日々草子 はじまりはダンス、そして… 21
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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このブログについてのお願い

当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

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「ああ、相原さんのところのお嬢さん。」
琴子が滞在している土地に着いた直樹が、地元の人間に琴子のことを訊ねるとそう言われた。
「公会堂にいるわよ。」
「公会堂?」
「ええ。あそこで子供たちの相手をしてくれているから。」
公会堂までの道を教えてもらった後、直樹は礼をのべてそこへと向った。

琴子が滞在している村は穏やかな日差しが注がれていた。
一本道の先に、公会堂らしき建物が見えた。

―― あそこに琴子がいる…。

そう思うと、夜通し汽車に乗っていた疲れも飛ぶ。
直樹の足が自然と早まった。



「はい、作子ちゃんとしっかりと組んで。」
「えー。」
作子と名付けられた琴子が作った人形を持たされている男の子が嫌な顔をする。
「何でかかしと…。」
「失礼な!かかしじゃなくてお人形!作子ちゃん!」
「…作太郎と変わらないじゃん。」
男の子は置かれているもう一体の人形に目をやる。
それはかつて、琴子が裕樹の為に作った人形と大して変わらない。

「お姉ちゃん、音楽は?」
「まだいいわ。」
レコードに手を伸ばそうとした女の子がその手を引っ込めた。
「はい、いくわよ…一、二…。」

その様子を窓からそっと覗いていた直樹の頬が緩んだ。
ここでも琴子はダンスを教えていたらしい。相変わらず男の子には不評のようだが…。

「?」
視線を感じた直樹は、下を見た。
小さな女の子が一人、直樹を見上げている。
「何か…。」
直樹が訊ねかけようとしたら、その女の子はダッと駆け出してしまった。
何か変なところでもあるのだろうか?直樹は気になる。
女の子の姿を目で追いかけると、数人で集まって話をしている様子だった。

「…うそだ。」
「本当だってば。」
琴子が男の子たちにダンスを教えている時、女の子たちは例の絵本を広げてヒソヒソと話しこんでいた。
「絶対いないよ、こんな王子様!」
「ちゃんといたよ!見たんだもん!」
先程直樹と顔を合わせた女の子が反論する。
「本当に見たの!王子様!すぐそこに!」
「じゃあ連れてくればいいじゃない。」
「でも…何か話しかけづらい。」
ひそひそと女の子たちは話し続ける。

「こら!何を話してるの?」
琴子の声に女の子たちがハッとなった。
「もう、女の子はおしゃべりが好きね。」
琴子は笑う。
「あ、あのね…お姉ちゃん。」
直樹と顔を合わせた女の子が口を開いた。
「ん?なあに?」」
琴子は優しくその子の顔を覗きこんだ。
「…王子様を見たの。」
「え?」
「王子様、このご本みたいな王子様がいたの。」
女の子は絵本を琴子の前に出した。
「王子様?」
それは女の子の見間違いだろうと琴子は思った。しかし、子供の可愛い想像を壊すことはしたくない。」
「そう、王子様がいたんだ。素敵だった?」
「うん、とっても。」
琴子に否定されなかったことで女の子は安心したのか、笑顔を見せた。



「琴子!」
女の子と会話をしていた琴子の耳に、懐かしい声が聞こえた。
―― え…?
まさか、このような場所にいるとは思えない。
―― 幻聴だ。
琴子は自分に言い聞かせた。
しかし、
「琴子。」
と、またその声が響いた。
琴子の周囲の子供たちが、一斉に声がした方を見た。それでも琴子は顔をそちらに向けないまま。

「琴子。」
段々と声が近付いて来た。
もう自分の目の前に立っていることは分かっている。
琴子はゆっくりと顔を上げた。

「直樹さん…。どうしてここに?」
幻聴ではなかった。
目の前には直樹が立っていた。

「本当に王子様がいる…。」
「絵本の王子様よりも素敵…。」
「見間違いじゃなかった。」
子供たちが呟く。その声を琴子は違う世界のように聞いている。

「…松本タキさんから教えてもらった。」
直樹は笑顔で答えた。
「…ばあやのおしゃべり。誰にも言わないようにって言っておいたのに。」
琴子はそう呟く。
「彼女は悪くない。俺が無理矢理聞き出したんだから。」
直樹はタキを庇った。

「お前に話がしたくて。」
「話って?」
直樹と琴子はお互いの顔をじっと見る。子供たちの姿は二人の目からは見えていない。

「…俺と一緒に来てほしい。」
「どこに?」
「俺の家。」
「何をしに?お金は少しずつだけど、必ず全額をお返し…。」
「それはもういいから。」
琴子の話を直樹は遮った。

「それじゃあ、何をしに私が直樹さんの家に?」
他に何を自分に直樹は求めているのだろうか。
「…ずっと、暮らしてほしい。」
「何で?」
直樹の話の意図が琴子には分からない。

「俺の傍で、ずっと一緒にいてほしいんだ。」
そして直樹ははっきりと琴子に告げた。
「結婚してくれ、琴子。」
目を大きく見開き、琴子は直樹を見ていた。

「…だめ。それはだめ。」
そして琴子の口から出たのは、直樹の申し出を拒否するものだった。
「どうして?」
今度は直樹が琴子に訊き返す。
「…私は結婚していたから。」
「そんなことは関係ない。」
「だめよ。直樹さん…侯爵家の跡取りにはふさわしくないもの。」
「だから関係ない。」
「直樹さんが関係なくても、御両親が反対するわ。」
「うちの両親はそんなことで反対する人間じゃない。もし反対したら…家を出ればいい。」
「そんな!」
琴子は血相を変えた。
「ピアノもお医者様への夢も私が取り上げて、その上家まで取り上げるなんてこと、できない!!」
「それでもいいよ。」
血相を変える琴子とは対照的に、直樹は穏やかに、しかしきっぱりと言った。。

「ピアノも医者も家もいらない。俺は琴子以上に必要なものなんてない。」
そして直樹は琴子の肩を優しく掴んだ。
「俺は、これから生きて行くために琴子が必要なんだ。お前にずっと傍にいてもらって支えてほしい。俺は琴子が傍にいてくれるのなら、何でもできる。」
「でも…。」
躊躇する琴子の前に、直樹が出したのはあの櫛だった。
「これは…。」
震える手で、琴子は直樹が差し出す櫛に触れる。
「タキさんが俺に託してくれたんだ。」
「ばあやはもう…こんな物まで…。」
「お前はタキさんを信頼してこれを渡したんだろう?」
櫛を手にし、目に涙を浮かべる琴子を優しく見つめながら直樹は話す。
「そしてタキさんは俺を信頼して、この櫛をくれた。」
「…。」
櫛の上に、琴子の涙が一滴、また一滴と落ちる。
「直樹さん…。」
琴子の頬は涙で光っていた。それを直樹は手を伸ばし拭った。

そして琴子はゆっくりと直樹に訊ねた。
「…私はあなたを幸せにできますか?」
直樹は笑いながら、泣き続ける琴子を抱き寄せる。
「琴子が傍にいるだけで、俺は幸せだよ。」
そしてもう一度、直樹は訊ねた。
「俺と結婚してくれる?」
直樹の胸で泣きながら、琴子は答えた。
「…はい。」



二人の様子を見ていた人物がいた。―― 諏訪である。
諏訪は静かに公会堂に入ってきた。直樹と琴子の様子を見て、二人が愛し合っていることはすぐに分かった。

諏訪は静かにレコードに針を落とした。
スピーカーからワルツが流れる。
それを確かめると、また静かに公会堂を出て行く。

―― 幸せに、琴子さん…。



突然流れて来たワルツに、琴子は驚いた。
そんな驚く琴子に、直樹は手を差し出す。

「踊っていただけますか?」
そんな直樹の様子に琴子は笑みを浮かべる。
「はい…。」
琴子は直樹の手に自分の手を重ねた。
そして二人は踊り始めた ――。



「あれ?」
それを見ていた女の子が目をこする。
「おかしいな?」
男の子も目をこする。
他の子供たちも目をこすったり、瞬きを繰り返したりする。

―― お姉ちゃんが…お姫様に見える…。

そこにいる子供たちの目に琴子は、あの絵本のように美しいドレスを纏って踊るお姫様のように見えたのだった ――。










☆あとがき

諏訪さん、超いい人!!!





※コメント、ありがとうございました!すごく励みになります!!
お友達の無事が分かった方、停電中に下さった方等々…本当に嬉しいです。ありがとうございます!
中には被災地の方からも!!本当にありがとうございます!!

この話の続きを待って下さっている方のために!
ただ時間が空いたり色々あったりで、穴がいつも以上に多い可能性があります。
申し訳ありません。

限られた時間で書いているので誤字脱字等があったら、申し訳ありません!
あと、一話が短くなる可能性も…それも申し訳ありません!

「このような生活の中でも癒しを求めていらっしゃる方が楽しめたら…」と仰る二次作家さん(停電地帯在住の作家さんも!)が多くて、私もそれに賛同します!私の癒しにもなりますし!
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コメント

ありがとうございます

大変な時なのに、続きを更新して下さって、ありがとうございます。琴子と直樹がやっと再会出来て嬉しいです。お互いがいれば他は何もいらない。こんな時だから、2人の気持ちが心に染みます。被災された方が家はなくなったけど、家族は無事なのが何よりとおっしゃられて、本当に最愛の人が側にいれば生きていけるんだと思わされました。

更新ありがとうございます。
本当に感謝しています♪
仙台の知人、救命救急士で宮城へ派遣された知人の話を
聞きますと、胸が苦しくなります。
こんな私でも少しでも支援が出来ますよう、仕事やささやかだけど物資の提供をがんばって行きたいです。


直樹さんと琴子ちゃんやっとやっと!!
良かった!!
王子様とお姫様♪周りのこともたちにも
夢を与えることが出来て嬉しいです♪
イリちゃんもどう動いているのか楽しみです♪
きっとタキさんも喜んでいるでしょうね。

お話に癒されております。

届いてよかった。

          こんばんは
        水玉さん更新ありがとうございます。
 諏訪さん・・・とっても紳士ですねぇ・・・。潔いワルツのプレゼントですねぇ。

 直樹の必死の思い琴子にも届きよかったです。
琴子も好きだからこそ正直になれないのも判るけども・・・ほんとに直樹の幸せを願うからこその思いも判るけども、直樹の思いが届いてよかったです。

こんにちわ!

いつも更新楽しみに待ってます!

久しぶりにこちらの作品を読ませていただきました!(もう何度目になるやら。笑)

何度よんでも、このシーン感動します!

ってか本当に諏訪さんいい人すぎるーw
私と結婚して欲しいよぉー(笑)

そっとワルツを流して、身をひく彼の姿に胸がきゅーっとなります。

思わず今更ながらコメントかかせて頂きました!

これからも楽しみにしてます!

林檎さん、ありがとうございます。

お返事が本当に遅くなり申し訳ありませんでした!!

私も林檎さんのコメントをきっかけにこの辺りを読み返してみました(笑)
…本当に諏訪さん、いい人すぎる!!(笑)
自分で書いておきながら、この人のいい人ぶりに感動しました(笑)
琴子ちゃんも幸せになったかもしれませんね…でもやっぱり入江くんなんだろうなあ。

懐かしい話にコメント、とても嬉しかったです。

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