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2009年03月25日(水)

万華鏡 18

【More・・・】

直樹が出て行って一か月が経った。
直樹からは住所を知らせる連絡は何一つ来ず、紀子と裕樹は元気がない。もちろん、琴子も直樹が心配でたまらなかった。

せめてどこに住んでいるのかだけでも分からないだろうか…琴子が何か方法はないかと考えているときに、入江家に来客があった。
それは須藤だった。その日、琴子以外誰もいなかったので、琴子が応対することになった。
「あいつ、家出したんだってね。」
須藤は開口一番、そう言った。
「誰にも居場所、教えていないんだろ、どうせ。」
琴子が頷くと、須藤は紙を一枚琴子の前へ差し出した。
「あいつに頼まれて、住む家を紹介したの俺なんだ。これ、あいつが今いる住所ね。どこに住んでいるかくらいは家族へ教えておけと言ったんだけど、あいつ結構頑固でさ。だから内緒で教えておこうと思って。」
須藤の気遣いに琴子は感激し、何度もお礼を言った。
「しかしここまで本気になるとは思わなかったよ。」
直樹の家出の経緯を琴子から聞き、須藤はちょっと感心し、そして入江家を後にした。

須藤の来訪と直樹の居場所が分かったことを、琴子は紀子が帰宅するとすぐに教えた。そして明日にでも直樹の元へ行くように紀子へ勧める。が、紀子は首を横に振った。
「私は行かないわ。」
「なぜですか?おば様、直樹さんのことをとても心配してらしたでしょう?」
予想外の紀子の言葉の意味が琴子には分からない。

「私が行くと絶対怒るでしょうし…。それにちょっと見てみたいのよね、直樹さんがどこまで本気なのかって。一人でどこまでできるのか見守りたい気分なのよね。」
紀子の考えを聞き、琴子は何も言えない。
「でも、やっぱりちゃんと食べているのかとかは心配だから…だからお願い。琴子さん、一人で行って様子を見てきてもらえないかしら?」
「私が一人で行くと、余計直樹さん怒ると思いますけど…。」
「大丈夫よ。この住所は当分、私と琴子さん、二人だけの秘密にしておきましょう。」
そういうことで、琴子は一人で直樹の住まいへと向かうことになった。

「ここね…。」
須藤に教えてもらった場所は、長屋が立ち並ぶ一角だった。訪ねても肝心の直樹が留守では何にもならない。学校が終わって帰宅する夕方に琴子はやってきた。
「いるといいけど…。」
引き戸を開けようとする勇気がなかなか出ない。直樹に怒鳴られることは覚悟の上だが、一人でいるのか…もしかしたら誰か女性がいたりしたらと、悪い方へとばかり考えてしまう。

立ちすくむ琴子の前で引き戸が開いた。驚く琴子の前に出てきたのは、
「あんた、誰?」
一人の老婆だった。
「あ、あの…。」
家を間違えたのかと琴子は思い、何かを話そうとした時、
「お前、ここで何してるんだ?」
と今度は後ろから声をかけられる。懐かしいその声に琴子は振り返った。直樹が立っていた。
「直樹さん!」
と琴子とその老婆は同時に叫び、琴子と老婆は思わず顔を見合わせた。

「直樹さん、この娘誰?」
老婆が直樹へ話しかける。
「妹かい?」
「妹じゃないです!」
琴子がムキになって老婆へ言い返した。
「それならよかった。こんな平凡な子が直樹さんの妹なんてありえないもんね。」
老婆は口が悪かった。
「…お婆さんこそ、誰ですか?」
言われっぱなしで琴子は面白くない。
「私はあんたにお婆さんと呼ばれる覚えはないよ。近頃の娘は礼儀がなってないね。」
老婆は溜息をつく。その言い方に琴子はムッとした。
「だからあなたは誰なんですか!?」
二人の言い合いを黙って見ていた直樹が漸く口を開いた。

「トヨさん、これは父の友人の娘で、俺の実家に住んでいるんです。」
「これ」ってひどい…と琴子は直樹を恨めしそうに見るが、直樹は琴子の視線など構うことなく説明を続ける。
「こちらはトヨさん。この長屋の大家さん。」
大家では失礼があってはいけない。琴子は渋々トヨに頭を下げ、挨拶をする。
「直樹さん、食事が冷めちまうよ。」
トヨが琴子に話しかける口調とは全然違う、優しい口調で直樹へ話しかけた。琴子が部屋の中を見ると、お膳の用意ができている。
「いつもすみません。」
直樹が部屋の中へ上がりながらトヨへ礼を言う。
「いいんだよ。若い男性はちゃんと食べないと。」
トヨもいそいそと直樹の後を追う。
その姿を見ながら、琴子は、
「この大家さん…もしかして。」
と呆れていた。

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♪あとがき
前から薄々気づいてはいたのですが…。
「誰よ、これ」というくらい、原作のキャラ、どこかへ行ってしまってます…。
最早、名前だけを借りた状態に…。
こんな滅茶苦茶なことをして、ごめんなさい

本当はこの部分丸々カットする予定だったのですが、皆様の「長くなってもいいよ」という社交辞令を
真に受けて、思い残すことのないよう、書くことにしました。
「本当に真に受けたんだね」というつぶやきが聞こえてきそうです…(^_^;)
ごめんなさい、お調子者で(^^ゞ
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Comment

時代背景がとても私好みなので
いつも楽しみにしています。

おお~トヨおばあちゃん登場ですね♪
確かに大家さんだったらこんな感じかも♪
全然変ではないですよ。

このあとどうなっていくのかわくわくしながらお待ちしてます。
ゆん | 2009.03.25(水) 17:54 | URL | 

●別に

社交辞令じゃないんだけどね。まぁでも、思い残すことなく書いていただく気持ちになってもらえたんなら、よかったよかった!!
しかし、トヨばーちゃんの登場にはびっくりv-405 ほんとに意表突いてくるのがうまいよなぁ・・・。なかなか融けない直樹さんの心。琴子、応援してるぞ~~v-438
アリエル | 2009.03.25(水) 19:11 | URL | 

●ぜひぜひ

思う存分書いちゃってください!!!!
もうどんだけ続いても、ちゃんとついていきます!
トヨ婆ちゃん登場にますます目が離せません
ミルク | 2009.03.25(水) 21:57 | URL | 

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