9b3

 BLOG TOP