日々草子 月読みの光に来ませ 3
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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「いいか、扇で顔を隠すことは分かっているな?」
「はい。」
琴子が尚侍として宮中に出仕することが決まり、直樹はその作法等を教えていた。本来なら女房達の役目ではあるのだが、養女として引き取られた直後の琴子のことを思えば、自らする必要があると思ってのことだった。

「ばあ。」
琴子は扇で顔を隠したと思ったら、その合間から顔をのぞかせる。
「お前はちっとも変ってないんだな。」
直樹は頭を抱えた。
「だってこのままでいいって仰ったのはお兄様じゃありませんか。」
「それは家での場合。宮中はそうはいかない。」
最低限のことは教えなければ、琴子が恥をかく羽目になってしまう。

「でも帝にお会いした時、あまりそういうことを気にされない方のように思いましたよ?」
扇をおもちゃにしながら、琴子は口を尖らせる。

琴子と鴨狩帝は一度顔を合わせたことがあった。
姫君らしからぬ琴子にその時帝は惹かれたのである。そして今も…。

「大体お前、わかっているのか?どうして尚侍にお前を帝がのぞまれたか。」
やはりその点だけは、はっきりと琴子に教えておいた方がいいのかもしれない。直樹はそう思い、琴子に問いただす。
「はい、勿論。」
「へえ?」
返ってきたその答えが直樹は意外だった。

「おそらく、帝はどこかで私の噂を耳にされたのです。」
なぜか琴子は胸を張る。
「お前の噂?」
「はい。中納言直樹様の奥方は大層優秀で美しい。夫婦そろってお仕えすれば帝のお力になれること間違いなしだろうと!」
「…お前のそのムダな前向きさは、どこか違う所へ使えないものかな。」
完全に勘違いしている琴子に呆れつつ、帝の真意に気が付いていない琴子に少し直樹はホッとする。
「大丈夫です、お兄様。きちんとお仕えし、帝のお力になれるよう努力いたしますから。さ、続きを教えて下さいませ。」
結局、変なことを耳に入れて琴子を動揺させるのはまずいと直樹は判断し、余計なことは言わず勘違いさせたままにしておくことにしたのだった。



そして二人は、実家である左大臣家に挨拶へと出向いた。

「ああ…何ていうことかしら。」
直樹の母、紀子は涙目で琴子を見る。
「こんな可愛らしい姫が宮中へ行くなんて…。」
「でもお義母様、帝直々のご指名なのですよ。」
琴子は笑顔で義母を慰める。
「それはそうですが…姫や、帝が以前あなたに入内させよと言われたことを?」
「…覚えています。」
少し琴子の顔が翳った。
やはり琴子にとっても、入内を断った件は苦い思い出となっている。

「でも、帝もそれはもう過去のことと思われているはずです。今回はお友達としてという風におっしゃられていますし。」
「お友達…ね。」
紀子はまだ心配でたまらない。
「はい。色々なお相手を務めさせていただけたらと思ってます。蹴鞠とか。」
「するな!」
「蹴鞠」という単語が琴子の口から出た途端、直樹の厳しい声が飛んだ。琴子は舌を出す。それをまた直樹が睨み、あわてて引っ込めたものだから、琴子は舌を噛んでしまった。



「あんなんで尚侍が務まるんでしょうかね。」
直樹の弟、裕樹の元へと行ってしまった琴子を見送りながら、直樹は紀子の前で本音を出した。
「でしたら、なぜ止めなかったのです!」
琴子の前では優しい義母の顔をする紀子が、鬼の形相になって直樹を責める。
「本人が行くと言うんですから、仕方がないでしょう。」
「嘘おっしゃい!」
紀子は直樹に厳しい言葉を投げつけた。
「あなたは帝に後ろめたさを感じているのです。違いますか?」
紀子は直樹を睨む。
「…そのようなことは。」
そう言いつつ、直樹はその後が続かない。母には見事に見抜かれていた。
「本当でしたら、姫の耳に入れる前、いいえ。耳に入れずにあなたがお断りすればいい話。それなのにわざわざ姫に決めさせるなんて。」
「…。」
直樹は何も言い返せない。

「宮中、それも後宮がどのような場所だか姫は知っているのですか?」
厳しい顔から一転、紀子は不安そうな顔になり直樹に訊ねた。
「いいえ。」
「何も教えていないのですか。」
ますます紀子の眉が潜められる。
「…琴子は妃ではなく、一女官として出仕するので。」
「ですが尚侍ですよ?あなたも尚侍が時として帝のご寵愛を…。」
「母上!」
紀子の話を直樹は遮った。
紀子は驚いて直樹を見る。このような息子を見るのは初めてであった。

「大丈夫です。帝も話相手として琴子を求めておいでのようですし。琴子もそのつもりですから。」
「二人の間に間違いは起きない」と直樹は信じていた。いや、信じたかった。

「夫婦でそのように決めたのなら、お父様と私には何も言うことはありませんね。」
とうとう紀子はあきらめがついたようである。
「では、姫が初めて参内する折には左大臣家としてできる限りの準備をいたしましょう。」
「準備?」
「中納言の奥方としてでは、軽く見られがちです。いくらあなたが帝の覚えめでたき公達であっても。」
さすが左大臣家の奥方である。直樹が気がつかないようなことに気が付いていた。
「姫は左大臣家の養女でもあります。それを前面に出して参内すれば立派な後ろ盾となりましょう。」
後ろ盾によって居心地は大分変わる。それが後宮というものである。

「しかし、あまり派手なことは…。」
女御入内ではないのである。女官なのだからと直樹は思う。
「新尚侍の背後には左大臣家がついている、それを公言する意味もあるのです。」
紀子は譲らなかった。
「あなたとて、大事な奥方がいじめられるようなことは避けたいでしょう。」
「それはそうです。」
最終的に直樹は紀子の案に従うことにした。しかしくれぐれも前例に準じた形でと念を押したのだった。
「あなたも姫の元へ顔を出すのでしょうね?夫なのですからそこは融通がきくでしょう?」
「できる限りは顔を出すつもりです。」
直樹はそうするつもりだった。



信じているとはいえ、鴨狩帝がその気になることを止めることはできない。

今日も自由奔放に過ごしている琴子を眺めつつ、直樹は一計を案じることにした。



「最低限でいい?」
琴子は首を傾げる。
「ああ。最低限の作法だけ身につければいい。あとは宮中でもここと同じように過ごせばいい。」
「言っていることが変わりましたね、お兄様。」
さすがの琴子でも不信感を抱く。
「そうか?お前に色々仕込んでも無駄だということが分かったんだ。」
直樹は誤魔化す。

「じゃ、いつもみたくそこに寝そべって。」
「はあ?」
突然の直樹の言葉に琴子は驚く。
「ほら、お前いつもそこにだらしなく寝転んでいるだろうが。」
「そんなことしませんよ!」
「いいから、ほら、うつぶせに、だらーっと。」
自由奔放なところは琴子のいい所ではある。しかしそれは宮中では御法度。それを帝の前で披露したら…少しは気持ちも冷めるのではと、直樹は我ながら少々ずるいことを考えたのである。

「んもう…変なお兄様。」
何だかよく分からないが、直樹の言うとおり、琴子はうつぶせに寝転んだ。
「お兄様、こうでいいですか?」
これが何の目的あっての行動なのだろうか。わからないまま琴子は首を動かし直樹を見た。

―― まずい…。
だらしない格好なのに、琴子がするとなぜか可愛らしさが増すことに直樹は気がついた。
自分が琴子にとことん夢中になっているからではあるのだが、必死になっている直樹にはそれに気が付いていない。

「お兄様?」
ころんとなっている琴子に直樹は降参することにした。
琴子に見つからぬよう、手を振り周囲の女房たちをまた遠ざける。

「え?ちょ、ちょっとお兄様?」
うつぶせに転がれと言われたのに、少し乱暴にあおむけにされた琴子は直樹の手を押しのけようとする。

―― もうどうでもいい。帝がどう思おうか。
こうなると直樹はもう誰にも止められない。

その後、二人の部屋は夜まで誰も近づかなかった ――。



そしてあれよこれよと日は過ぎ…いよいよ明日が琴子の初参内という日の夜。

今までこんなに抱いたことはあっただろうかというくらい琴子を抱いた直樹。そのため琴子はぐっすりと眠り込んでいた。

そして直樹は再び、月を仰ぎ見ていた。
「お兄様…。」
どれほど月をぼんやりと眺めていたのか、いつのまにか琴子が隣に座っていた。
「また起こしたか?」
そして琴子がきちんと単衣を身に付けているのを見て、
「二人しかいないのに…。」
とからかう。
「いかなるときも姫らしくお行儀よくと教えられたのはお兄様でしょう?」
「昼と夜では言うことが違う」と琴子は頬を膨らませ可愛らしい抗議をした。

「明日からは離れ離れになってしまうのに…。」
呟きながら琴子は直樹の体によりかかった。直樹はその華奢な肩を抱き寄せる。
「今宵はずっと琴子の傍にいて下さい…。」
一番不安な思いを抱いているのは琴子であったことに、直樹は気がついた。
「そうだな。」
今夜は優しくしようと思い、直樹は返事をする。


「ねえ、お兄様。」
再び体を横たえた二人。琴子が直樹の顔を見た。
「ん?」
「…私の体を見て、帝はびっくりされないでしょうか?」
「体?」
琴子が言わんとしている意図が直樹にはわからない。
「はい。だって…。」
直樹の腕の中でもじもじとする琴子。
「…帝の前で全て脱いで、その…確認する儀式とかあるのでは?」
直樹はぽかんとしてしまった。

「どうしてお前は…そうやたらと脱ぎたがるんだ!」
ようやく出た言葉はそれだった。
結婚前、そう、裳着の時もそうだった。裳をつける儀式だというのに、なぜかそれを脱がせる儀式だと思い込んでいた琴子だった。

「だってそんな噂を聞きましたよ?」
琴子は顔を赤くしつつ真顔である。
「んなわけ、ないだろうが!!」
怒鳴りながら、直樹は今夜は優しくすると言った事を思い出す。

「お兄…。」
琴子の口を直樹は唇で塞ぐ。
「お前は俺以外の前ではその癖、封印しろ。」
言葉は乱暴だが、直樹の表情は優しい。
「お兄様の前では?」
「…どんどん脱いでいいと言いたいところだけど。」
直樹は笑う。
「でも俺は自分で脱がせる方が好みだから。」
「んまっ。」
「脱がせていく時の、お前の顔が一番好きだから。」
「ひど…。」
抗議の声を上げようとした琴子だったが、またその口を塞がれてしまった。

そして直樹の手は琴子の単衣を脱がせるために優しく動いたのだった ――。



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コメント

なんだか艶っぽいお二人だわ♪
こんなに心通じて、素敵なのに。。。。
鴨狩様のところにいかれると、どうなっていくのでしょうか??
このお互いを求めあっている二人♪ずーーーと何事もなく過ごせるといいのですが・・・・啓太さん、オイタしないでね。。。

光輝く

          こんにちは
 こんだけで、二人の絆が強ければお月様もきちんと、二人を見守ってくれると・・・信じています。

 帝以外にも琴子に惚れるお方が現れなければと思います。
琴子には周りにない、、人が真似しようと思っても真似できない・・・ギスギスしてない天真爛漫で、姫らしからぬなんだけど、魅力があるから・・・ 一番心配なのは直樹だろうなぁ。

 でも琴子が一番輝けるのは直樹の目前だけかと・・・月夜に輝く二人の時が一番かと・・・

ゆみのすけさん、ありがとうございます。

ちょっと最初の数話はおもいきりお色気作戦(?)で進めてみました(笑)
『忍ぶれど』の時からは想像もできないラブラブな二人です。
もちろん、恒例の啓太のオイタもこの後待ってますよ~。
それがないと、話が進まないんだもん(笑)

吉キチさん、ありがとうございます。

琴子が一番輝けるのは直樹の前だけ…なんて素敵なんでしょうか!!
もう、吉キチさんのコメントが宝石のようです!!
私にとっての月は吉キチさんのコメントです^^

お月さまはどこから見ても同じなわけですから、きっと二人を優しく見守っていてくれるはず…。
琴子ちゃんの天真爛漫さは直樹にとって一番愛する点でもあり、不安な点でもあるんでしょうね。

拍手コメントありがとうございます。

拍手コメント、ありがとうございます!!

佑さん
そうなんですよ、ちょっと私にしてはめずらしく激しい入江くんになってしまいました(笑)
琴子ちゃんを大好き!という気持ちを出したかったんですが…何だかしつこかったかなあと心配になったり…。
本当にこんな状態で琴子ちゃんと離れて暮らすことができるんでしょうかね?

hirominさん
解説の記事にもコメントありがとうございました。
私もかなりあやふやなので、話し半分に読んでいただけたらと思います。
Hirominさんが仰るように、帝の愛情度で決まる感じですよね。
愛情が深ければ皇后になれて、なかったらそのまま…。
色々調べてみたんですけれど、この頃のお妃たちって愛情なんて抱いていなかったんじゃないかなという話がありました。実家から「子ども産め、男を産め」といわれて育ったからだろうと。
それにしても、こちらの琴子ちゃんは無邪気ですよね。自分が男の人を魅了しているということに気が付いていないんだろうな。だから入江くんも心配でたまらないんでしょうね。

Foxさん
解説の記事にもコメントありがとうございました!
本当にこんなに無邪気な姫が何も知らずに宮中へ上がったら、どうなるのだろうか。
そんな所がまた書きたい所でもあるのですが…。
ただちょっと話が重くなりすぎたかなという気がしています。
『君がため』はかなりギャグに走っているので軽いタッチなのですがこちらの平安物はちょっとまじめに書いてみたのでその続編もそんな感じがいいかと思ったものですから。
色々考える必要があるなあ。

吉キチさん
いえいえ、とんでもないです。
あまり詳しい知識など必要ないように書きたい(というか、書けない)と思っていますので!
ジンクス、破れたらいいんですけれどねえ(笑)

紀子ママさん
私も『月読み』という言葉は実はあさきゆめみしで知りました。
まさか『月の神』という意味だったとは…いやちょっと考えれば想像できそうなことかもしれませんが(笑)。
それにしても、蹴鞠のレッスンって!!
いや、それがお似合いな二人ではありますが!ちょっと見てみたい♪
でも琴子ちゃん、入江くんに蹴鞠厳禁令を出されてるしねえ…。

るんるんさん
ありがとうございます!
そりゃあ、こんなに無邪気なお姫様が恐ろしい宮中、女の嫉妬渦巻く場所へと行こうとしているんですから心配にもなりますよね。
琴子ちゃんの明るさがどこまで通用するか…。
あのような解説でどうかと心配でしたが、そう言っていただけて安心しました。
ありがとうございます。

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