日々草子 はじまりはダンス、そして… 2
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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翌日から琴子の稽古は開始された。
「ここを使うのか…すごいお部屋。」
稽古用にとあてがわれた広間に入るなり、琴子は溜息をついた。
入江家は侯爵家の家柄と潤沢な財産を持つ裕福な家である。

「裕樹くん、どうしたの?」
部屋を見回した後、琴子は裕樹を見た。その顔は憂鬱そのものである。
「…本当にお前、教えられるのかよ?」
「ピッピー!」
琴子は口で笛を鳴らす真似をした。
「先生でしょ?“琴子先生”!」
「僕は先生と認める人物しかそう呼ばない。」
「んまっ!!」
かなりの生意気ぶりに琴子は呆れる。

「まあ、いっか。おいおいそう呼ぶようになるから。」
「絶対無理だね。」
「なるわよ。」
琴子は裕樹の額を突く。
「裕樹くんがダンスを踊れるようになるでしょ?そしてこう言うの。“ありがとうございます、琴子先生。先生のおかげで僕は生きる自信を取り戻しました…”。」
「僕は生きる自信を失くしてなどいない!!」
「はいはい。それじゃ早速お稽古を始めましょう。」
琴子は都合悪い所は逃げる性格らしい。

「はい、これ。」
最初に琴子が取り出したのは、一冊の本だった。
「どうしたの?」
「…またこれかよ。」
本を受け取りながら、裕樹は露骨に嫌な顔をした。
「またって?」
「…今までの6人の奴、みんなこれを…。」
「ああ、なるほどね。」
琴子は頷いた。そして自分の頭の上にもう一冊の本を乗せた。
「姿勢を正しくするために、みんなすることよね。」
琴子の頭上の本は全く動かない。
それを見て、裕樹は自分の頭の上に乗せてみた。そして恐る恐る一歩踏み出す。
「あっ!」
すぐに本が頭上から床へと落ちた。
「だから嫌なんだよ。」
苛立った裕樹は、本を拾うと傍らの長椅子に投げた。

―― なるほど、この時点でお稽古が嫌になるわけか。

その裕樹の様子を見ながら、琴子は思った。

「それじゃ、やめましょうか。」
「ええ!?」
琴子の台詞に、裕樹は目を丸くした。
「や、やめる?」
今までの教師は「これを習得しないと」「部屋の端から端くらいは歩けるように」と、皆同じことを口うるさく言った。それなのに…この七人目の教師はあっさりとやめると口にしている。

「だって、嫌いなことをやっても仕方ないわ。」
琴子は頭上から本を下ろし、先程裕樹が投げつけた本と一緒にきちんとテーブルに置いた。
「だけど…。」
「裕樹くんにダンスを好きになってほしいの。だったら嫌いなことをやるのはよくないと思う。」
「…。」
変な教師だと裕樹は思った。そう言って裕樹の口から「それならやる」と言わせるつもりなのだろうと思っていたが…琴子の顔を見ているとそれは本心からの台詞のようである。

「確かにこんなことをやっても楽しくないものね。私が悪かったわ。」
その上、自分から謝りだす琴子。
「いや、別に…。」
琴子は悪くはないことは裕樹にも分かっている。我儘を言っているのは自分の方である。



「…お前は本を乗せて歩けるのかよ?」
何となく気まずくなった裕樹は、そんなことを訊ねた。
「あ、私、結構得意なのよ。」
琴子はテーブルの上から本を取り上げ、頭に乗せた。そしてそのままサッサッサッと部屋の端から端まで歩いてみせた。
今までの教師は自分でやってみせたことがないことに、裕樹は気がついた。もしかして、皆できなかったのかも…。

「どう?」
本を頭に乗せたまま、琴子が裕樹の傍に戻ってきた。
「…人間何かひとつくらい取り柄があるもんだな。」
素直ではない裕樹はそんな褒め方しかできない。
「もっとすごいこと、見せてあげましょうか?」
「すごいこと?」
そして ――。



確か今の時間はダンスの稽古のはず。
出かける前に様子を覗こうかと思い、直樹は稽古部屋へと向った。
邪魔をしては悪いかと、ドアを少しだけ開けた時である。

「…!!」
直樹の目に信じられない光景が飛び込んできた。

「どう?すごいでしょ?」
「あ…あ…。」
裕樹は声を出そうにも出せなかった。声を出すと恐ろしいことが起きる予感がしていたからである。
しかし、それをきっと感嘆のあまりに声が出ないのだと琴子は思っていた。
「フフフ。驚いて声も出せないのね。」
と、更に調子に乗り、
「よっ!」
と、片足を上げて見せる。
「危ないっ!」
思わず裕樹が声を出してしまった。
そこから少し離れたドアからは、同じことを言いそうになった直樹が口を慌てて閉じていた。

琴子の頭上には本ではなく、壁に飾られていた絵皿が数枚、乗せられていたのである。

「ここまでできるようにとは言わないけれど…一応、初回ということで挨拶代わりね。」
そんなことを言いながら、琴子がクルリとターンをした時である。

「あっ!!」
ドアの傍に立っている直樹に気がつき、驚きの声を上げた。その途端、
「あ、あ、あっ!!」
と、今まで見事なバランスを保っていた琴子の体が大きくぐらついた。

「ああっ!!」
気がついた時、絵皿は宙を舞っていた。
しかし、床にそれが叩きつけられる音は聞こえなかった ――。

「…危ない!」
「…ったく、何をしてるんだか。」
絵皿が落ちるはずだった床には、直樹と裕樹の二人がしゃがみこみ、皿を見事に受け止めていた ――。



「ええ!一枚…100万円?」
絵皿の価格を聞き、琴子は青ざめる。
「さすが入江家…そんな高価なお皿が普通に飾ってあるなんて。」
「俺は大道芸を教える人間を雇った覚えはない。」
「…すみません。」
琴子は小さくなってしまった。
「そうだ、そうだ。」
兄の傍で裕樹が加勢する。

「やれやれ。くだらないことで時間を取ってしまった。」
時計を見て、直樹は足早に稽古場を出て行く。その後と裕樹が追いかける。琴子も何となしに後を追う。
「兄様、行ってらっしゃい!」
裕樹は笑顔で兄が乗った車を見送った。



「お兄様…直樹さん、お仕事?」
「そうだよ。今日は取引先と食事をするって言っていた。」
そして裕樹は先程の機嫌の悪さとは打って変わり、自慢気に説明を始めた。
直樹は昔から頭脳明晰であり、大学も首席で卒業し、現在は父親の事業を手伝っていること ――。

「実質、もう兄様が経営者も同然なんだ。」
兄弟の両親、入江重樹と紀子夫人は現在、事業を若い息子に全て任せて海外旅行中だという。
しかもその間、直樹は次々と事業を成功させ、会社を更に大きくさせていっているとのことだった。
「どうだ?僕の兄様はすごいだろ?」
「そうねえ…。」
すごすぎて、琴子はそれしか口にできない。
眉目秀麗とは彼のことを指すに違いない。
「後は口さえ悪くなければ…。」
「ん?何か言ったか?」
「あ、いえ。別に何でも。」
うっかり本音を言いそうになり、琴子は口を押さえた。
そして、
「さ、お稽古の続きをしましょう!」
と裕樹を再び、嫌な顔にさせたのだった ――。









♪あとがき
第1話に、沢山の拍手とコメントありがとうございました!!
この先、「ああ、過去にもこんな話が…」となると思いますが、その際は「書いている人が同じだから仕方ないよね」と温かく見守っていただけますようお願い申し上げますm(__)m
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コメント

期待、大!!

タイトル決まったんですね。『~そして…』だなんて、タイトルだけでドキドキです。今回のお話、裕樹君が大活躍してくれるんですか?お兄ちゃん子の裕樹君、大好きなんです。そして琴子先生。良い先生ですね。嫌いな事を無理矢理させず、まず好きになってもらおうとして。何か脱線が多そうだけど、楽しいレッスンになりそう。

こんばんは、水玉さま。
大変ご無沙汰しております。お元気でしたか?
私はなんとか生きておりました。^_^;

新作のお話が上がっていてとっても嬉しかったです。
昔からバランス感覚が素晴らし琴子ですから、頭の上の本だろうが、お皿だろうが、お茶の子さいさいですよね。

これからの展開、楽しみにしていますね。

今度のお話も

新しいお話にウキウキわくわくです
絵皿を頭に・・・・・さすが琴子と思ってしまいました(笑)
続き楽しみに待ってます

祝 題名決定!

そして…がつくといつも以上にワクワクしてしまいます。直樹の様に咄嗟に絵皿を拾う祐樹!君の反射神経は素晴らしいよ。琴子VS祐樹、どんなバトルが繰り広げられるのか? 楽しみです。

これからの二人に期待

どうなるのかな?

楽しみにしています!

ツンツン直樹がツンデレ直樹にいつ変身するか?

待ちどうしいよー!変身しますよね?

秘技・・・琴子

  おはようございます。
あぁ~ 勘違い・・・勉学の先生でなかったんですねぇ・・・。ですよねぇ・・・ですよねぇ・・・疑問が見事吹っ飛びました。ダンスなら琴子にピッタリかと・・・ありがとうございます。
少しは裕樹の心をつかめたかなぁ・・・嫌々ながらもねぇ

 お皿バランス・・・スゴイ特技かと・・・裕樹の想うとおりにそこで笑ったらやば過ぎるけど、止めなかった裕樹も 怖いもの見たさでしょうかねぇエヘヘ

 私もありますよぉ~食器に関してなら・・・割るつもりは無いのにお皿を割る時は偶に?連発で数日割れ続ける事・・・何でなんでしょうか? ただただドンくさいんですけどねぇ。

 水玉さんへ・・・ もしもの時の為に捜索準備しておきますねぇ・・・。お知らせ下さい・・・言わないですよねぇ・・・たぶん・・私もあきらめませんよぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~~エヘヘとご報告いたします。
              
                 続きも楽しみにお待ちしております。   吉キチ
 

素敵な予感が膨らむ素敵なタイトル!~♪

水玉さん、おはようございます♪

“―― なるほど、この時点でお稽古が嫌になるわけか。”
おぉ!琴子先生、ちゃんと生徒に合わせた教え方を考えているのね~!
裕樹くんも琴子ちゃんを観察していて、今までと違う先生に興味を持ち始めたようですね!
私も琴子先生にもう心を持っていかれました~♪
大道芸人(笑)の琴子ちゃんにも負けないの皿拾いの入江兄弟にも興味大!!(笑)
楽しみです!!

☆楽しみがいっぱいです♪~~~いろいろと~~^^♪

終わりは~どう(*^o^*)

水玉さん、おはようございます(*^o^*)

題名の最後の‘そして…’に反応しちゃいました(≧∇≦)

流石!頭にお皿(^O^)琴子ちゃんのスゴ技!!
ギャラリーがいたら‘オヒネリ’が飛んできますょね!
意地悪入江ブラザーズ、知らず知らず琴子ちゃんペースに嵌まってますね(≧∇≦)

面白そう~。

何かちょっといつもと違う感じがして、新鮮と思いました。
もちろん水玉様のお話は全部面白いんですけど。
でも琴子がダンスの先生って(確かに脅威のバランス能力ではあるけれども)予想してなかったなぁ(笑)。
続きが楽しみです。
余談ですが水玉様もポアロお好きなんですか?
相棒もポアロも共通点重なって何か嬉しい。

祐樹'Sママさん、ありがとうございます。

裕樹くんが活躍するかどうかはまだ未定ですが、でも出番は多いと思います(笑)
琴子ちゃんが先生って、確かに楽しそうですよね。
今迄の型どおりだった6人の先生とは全く違う琴子先生に、きっと裕樹くんもその魅力のとりことなるんじゃないかなあと思います♪

りきまるさんだ~♪♪♪

きゃーっ!!りきまるさんじゃないですか!!
お元気だったんですね。よかった~!!!
すごく懐かしいお名前を発見して、テンションが上がりましたよ!!
お忙しい中、来て下さりというか、忘れないでいて下さりありがとうございます!!

あのバランス感覚は並みじゃないですよね。いや、すごい!!
だからきっと琴子ちゃんはすごく姿勢のいい子なんじゃないかなあと思うんですよね^^

またお時間がある時に遊びに来て下さいね!!

ミルクさん、ありがとうございます。

本当は絵にしようかとか、花瓶にしようかとか思ったのですが、そんなもの乗せたら首を絶対痛めるだろうと思って、お皿だったら大きさも色々あるから大丈夫かなと♪
続きを楽しみにして下さり、ありがとうございます^^

nomariさん、ありがとうございます。

確かに!!(笑)
その反射神経でなぜ運動が苦手?
ダンスはリズム感とかも必要な感じですもんね~。
取りあえず、今のところはいわゆる「人物紹介編」です(笑)。

kobutaさん、ありがとうございます。

ツンデレに変身…するのでしょうか?
しなくて、実は裕樹くんと…なあんてね!!
確かに、甘甘を早く私も書きたいかも…いや、そうなればの話ですが。

吉キチさん、ありがとうございます。

あ、私もありますよ!!
というか、私って何か大事な時にコップとか割るんですよね。
入試前、面接前…(笑)
一番すごかったのは、面接前に入ったドトールで食器を下げようとしてなぜかコップを割ったことがあります(笑)
でもそれでいつも落ち着いて、大抵上手くいくのですが…これっていい意味のジンクス?

家で割る時って、大抵、お気に入りのものが多いです←おい!


危ない時って絶対声を出すなって言いますもんね。
ええと…出初式とか?←見たことないけど
綱渡りとか?←やったことないけど

というか、失踪するときに吉キチさんに「失踪するから、じゃ!」とか言ってたら、すごい間抜けじゃないですか(爆笑)
これって完全に「捜して下さい」と言っているも同然だし!!(笑)

あおさん、ありがとうございます。

確かに、大道芸人先生の琴子先生顔負けの、見事な連携プレーな入江兄弟ですよね!!
琴子ちゃんは、とにかく教えることが楽しくてたまらないという感じなので、きっといい先生なんだと思います♪

この一筋縄ではいかない生徒の裕樹くんも、すぐに琴子先生の魅力に取りつかれることでしょう♪
あとそのお兄さんはどうなるのかな?

ナッキーさん、ありがとうございます。

これで食べていけますよね、琴子ちゃん!!
どこまで乗せることができるのか…一度見てみたい気もします。
ファミレスで名物になるのも分かる!!

タイトル、皆さんそこに反応してらっしゃるんですね~^^
「はじまりはダンス、そして…終りは?」と続けたくもなるかも。

ルナルナさん、ありがとうございます。

おお!!あのかけじくに反応して下さるとは(笑)
ありがとうございます。

ポワロ、好きですよ~。
CMで「灰色の脳細胞が~」と何度も言われて、すっかり洗脳されて買ってしまいました(笑)
時々、図書館で原作を読んだりしてます^^

一番好きなのは「刑事コロンボ」なんですけれど^^
BSで毎週録画してはダビングして密かにコロンボコレクションを作っております。
…老後に一気に鑑賞することを楽しみにしつつ(笑)

ルナルナさんと趣味があって、私も嬉しいです!!
…もしかして火サスも合ったりして???

話の方、いつもと違う感じがする…これも意外な反応です!!
そっか~じゃ、ちょっと続けられるかも♪
ありがとうございます。やる気が出ました\(^o^)/

拍手コメント、ありがとうございます。

佑さん
あのお皿運びは本当にバランス感覚が相当よくなければできませんよね!!
頭の上に物を乗っけて運ぶなんて、琴子ちゃんには朝飯前に違いない!!

Foxさん
あ~ドナドナですね!!
今回は…どうでしょう(笑)
そして覚悟がいるときはって…「次回、ちょっと辛くなります」とか言って、そう思っていたのは私だけでしたとかになったら、すごく恥ずかしいじゃないですかっ!!(笑)

りあさん
私も裕樹くん同様の運痴、いやもっとひどい運痴なんですよ(^_^;)
だからちょっと裕樹くんの気持ちは自分の気持ちを投影している可能性があります。
琴子ちゃんみたいに優しい先生だったら、そんな子にも優しく教えてくれるんだろうなあと思います。
社交ダンスって、かなりハードらしいですよね。体中が痛くなったりするとかって聞いたことあります。あ、でもそれは競技ダンスの場合なのかな?

紀子ママさん
絶対琴子ちゃん、皿回しできますよ!!
「いつもより多めにまわしております~」とか言いながら!!
綱渡りとかもできそうですよね♪
裕樹くん、すごいブラコンぶりを発揮しております(笑)

あけみさん
あのファミレスはすごかったですよね!!
私も噂を聞いて観に行きます。というか、集客になるから絶対クビにならなさそう…(でもクビになってましたね(笑))
タイトルやっと決まりました!!今回は2話で決まってよかった…。

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