日々草子 おだんごとモミアゲ 3
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

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桔梗幹は、信じられない光景を目にしていた。

「琴子ちゃん、次お願い!」
「はい。」
「その次は俺ね。」
「はい、順番にいきますからね。」

患者たちが次々と琴子に声をかける。その琴子の手に握られているものは剃刀である。
その剃刀が患者の顔の上で華麗に舞っている。まるでタクトを操る指揮者のように琴子は軽やかに顔に剃刀を滑らせている。

「いやあ、まさか琴子ちゃんがこんなにひげそりが上手だとは!」
「ツルツルだよ。床屋顔負けだな。」
髭を剃ってもらった患者たちは、自分たちの顎に手を当てながら鏡を覗きこんでいる。

「嘘みたい…あの琴子が…。」
呆然としている幹。病院一不器用な琴子がこんなに上手に剃れるとは…。
「アタシの髭も…って、アタシは髭なんか生えないんだったわ!」
驚きのあまり、自分で自分に突っ込む幹。

「ああ…刃物を握ると血が湧き踊る…。」
剃刀を滑らせながら琴子―― 大蛇森はうっとりと自分に酔いしれていた。
大蛇森は外科医である。メスを握ることは何よりの生き甲斐である。しかし看護師の琴子になってしまった今、彼はメスを握ることはできない。それならばと、看護師が握ることができる刃物、剃刀を手にしているのである。

「琴子ちゃん、次は俺だよ!」
「はいはい。」
大蛇森は剃刀をクルクルと指先で回し、ポーズを取る。
それを見た患者たちから拍手が湧きあがった。

華麗な入江琴子のひげそりショーは、その後も大盛況であった ――。



医局にいる大蛇森 ――琴子は落ち着いてくると暇を持て余し始めた。
「退屈だわ…。」
そして大蛇森の机に近寄る。
「脳、脳、脳の本ばっか。ん?何だこれ?」
きちんと整頓されている机は、大蛇森の性格を見事に表していた。本もタイトル順に並べてある。
その中の一冊を琴子は手に取った。

「“切ないモミアゲ”…?」
どれだけモミアゲを愛しているんだろうとうんざりしながら、琴子はその本のページをめくった。

『“切ないモミアゲ”
モミアゲを人は邪魔だという。
モミアゲを人はおかしいという。
確かにモミアゲは目立たない方がいいだろう。
人も同じかもしれない。
ああ、モミアゲ。
尊いモミアゲ…。』

少し読んだ後、琴子は本をパタンと閉じた。
「何だ、こりゃ。詩?それにしてもよくこんな詩集を探してきたもんだわ。どこの場末の本屋に売ってるんだか!」
時間を無駄にしたと後悔して、琴子は本を元の位置へ戻した。

「大蛇森先生。」
「うわっ!!」
本を戻したと同時に声をかけられ、琴子は驚く。
「あ…西垣先生。」
「具合、いかがですか?」
回診を終え、西垣は医局に戻って来たのだった。
「あ、その…ええと…まだちょっと動悸が…。」
琴子は胸に手を当て、苦しそうな顔を作った。ここで仮病がばれたら診察に行かねばならない。
「動悸?それじゃあ、少し胸の音を聞いてみましょうか?」
「へ?」
西垣はポケットから聴診器を出す。
「大したことはないと思いますが、念のために。さ、そこに座って下さい。」
「いえ、それほどでは!」
琴子は必死にそれを拒否しようとする。
「だめですよ。大蛇森先生だって医者でしょう?医者が自分の体を大事にしないでどうするんです?」
西垣は強引に琴子を椅子へと座らせた。

―― 参った…まさか、西垣先生がこんなに医者らしいとは…。
西垣に大変失礼なことを思う琴子。

「それじゃ、胸を出して。」
「いや!!」
琴子は白衣の前をきつく合わせる。
「い、いやって…。」
あまりの抵抗ぶりに、西垣は戸惑う。
「だ、だって…こんな白くガリガリの醜い裸体を先生に見せるわけには…自分で見るのも嫌だっていうのに!!」
それは琴子の率直な思いだった。できれば、いや絶対に大蛇森の裸体などは見たくはない。もうこりごりだ。一度慰安旅行で見ただけで、しばらくうなされたくらいなのだから。

「白くガリガリって…大蛇森先生、そこまで自分の体を卑下せずとも。」
西垣は呆れていたが、そこまで嫌がるのならと聴診器をしまってくれた。



「琴子!」
ひげそりショーを終えた琴子―― 大蛇森の顔がパァッと輝いた。
「この声は…鴨狩くん!!」
振り返ると、啓太が歩いて来るところだった。

「何だ、お前、すごい人気だったらしいじゃん。」
「い、いやあ、それほどでも。」
女性のナースたちに見せる顔とは180度違う、愛想の良い顔を浮かべる大蛇森。それもそのはず。啓太は直樹の次に大蛇森がチェックを入れている好男子。

「鴨狩くんはこれから患者さんを迎えに?」
啓太はリハビリ担当の看護師である。
「何だよ、気味悪い。」
啓太は笑って大蛇森の頭を小突く。その仕草で大蛇森の体は天まで飛んで行くかのような気分になる。
「お前、そんな呼び方したことないじゃん。」
「そんな呼び方?」
「お前に“鴨狩くん”なんて呼ばれた日には、鳥肌立つぜ。」
啓太はふざけて腕を見せる。
「そ、それじゃあ…け、啓太…くん?」
まさか啓太を名前で呼べる日が来ようとは。大蛇森はドキドキしながらゆっくりとその名前を呼んだ。
「だから君付けって何だよ。虫唾が走るんだってば。」
「え、そ、それじゃあ…。」
もはや大蛇森の心臓は爆発寸前。ゆっくりと口を開いた。

「それじゃあ…啓太?」

感激のあまりに頬を紅潮させ、潤んだ目で自分を見上げる琴子に、啓太の顔も思わず赤くなる。

「な、何だか…改まって呼ばれると…照れるな。」
今まで何十回もそう呼ばれていたのに、啓太もなぜかドキドキしていた。
大蛇森は嬉しさのあまりに素の自分を出しそうになるのを堪えるため、俯く。それがまた啓太の胸をしめつける。



「何が“啓太”よ。琴子ったら今日は本当におかしいわね。アタシたちの前と啓太の前じゃ大違い。」
物陰から二人を見ていた幹は呆れ果てていた。
「どんな風に?」
「アタシたちには“まじめにやれ”って怒鳴って。啓太の前ではあんな、借りて来た猫みたいに大人しくて。」
幹はブツブツと文句を言う。
「啓太も啓太よね。琴子に一度振られたこと、忘れたのかってくらいのあの様子。何だか知らない人が見たら付き合い始めたばっかりのカップルだわね。」
「…そうだな。」
「でしょう?そう思うわよね!まあ、結構お似合いに見えるっちゃあ、見える…。」
幹はそこまで言いかけて、独り言を話していたはずなのに誰かが自分の相手をしていることに気がついた。それも…この声は…。

幹は後ろを振り返ってはいけないと思った。後ろを振り返って、誰がいるのかを確認してはいけない。しかし、なぜか心とは裏腹に自分の首は動いてしまった…。

「ひぃぃぃっ!!!!!」
思わず声を上げそうになるのを、ぐっと幹は堪えた。

「…本当に初々しいカップルに見えるよな。」

そこに立っていたのは入江直樹だった ――。










☆あとがき
入れ替わりの話を書くのは初めてなので、大丈夫でしょうか?
どっちがどっちか、ちゃんと分かるように書けているかな?

それにしてもおしのぎのつもりで書き始めたのですが、結構楽しい…。
(ハッ!!これこそ一人よがりになってる!?)

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コメント

この話を読んでわかった事
その①  ガッキーがちゃんと医者をしていた!!
うんうん!!ガッキーって優秀なんだよね。
時々忘れちゃうけど。

おっ!入江君登場!!
水玉さん♪入江君どんな気持ちで
啓太と琴子ちゃんの事見ていたのでしょうね??
とても気になります。
これから大蛇森琴子(なんだか妙な名前。次回のコメまでに考えよう・・)とどう接触していくのでしょうか??
あーー勝手に私まで妄想しちゃうわ。。

ゆみのすけさん、ありがとうございます。

うん、うん(笑)
私も時々忘れてる。
ガッキーは入江くんのいじられキャラだと決めつけていたからね!

そしてやっと入江くんの登場~♪
3話にしてやっと登場~(笑)
ゆみのすけさんに「出てこない」と危惧された入江くん、出てもあまり印象なさそうな(笑)
すっかり大蛇森先生に心酔してるから、私!

で、大蛇森琴子、私はすっごく気に入ってますよ!!
すごくお金持ちっぽい名前よね(笑)

拍手コメントありがとうございました!

拍手コメントありがとうございます!

ぴくもんさん
そうなんですよ~!!
最初タイトルを「切ないモミアゲ」にしようかと思ったんです。でも、内容が切なさからは遠く遠く離れてしまっていて!!
でも、どうしてもあのフレーズを使いたいと思って、それで詩集のタイトルにしました!
ちなみに裏設定ではこの詩集は大蛇森先生の自費出版ということで(笑)
使わせて頂いて、本当にありがとうございます!
そしてやっと入江くんの登場。でも影薄い(笑)
すっかり大蛇森先生にその座を奪われているのです…。
大蛇森先生の話って、書くと元気が出るんですよね!
こんなんでいいのでしょうか、私…。

Foxさん
大蛇森先生、絶対手先は器用ですからね。
そりゃあひげそりも完璧でしょう!!
メスを手にすると人が変わるのかもしれません♪
入江くんも理系だから、人間が入れ替わっているなんて絶対思いもしないでしょうしね。
いつもは琴子ちゃんが引っかき回す役割ですが、今回は入江くんがその役目かもしれませんね^^

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